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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 470

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ミゼルはゴルパ将軍から戦線参加を禁じられ、残留を言い渡されたとき、与えられた任務に徹しただ後方で戦いの行く末を見守っていた訳ではない。

彼もまた独自の判断により、新たな役目を果たすべく行動に移っていた。

直ちに指揮下の通信部隊のなかから、移動可能な部隊を西に向けて再配置すると、必ずやって来るであろうタクヒールらの本隊を誘導すべく動いていた。

彼らは街道の要所要所で目立つ色をした天燈を上げ、後を追ってくるタクヒールらを導くよう努めていた。

そのお陰でタクヒールらは誘導によって最短距離を抜け、足留に徹していたゴルパらが全滅する前に戦場に到着することができていた。

「間に合って良かった! ミゼルの機転に感謝だな。

グレンは引き続き風魔法士と共に『長槍』による超長距離貫通攻撃を継続! それ以外のロングボウ部隊は射程距離に入れば一斉射撃を! 団長は空いた穴に突入して敵ロングボウ兵の排除を頼みます!」

「「承知!」」

タクヒールの指示により、長槍による攻撃で敵軍が怯んだ隙にロングボウ騎兵部隊が正面に展開し、風魔法士の支援を受けた制圧射撃を始めた。

日ごろからアウトレンジ戦法で戦っていたイストリア正統教国兵たちは、自身の射程距離を超えるロングボウの長距離射撃に慌てふためいた。

「ど、どういうことだ! 何故新たな兵がここに、し、しかもあれはロングボウ兵ではないかっ!」

アゼルは三重の意味で驚愕し、思わず絶叫していた。

そもそも新たに一万もの敵軍がこの場に駆け付けるなど、有り得ない話であった。

リュート・ヴィレ・カインの三国は主要戦力を失っており、一万騎もの機動戦力を有しているはずがない。

ではこの軍勢はどこから湧いて出てきたのか?

ここに来て数で圧倒的に優位に立っていたという思い込みが脆くも崩れ落ちていた。

それに加えて驚愕させられたのは、騎兵の体裁をとっているものの矢の嵐を降らせている敵は、間違いなくロングボウ兵だった。

だが……、彼ら以外でロングボウ兵を有している国などない。

唯一の例外を除いて……。

それも敵のロングボウ兵は、自軍の射程距離よりも遥かに長い、三百メルを超えた距離から有効射撃を放ち続けている……。

そして止めは、鉄壁の陣形を薙ぎ払う激しい矢の攻撃(長槍攻撃)だった。

自身らも『神の矢』と呼んだ超長距離貫通攻撃は、腕利きのロングボウ兵と神の御使いである風魔法士が高度に連携して初めて放つことができるものだ。

そんな芸当ができる国は、他に一国のみしかいない。

「そ、そんな馬鹿な話があるか! 侵略した敵国を助けるだと? あり得んわっ!」

このアゼルの叫びは至極もっともなことであった。

通常であれば有り得ない話であり、幾つかの偶然が重なっていなければ、たとえタクヒールがお人好しであっても実現することはなかった。

ひとつ、リュート及びヴィレ王国軍がまだ戦える一万五千名もの余力を残して降伏していたこと。

ひとつ、この二国の軍を率いた二人の将が、タクヒールの信頼に値する人物であったこと。

ひとつ、タクヒールが率いた帝国南方派遣軍が完全勝利し、ほぼ無傷で凱旋していたこと。

ひとつ、レイムの諜報により、正統教国軍を率いていたのがリュグナーとアゼルだと露見していたこと。

これら全ての条件が整っていたからこそ、今回の遠征が実現していたのだから……。

前衛を率いるアゼルが事態の急変を理解できないでいたとき、異常を知ったリュグナーも後衛から前衛へと駆けつけていた。

「アゼル! これはどういう事だ?」

「分からん! だが……、あれは間違いなく小僧の率いる軍だ!」

「なっ、なんだとっ! そんなばかな……」

リュグナーも自身の理解を超える事態に絶句していた。

その間にも魔境公国軍から彼らのお株を奪うロングボウによる一方的な遠距離攻撃と、彼らが『神の矢』と呼んだ長槍による掃射が繰り返され、もはや戦いの趨勢は一方的な展開となりつつあった。

「どうやら俺は小僧を見誤っていたということか……。

復讐に怒り狂い、この機に三国を我が物にすべく侵略することを厭わぬような男であったと……」

ここでもリュグナーは誤解していた。

だが彼らの器量、そして知りえた情報の範囲ではそう判断しても無理のない話であった。

「いかん! このままでは突破されるぞっ」

アゼルの言葉通り、崩れた防御陣の一角にヴァイス騎士団長の率いる部隊が突入し、歩兵の後ろに隠れたロングボウ兵たちを蹴散らし始めた。

それを見たゴルパ将軍率いる各隊も勢いを取り戻し、各所で突撃を開始していた。

「アゼル! 先ずは後退させろっ!! カイン王国にはまだ四千の兵を残してあるし、聖教騎士団を呼び戻して体制を立て直す」

「あ、ああ……。全軍、直ちに森の中に後退しろっ! ロングボウ兵は後退しつつ森に展開、逆に隘路で奴らを迎え撃て!」

この指示により、正統教国の兵たちは半ば潰走しながら再び森や隘路の街道に向けて後退を始めた。

だが、事態は彼らの思惑通りには進まなかった。

「申し上げますっ! 隘路への入り口は敵軍の激しい攻撃が集中し、死地となっています!」

敵軍が後退したことを察したグレンは、長槍攻撃の照準を森の隘路入口に変えていたからだ。

後衛に配されていた騎馬隊がいち早く隘路に逃げ込もうとしたとき、激しい矢の嵐で次々と薙ぎ倒され、一帯は阿鼻叫喚のこだまする地獄となっていた。

「ちっ! 我らの退路を断つつもりかっ!

こうなればやむを得ん、馬も荷駄も捨てて森の中に逃げ込め!」

「リュグナー! 貴様はそれでどうするのだ?」

「この劣勢はもはや挽回もできん。だが……、我らにもまだ起死回生の策が残されているわ。

勝利に奢った小僧の首を取り、最終的には我らが勝利する策が、な」

そう言うとリュグナーは激しい憎悪を伴った、ぞっとするような笑みを浮かべた。

戦場では僅かな時間で目まぐるしく戦況が変化し、今や一方的な展開になりつつあった。

少し前までは一万以上の兵を擁していたイストリア正統教国も今や半数近くの戦力を失い、残った兵たちは深い森の中に逃げ散っていた。

戦場には彼らがこれまで奪った財貨が満載された荷駄が残され、騎兵が捨てた馬がただ辺りを狂奔していた。

「森に深入りするな! 思わぬ死角から逆撃を食らうぞ! 今は見えている敵だけを確実に殲滅しろ!」

団長は既に掃討戦へと体制を変える指示を放ち、隘路の安全を確保しながら徐々に森の奥へと制圧地域を広げるよう動き出していた。

ここに至り隘路を逆進してきたゴルパ将軍旗下の二千騎も合流し、団長の指揮下に入っていた。

「公王陛下、この度は……、ご助力に感謝いたします。我らはこれで、二度も命を救われましたな」

「おおっ! ご無事でしたか。俺たちこそ遅くなり申し訳ない。だが……、間に合って本当に良かった。

ゴルパ将軍は先ず傷の手当てを!」

合流して目の前に現れたゴルパ将軍の姿を見て、先ずは安堵したものの彼の身体には至る所に折れた矢が突き立ち、満身創痍の状態であった。

「いえ……、不甲斐ない戦いを……、いたしました。先ずは兵たちの手当てを優先していただければ……」

「マリアンヌを! 大至急だ!」

深手により落馬しそうなゴルパ将軍に、慌てて馬を寄せて支えると同時に俺は叫んだ。

そして兵たちに将軍の介助を依頼すると、俺は次の行動に移った。

「ラファール、シグル、カーラ、これより所定の行動に入るが……、警戒を頼む。

奴らは最後まで油断できないからな」

彼らにはこれだけで十分だった。

俺はそのあと、シオル・シャノン・レイア・ヨルティアを呼び寄せ、次の行動の指示した。

戦いの趨勢が決したあと、戦場では聖魔法士シオルによりイストリア皇王国の『神に捧げる唄』が歌われ、シャノンの音魔法によって森の中までそれが響き渡った。

「!!! まさか……」

「おおおっ、巫女様じゃ!」

「か、神よ……、我らを救いに?」

驚愕しある者は立ち止まり、ある者は大地に跪き救いを求め始めた。

そんな彼らにアウラの声が歌声に重なる。

「イストリア正統教国の皆さん、私はかつて御使いと呼ばれた者たちです。

どうかこの歌が届くなら、少しだけ話を聞いてください。

皆さまの戦いは終わりました。既にリュート・ヴィレ・カインの各王都は制圧されており、皆さんの退路はありません」

「そ、そんな……」

「俺たちは……、どうすれば?」

「神よ、どうして俺たちを救ってくれないのですか?」

「どうかこれ以上は無駄な血を流すことなく降伏してください。かつては御使いと呼ばれた私たちと共に、これまでの罪を償いましょう。決して無慈悲なことはしないとお約束します」

この声が響き渡ると、いつしか散発的に森の中から聞こえていた戦闘音も消えていった。

ここに至り既に他の地域も制圧され、既に退路もないと知った兵たちの多くは、戦意を失い大地に膝をつき崩れ落ちていったからだ。

その後、兵たちは続々と武器を捨てて手を挙げながら森から出て平伏し始めた。

「初めて目の当たりにしたけど、巫女の唄の効果は凄まじいな……」

俺は驚きを持って傍らの二人に語り掛けた。

そこにはヨルティアとレイアが立ち、油断なく周囲に目を光らせているからだ。

「仰る通りです、ですがタクヒールさま……」

「うん、ヨルティア、ありがとう。分かっている、もう少し引き付けてからかな?」

多くの敵兵は両手を挙げてシオルやアウラに縋るように移動し始めたが、その中には一際目立つ俺たちの方角へとにじり寄って来る者たちもいた。

それに応じ、配下の兵たちも俺たちを囲うように人垣を作り始めている。

そして彼らが百メルほどの距離まで近づいて来たとき、俺は決断した。

「今だレイア!」

俺の言葉と同時に、レイアは渾身の力で光魔法を発動させると、眩い光が彼らを包んだ。

「ぐがぁっ!」

「うわぁっ!」

「ひ、光がぁっ!」

「ヨルティア!」

光に悶絶した五十名余りの降兵に対し、今度はヨルティアが重力魔法を発し彼らを大地に張り付けた。

「あっ、あぁぁぁぁっ」

「お、墜ちるぅぅっ!」

「ぐわぁぁぁぁぁっ!」

短い悲鳴のあと彼らは一様に正気を失い、二度と戻って来ることはなかった。

そして戦場だった場所に変わらず立っていることができたのは、戦いに勝った者と真に降伏を決断した者だけだった。

タクヒールらは、これまでの経緯で『闇の使徒』に対する対処法をある程度確立していた。

それはかつて学園長が発した注意喚起に始まり、今やアビスと呼ばれるテイグーン魔境側の関門で行われた戦い、ヒヨリミ子爵の捕縛、クサナギでのユーカ暗殺未遂事件を踏まえた成果でもあった。

以降も降伏した敵兵には同様の対処が行われ、『闇の使徒』たちは次々と光魔法と重力魔法という、彼らの闇に相剋となる攻撃で殲滅されていった。

この日の戦いに参加したイストリア正統教国軍は一万三千五百名だったが、五千の戦死者と負傷により三千の兵が脱落し、四千の兵が武器を捨てて捕虜として下った。

これにより、三国に攻め込んだイストリア正統教国軍は事実上壊滅し、ほぼ一掃された形となった。

また、過去の討伐を逃れた『闇の使徒』たちも、リュグナーの命令を叶えることもできず壊滅したが、肝心の首魁であるリュグナーとアゼルは、僅かな敗残兵と共に隣接する他国方面へと落ちていった。

「今回も奴らを討つことは叶わなかったか……」

「我らも至らず申し訳ありません」

「いや、団長の責任ではないよ。無理に森の中を追えば、こちらの犠牲も大きくなっていたしね。

ただ……、奴らはこれで手足となる者も失ったはずだ。この惨敗では正統教国に戻ることも叶わないだろうからね」

「仰る通りですね。一千名程度が落ちていったとはいえ、乗馬を失い補給もなく、その大半は途中で斃れることでしょうな」

「じゃあ俺たちは戦後処理をゴルパ将軍の部隊に任せ、一度リュート王国の王都に戻るとしようか。

三国が固まれば今度こそクサナギに凱旋して皆を労えるからね」

タクヒールらの活躍と、ゴルパ将軍らの死戦によってリュート・ヴィレ・カインの三国は侵略者より解放され、今後は新しい道を歩むことになった。

片や飛ぶ鳥を落とす勢いで勢力を伸ばし続けていたイストリア正統教国は、遠征軍以外に加え、その後に国を挙げて増派した本国軍も全て失い、凋落の一途を辿ることになった。

そしてこの先、ヴィレ王国の王都を経由してリュート王国に戻ったタクヒールには、驚愕すべき予想外の知らせが待ち受けていた。

◇イストリア正統教国軍 最終損害

リュート王国守備隊 ▼ 5,000名(うち捕虜1,300名)

ヴィレ王国守備隊  ▼ 3,000名(うち捕虜 500名)

聖教騎士団(本隊) ▼ 6,000名(うち捕虜 500名)

聖教騎士団(後続) ▼ 1,000名(うち捕虜 200名)

カイン王都守備隊  ▼ 4,500名(うち捕虜1,200名)

本隊        ▼10,000名(うち捕虜6,000名)

逃亡(不明)      1,000名前後

※転向兵       ▼ 2,000名(うち捕虜500名)

六巻発売まであと三日です!

明日からは六巻発売を記念した特別篇を三話連続でお届けする予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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