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[Villain X Marriage] From A Lazy Villainous Nobleman Like Me, The Villainess Daughter Whose Engagement Was Broken Off Has Become My Wife, And Together We Became The Most Formidable Couple – Chapter 203

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――コルシカとジャックは、人気の少ない校舎裏までやって来ていた。

一口に校舎裏と言っても、王立学園にはそう呼んで差し支えない場所が複数ある。

中には生徒たちの憩いの場になっていたり、内緒話をする場になっていたり等、比較的人が訪れるような所もあるが――コルシカたちがやって来たのは、生徒たちも滅多に近付かないような場所だった。

薄暗く、静かで、お世辞にも広い空間とは言えない。

さらに空がどんよりと曇り、ポツポツと小雨が降り始めてきたことで、薄暗さに拍車がかかっている。

見る人が見れば、どこか不気味ささえ感じさせるような空間。

だがコルシカの目には、そんな周囲の雰囲気など映ってはいなかった。

彼女の瞳に映るのは――自らの正面に佇むジャックの姿のみ。

「お覚悟はいいですか、ジャックさん! 私の勇猛果敢なアイドルっぷり、とくとその目に焼き付かせて差し上げましょうッ!」

コルシカはジャックへ向け、得物である斧槍の切っ先を突き付ける。

「私が勝った暁には、ライブの最前列で思う存分魔力発光棒を振って頂きますからねッ!」

「……鬱だ」

ジャックは俯いたままポツリと呟き、右手に得物を持つ。

しかし彼の手に握られた武器は、コルシカと比べてあまりにも小さい。

柄は両手で握れないほど短く、その先端に付いている刃は僅か3~4センチ程度の長さしかない。

分類上はナイフになるのであろうが、どちらかと言えば〝医療用刃物〟に近い代物だった。

少なくともコルシカにとって、それは戦闘で有効そうな武器には見えない。

しかし彼女は「油断は禁物!」とすぐに意識を切り替える。

相手に対して敬意を払わず、舐めてかかるような真似をするのは、アイドルとしてのプライドに反するからだ。

そう……一対一で戦うからには、誠意が必要。侮蔑の眼差しを向けるなど、以ての外。

コルシカはそう思っていた。

だが――そう思っていても、彼女はジャックという人物が、どこか不気味で仕方なかった。

この戦いは、速攻で終わらせるに限る――。

そう判断したコルシカは、

「行きますよ! それでは聞いてくださいッ! 『KISHIDAN午前六時――ッ!」

スゥッと息を吸い、歌い始めようとする。

同時に〔魔声帯〕である彼女の喉が魔力を帯び、無制限の魔力生成を始めようとしたが――

「……〝■■の落とし子〟」

ジャックが、なにかを呼ぶ。

けれどその発音は、コルシカの耳では聞き取れなかった。

「……アイツの喉を……潰せ」

ジャックは命じる。

その刹那――〝目に見えないなにか〟が、彼女の喉を殴り潰した。

▲ ▲ ▲

「――退け!退けッ!!!」

ローエンは生徒たちをかき分け、学園内の廊下を全速力で駆け抜ける。

顔に憤怒と焦燥の色を浮かべながら。

――〝コルシカとジャックが、校舎裏で戦っている〟。

その情報がローエン――及びFクラスメンバーの一部に届けられたのは、コルシカたちの決闘が始まってから約三十分が過ぎた頃。

既に空模様は、パラパラとした小雨が本降りへと変わっていた。

本当に偶然のことだった。

たまたまコルシカたちのいた校舎裏の近くを通った生徒の一人が、彼女たちの戦いを目撃したのである。

普段は滅多に人が近付かない場所なのだが、その日はたった一人だけ、傘を差しながら通りがかったのだ。

一応、学園内では生徒間による私闘は禁止とされている。

もしやるとなれば、学園の許可を取って教員立ち会いの下『決闘場』などで行われるのが常。

だからコルシカとジャックの行いは、ちょっとした校則違反になるのだが――二人の戦いを見た生徒にとって、そんなのはどうでもよかった。

その悲惨さを目の当たりにした生徒は、大慌てでローエンを呼びに行った。

ローエンがコルシカと同じ〝職業騎士〟の出身であり、彼女と仲のいい先輩後輩の関係であるというのは、学園内では既によく知られていたから。

報せを受けたローエンは、それが焦眉の急を要する事態であるとすぐに察知。

そうして戦斧を手に走り――ようやく、彼はコルシカとジャックのいるであろう校舎裏まで辿り着く。

「コルシカッ! 無事――ッ!」

曲がり角を曲がり、校舎裏に飛び込んだローエンの目に飛び込んできた光景。

それは――血まみれになって地面に倒れる、コルシカの姿だった。

全身痣だらけで、見るからに骨折している箇所も複数ある。

さらには小さな刃物で何度も何度も何度も斬り付けられたらしく、小さな切創が全身に無数に見受けられる。

だが一番酷い怪我を負っていたのは――〝喉〟。

明らかに喉仏が潰れており、口から真っ赤な血を吐き出し続けている。

全身の傷口からの出血も酷く、それが雨水によって流され、彼女の周囲一帯の地面を薄っすらと朱色に染めていた。

そして――そんなコルシカのすぐ傍に佇む、ジャックの姿。

それは誰の目から見てもハッキリとわかるほど、一方的な蹂躙が行われた後の光景であった。

「コ……コルシカッ!!!」

慌ててローエンはコルシカに駆け寄り、彼女を抱き寄せる。

当然、近くにいたジャックのことなど無視して。

「コルシカッ! しっかりしろ、コルシカッ!」

「……」

返事はない。

抱きかかえられてもぐったりとしたままで、まるで屍のよう。

けれど――僅かに呼吸している。

胸部がほんの少しだけ上下し、血のあぶくを吐き続けながら、懸命に空気を体内に送り込もうとしている。

意識はないようだが、まだ死んではいない――。

それがわかった瞬間、ローエンは胸を撫でおろす。

しかし――それも束の間だった。

「……鬱だ」

ローエンの背後で、ポツリとジャックが呟く。

「なにも面白くない……なんの達成感もない……。ああ……神様……早く僕を生まれ変わらせてください……」

「――おい、貴様」

ローエンは静かにコルシカの身体を地面へ下ろし、自分が来ていた上着を脱いで、彼女の身体にかける。

そして戦斧を手に、ゆっくりと立ち上がる。

「何故――コルシカをこんな目に遭わせた?」

ローエンにはハッキリとわかっていた。

ここで行われたのは決闘などではない、と。

彼女は文字通り、ただ痛めつけられたのだ、と。

リンチなどという言葉が可愛く思えるほど、一方的に、残虐に、執拗なまでに。

きっとある瞬間から、抵抗すらできなくなっていたであろう。

それでも――執拗に嬲られ続けたのだ。

コルシカの身体中の傷を見れば、よくわかる。

わかるからこそ――ローエンには堪え難かった。

「何故……? あれ、なんでだっけ……もう思い出せないや……。ああでも……一つだけ思い出せた……」

ジャックは虚ろな瞳のまま、コルシカを見下ろす。

「僕……そいつの歌……嫌いなんだよね……。耳障りだから……」

――その答えを聞いた瞬間、ローエンは戦斧の柄を目一杯握り締める。

そして猛然と、ジャックへ斬りかかった。

コルシカ、脱落(´-ω-`)

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[Akuyaku ✕ kekkon] taidana akuyaku kizoku no ore ni, kon'yaku haki sa reta akuyaku reijō ga totsuidara sai kyō no fūfu ni narimashita, 【悪役✕結婚】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました
Score 5.6
Status: Ongoing Type: Author: Artist: , Released: 2023 Native Language: Japanese
Alban Odran. Arrogant, insolent, and――lazy. He condensed all the negative elements into the worst villain. He was a s*um who indulged in power and talent, but he suddenly realized that he was destined to be the ‘villainous noble who would eventually meet ruin.’ This can’t go on like this! Alban thought. To avoid ruin, he begins to put in effort――but then, talk of a marriage proposal comes his way. The one coming to marry him is none other than the discarded villainess. He hears that she’s a problem child who lost her place due to her villainous actions, and Alban is at his wit’s end―― “Huh? Isn’t she a really capable and good wife?” This is the story of what happens when the ‘lazy villainous noble’ and the ‘discarded villainess’ meet, resulting in the most dreadful couple.

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