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――ちょっと強引だったけど、いいよね。
カズマから解放されて、彼に引導を渡した青年と同化してしまった。本当は神界に戻るべきだったかもしれない。それでもカズマとの耐え難い日々を味わった後だし少しぐらい、ほんの少しぐらいわがままに従って行動しても良いと思った。
神器として、主となる人間を見定めるために魂を感知できるからこそ分かる。
魂の形が、懐かしかった。
魂の色が、恋しかった。
ルカ・ヴィーダ、愛しい初めての主人。死なせてしまった、大切な人。
そんな彼と似た魂を持った青年に、どうしようもなく惹かれた。
――ルカ様もそうだったけど、かなり面倒な目に遭ってるみたい。
魂と同化した事によって、デミトリの記憶が流れ込んで来た。以前の主人に、勝るとも劣らない数奇な運命を辿っているらしい。
――それでも、誰かの為に立ち向かうのは変わらないんだね。
唯一本当の主と認めた男を失い、嫌々カズマに仕えていた。もう二度と魂の誓いを交わしたくないと、鍛冶神にお願いしようか悩んですらいた。
自分を捧げるのにふさわしい新たな主に出会えた喜びを噛みしめながら、デミトリが命を懸けてでも達成しようとしている事……彼が恩人と交わした約束を魂に刻む。
――今度は、絶対に死なせない。
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鍛冶神フラーガの傑作:神器ラス
主の呼びかけに応えて、鎧を顕現させる神器。認められた者には鉄壁の守りを与えるが、ふさわしくないと見放された者にとっては鋼鉄の檻になり果てる。