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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 258

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タクヒールらが、外務卿たるクライン公爵が放った使者と面会していたころ、王都カイラールでは、当の外務卿自身も隣国から訪れた使者と面会していた。

「さてはて、ご使者殿、遠路お越しいただいたこと、感謝申し上げるが、いささか腑に落ちん話じゃて。

フェアラート公国宰相からのご使者、取り次ぎの者からそう聞いたが、貴国に宰相がおられたとは初耳じゃが……、これはどういったことかな?」

「ははは、それは失礼いたしました。

この度、我らの盟主たるイフリス公爵が、南部辺境の反乱鎮圧で王都を空けられた国王に代わり、フェアラート公国を預かることとなりました故、ご存じないのも当然でしょうな」

「ほう? 儂は王都が反乱軍に制圧されたと聞いておったが?」

「それは恐らく、反乱軍が誤った情報を貴国に流したのでしょうな。王都フェアリーは至って平穏ですよ。

ですがむしろ問題は、国王が辺境にて反乱軍に包囲され、行方知れずとなったことでしょうな。

我ら公国を支える貴族一同、新王にいち早く即位いただき、国内を安定させるべく奔走しております。

ですが、新国王となる方々は現在行方が知れず……」

「ほう? それは驚きに満ちたお話じゃな。事実であれば、じゃが……」

「クライン外務卿は、日々驚きに満ちた世界で過ごされているようですな?

我らの知りえた所によると、我が国の高貴なる方々が、このカイラールにご逗留中との噂もあります。

このこと、どうお考えですかな?」

「そんな噂があるのか? それはいささか面倒なことじゃな」

「はい、大変面倒なことでございます。貴国にとって……

我らは新国王の戴冠を推し進めるため、あらゆる手段を講じる用意がございます。

もちろん、国家の安定のためには、武威を伴う手段もやむを得ない、そう考えている者も多くございます」

「ほっほっほ、それは物騒な話じゃな」

「そうでございますね。我らもいささか、貴国の置かれている状況は把握しております。

東国境で戦端が開かれ、南にも脅威を抱えていらっしゃるとか。

これに西からの脅威が加われば、物騒どころでは済みますまい?」

「ほう、今の言は其方の一存かな? それとも……」

「もちろん、我らが宰相閣下のお言葉です。ですが、貴国のことを慮って申し上げたのは私の一存です。

貴国のなかでも、伝統ある貴族家を継承する方々は、この状況に心を痛め、我らにとりなしを願う方々もいらっしゃります。

それらの方々のお心遣い、無碍になされないほうがよろしいかと……」

「しかし困ったことだな。我らも貴国の高貴な方々の行方を知らんでな。

仮に百歩譲って、其方が言うような方々がご逗留されていたとして……

『国王同士が交わした約定に、宰相ごときが口を挟むではないわ!』、きっと我が王ならそう言われて、烈火の如くお怒りになるであろうな」

「後悔なさりませぬな?」

「後悔もなにも、身に覚えのないことゆえ」

「なるほど、公爵閣下もお年を召され、物忘れが激しくなられた……、そういうことでしょうか?

それでは後日、閣下とはいずこかの地で再び再会することになりましょう。

それが物言えぬ首だけとなっていたとしても、致し方ありませんな」

「ほう? ご使者は口上を述べるだけでなく、我らを激発させ、首となり侵攻の大義名分を得ること、その任も帯びていらっしゃるということかの?

もったいなくも若い命をここで散らされるか?」

「こ、こ、此方のお話は、お伝えしましたぞ!

わ、我らはこれで失礼させていただく。この先、後悔召されるな」

最後にこう言って、フェアラート公国の使者は慌てて退室していった。

クライン公爵とファアラート公国の使者が面会しているころ、サラームの街では王都フェアリーから水運を利用した兵たちが続々と集結し、その数は3万近くまで達しようとしていた。

その本陣は街の郊外に置かれ、街の周囲は参集する各貴族軍で溢れかえっていた。

本陣が据えられた天幕では、豪奢な絨毯が敷かれた中に、遠征軍を指揮する侯爵以下、主要な者たちが集っていた。

「ふふふ、返還要求の使者を出すと同時に、侵攻の準備を進めているとは、奴らも思ってもいまいな」

「侯爵の仰る通りです。しかも3万もの軍勢を振り分けてくるとは、奴らも思ってもいないでしょう。

まもなく侵攻の準備が整います。王国の奴らが無様に驚く様は、正に見ものですな」

「伯爵、3万ではないぞ。のう、リュグナー殿。御父上の準備も整っておるかの?」

「はい、皆様と志を同じくする者たち、我が父の呼びかけに応じ侯爵家が2家と辺境伯、そして旗下の貴族たちで、およそ1万名の軍勢が皆様の兵站を整え、道案内となるべく準備を整えております。

して、帝国側への首尾はいかがでしょうか?」

「ふむ、逆に返されてしまったな。

宰相閣下は其方が渡りを付けた間者を通じ、既に帝国側とも誼を通じていらっしゃるわ。

多少の対価は払ったがな」

そう、リュグナーは今回の侵攻に最善を期すため、最も懸念していた王国南部戦線にも手を打っていた。

あの男は何を仕出かすか分からない。

これまでの計略に誤算が生じたのも、全てあの男、いや、あの兄弟に起因しているのだから。

「流石にございます。総勢13万にも及ぶ包囲網、これではひとたまりもありませんな」

「ああ、そのためにも我らが、最も先に王都に達していなければならん。帝国や皇王国に先んじてな。

我らの象徴とすべき、新しき飾り物も確保せねばならんしな」

並み居る諸侯は2人の会話をただ聞いていた。

そこに、先程会話していた伯爵が、2人の前に出て平伏した。

「侯爵、お願いがごさいます。先陣は何卒我らに! 伏してお願い申し上げます」

そう言うと、伯爵の後ろで同じように、子爵、男爵がそれぞれ平伏した。

彼らを代表して、伯爵が言葉を続けた。

「我ら3名、先年は成り上がりの小僧めに恥をかかされました。此度の戦い、先陣を務め雪辱の機会を賜りたく思っております」

「ふむ……、其方らが先陣を、か……」

侯爵は一瞬迷った。

彼らは歴戦の将ではない。フェアラート公国では、隣国との紛争や反乱など、戦いは基本的に近衛師団が中心となり担ってきた。

そういう意味では、彼ら3人だけでなく、総司令官たる侯爵自身も素人に近い。

唯一、同陣営で歴戦の部隊、国王を裏切った近衛師団第三軍は、三万の貴族兵たちとともに、国王軍の抑えとしてフェアリーに残されている。

「ではレッサー伯爵には先陣を務めてもらうとして、兵1万と魔法兵団300名を預けるとしよう。

我らの軍の恐ろしさ、戦いを知らぬ王国兵に思い知らせてやるがよい」

魔法兵団300名だけは、平素から十分に訓練を積み、戦闘に特化した部隊だ。彼らの攻撃魔法なら、敵軍を一蹴すること疑いなかった。

侯爵はいわば保険として、彼らに魔法兵団を帯同させることにした。

「はっ! ありがたく!」

歓喜して顔を上げた3名は、数年前にフェアリーでの晩餐会でタクヒールに喧嘩を売り、醜態を晒した者たちであった。

彼らは復讐心に燃え、王国侵攻軍を志願していたが、その機会に恵まれたことに勇躍した。

「明朝ここを発し、カイル王国へと入る! 各位は出陣の準備、怠りなきように!」

「応っ!」

居並ぶ全員がこの声を待ちかねていたかのように、大音声で応じた。

薄ら笑いをする一人の男を除いて……

郊外に集結する大軍勢を見て、サラームの街でも異様な緊張感に包まれていた。

そして、このことに最も深く衝撃を受けた者たちもいた。

「おい、ハリム! こ、これは……、かなり不味いんじゃねぇか?」

「ああ、俺もそう思う。まさかフェアリーから水路を使って集結してくるとは……」

「いや、そっちじゃねぇよ! このままじゃカイル王国の負けじゃねぇか?

このままあの御方に付いてて、大丈夫なのか?」

「俺はあの御方を信じているさ。前々からこの事を予期されていた。いわば予定通りの話だ。

それに、俺たちが今更寝返ってどうなる?

多少の礼金を貰って、それで終わりだろうが。

あいつ等は其々大商人と結託しているし、しがない交易商人の俺たちに何のおこぼれがある?」

「そりゃ……、そうだが」

「それに俺の気持ちが、そうはしたくねぇというのが一番だな。

俺はヨルティアさまの男気に惚れて商売を始めた。

魔境伯さまには便宜を図っていただき、俺たちは散々お世話になった。こんな俺達でも、明るい未来を夢見る機会を与えてくださった。

俺は最後まで、姐さんと魔境伯さまについて行くぜ」

「しかし……、今となっては国境に通じる道は兵士だらけで、抜けれないぜ?

どうするよ?

こんなに早く、兵士たちが押し寄せるとは思ってもいなかったからな」

「……」

「はははっ! お前たち。面白い話をしているな? 俺にも一枚噛ませてくれ」

「!!!」

ハリムたちは驚きの余り硬直した。

サラームの街に新たに店を構えたティア商会、そこに勝手に入り込み、彼らの密談を聞いていた男がいたからだった。

「ハリム、お前にしてはなかなか良い決断だと思うぜ。だが、気をつけろよ。

密談ってのは小声でするもんだ。そんな大声で話しちゃあ、周囲に丸聞こえってもんだぞ」

笑ってそう言ってきたのは、この街の裏と表を取り仕切る元締めだった。

日頃はあまり外に出ない彼が単身、供も付けずハリムの店を訪れることなど、通常ありえない事だった。

「も、元締め、ど、どうして?」

「まぁ、ハリムよ、俺の勘だな。

商売ってのは値の上がりそうな物を、安く買える時に買って、高くなった機会に売りつけること、それが基本だろう?

今回は俺も同行させてもらう。

どちらの国境にも、日頃から俺が鼻薬を嗅がせている連中が沢山いる。急ぎの商売と言って金貨を握らせれば、まだ今なら通過できるだろう。

条件は、俺を魔境伯に紹介しろ! ただそれだけだ」

「元締め、良いのですか?」

「ああ、俺もこの際賭けに出る。一気に大きくなれる絶好の機会、そう思っているからな」

「畏まりました。ご案内します。国境の手配はお力を借ります」

「そうそう、サラームに残った者は、食料の買い占めと剥ぎ取りの準備をしておいた方がいいぜ。

まあ、俺の方は既に手配しているけどな」

この時はまだ、ハリムたちは元締めの言葉の意味することを、理解していなかった。

慌てて人選を行うと、ハリム自身も馬にまたがり、交易隊に偽装させた小隊を仕立て、サラームの街を出発した。

そして夕刻、元締めの手配により彼らは何事もなく国境を通過し、カイル王国内を駆け抜けていった。

そしてその翌日、カイル王国侵攻軍、総勢3万名の大軍勢が、ゆっくりと国境の関門を通過していった。

本来は、迎撃にあたるべきカイル王国側の関門は、ただ大きく門を広げたまま、何の抵抗すらなかった。

こうして、歴史がカイル王国を破滅へと誘う、最後の戦いの第二局面、西部戦線の戦いは始まった。

カイル王国側では、敵国と同調した者以外、まだ侵攻を知る者は誰もいなかった。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『暁の勝利』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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