さ、最初から新キャラの名前はこうしようと思っただけで、読者の方の感想で思いついたわけじゃないんですからね!
ま、まあそれは兎も角いつも感想や誤字報告等ありがとうございます。助かっていますし、楽しく読ま(参考にさ)せてもらってます。
伊奈野の目の前で土下座をしている存在。
背は低いように見えるため、少女としても問題はないような外見に思われる。とはいえ頭を下げているため顔を見ることもかなわず、伊奈野としては年上として扱うのか年下として扱うのか判断に困るわけだが、
「あっ。師匠。そこにいるのがこの間言っていた師匠に会いたいと言っていた知り合いです」
「ああ。魔女さんの知り合いなんですね」
魔女さんから補足が入り、伊奈野はどういう立ち位置の相手なのかを理解する。
とりあえず知り合いの知り合いという微妙な関係性であるので、変な態度をとるわけにもいかないと考え、
「顔をあげてください。まずはお話を聞かせてもらっても良いですか?」
「はいっ!ありがとうございますっ!!」
顔をあげさせる。それと共に、相手の外見も見れるようになった。
見た目は少女と言った感じだが、少女と言う程度の年齢であることにより一部が平らであるため、可愛くてショタいだけの場合との見分けはつかない。
雰囲気としては研究者系ロリ。天才だが協調性などがないキャラとしてアニメなどに出てきそうな外見だ。
(何が専門なのかは分からないけど、研究職っぽいから私の知識に興味持つのも理解はできるかな)
「僕、少し先の街で研究をしていたんです!けど、外からの人がきだして急いで研究するものがなくなったんです!だからここで新しく成長のために知識を付けたくて、ご主人様の下僕になりたいと思ったんですぅぅぅぅ!!!!」
(いや、最後の下僕云々はどうしてそうなった?)
伊奈野は途中まで理解できたが、最後の結論に困惑させられる。成長のために弟子になりたいなどと言うのなら分かるのだが、なぜ下僕を選ぶのかは謎である。
(ちょっとMな感じの人なのかな……)
伊奈野は距離を置きたいような気持になりかけた。が、ここで魔女さんが土下座少女をかばう、というか推薦するように、
「師匠。私からもお願いできませんか?彼女、こんな感じですけど3日間ずっと師匠が来るまで土下座していたんです」
「えっ!?」
思っていたよりも重度の変態だったことが判明して伊奈野はさらに驚く。
という気持ちがないわけではないが、そういうわけではなく、
「「っ!?」」
伊奈野は視線を移し目を合わせる。そこで伊奈野と向かいあうのは、うるさい人。
彼ら彼女らの心は、
((カノッサの屈辱!?))
というもので共通していた。うるさい人も今まで土下座は見ていたが、ここで魔女さんに言われて初めて気づいたのである。
カノッサの屈辱、
色々とあってローマ王ハインリヒ4世が対立していたローマ教皇グレゴリウス7世に破門された。
1077年。これに対して許しを請い、ハインリヒ4世が雪の中3日間裸足で断食と祈りを続けたのがカノッサの屈辱である。
今の状況とは3日間の部分くらいしかかすっていないが、そうしてかすった部分があっただけでも彼ら彼女らには喜ぶべきことであり、なぜかよく分からないがテンションも上がっていた。
この状態で伊奈野が願いを断るなんてことをするわけもなく、
「良いですよ。下僕とかはよく分からないですけど、他の人たちと同じように空き時間でよければ勉強を教えます」
「本当ですか!?ありがとうございます!!!」
「これからよろしくお願いしますね。k」
Kの音まで出した。だが、伊奈野はここで止まる。
今思いついたのは、この土下座少女にカノッサと言う名前を付けることである。しかし、
(今までの流れから急に『カノッサ』とかいう人名に思えなくもない名前を付けて問題が起きないかな?いや、起きないわけがないよね!(反語)ここでカノッサは避けた方が良いかも)
カノッサと言う名前を付けた場合、自分も人名に聞こえるようなそういう名前が欲しいと言い出す数名が思い浮かぶ。
(魔女要素のある歴史上の人物とか、ジャンヌ・ダルクくらいしか思いつかないんだけど?しかもあれって魔女狩りで処刑されただけだし)
全員に良い名前がまず思いつかないし、急に呼び方を変えたら確実に混乱する。ということで伊奈野は面倒事の基になりそうなカノッサと言う名前は避け、
「屈辱さん!」
「く、屈辱さん……」
素晴らしいネーミングセンスにより、土下座少女は屈辱さんと名付けられた。
屈辱さんは非常に困惑した表情になる……………こともなく、
「分かりました!僕今から屈辱に名前を改名してきます!役所に行ってくるのでちょっと待ってください!」
「あっ。適当につけただけなので本名にしようとしないでください。下僕の屈辱さんに対する主人の私の命令です」
「はいっ!分かりました変えません!じゃあ勉強を教えて下さい!!」
異様なほどの切り替えの早さ。
奴隷根性が染みつきつつも自分の欲望に忠実なようである。
ただ、下僕は下僕でとがっているが主人は主人の方で、
「あっ。今は休憩時間じゃないのであとにしてもらって良いですか?私は今から勉強するので」
「えっ?あっ!?また無視されるモードに入った!?」
自分の目的が最優先であり、屈辱さんの頼みなど後回しにして勉強を始める。
屈辱さんは驚愕した後周囲を見回し、
「また土下座しておいた方が良いかな?」
「いや、流石に必要ないと思うわよ」
「そうですよ。師匠は基本的に私たちに対してもこんな感じですから」
また土下座を再開するべきか検討し始めるのであった、
《称号『研究狂いのご主人様』を獲得しました》