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Send Help, Not Corpses—My Church Is a Hero Repair Shop! – Chapter 196

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「蘇生費三回分、ちゃんとつけていますからね」

血塗れのカーペットにへたり込んだ蘇生ほやほやリリスがこちらを見上げて呆然と呟く。

「あんな事があった後なのにずいぶん平然としているんですね」

「慣れですよ」

俺はこの街でやっていくための金言を授けつつ、さらに続けた。

「断言しますが、この街にいる限り貴方はことあるごとに死にます。今のままスリだのなんだので生活していれば勇者の加護は剥奪され、いずれ貴方は永遠の死を迎えることになるでしょう」

目隠し越しにもリリスの動揺が伝わってくる。

この短期間に3回も殺されたのだ。俺の言葉が大袈裟じゃないことをコイツは身をもって実感しているはず。

せめてコイツが善良な少女だったなら他の勇者からの同情も買えただろうが。それを期待するのはもう無理だ。

やや間をおいて、リリスがポツリと呟いた。

「神官さんはどうして死んでいないんですか。弱いのに」

「私が極めて善良な人間だからです」

「そうでしょうか」

なんだよ。文句あんのか?

目隠し越しにも感じるリリスの視線を振り払うように、俺は教会の机の上に山盛りになっている財布を指し示した。

「とにかくこれらは没収です」

リリスはカラカラに乾いた目隠し布に手を当て、肩を震わせる。

「そんな……一生懸命集めたのに、また一から……っ!」

だからスリはやめろって!

あと被害者ぶるのもやめろよクソ腹立つなァ! っていうかこの財布どうすんだよ!

おびただしい数の財布の山の前で途方に暮れていると、教会の扉が勢いよく開いた。

なんだ。誰かと思えば変態か。

ハンバートが大袈裟に肩をすくめながら上等な靴で血塗れのカーペットを踏みしめる。

「やられたよ。王都での商談を終えてようやく戻ってこられたと思ったらこれだ」

とうやらヤツもスリの被害者らしい。

まぁ勇者とは思えない身なりの良さだからな。実際そのへんの貧乏勇者の十倍は財布に金が入っているんだろう。スリ師が狙わないはずはない。

「少し待っていてください。ええと、確かそれっぽい財布が……」

財布の山を崩しながらハンバートの財布を探すが、見回せど見回せどボロボロで薄っぺらいカスみたいな財布ばかりだ。

俺はリリスをジロリと見る。キョトンとした顔で首を傾げながらこちらを見返してくる。悪意の欠片もないですといった顔で後ろ手に隠したそれはなんだ?

「まだ懲りてないんですか」

「お願いします。これだけは! 母の……母の形見なんです……」

「すぐバレる嘘を吐くのはやめなさい!」

この期に及んで一番金の入ってそうな財布だけパクりやがったな!

なんて手癖の悪さ。そして獲物への執念。というかいつの間に。目を離さないようにしていたつもりだったのに。

「返しなさい!」

「ああっ」

俺から逃れようと振り上げたリリスの手から財布がすっぽ抜けた。

弧を描くようにして宙を舞い、重力に従って財布が床に叩きつけられる。耳につく金属音を響かせながら散らばったのは硬貨ではなかった。

「え……えっ? なんですかこれ?」

リリスが呆然と呟く。

見て分かるだろ。釘だよ。より正確に言うとちょっと血のついた釘だよ。おいおい、そんなに見つめたって金貨になったりはしないぞ。残念だったな。お前がコイツから盗んだのは財布じゃなかったんだよ。

リリスがゆっくりと顔を上げる。散らばった釘をつまみ上げた細い指が震えている。目前に迫ったハンバートを見上げて、ヤツは息をのんだ。

「……なにに使うんですか」

ハンバートの目つきが変わった。

額に手を当て、肩を震わせくっくと笑みを漏らす。しかしその顔に浮かんでいるのは笑顔というよりは牙を剥いた獣のそれであった。

「“なにに使うか”だって? そんな恥ずかしいことを神の前で言わせる気かい?」

リリスの緊張が高まるのが手に取るように分かった。

あの迫力に気圧されたリリスがよろよろと後退るが、ハンバートは二人の間にあいた距離をその長い脚を使って一瞬で詰める。

「良いよ。すごく良い」

リリスの肩を素早く掴み、その顔を覗き込んでハンバートは高揚を隠そうともせず続ける。

「君には才能がありそうだ。特別に教えてあげよう。この釘はね、こう、爪と指の間に刺し」

やめろやめろ! 教会でレベルの高い猥談をするな!

俺は散らばった釘を素早く拾い集め、ハンバートに突っ返した。

「スリの被害者は貴方だけじゃないんですよ。こっちも忙しいんでね。さぁ帰って帰って」

俺は変態をしっしと追い払う。

幸い、リリスの年齢は恐らくカタリナと同程度。ヤツのストライクゾーンを外れている。

ハンバートはふっと息を漏らすように笑い、上着を翻してこちらに背を向ける。チラリと振り返り、肩越しにリリスへ微笑みかけた。

「ふふ……あと5年、いや10年早く出会いたかったよ」

黙れ。帰れ。

カーペットの上を歩いていくハンバートの背中を見つめながら、リリスが俺の隣で呆然と呟く。

「……あの人、相当強いんですね」

「え? あぁ、まぁ。弱くはないでしょうけど」

なんでそんなことを急に?

そう聞き返すより早く、リリスが小声で呟いた。

「私のスリに気付いた上で、あえてハズレの財布を掴ませるなんて」

俺はハッとした。

そうか。新参者のリリスはハンバートの性癖を知らない。自分の体に突き刺すために持ち歩いている釘をたまたまスッてしまったなんて思いもよらないのだ。

リリスは自分の体を抱きしめるようにして腕を組み、声を震わせる。

「あの釘……“次に財布を盗んだら拷問する”っていう警告ですよね。この街の人間は怖い人ばかりです。やはりなにか手を打たないと」

全然違うし強いて言うならむしろ逆なんだけどな。

言葉というのは難しい。下手に主語を省くとまったく逆の意味に捉えられてしまう。俺が言葉とコミュニケーションの難しさを嚙み締めている最中にもリリスは難しい顔で首を捻る。

「あと10年早く出会いたかったっていうのは……婚約者でもいるんでしょうか。それとも奥さんが?」

まさか自身の年齢に問題があるとは露ほども思わないのだろう。

ハンバートの言葉をまったく別の方向に解釈したリリスが目隠しを外した。

「そんなの関係ないですけどね」

「えっ……な、なにを!?」

俺は慌ててリリスから飛び退き、目を両手で覆いながら顔をそむける。

しかしリリスはこちらに魔眼を向けようとはしない。その紅い眼はまっすぐハンバートの背中に向けられている。

「神官さんを見ていて気付きました。この街で生き抜くなら汗水垂らして強くなるより強い人に守ってもらった方が良い」

アイツ、魔眼をハンバートに使う気か!?

確かにハンバートを魅了できればまず金銭的な不自由はないだろうし、ヤツの守護があれば一人で街を歩くよりはよほど安全だ。

しかし魔の力で強制的に人間の心を支配するなんて当然許されることではない。

……そうはいっても、俺に彼女を止めるだけの力はないのだが。

制止を無視して床を蹴ったリリスは自慢の健脚をいかんなく発揮して教会を出ようとするハンバートの目前に回り込み、魔性の瞳でヤツを釘付けにする。

魔眼が怪しく輝く。瞬き一つしないままリリスは口を開いた。ゆっくり、そしてハッキリとした口調で。そこに一切の照れも羞恥もなく、まるで命令するように。

「私のこと死ぬまで愛してください」

アイツやりやがった!

クソッ、どうする。恐らくリリスを殺せば魅了は解ける。またアイギス辺りを呼んで首を刎ねてもらうか。

しかしそんな事をしたら……! また俺の仕事と返済のあてがない蘇生費のツケばかりが嵩んでっ……!

俺が逡巡している間にも時間は無情に流れていく。

魔眼を向けられたハンバートがリリスに微笑みかけた。先程とは打って変わった、春の日差しのような柔らかな笑みだった。

彼女の肩に手を置き、そして穏やかに言う。

「君の気持ちには応えられない」

リリスの眼が大きく見開かれる。その紅い瞳は確かに魔性の光を放っている。なのに。

膝から崩れ落ちるようにリリスが床にへたりこんだ。

「そ、そんな……眼が効かないなんてっ……どうして……なにが悪いの!? 一体どんな手を使ったんですか!?」

リリスの言葉にハンバートは首を傾げる。

ハンバートは王都から帰ってきたばかりだと言っていた。多分リリスの逃亡騒動や魔眼のことを知らないのだろう。

振られたショックで錯乱していると考えたらしいハンバートは、彼女を宥めるような口調で言う。

「こんなに理不尽かつ一方的で身勝手な告白は初めてだったよ。やはり君にはサディストの才がある。本当に、僕も悔しい」

「じゃあ……じゃあなにがダメだって言うんですか! ハッキリ言ってください!」

リリスの叫びに、ハンバートはフッと息を吐いた。

そして優しく微笑みかける。どこか悲しげな色に染まった目を彼女に向けて。

「年齢」

*****

「マゾのロリコン? ふーん」

俺の懇切丁寧な説明に、リリスは気の抜けた声で応える。

ハンバートに一切の興味を失ったらしい。教会の椅子に寝そべってバリバリ菓子なんか食ってやがる。

「もう良いんですか」

「いくら綺麗でたくさんお金が入っていても開かない財布にはなんの価値もないので」

だから人のこと財布って呼ぶな。

というかいちいち凄いこと言うなこいつ……

まぁ男なら全員に魔眼が効くわけではないということが分かったのは収穫だ。ストライクゾーンをあまりに大きく外れていると魅了が効かないということなんだろうか。まぁあそこまで偏った性癖のヤツはそうはいないだろうが。

魔性の力で人を操るのは論外としても、誰かと一緒に行動させる――つまりどこかのパーティに加入させるというのは悪くない。というか、このままだと俺の身が持たない。なんで俺がコイツの世話と監視までしなくちゃならないんだ。なんとかしてどっかのパーティに押し付けたい。

カタリナとかどうだろうか。アイツ妙に世話焼きだし。いや、でもあそこにはパステルイカれ女がいるしダメだな。どこか良いところはないだろうか。クソッ、なんで俺がこんなに色々考えなくちゃいけないんだ。当の本人があんなにゴロゴロしているのに……ん?

「あの、神官さん」

誰かと思えばユライだ。お前もスリ被害者の一人か?

俺は財布の山を崩しながら言う。

「はいはい。財布の特徴を言ってもらえますか?」

「いいや、違う。取りにきたのは財布じゃないんだ」

財布じゃない? じゃあなんの用だよ。見たところひとりだ。後ろに棺桶を連れているわけでもなく、呪いにかかっている様子も毒に侵されている様子もない。ただ、どこか思いつめたような顔をしていた。わずかな逡巡のあとユライは意を決したように言う。

「魔眼の力を貸してほしい」

……一体どういうつもりだ?

魔眼の力――リリスのことを聞きつけてきたのだろうが、あの力は危険だ。魔眼は本来魔物が持っているもの。人間が使いこなせるシロモノじゃない。

しかしどうやら本人はやる気らしい。リリスが教会の椅子から体を起こした。袋の底に残った菓子を直接口に流し込み、破片が付いた唇をベロリと舐める。目隠しの奥から値踏みするような視線をユライに向けて言った。

「その財布はちゃんと開きますか?」

コミカライズ二巻発売は10月7日!

その前日となる明日10月6日にコミカライズを描いていただいているタナカ先生とのコラボSSを投稿します

お楽しみに!

Send Help, Not Corpses—My Church Is a Hero Repair Shop!

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I'm a priest working at a church, but please stop sending me the bodies of heroes who have been brutally murdered., I'm Working at the Church as a Priest, but I Want to Be Cut Some Slack from the Mutilated Bodies of the Heroes that Keep Getting Sent to Me, Kyōkai tsutome no shinkandesuga, yūsha no zansatsu shitai tensō sa rete kuru no kanben shite hoshīdesu, Kyōkai tsutome no shinken desu ga, yūsha no zansatsu shitai tensō sa rete kuru no kanben shite hoshīdesu, 教会務めの神官ですが、勇者の惨殺死体転送されてくるの勘弁して欲しいです
Score 6.6
Status: Ongoing Type: Author: , Released: 2019 Native Language: Japanese
Monsters roaming? The bravest heroes charging into battle? That means someone’s working overtime at the church—me. Every time an adventuring party falls, their mangled bodies land on my altar. My job? Stitch their bits back together, slap on a revival spell, and pray the church gets paid this month. Swords and sorcery are tough—but try arguing fees with dead heroes, wild mages, and coffin stalkers. Welcome to a fantasy world where the real grind isn’t on the battlefield, but right behind the sanctuary doors. Sharp humor, absurd obstacles, and a fresh take on classic fantasy resurrection. If you thought dying was dramatic, you haven’t seen what I go through bringing heroes back—one limb at a time.

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