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A Baby’s Crawling Struggle in Another World – Chapter 142

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気がつくと、薄明かり。窓の縁に、外の明るみが射し込み出していた。

さすがにこのままだと、執務中に居眠りを始めてしまいそうだ。

思い、本を閉じて、僕はベッドに戻る。

やはりすぐに眠りは訪れないけれど。目を閉じて意識を揺蕩わせているうち、少しは睡眠も得られたようだ。

何だか記憶とも思索とも夢ともつかないものが次々頭をよぎり、安眠とはほど遠い感覚が過ぎていた。

遠く、朝一刻の鐘が鳴る。

おおよその慣習で言えば、これを合図に平民や貴族家の使用人たちは活動を始める。

しかし、王侯貴族家の者はまだ起き出してはいけない。お付きの者が朝の支度を終えて起こしに来るのを待つのだ。

――まあ、見た目赤ん坊の僕が、律儀に従う必要もないかもしれないけど。

領地ではそもそもこういう鐘もなかったので、おおよその目が覚めた時点で動き始めるのがほとんどだった。鐘を活動の規準にするようになったのは、王都に出てきてからだ。

そうは言っても僕の場合、目覚めてすぐに動き出せることはほぼなかった。まあつまり、背中にへばりついている妹のお陰で。

つらつら思い返していると、やたらと背中の辺りに空虚なものを覚え出していた。

それでもベッドでぼんやりしていると、扉の向こうで人が動く気配が聞こえてくる。この辺は決まり通り、ナディーネが務めを始めているのだろう。

一刻以上も、そんな物音が続いただろうか。

やがて扉が開かれ、ナディーネが顔を出した。

「お早うございます――起っきの時間です」

あまり抑揚のない声が、かけられる。

昨日からほぼ同じ調子なのだけれど、改めて聞いてみると何となく、呼びかけと言うより独り言に近い感じだ。

目を瞬いていると、掛け布団がめくられ。

侍女はまた陰の方に回って、新しい衣類を持ち出してきた。

昨日のものとは違う、昼間の活動用らしい。

上体を起こしている僕のすぐ脇に置き、侍女は後ろに下がる。

ひとしきりしょぼつく目を擦って、僕は着替えを始める。

やはり男爵家で用意したものより品質がよいらしい、ふわふわした肌触りだ。

何とか苦労の末、着衣。背中のボタンは一つしかはめられなかったけれど、まあいいや、と思う。

それでも用意された衣類、一つ足りない。

慎重にベッドの縁から滑り下り、僕は脇のテーブル下に寄っていった。

実家から持参してきたカバンを開き、布を一枚取り出す。母とイズベルガが作ってくれた、涎掛けだ。

紐を首の後ろに回し、苦労して結ぶ。

つくづく思うけど、赤ん坊の両腕はこんな背後に回して動かすようにできていない。背中ボタンも後ろ紐も、もともと自分で操作するように設計されたものではないと思う。

顔を上げると、ナディーネは軽く首を傾げて半分無感動な目を落としてきている。

「では、朝食にしましょう」

やはり独り言めいた声をかけて、僕を抱き上げる。

昨日の就寝前よりは少し改善された、両手でお尻と背中を支える抱き姿勢だ。

居間のテーブル前に座らされて、昨日と同様の食事。慎重に匙を動かし、半固体の離乳食を口に運ぶ。

今日は、零さず食べ終わることができた。

昨日のように眠くて堪らない状態でもなければ、最近はそうそう失敗することはないのだ。

洗面所に連れていかれて、洗顔も歯磨きその他も、すべてセルフサービス。昨日から、格段に自力でできることが増えた気がする。

ただ、一つ一つにかなり時間がかかってしまった。

昨日持ち込んだ本を抱えて、赤ん坊車に収まる。

後宮の出口扉には、もうヴァルターが待っていた。

「お早うございます、ヴァルター様」

「お早うございます。ルートルフ様を、お預かりします」

「よろしくお願いいたします」

やはりきちんとした受け答えで、車の持ち手が交代される。

会釈して、侍女は戻っていく。

当然ながら昨日の逆戻りで、絨毯の上を車は動き出す。

「よくお休みになれましたか、ルートルフ様」

「……ん」

「昨日は申し訳ありません。私の配慮が足りず、ルートルフ様を疲れさせてしまったようです。お身体は赤ん坊なのですから、見計らって休憩をお取りいただくようにと、言われていたのですが」

「いや」

「今後は、適宜お昼寝をしていただくことなども考慮しましょう。疲れたり眠くなったりしたら、遠慮なくお申し付けください」

「ん。つかれたら」

入った執務室は、無人だった。

そう言えば、戸口外に護衛も立っていない。

ヴァルターの話では、ゲーオルクは昨日の製鉄の件で領地と鳩便のやりとりをしていて、こちらに来るのは遅れるとのこと。

王太子は本来別の執務があるので、顔を出すかどうかは流動的らしい。

ということで、僕は机の上に板本を開いてもらう。

加えてヴァルターに指示して、メモ用の筆記用具を揃えさせる。

開いた本と筆記板を並べて。

「しつれい、するね」

断り、よいしょと机の上に這い昇る。

四つん這いになって、ペンを手に握る。

夜中の読書で気がついた箇所を、抜き書きしておくのだ。

全身運動で、筆記を進める。

しばらく書いて気がつくと、ヴァルターが横に立って覗き込んでいた。

僕の視線を受け、わずかに苦笑いの顔になる。

「いえ失礼ながら、読書のお姿だけでも驚きですが、こうしてペンで書くご様子を拝見すると、ただ驚嘆しかありませんね」

「そう?」

まあ当然、赤ん坊が筆記板の上を這い回りながら文字を書く姿など、うちの家族以外見た経験を持つ者はいないだろう。

「しかしこれ、かなり体力を消耗するのではないですか?」

「しかたない」

「書き抜くだけなら、必要箇所を指定していただければ、私がしますよ」

「お」

――その手は、考えていなかった。

「そのほうがはやい、か」

「ですね。その間にルートルフ様には、別の図鑑に取りかかっていただいて」

「じゃ、おねがい」

こことここ、と指定すると、ヴァルターは該当ページに竹のようなものでできた栞を挟んでいく。

一通り指示を受け。ヴァルターは自分の机に筆記板を用意する。

「これはまた、各領地に植物見本の取り寄せを依頼することになりますか?」

「ん。できたら」

「では、ゲーオルク様にお願いして、手配しましょう」

「ん」

新しい図書館の本を持ってきてもらい。

僕はそのまま机の上に四つん這いで、ページに顔を寄せる。

見た目は異様でも、この姿勢がいちばん読むのに楽なのだ。

納得したのだろう、ヴァルターも苦笑いで放っておいてくれる。

午前中はずっと、そうした読書を続けた。

昼食の後もそれを続けていると。

いきなりドアが開き、無遠慮な咆哮が続いた。

「と、何だあ、その格好は?」

「どくしょ」

「とてもそうは見えねえぞ」

「こじんのかって」

「マジかよ」

ぶつぶつ喚きながら、今日初お目見えのゲーオルクは応接椅子にどかり腰を下ろしている。

はああ、とこれ見よがしの嘆息が続く。

「とても人には見せられない格好だな」

「ん。よそでいわないで」

「言っても誰も信じねえだろう。こっちが笑われるのがオチだ」

「かもね」

「お茶をお淹れしますか、ゲーオルク様?」

「ああ、頼む」

無表情顔にわずかに苦笑を混じらせて、ヴァルターはティーポットを用意している。

A Baby’s Crawling Struggle in Another World

A Baby’s Crawling Struggle in Another World

赤ん坊の異世界ハイハイ奮闘録
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Native Language: Japanese
Rudolf Berushuman, the second son of an impoverished baron, suddenly awakens to an adult-level consciousness at just six months old. At the same time, he senses the presence of “memories” from a world different from the one he now lives in, whispering to him. Panic sets in. Everyone in this world possesses a seemingly pathetic, magic-like “blessing.” Upon learning of his real older brother’s existence, Rudolf enlists his brother’s power and sets out to save their territory.

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