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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 250

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グリフォニア帝国では、年明け早々から各派閥の面々が精力的に動き出していた。

それは、今年に予定されていたカイル王国への出征が、本格的なものになったからだ。

「殿下、今日の会議ではどこまで本音を仰る予定ですか?」

「ふふふ、ジークハルト、そう心配せんでも良いわ。

公開して差し支えない部分だけだ。

こちらから送り出す兵力と、主な指揮官、そんな処だな」

「で、その主な指揮官に僕は入るのでしょうか?

できれば僕は、本を読んで寝ていたいのですか……」

「分かりきっていることを、いちいち今更聞くな! で、其方の想定はどうなっているのだ?」

「南から引き抜けるのは、せいぜい2万といったところでしょうか?

少なくとも1万は新国境の防衛に残す必要がありますし。あの国はカイル王国と違い、休戦協定を必ず守るとは言い切れませんしね」

「そうだな。引き抜くのはお前の言う通りだが、率いる数はお前の言う数より、もう少し多いな。

以前にお前が厄介払いした男、今は子爵に昇爵させたドゥルールが活躍してくれたお陰でな」

「捕虜となったスーラ公国兵ですか? その……、使い物になるのですか?」

「ああ、収容所の待遇で感銘を受け、相当こちらに傾いているからな。それに加え、次の戦いで勝てば新領地の兵士として、または希望する者はスーラ公国へ帰してやると約束した。奴らが戦うのは故国でもなく、何の遠慮もない見知らぬ国だ。

これにより5,000名の歩兵が新たに増えたわ。

お前の所領からはどれぐらい出せるのだ?」

「そうですね。元々連れてきた殿下の兵士5,000名に加え、アストレイ伯爵軍が2,000名、ここに来て新たに徴募した兵士が1,500名程度ですが、残留部隊を考えると7,000名程度ですかね」

「ほう? であれば総勢で32,000名か……」

「僕は25,000名程度で、言葉を濁しておくことをお勧めしますね。こちらが30,000名以上を派遣すると知れば、向こうも意地になって兵をかき集めるでしょう。そうなれば面倒ですし、損害もばかになりません」

「ははは、今から負けることを考えているのか?」

「僕が考えているのは、そのどちらもです。

戦術的に勝ち、戦略的にも勝つこと、そして、戦術的に負け、戦略的に勝つことの両方です」

「何が違う?」

「前者と後者では全く違いますよ。

戦略的に勝つ相手が、前者ならカイル王国、後者ならグロリアス殿下の陣営ですからね。そして、戦術的に負けるのは、前者も後者もグロリアス殿下です。

ただ、前者の場合、我々が戦術的にも勝利するので、一勝一敗以上の成果がでるため、総合的には我々の勝ちとなります」

「味方の犠牲をより少なく、そういうことか?」

「はい、此方が率いる兵が増えれば、グロリアス殿下の兵も増えます。増えた兵の数ぶん戦いでの無駄死にが増えてしまいますからね。

なので殿下は公称25,000の兵を率いていただきます。

そして、戦端が開かれたのち、予備軍として7,000名が国境を越え侵入し、退路と補給路を確保します。

味方と呼ばれている者たちに、退路と補給路を遮断されてはたまりませんからね」

「それを誰に指揮させるというのだ?」

「叔父上が、公には留守部隊2,000名を管轄し領内の治安維持にあたる。そういうことで良いかと」

「なるほど、2,000と言いながら8,500名を残し、そのうち7,000名を後衛として遅れて参戦させるか。

奴らにはどう言い訳する?」

「旧ゴート辺境伯領には、治安維持としてアストレイ伯爵の軍を残して置く。戦線が伸びきれば兵站維持のため、その一部を後衛の補給部隊として戦線参加させると。嘘はないので、それでよろしいでしょう。

恐らく彼らは勝手に、叔父上の軍勢を2,000から3,000と推測してくれるでしょうからね。

もちろん、余計な勘繰りを防ぐため、事前に兵は埋伏しておきますが……

スーラ公国の捕虜兵たちは、事前に領地の開発奴隷とでも称して、こちらに送っておいてくださいな」

「はははっ! また狐と狸の化かしあいということか」

「また狐だなんて……、ひどいなぁ」

第三皇子とジークハルトが密議を交わしていたころ、同様に密議を交わしている者たちがいた。

「ハーリー、奴の軍勢はいかほどど予想している。

それに対するわが軍勢は?」

「あ奴らは、和平がなったとはいえ、スーラ公国の脅威は変わりません。新国境は広大であり、維持するだけでも最低10,000程度の軍勢は残しておくことになるでしょう。そのため北に駐留している軍と合わせて25,000、恐らくこのあたりが妥当だと思われます」

「であればこちらは最大数、35,000の兵力をかき集めればよかろう?」

「殿下、それは少し問題ですな。

第一に、35,000もの兵力を引き連れて行けば、領内が空になってしまいます。

第二に、10,000以上も上回る兵力を以て勝ちにいけば、公平な勝負とは言えなくなるでしょう。

我らは優位性を示さねばならんのです。奴が25,000なら、こちらも同数と称して、密かに30,000名を率いる形で良いかと思われます」

「それで……、勝てるか?」

「他にも理由はございます。

我らは奴が王都騎士団を引き付けている間に、長駆して敵国の王都を衝く必要があります。

歩兵の数が増えても足手まといになるだけです。10,000の鉄騎兵と5,000騎兵部隊、5,000名の軽装歩兵、5,000名の弓箭兵、これが我らの主力となり、5,000名を国境の要塞を落としたのち、後詰として配置します」

「なるほどな。精鋭部隊のみで対処するということだな。如何にも俺の陣営らしい、ということか?

だが、兵の編成については、俺にも考えがある。

率いるのは10,000の鉄騎兵、弓箭兵を吸収した20,000の軽装歩兵とし、歩兵は全て強固な盾を装備させる」

「殿下、それではっ……」

「お主らの目は節穴か?

要塞攻略に鉄騎兵が役に立つとでも言うのか?

正面から硬い盾に突っ込むほど、余は愚か者ではないぞ」

「で、ですが王都は……」

「我が軍は、食糧に窮した経験があるため、歩兵が伴走した、大量の荷駄隊を率いて行くことになる。

長期戦に備えてな。

だが、積載するのが食糧である必要はないし、荷駄を曳く馬は、駄馬である必要もないだろう」

「成る程、曳き馬は5,000頭、しかも軍用馬を使うと、そう言う事ですか?」

ハーリー公爵は得心がいったように大きく頷いた。

「そう言う事だ。これで奴の目も欺く事ができよう。

所であの狂信者どもの書簡はいかがするのだ?」

「あ奴らが豪語するのは、いささか合点がいきませんが、カイル王国側も馬鹿ではないでしょう。

東国境の防衛は、それなりに手を入れていると思われます。

奴らは虎の子、ロングボウ兵の多くを失い、せいぜい注意をそらすための囮程度にしかなりません。

我らとしては、南正面と東に分かれ王都騎士団が動いてくれれば、それはそれで重畳なことですが」

「はははっ、そうなれば我らは、グラートが必死に戦っているのを横目に、無人の野を征くが如く分け入り、守りの薄い王都を占拠できるということか?」

「ご明察の通りでございます」

数日後、グリフォニア帝国の帝都グリフィンでは、毎年恒例の後継者選定会議が行われた。

だが、今年の会議に限っていえば、荒れることもなく第三皇子の戦果報告に対する異論もなく、議事は速やかに進行していた。

「グラート殿下、スーラ公国との和議とその半分以上の領土を勝ち取られたこと、先ずはお喜び申し上げます。殿下の功績、その威を疑う者ももはや居ないでしょう。

それを受けて、この秋の出征についてお伺いします。殿下はどの程度の軍を率いられる予定ですか?」

「ハーリーよ、昨年は其方らの協力もあり、事が迅速に進んだ。改めて礼を言う。

また、質問の件だが、北の国境防衛もあるでな。

15,000、できれば20,000名を南から率いたいと思っている」

「では北の駐留軍を合わせて20,000から25,000、そういったところでしょうか?」

「そうだな、補給線も伸びるため厳しい戦いになると思われるので、アストレイには帝国領内に残り、予備兵力として補給を賄ってもらう予定だ。状況に依っては、物資輸送などで国境を越えてもらうがな」

「承知しました。では我らもグラート殿下に倣い、25,000で出征するといたしましょう」

この時、コホンと小さな咳払いがジークハルトからあった。

グラートは、少し意地の悪い笑みを浮かべ、グロリアスに話しかけた。

「左翼は、ソリス魔境伯らが領内に新手、数千もの兵を引き入れ、訓練に勤しんでいるとの報告もある。

策は……、大丈夫であろうな?

ブラッドリーの二の舞は、こちらとしても困るぞ」

「グラート。我らを愚弄するのか?」

「事実を言ったまでだ。具体的な攻略方法でも提示してくれたら、我らも安心できるのだが……

巻き込まれでもしたら、此方もたまらんからな」

「そんなこと、作戦上の機密事項を事前に公にできる訳がなかろう! ここは軍議の場ではない。

翻って其方はどうなのだ?

王都騎士団を相手に、どう勝つ予定なのだ?」

「そんなもの、簡単よ。こちらも皇王国の不審な動きは掴んでおるわ! 王都騎士団が全軍を以って我らと対する事など有り得んわ!

奴らの中で出てくるのはせいぜい20,000騎、こちらも20,000騎、碌な戦いの経験もない奴らに比べ、此方は長年に渡りスーラ公国との戦いを経た最精鋭だぞ。

同数であれば勝負にもならんわ!」

ジークハルトの提案を受け、グラートが行った挑発の真意を、第一皇子陣営は気付いていなかった。

出征兵力が想定通りだったこともあるが、グラートはただ、余計な詮索を避けるために挑発し、話題を変えていたことに。

その後のやり取りは、互いに本質を隠した無意味な戦術論に終始した。

こうして会議は、最後になって互いの揚げ足を取り合う形で紛糾して終わった。

その様子を、必死に笑いを抑えたジークハルトが、顔だけは神妙な様子を取り繕い眺めていた。

ご覧いただきありがとうございます。

次回は『周辺国の動静 イストリア皇王国』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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