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A Baby’s Crawling Struggle in Another World – Chapter 116

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翌日から、父は公務に戻った。

それから数日後、この家にとっては驚天の報せが持ち帰られた。

父が、個人として国王の謁見に呼ばれている。

その際、息子二人を同伴せよ、という指示だという。

「息子二人――ルートルフもですか?」

「そういうことのようだな」

帰宅して衣服も改めないまま、父は母と困惑の顔を見合わせていた。

呼び出し自体は、今回の病対策での働きについての嘉賞ではないかと想像がつく。

しかしそうした拝謁の際に、成人前の子息、しかも赤ん坊まで同伴の指示など、前例がないだろうということだ。

「まあおそらく――今回やこれまでの件にウォルフが関わっていると、噂でも陛下が耳にされた。それで、顔を見たいとか声をかけたいとかいうご意向なのではないかと思う。それこそ成人前の子どもを呼ぶのは異例なので、ついでにと言うか、息子二人とも揃えよという形でその目的を曖昧にされるということなのだろう」

「そう……ですか」

眉尻を下げて、母は背後のイズベルガを振り返っていた。

その二人の困惑は、少し後に理解された。

国王に拝謁、ということは当然、正装が必要だ。

一応兄には用意があるが、僕にそんなものがあるはずもない。

そもそも赤ん坊が拝謁した例など聞かないのだから、正装と言われてもどんな形をとるべきか、見当もつかないのだ。成人用の小型版にすべきか、赤ん坊特異のものがあるのか。

慌ててその後、宰相など他の貴族に探りを入れてみた。その結果は「それらしく見える格好ならいいのではないか」という、かなりいい加減な答えしか得られなかった。

貴族やその子息の正装は、白が基調になる。そこだけを外さずに小綺麗な格好を作ればいいのではないか、ということだ。

――他人事だと思って……。

前例主義がはびこる貴族社会に、その前例がないというのが腹立たしい。

まあそういうことなら開き直って、それらしいものをでっち上げさえすればいいのではないかと思う。

ベルシュマン男爵の貧乏さ加減は誰もが知るところなのだから、華美に完璧な装いを作り上げなくても、別に文句は出ないのではないか。

……と、僕としては思うのだけれど。

もちろん、母や使用人たちがそんなことで納得するはずもない。

五日程度しか猶予のない時間内でできるだけのものをと、血眼になって動き出している。

服装の件を除けば、僕としては気楽なものだ。

まだ生後一年と三か月、なのだ。

拝謁の場に、父に抱かれて臨む。それだけ。

礼儀作法など気にする必要はないし、むしろそんな素振りを見せでもしたら、異様に過ぎる問題だ。

極端なことを言えば、その場で機嫌を損ねて泣き叫ぼうが、お漏らしをして騒ぎを起こそうが、こっちの責任ではない。呼びつけた、あちらが悪い、と言える。

……まあ、後が怖いから、そうならないように努めるけど。

せいぜい、国王陛下のご尊顔や会場の佇まいを見て、楽しんできたいと思っている。

一方で、兄は大変なことになっている。

当然、こんな重大な場への出席は初めてだ。

成人前とはいえ、礼を失して笑って済まされるという年齢でもない。

すでに一通り仕込まれているとは言うものの礼儀作法をさらに完璧に覚え込むべく、クラウスらを教師に猛特訓が始まっている。

――ご苦労様。

まあ、将来的に身につけておかなければいけないもの、というのは確かだ。

頑張ってもらいたいと思う。

というわけで。

五日間の準備期間、僕以外の全員が大わらわになっていた。

僕としては、手も口も貸しようがない。

ただ、ミリッツァと邪魔にならないように隅で遊んでいるだけだ。

あ、同じく暇な人見つけた、とザムを仲間に引き入れる。

拝謁にはどれだけ時間がかかるか聞かされていないので、とりあえず少しは体力をつけておこうと、ザムに掴まってあんよの練習に努めておく。

いつも以上に僕と一緒の時間が増えて、ミリッツァはずっとご機嫌が続いている。

ただ、妹がお昼寝に入ると、僕にすることがなくなってしまう。いつもは兄と読書や勉強の時間なのだけど、相棒を奪われてしまっているので。

しかたがないので、クラウスとヘルフリートに頼んで、退屈しのぎの材料を手に入れた。

まあ別に今すぐ僕に必要があるわけではないけど、知っておいて損はない。王室とその周辺の情報だ。

二年前の王太子の成人の際に公表された情報の覚え書きを、クラウスに補充してもらった。

それによると。

現国王、シュヴァルツコップ三世、三十七歳。

正王妃、ハトゥモット。シェーンベルク公爵家長女。

第二妃、イルムガルト。エルツベルガー侯爵家長女(つまり、母の姉)。

他に、二人ほど妃がいるらしい。

ハトゥモット王妃に男子が二人いたが、ともに死亡。

王太子、十七歳。イルムガルト妃の長子。

この他国王の子としては、男子二人、女子一人、第三、四王妃の子がいるらしいが、まだ幼く、広くお披露目されていない。

さらに、0~二歳程度の子どもは死亡率が高いこともあって、平民でも公にされないことがままある。国王や貴族の子息の場合、さらに複数の夫人間の牽制や跡目争いなどの事情が絡んで、出生が秘匿されることは珍しくない。

つまり、前述以外の王子王女が秘かに後宮に存在しても、誰も驚かないということになるようだ。

なお、今回の父の拝謁は、国王の公式行事というわけではない。王が私的に関心を持ったため、という位置づけになるらしい。

謁見はそうした用途で使用される小さめの会場で行われ、王太子と宰相だけが同席する。

ちなみに宰相の名は、ウェーベルン公爵。父絡みの話で何度もこちらの話題に上っていたが、初めて名前を知った。

この国の公爵家は現在、ベルネット公爵、シェーンベルク公爵、ウェーベルン公爵の三家。いずれも元を辿ると王家の血筋で、何度も婚姻で縁を深めている。現ウェーベルン公爵も前国王の弟の子で、現国王の従弟に当たるようだ。

宰相は、名目的には国王の補佐だが、実質国政の要を担っている。

ただしこの国では各爵領の自治権が比較的強いので、平時は王都と王領の運営に目が向いていることが多いようだ。

それでも、その各爵領への指示、外交、軍事など、事実上ほとんどの国政の権限を持っている。

当然、直属の部下として爵位を持つ者が何人もついている。

それが、昨年末頃から異例に見えるほど、身分の低いベルシュマン男爵が重用されているかに見えて、いろいろ話題になっているらしい。

今回の疫病対策では、ほとんど宰相の副官扱いに見えて、違和感はなかったとか。

ただやはり、そうした非常時が過ぎてみると、かの男爵の立場は身分と不釣り合いに映る。

ヘルフリートの内緒話によると、今回の拝謁はそうした点で宰相から国王に働きかけたという理由もあるのではないかということだ。

つまり、政権内でのベルシュマン男爵の地位向上につながる申し渡し、場合によっては陞爵の断が下される可能性もある、と。

まあそのまま鵜呑みにできることでもないが、そんな噂が立つほど、今回の父の働きは周囲で高く評価されているということらしい。

とにもかくにも、拝謁前日までに、兄は作法特訓でへろへろになり。

イズベルガとヒルデは、赤ん坊の晴れ着作りでへとへとになり。

めでたく僕は、その成果を試着する恩恵に浴した。

ふつうの正装の形とは当然異なる、赤ん坊らしい柔らかい布で上下一体となった作りだ。

それでも貴族の決めごとに従い、見た目は白一色。成人の装いに似せて、襟元などに刺繍レースがふんだんにあしらわれている。

どうもこの刺繍が、侍女たちの奮闘の賜物らしい。これだけで確かに、かなり見た目は豪奢になっているようだ。

前例のない服装ということだが、これで文句のつくことはないのではないか。

そもそも五日前の告知で、常識的にそれから専門店に完全仕立てを依頼する時間の余裕はないし、超特急料金を支払う財政的余裕もない。

これにケチをつけるような者がいたら、赤ん坊特権で大泣き騒動を起こしてやろう、と心に決めた。

A Baby’s Crawling Struggle in Another World

A Baby’s Crawling Struggle in Another World

赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Native Language: Japanese
Rudolf Berushuman, the second son of an impoverished baron, suddenly awakens to an adult-level consciousness at just six months old. At the same time, he senses the presence of “memories” from a world different from the one he now lives in, whispering to him. Panic sets in. Everyone in this world possesses a seemingly pathetic, magic-like “blessing.” Upon learning of his real older brother’s existence, Rudolf enlists his brother’s power and sets out to save their territory.

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