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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 333

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最後にお知らせがあります。

良かったらご一読くださいね。

カイル歴514年の春、カイル王国とグルフォニア帝国の国境を塞ぐ形で伸びる関門は、帝国側の防壁の基礎工事が終わり、徐々にその体裁を整えつつあった。

更に王国側に防壁を張り巡らす工事も、今や急ピッチで進められている。

2つの壁に挟まれた空間は、中央部に関門間を結ぶ通路があり、警備兵の詰所や受付所が設けられ、ゆくゆくは空きスペースに飲食店や商店エリアなども設ける予定だ。

そして左右の広大なスペースには、魔境騎士団や駐留兵の兵舎、武器や食糧などの倉庫群を設ける予定をしている。

帝国側(王国側)から侵攻を受けても、最後の砦となるべく、軍事拠点の役割も付与している。

そして今、帝国側の関門を抜けた先の新領土となる地には、多くの天幕や臨時施設が立ち並び、異様な緊張感に包まれていた。

この日ここで、半年近く虜囚の身となっていた帝国第一皇子が、カイル王国(ウエストライツ魔境公国)から返還され、それと同時に帝国領の北辺境がカイル王国、正しくはウエストライツ公国に割譲されるからだ。

因みに、身代金としての帝国大金貨100万枚は、年明け前に支払われており、褒賞として受け取るべき者たちにも、既に分配されている。

今回、第一皇子の身柄返還と同時に、カイル王国(魔境公国)側からはその他の捕虜、ハーリー公爵を含め10名の貴族捕虜と、5,700名の一般兵捕虜も返還される。

これに対しグリフォニア帝国側は、追加で王国金貨50万枚相当の支払いと、移住を希望した6,000名にも及ぶ捕虜たちが、呼び寄せを希望した家族や縁者約9,000名を整え、今回の場で双方が引き渡すことになっていた。

帝国側は、この関門を境に、帝国側に設けられた夥しい数の天幕に待機し、返還に先立つ調印式の開催を待ち受けていた。

「先ほど知らせが入り、先方も準備が整ったようです。捕虜返還と領土割譲の調印式が始まりますよ。殿下も皇帝陛下の名代として、式場へのご移動をお願いします」

そう言って、ジークハルトはまだ天幕の中にいた主君を追い立てた。

「なんだ? いつもはまだ寝ていたいと、駄々をこねる奴が、今日はやけに乗り気じゃないか?

俺としては、あの男の顔など、二度と見たくなかったのだがな……」

「あちらも同じお気持ちだと思いますよ、きっと。いや殿下以上に、会いたくないと思っていらっしゃるでしょうね」

ジークハルトはそう言うと、無邪気に悪戯っぽく笑った。

こういう顔をしている時こそ、この男は油断がならんのだ。まぁ頼れる存在には違いないのだが……

そう考えつつも、皇位継承がほぼ確定し、次期皇帝が今のところ確実視されている第三皇子グラートは重い腰を上げた。

捕虜返還の調印式の後は、嫌でもかつての政敵と顔を合わせねばならない。

今度は、圧倒的な勝利者の立場として。

だが彼には、勝者の立場を誇る気など、さらさら無かった。

「そう言えば、お前がお気に入りのあの男も、今回は来るのだったな?

それでか……」

まるで新しい玩具がもらえることが嬉しくてたまらない、そんな様子で、来訪するかつては敵国の人間だった者を待ち構えているジークハルトを見て、彼は妙に納得してしまった。

「で、俺との会談は……、手配してあるのだろうな?」

「あ……、ええ、まぁ……。調印式と捕虜と家族の交換が済んだ後に」

歯切れの悪い返事は気に入らないが、奴はいつも、誰にでもできる面倒くさいことは、他人任せにしているからな。

まぁ、これもいつものことか……

そう思い、グラートは、それ以上の詳細を聞くのをやめた。

そして、渋々ながら調印式の会場、急造されたとはいえ、それなりの広さと体裁を保たれた、建物の中へと入っていった。

関門の帝国側に設けられた調印式の会場には、既に多くの帝国貴族、軍官僚たちが居並び、第三皇子の到着を待っていた。

そして、彼が会場入りするのを見計らったかのように、カイル王国側の代表たちも会場に入った。

先頭には、カイル王国第一王女、国王の全権代理としてクラリスが、その後ろには、今回の戦役で武功を挙げ、王族に次ぐ地位を得ていた、ウエストライツ公王、そして外務卿たるクライン公爵、王都騎士団長ゴウラス、ヴァイス魔境騎士団長が続いていた。

そして、先頭を進むクラリス王女が、優美な所作で席に着くと、続く4名も倣って着座した。

「英邁の誉れ高いクラリス殿下には、初めてお目に掛かる。

この度は、我らが敬愛して止まない兄のため、態々王都より殿下自らご足労をいただいたこと、感謝に堪えない。深窓のご令嬢である殿下には、遠路の旅路、お疲れではないかな?」

「こちらこそ、武勇の誉れ高いグラート殿下に、お目に掛かれて光栄でございます。

グロリアス殿下は皆様からとても敬愛されていらっしゃるとお聞きしております。

帝国にとって大切なお方。我らにも非礼のないようにと、国王陛下より仰せつかっております。

お心遣いには感謝いたしますが私も武人、どうかご遠慮なく……」

ほう、といった感じでグラートは改めて目の前に座る姫を眺めた。

まだ寒さも残るこの季節、礼装のため、一番上には白を基調とした豪奢なローブ身にまとっているが、その下には鎧を着こんでいる。

噂通り、深窓の令嬢ではなく、姫という立場にありながら戦場を駆け回る、男勝りの変わり者……、ということか?

そして、この姫の隣に座り、この場ではあくまでも無害な空気になりきっている男が、あの噂の……

見た目は、ジークハルトに勝るとも劣らず平凡な感じだが、あの大軍に寡兵で完璧に勝利し、フェアラート公国の内戦でも、勲功第一と称された恐るべき男か……

だが、どう見ても全くそうは見えんな。

「お互いに……、ですわね」

突然クスリと笑って、そう言ったクラリス王女の言葉に、グラートは驚かされた。

彼女は自身との目線を切ると、まじまじと末席に座るジークハルトを、これ見よがしに見つめていた。

『この娘……、さり気なく俺の視線を追い、心の中を探っておったか。油断ならんな』

そう思ったがもちろん、グラートは驚きの表情を出すことはなかった。

「殿下の仰る通りかも知れんな。変わり者(の主人)には、変わり者(の部下)、ということだな」

「ほほほ、仰る通りですわね」

まるで禅問答のような会話と、互いに和やかに笑う二人の間には、目に見えない、言葉にならない応酬が行われているかのようだった。

『頼むから余計なことは言わないでくれ』

それは、タクヒールやクライン公爵の思いだった。

「それにしても、和平が成ったというのに、この物々しい関門は少々不似合いかもしれんな」

「そうですわね、この不似合いな関門こそが、魔物たちの侵入を防ぎ、野盗や不届き者から、皆様の領民だった方々をお守りする、私共の決意の証でございます。

今も魔境では、棲み処を荒らされた魔物たちが、至る所で猛り狂っておりますので……」

第三皇子の放った嫌味も、クラリスはどこ吹く風かと受け流していた。

「コホン……」

タクヒールの払った、小さな咳払いが静かに響き渡る。

「それでは、両殿下のご挨拶も済みましたので、早速本題に入らせていただきたく存じます。

事前にお預けしていた調印文書へのご署名と、目録の交換をお願いいたします。

なお、対価については別室にてご用意してございますので、ご確認をお願いいたします」

第一皇子の隣に座る、帝国側の大臣らしき男の言葉に促され、調印式が始まった。

その間に、互いの随行員が数人、別室へと消えた。対価として支払われる金貨を確認するために。

「ではこれより、互いの目録を確認の上、質問があれば自由に発言できる場としたいが如何かな?

なんせ50万枚もの金貨だ、それなりの人数で確認しても、些か我らも暇を持て余すと思うのだが」

「ありがたく。私も詳細はウエストライツ公に任せております。実務は公のほうからお願いします」

「ではこちらも、実務は新たに伯爵となった、ケンプファー卿に任せているゆえ、互いに担当者で確認を進める方が、話も早いであろう」

この言葉を契機に、交渉の主役はこの2人へと移る。

俺は、クラリス殿下の言葉を受け、帝国から渡された目録に慌てて目を通していた。

そこには、割譲される領土の情報と、今回帝国側が引率してきた、移住希望者家族の情報が記載されていたからだ。

「それでは、グラート殿下、帝国の皆さま方には初めてお目に掛かります。

カイル王国、魔境公のウエストライツ・フォン・タクヒールです」

俺は敢えて、カイル王国の臣である事を強調し、そちらの役職で名乗りをあげた。

この場では、その方がややこしくない。そう考えたからだ。

「私もクラリス殿下には、初めて御意を得ます。

ジークハルト・フォー・ケンプファーと申します。

どうかお見知りおきくださいませ」

「では先ずはケンプファー卿に伺います。

この目録によりますと、移住者の数が14,000名と記載されておりまして……、少々多い気がします。

此方から事前にお送りしていた数は9,000名程度、そう認識しておりますが……」

「はい、その方々はもちろん含まれております。

ですが……、指定されていた家族以外にも、親類縁者、将来を誓い合った恋人たちなど、名乗り出る者たちが後を絶ちませんでした。

我々では、事実関係を確認することもできず、そういった者たちも含め、数字上は反映しておりますが、今回は連れてきておりません」

「では、今回お連れいただいたのは、事前にお伝えしていた名簿通り、ということですね?

取り違えや間違いがなく、少し安心しました」

「ええ、間違いなく……、と申し上げたいのですが、なんせ6,000人もの兵士たちの家族です。

特に姓を持たぬ一般兵や、同姓同名の兵士などの場合、取り違えもあるかも知れません。

我々としては今回、最善を尽くしたつもりですので、万が一が無いよう、直接精査いただければ……

なお今回は、その可能性のある家族として、追加で約3,000名ほど連れてきております」

「では、二点伺います。

第一に、万が一、不幸にも間違いのあった場合は如何いたしますか?

第二に、今回は連れてこられていない移住者について、この先どういった対応となりますか?」

「お答えさせていただきます。

万が一、取り違えがあった場合でも、それは恐らく戦死した家族の身内と思われます。

戦死者の数は膨大で、彼らには身寄りも、頼るべき縁者もおりません。できれば魔境公の領地にて、彼らがこの先も生きていけるよう、頼らせていただけると幸いです。もちろん、帝国に送り返していただいても構いませんが」

ちっ、早速一段目の手を打って来ているのか。

戦死した者の身内であれば、俺たちに少なからず敵愾心を抱いているはず。

第三皇子の陣営には不要な彼らを、将来的には不穏分子とすべく送り込んで来ている訳か?

返しても構わないと言っているが、こちらが無慈悲に扱えば、それはそれで彼らの利になるだろう。

逆に素直に彼らを抱え込めば、生活(食料)支援などで、俺たちの資金や物資の消費量が一段加速してしまう。

「そして二点目、追加人員としての可能性が高い者たち、彼らの総数は2,000名程度になります。

彼らは今後、ドゥルール子爵領に随時派遣されていきます。

その先は、彼らを受け入れるかどうかの判断は、それぞれの兵士、家族間で話し合っていただければと思います。

彼らについてはあくまでも移住希望者の自己申告、不幸な間違いなどが生じるかも知れませんので、受け入れの可否判断はお任せします」

「もし我らが、受け入れなかった場合は?」

「彼らも同情すべき境遇にあります。それに一端に責のある我ら、この場合はドゥルール子爵が我らを代表して、領内で面倒を見ることになるでしょう」

「成程……、公的支援という訳ですか。この場合、支援する対象は……」

俺は分かっていて敢えて最後は言わなかった。

言わばこの2,000人は、飛び地となるドゥルール子爵への支援だ。

表立ってそれをすれば、和平に水を差す事柄と非難される可能性もあるだろう。

だが、受け入れを拒否された人員を、帝国側が責任を持って支援する。そう言えば大義名分は立つ。

相変わらず、エゲツナイやりかただな。

「和平に向けた我らの『誠意』、是非お察しいただければ、と……」

ん? なるほど、そういうことか!

帝国には領土割譲も、和平も是としない勢力が、まだ多く存在する。

未だに敵意溢れる彼らに向けた、いわば説得材料の一つに使われた、または彼らが悪意を持って送り込んできた。そういうところなのか?

『誠意』の意味は、数字に手を加えてあからさまに強調することで、そのことを事前に伝える。

そんな意味だろうな。まぁ、ドゥルール子爵への支援という下心は含まれているだろうけど……

「成程……、ジークハルト殿の誠意、確かに確認いたしました」

「きっとタクヒール殿なら、お分かりいただけると、思っておりました。改めてお礼申し上げます」

この時俺は、敢えて言葉を選び、相手の呼び方を変えた。

そして、ジークハルトも、同様に返してきたので、俺は自身の推測を確信へと変えた。

「所で、本日より我らの旧領をお任せすることになりますが、ウエストライツ公主導で行われる、新領地の開発はどうなりますか?」

早速来たな。

俺は狸爺より交渉の経緯を聞かされた時、それが俺への罠、そこまでいかずとも王国内での足枷となる意図を察し、当初は頭を抱えて対応を悩んだものだ。

「兼ねてからのお約束通り、王国金貨100万枚相当を、開発資金として投資させていただきます。

もちろん、人手も限られており開発は順次、年月を掛けて行って行きますが、地域を潤すことは大前提として考えていますよ」

(まぁ……、地域は潤しますが、それほど大きく帝国側は潤いませんよ)

「それは安心しました。これより我らも隣人として、開発への協力は惜しまないつもりです」

(もちろん、その過程で投資した金貨は回収させていただく所存ですが……)

「ありがとうございます。差し当たりの工事、になりますが、先ずは地区を限定して以下のことを行う予定です。

ひとつ、農地開拓に伴う、灌漑水路網の建設

ひとつ、一万戸規模の仮設住居(主に兵舎)の建設

ひとつ、大規模な開拓農地(兵站を担うため)建設

ひとつ、災害(戦災)に備えた護岸工事(防御壁)

ひとつ、物資の集積地(帝国軍に対抗できる砦)となる商業地(城塞都市)建設

これらの輪を順次広げ、将来的には新領地をあまねく覆うようにしたいと考えています」

(まぁ、全体を覆うまでには、相当の時間が掛かりますけどね)

「ありがとうございます。それで早速、帝国の商人たちを集めてほしいとのご依頼だったのですね。

我らのほうも、広く商人たちに声を掛け、集めれる限りの商人たちは外の天幕に集めておりますよ」

(もちろん、声を掛けるだけでなく、しっかり言い含めていますけどね。先ずはお手並み、拝見させていただきますね)

「それは助かります! 早速この調印式が終われば、我らも商人たちに諸々の発注を行いたいと考えていたので」

(ふふふ、毟り取る気満々の彼らには、少々鞭打つことになるけどね……)

お互いに、終始不気味なほどの笑顔で交わされたこの会話は、逆に周りの者たちが引いてしまうくらいだったという。

もちろん、お互いの心うちとは別に、一見和やかに確認作業は進んでいった。

いつもご覧いただきありがとうございます。

書籍版の第二巻も、いよいよ明日発売となりました。今回も原作を大きく見直し、新しいエピソードや描写を追加しつつ、お届けしているつもりです。

良かったら是非ご覧くださいね。

今日より二巻の発売に合わせて四日連続で毎日投稿の予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

次回は『張り巡らされた罠』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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