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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 347

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俺はちょっと笑える商隊の対処を済ませると、本来の目的に移ることにした。

まぁ、あとは入札時にバルトたちがうまくやってくれるだろう。

そう思い、視察予定の各地を回り始めた。

クサナギの周囲を流れる川沿いに巡り、そこに建設中の土手(防壁)を視察し、建設状況の報告を受けたり、働く者たちを労ったりして時を過ごした。

そして最後に、侵攻する敵軍の気持ちになって、川を越えて丘の上に立つクサナギの外壁を、改めて帝国側から見上げた。

「ふう、設計上は知っていたけど……、此方から見ると壮観だなぁ」

帝国側から見ると、険峻な丘の上に立つクサナギの外壁が、大きな壁となってそびえている。

丘陵地帯の南端にクサナギが建設されているので、南側から望めばまるで山城のようにその威容を見せていた。

「そうですね、各地の要衝をことごとく取り込んだ帝国側も、まさかここが要衝になるとは思っていなかったでしょうね」

そう言ってエランは苦笑した。

確かに、普通であればこの丘が要衝になる筈もない。なんせ水の手がないし南へ進もうにも、急峻な崖が邪魔で、大きく迂回しなければならないからだ。

そしてその先には、イズモ一帯の外周を囲うように川が流れており、俺たちが攻勢に出るにはとても不便な場所だった。

川から見たときになんとなく俺は、木曽川に面して立つ犬山城を思い浮かべていた。

それぐらい、独特の雰囲気がある。

もっとも、クサナギは台地の南端なので、反対側から見れば普通の平地に立つ城塞都市だけど。

「まさかジークハルト殿も、ここまでの規模で水路を拓くとは、思われなかったでしょうからね」

「ははは、王都から招集した魔法士たちも、半数以上が契約期間の延長に応じてくれたし、なんせ数万人が開発に関わっている。

これまで俺たちが苦労したこと、十分な数の魔法士、人手、資金、今回はそれが全て揃っているからね。それに……」

そう、その国家規模の事業も、統括する者がいなければ遅々として進まなかっただろう。

だが俺には、母が王佐の才と評したレイモンド内務卿がいる。

彼がその能力をいかんなく発揮し、全ての歯車が同期して動いている。

「三か月毎に応札に来る商人たちも、毎回目を丸くして驚いていますよ」

「はははっ、だろうな。ところで、明日が締め切りの入札も、またあの三社が独占かな?」

「そうかもしれないですね。いつも提案の内容が飛び抜けていますから……」

そう、第一回と第二回の入札の優秀者表彰は、ドゥローザ商会、ケンプルナ商会、アストラル商会が独占していた。

特にドゥローザ商会は、我々に好意的であり、むしろ商会長自らが献身的に協力してくれている。

「そろそろ今回の入札も、それなりに応札者が出ているだろうから、一旦俺たちも、行政府に戻るか」

そう話していた矢先だった。

バルトが騎馬に乗って、勢いよく駆け込んできた。

「ご視察中申し訳ありません。急ぎお耳に入れたいことが!」

その言葉を受け、俺は周囲を見回した。近侍の者以外、今の俺の周囲には誰もいない。

それを確認すると、俺は小さく頷いた。

「今回の応札で、隣国……、いや、我々というより帝国の隣国に、不穏な動きがあると報告してきた商人がおります。内容が内容だけにその商人を行政府に留め、詳しいお話は直接タクヒールさまに……、そう思って参りました」

「分かった。すぐに会おう!」

そう答えると、俺は直ちに騎馬にまたがり、行政府へと急いだ。

『まさか……、以前にジークハルトの話していたことが、もう始まったのか?』

俺の胸のなかには、俄かに不安が巻き起こっていた。

俺たちは急ぎ行政府へと入るとそのまま、足早に会議室に移動した。

そこの一室には既に、内務卿のレイモンド、魔境騎士団のヴァイス団長、クレア、ヨルティアが控えていた。

そして……、俺とバルト、ラファールの到着と同時に、件の商人が招き入れられた。

「先ずは今回も入札に応じてもらったこと、感謝する。

国の上層部に直接伝えたいという、重要な情報があると聞いたが?」

俺が開口一番にそう言うと、商人は驚愕の表情をしながら平伏した。

「はっ! 公王さま自らにお運びいただいたこと、謁見を賜るなど望外で非常に恐縮です。

ですが……、お国の大事と思い失礼させていただきました。

私はしがない交易商を営む、ハンドラーと申します」

まぁ……、俺が来るとは思ってもみなかったようだ。普通なら王が直接会うなんて有り得ないし。

彼もきっと、初回の入札説明会で俺の顔を記憶に焼き付けていたんだろうな。

「構わない。遠慮はしないで続けてくれ」

「はっ! 我らは零細な商会ではありますが、帝国より砂糖を入手し、イストリア皇王国に卸すことを生業としておりました。そのため、かの国の事情には通じていたこともあり……、その情報を今回の応札の『独自提案』とさせていただきたいと思った次第です」

「ほう、対外情報か。それは十分に考慮すべき内容だな。話を続けてくれ」

俺の横に座る団長が、代わりに対応している。

なるほど、国王はあまり直接会話しないほうがよい、そういうことかな?

「結論から申し上げます。現在皇王国では内乱の兆しがあります。いえ、既に勃発しております」

「どういうことだ? あの国にはまともな戦力など残ってはいないだろう?

そんな内輪揉めをしている余裕はないと思うが」

「はっ! 仰る通りです。ですが今、帝国と皇王国の国境に駐留する国境警備の兵は、既に内乱を主導する側についております。その勢いは日々拡大しており……」

「なんと! その者たちは何を以て乱を起こしているのですか?」

今度はレイモンドが、俺の疑問を代わって聞いてくれた。

「はい、彼らの言うには……

『カイル王国に対し、このような屈辱的な条件の講和を結んだ、教皇と枢機卿たちを許すまじ。

民が困窮する原因はそこにある! 日々の糧を得るために民たちよ、今こそ立ち上がれ!』

そう言って、賠償により困窮に喘ぐ民たちを焚き付け……、いえ実際には大量の食料を配布し、領民たちをまとめつつあります」

「ですがあの国は教会が御旗。教会に対して反旗を翻すのは難しいと思いますが?」

「そうです。ですが、乱を率いている側もまた教会なのです」

「ほう? それはまた……」

「反乱軍を率いているのは、先の戦いで戦死したと思われていた、カストロ大司教です」

「「「なんと!」」」

これには俺を含む全員が驚かされた。

既に表舞台から姿を消したと思っていた人物が、生きていたと知ったからだ。

「本人に間違はありませんか?」

「はい、以前に私自身がお目にかかった機会がありましたので。

若干やつれられたようでしたが、まごうことなくご本人でした。そのため勢力の浸透は早く、既に南の辺境域を勢力下に収めつつあります……」

ハンドラーが告げた詳細は、俺たちを驚愕させるに十分な内容だった。

まず、帝国との国境に百人近い一団が帝国側より訪れた。

それを不審に思った皇王国の国境守備兵が確認しようとすると、随行者たちがその非礼を咎め、それが先の大戦で負傷した、カストロ大司教率いる一行だと告げられた。

たまたま、守備隊長が大司教を知っており、それが事実と分かると、一行は丁重に迎えられたという。

その後、国境近くの町を拠点に定めた大司教は、帝国領から運び込んだ大量の食糧を惜しげもなく分け与え、飢餓に苦しむ人々を助けてまわった。

『何故、神を慕い神に仕える我が国民が、こんなにも困窮せねばならん?

何故、教会は彼らに救いの手を差し伸べない?

我らが苦しみ、困窮しなければならない理由は何だ?』

そう言って、南部辺境一帯に布告を発し、現体制を糾弾するとともに、地盤を固めていったそうだ。

そしてその後も、帝国側より食料などの物資を満載した馬車が続々とこの町に到着し、噂を聞いた領民たちが近隣からも集まり、カストロは新たな救世主、神の導き手として崇められているという。

そして先日、彼らは遂に『イストリア正統教国』の成立を宣言し、中央の教会を糾弾しつつ、皇王国の南部辺境一帯を支配下に収めつつあると。

ここまで聞いて、俺は自ら言葉を発した。

「その兵力はどれくらいだ。皇王国はそれなりの国、南部辺境の反乱程度でぐらつくとは思えないが」

「はい、正直言って正確には分かりかねる部分もありますが、我々が彼の国を立った時点では、国境守備兵を含め3,000名前後でした。ですが今は……、それを遥かに凌いでいる可能性もあります」

「その勢いは無視できないほどだと?」

「はい、かの国の事情は特殊です。大司教ともなれば、それなりに大きな力を持つ国の要職ゆえに、その言葉は重く人々は容易く信じます。

しかも、各地の有力者や私ども商人、軍の上層部は、以前より教会の腐敗に辟易しておりました。

その点で唯一『まとも』だったのがカストロ大司教ですので……」

「そうか……、奴らはこれまでの行いで、自ら首を絞めていると。

彼方の上層部の酷さは、こちらに転向した魔法士たちの話している通りだな」

「公王陛下の仰る通りです。

我らは過去、大司教に砂糖を献じたことがありました。その伝手があったからこそ、今回も荷の砂糖を献じて『国境往来自由』の許可を得ることができました。

再び彼らの元に、軍需物資を輸送する任を受けて……」

「ふむ……、これはハミッシュ辺境公に急ぎお伝えせなばなりませんな。

あと、帝国側より物資を持ち込んだとなると、帝国側にも後ろで糸を引いている人間がいると思われます」

「内務卿の懸念は正しい。ハンドラー、折角の機会だから今回の入札とは別に、俺と新たな契約を結んでくれないか?

俺の用意した物資を積んで再び皇王国へと入り、情報を収集するという任務の契約を。

もちろん、物資は俺持ちで販売した物は経費や利益に充てて構わない」

ここでハンドラーはニンマリ笑った。

自身の読みが当たったと、確信したかのように。

後もうひとつ、と言うところかな。

「加えて、今回の入札では特に功があったと認め、今後の取引でも優先権を与えるが……

無理にとは言わないが、どうだろうか?」

「ははは、私も商人の端くれです。

この情報の価値を理解するお方との有益なご商談ともなれば、それこそ命を秤にかけても飛んでいく者です。

ありがたく拝命しますが、ひとつお願いがございます」

そう言うと、これまでは恐縮していたハンドラーが不敵に笑った。

いやいや、ひとたび商談となれば、態度が打って変わる変わり身の早さって……

これを期待して情報を持ってきたのか?

それとも……、彼なりにこの情報の価値をどう理解するか、逆に俺を見定めていたのか?

「そうだな、有益な情報をもたらしてくれる商人なら、俺はその規模やこれまでの取引実績などに関係なく、篤く遇するつもりだ」

「そのお言葉を伺い、私も安心しました。

私の知る限り、このように商人の心を絡め取られるのは、公王さまと他におひとりのみかと」

「ははは、では今回は何故、あちら側に行かなかったんだ?」

「私自身、あの時の公王さまのお振舞や、公募入札の仕組みには舌を巻き、感心しておりましたので。

まぁこれは表向きの理由です。

仮に私があちら側で優遇されても、すでに同様の優遇を受けている大商会も多々あります。

ですが公王さまは違います。御三家が指揮する商会以外は、まだどこの商会も懐に飛び込んでおりません。それに……、以前より私は、テイグーン産の産品にひとかどならぬ関心を抱いておりましたので」

「ははは、俺もその商人らしい物言いは、却って安心できるな」

笑いながらそう言いつつ、俺はレイモンドを見た。

彼はにっこり笑って頷いていた。

「そうだな、そういう合理的な判断のできる味方なら俺も歓迎する。商人らしいところもな。

今すぐ手配するから、退室して待っていてくれないか? ここにいる内務卿から直接発注を行う」

「え? そ、それでよろしいのですか?」

「意外か?」

「いえ、初対面でここまで信じていただけるとは……、思ってもみなかったので」

だろうな。

でも俺には、人物の鑑定なら右に出る者がいない、強烈な味方がいるからね。

レイモンドが大丈夫と言えば、全幅の信頼を寄せる。

そして、彼が匙加減を握れば、もう完璧だろう。

そして、少し不思議顔をしたハンドラーが退室すると、改めて俺は皆に向き直った。

「皇王国は想定外だったが、想定していた流れが始まった。これより俺たちはその前提で動く」

「はい、ハミッシュ辺境公、及び第三皇子陣営には、情報を共有すべきでしょうね」

「内務卿の言う通りだね。あと一応、王都の狸爺と北で国境を接する、モーデル辺境公にも話を通しておくか。その使者の手配を頼む。それとラファール!」

「はっ!」

「信頼できる部下をハンドラー商会の一員として紛れ込ませてくれ。

内務卿は、皇王国内で独自の調査を行うためとでも言って、取り繕ってほしい」

「よろしいのでしょうか? 疑っているとの疑念を抱かれることにもなり兼ねませんが」

「構わない。これまで敵側の陣営にいた者を、情報だけで無原則に信じると思われると、逆にこの先の舵取りが難しくなるだろう。それなりの対価は与えて、同行を求めてほしい」

レイモンドもこの指示に大きく頷いていた。

「これは俺の勘だが、具体的な脅威になるにはまだ少し時間を要するだろう。

だが、その時気付いても遅すぎる。

アレクシスとエランに、イズモを囲む防壁は東側を優先して工事を進めるように伝えてくれ。

団長は東側からの侵攻に備えた戦術の構築と軍を用いるに適した地勢の調査を。

特に他になければ、これで解散して各々対処を!」

「「「はっ!」」」

彼らは一斉に動き出した。

来る有事に備えて……

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は『北からの知らせ』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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