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A Former Elite’s Fresh Start in the Backcountry – Chapter 204

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ゾフィーが王都に帰り、さらには船の納品を終えてから1週間が経った。

その間、仕事も進め、納品したり、新たに依頼を受けたりした。

そして、マルティナの勉強や錬金術を見てやった。

「ジークさん、どうでしょう?」

対面のソファーに座っているマルティナが聞いてくる。

俺の手元には歪な形をした銅の塊がある。

「Eランクだな。悪くないと思う。これならハイデマリーも文句は言わないだろう」

そう答えて、銅の塊をテーブルに置いた。

「あ、ありがとうございます。何とか間に合いました」

今日はマルティナがここに来る最後の日である。

というのもマルティナは休日である明日の朝にこの町を出て、王都に向かうのだ。

「物理もまだマシになったし、あとは向こうで頑張れ」

めっちゃ言葉を選んだ。

「ありがとうございます」

マルティナが深々と頭を下げる。

「エーリカ」

「はーい」

エーリカを呼ぶと、こちらにやってきて、隣に座った。

そして、封筒をマルティナの前に置く。

「ん? 何ですか、これ?」

「バイト代。前に出すって言っただろ」

「え? でも、私は何もしてませんし、むしろ、ずっと教えてもらうだけでしたよ」

うん。

「ちゃんと船を作っただろ。お前が加工した木材で作った船だし、お前も制作者の1人だ」

なお、本当にマルティナ号になっている。

「でも……」

「受け取れ。たいした額じゃないし、どちらにせよ、そういう決まりなんだから受け取ってもらわなければ困る」

「わ、わかりました」

マルティナは封筒を手に取り、じーっと見る。

「王都で美味いものを食うか、好きなものを買うかしろ」

「はい……私、初めて、お金を稼ぎましたよ」

「なら親に何かを買うでもいいな」

ギーゼラさんも泣いて喜ぶだろう。

「そうします……」

「とにかく、お疲れさん。時間がないからたいしたことは教えられなかったが、よくやってくれた」

「いえ、そんなことないです。親身になって教えてくださいましたし、船の製造にも関わらせてもらいました。正直、めちゃくちゃバカにしていると思いますが、見捨てずに指導をしてくださり、本当にありがとうございました」

めちゃくちゃバカにはしてないぞ。

普通にバカにしてるけど。

「明日、見送りに行ってやろう」

「大丈夫です。泣いちゃいそうなんで」

ガキなんだから泣けばいいだろうに。

「マルティナ、困ったことがあればハイデマリーでもゾフィーでも何でも頼れ。本部長でもいい。一門なら話を聞いてくれるし、助けてくれる」

「ありがとうございます」

「それともう1つ。辛かったらいつでも逃げていい。店を復興させる方法は必ずしも1つではない。そして、お前が潰れてまでしなければならないことではない。それを忘れるな」

「わかりました」

マルティナが深く頷いた。

もう大丈夫だろう。

「エルネスティーネ、頼んだぞ」

「わかっておるわ。妾に任せておけば問題ない」

心強いハムスターだわ。

「ジークさん、ありがとうございました。エーリカ先輩もレオノーラさんもアデーレさんもありがとうございました。色々とご迷惑をおかけしましたが、王都で頑張りたいと思います」

マルティナが立ち上がって、そう言うと、エーリカも立ち上がった。

そして、レオノーラとアデーレもこちらにやってくる。

「いつでも帰ってきていいからね」

「また釣りでもしようよ」

「この町でやってきたことを誇りに思って頑張りなさい」

「あい……」

泣いてるし……

どっちみち、泣くんかいって思っていると、ヘレンが起き上がり、マルティナの腕の中にジャンプした。

「来月、私達も王都に行きますからまた会いましょうね」

「うん……猫ちゃん、ありがとう」

マルティナはヘレンを抱きしめると、腕で涙を拭う。

「ハムスターの方が可愛いぞ?」

ねーよ。

「マルティナ、またな」

「はい。では、私は帰ります。本当にお世話になりました」

マルティナは頭を下げると、アトリエを出ていく。

「おい……人の猫を取るな」

ヘレンを持っていくな。

「あ、すみません……」

マルティナはヘレンをテーブルに放すと、そのまま帰っていった。

「あいつ、最初と最後でヘレンを持ち帰ろうとしやがった」

「まあ、いいじゃないですか。それよりも私達も帰りましょう」

エーリカに言われて時計を見ると、もう終業時間を過ぎていた。

「それもそうだな。帰るか」

俺達は片付けと戸締りをし、30秒をかけて家に戻った。

そして、エーリカの家で夕食を食べ、勉強会をする。

「エーリカ、ああは言ってたが、明日、マルティナの見送りに行かなくていいのか?」

「やめた方が良いでしょうね。多分、お友達とかが来ると思います」

「大号泣だろうね」

「ずっとこの町にいたんですものね」

あー、友達か。

そういえば、友人と呼んでいいのかは微妙だったが、アデーレが来てくれたな。

もちろん、涙なんて気配すらなかったけど。

「そういうことか。まあ、来月に魚でも持っていってやればいいだろ」

多分、魚シックになってるだろうし。

「それもそうですね」

俺達はその後も勉強会をし、いい時間となったので解散した。

そして、エーリカの部屋を出て、対面にある自分の部屋に戻る……と思ったのだが、ドアノブを握った瞬間に服を引っ張られた。

振り向くと、アデーレが俺の服を握っている。

「何だ? 飲みたいのか?」

「いえ……あ、いや。あなたはしこたま飲んでちょうだい」

あー、あれか。

「ようやく聴かせてくれるのか?」

「ええ。30分後に来て」

「わかった」

俺は部屋に戻ると、本を読みながら時間を潰し、30分経ったのでヘレンを抱えて、部屋を出た。

そして、2階に昇り、インターホンを鳴らす。

『ど、どうぞー』

アデーレの声が聞こえたので扉を開け、中に入る。

すると、ドレスに着替え、ヴァイオリンを持ったアデーレが立っていた。

「準備はできたのか?」

「ええ。ちなみに、飲んだ?」

「いや、飲んでない」

「そう……ワインを出すからそこのソファーにかけてちょうだい」

アデーレに勧められたので奥にあるソファーに腰かける。

その間にアデーレがキッチンに向かった。

「……なあ、なんでドレスなんだ?」

「……私が1人で聞いた時もドレスでしたよ。わざわざ着替えておられました」

確かにアデーレがヘレンを攫っていった時は普通の服だった。

あれから着替えたのか……

「……なんで?」

「……雰囲気っておっしゃっていました」

ホント、その言葉が好きだなー。

エーリカに聴かせる時もドレスなんだろうか?

「お待たせ。まあ、飲んでよ」

アデーレが隣に腰かけると、グラスを渡してくる。

そして、ワインを注いでくれた。

「飲まないといけないのか?」

「素面はちょっと……」

「まあ、飲むけど、エーリカの時は気を付けろよ。あいつ、弱いんだから」

「薄いのを飲んでもらうから大丈夫」

飲ませるは飲ませるわけね。

「お前は飲まないのか?」

「酔ったらミスをする確率が上がるじゃない」

別に気にしないんだがな……

その後もワインを飲んでいくが、アデーレがどんどんと注いでくる。

「飲ませるなー……」

「いいじゃない。お酒は好きでしょ?」

好きだけど……

でも、ドレス姿のアデーレが隣に座って酒を注いでくれると、キャバクラに来たのかと思ってしまうわ。

「まあな……」

「また4人になったわね」

支部長も入れろっての。

「ゾフィーも帰って、マルティナも王都だからな。まあ、4人でやっていこうじゃないか」

「それもそうね。ジークさん、マルティナさんもだけど、ゾフィーさんも気にしてたわね?」

「ちょっとなー……本部長が押し付けてきやがったんだよ。なんで俺なんだよ。ゾフィーと仲良くないっていうのに」

「それ、よく言ってるけど、やっぱり一門の方と仲が良いなって思うわ」

そうか?

「どの辺が?」

「一門の方と話す時だけハイデマリーさんのことをマリーと呼ぶところ。まあ、ゾフィーさんもだけど」

そうだっけ?

意識してないからわからない。

「どうでもいいな。俺もジークだし」

ほとんどの人間がジークヴァルトとは呼ばない。

まあ、長いからなんだけど。

「ちょっと微笑ましかったし、羨ましくもあったわね」

「お前らはお前らで仲良くしろよ」

「もちろん、そうするわ。それにジークさんもね」

そうかい……

「ヴァイオリンはまだか?」

「飲んだ?」

「かなり」

「よし!」

アデーレがボトルを置き、ヴァイオリンを持って立ち上がると、俺の正面に立つ。

「いくわよ」

「どうぞ」

アデーレはヴァイオリンを構えると、演奏を始めた。

ゆっくりと穏やかな音を出していき、音を奏でる。

姿勢の良いアデーレは確かに絵になったし、柔らかい音楽が心地良い。

俺はワインを飲みながら膝の上のヘレンを撫で、アデーレの音楽を聴いていく。

とても綺麗な音だし、見ていて飽きることはない。

そして、短い1曲目を終えた。

「おー、上手いなー」

「お上手ですー」

ヘレンと共に拍手をする。

「そ、そう? ちょっとミスっちゃったけど……」

どこが?

「いやー、お前ってこういう才能もあるんだな。良い音だったし、立ち姿も綺麗だわ」

「ありがと……」

「しかしなー……」

うーん……

実は音楽を聴いていた時から気になっていることがある。

「何?」

「ソファーに腰かけ、ワインを片手に猫を撫でる。そんな男の前にはドレスを着た女がヴァイオリンを弾いている……なんか俺、すごく悪そうじゃないか?」

「悪いわね……悪役そのもの」

だよなー……

「まあ、良いじゃないですか。この場にはあなた方しかおられません。今は御二人で楽しみましょう。アデーレさん、もっと聴きたいです」

「それもそうだな。アデーレ、頼むわ」

「そ、そう? じゃあ、次の曲……」

その後もアデーレの音楽を聴きながら酒を飲んだ。

最初は恥ずかしがっていたアデーレも徐々に調子よく弾きだし、1時間近くは弾いていたと思う。

そして、鑑賞会が終わり、饒舌になったアデーレとワインを飲みながら過ごす。

正直、飲みすぎた感もあったし、若干眠いのだが、アデーレが上機嫌で飲んでいたので付き合うことにした。

まあ、聴かせてくれたヴァイオリンは良かったし、アデーレも楽しそうだから良しとした。

ここまでが第5章となります。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

引き続き、第6章もよろしくお願いいたします。

Exiled Alchemist’s Frontier Life: A Former Elite’s Fresh Start in the Backcountry

Exiled Alchemist’s Frontier Life: A Former Elite’s Fresh Start in the Backcountry

Frontier Life of a Demoted Alchemist: Since the Former Elite Failed in His Second Life as Well, He Decided to Take It Easy and Restart in the Outskirts, 左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2024 Native Language: Japanese
In the royal capital, Zeke was once a salaried worker who followed the path of an elite. However, he was resented by a rival who lost in the struggle for promotion and was fatally stabbed in the abdomen with a knife. For some reason, Zeke was reincarnated as an orphan in another world. Under the guidance of his new mentor, he learned alchemy, and with his intelligence and knowledge from his previous life, he earned the title of National Alchemist at a young age, once again pursuing the path of an elite. However, he was envied by a noble involved in the advancement struggle, who used their power to take his position. To make matters worse, his mentor and superior, who was also like a parent to him, ordered him to be transferred to a remote area. This demotion meant that his desired path to advancement was completely cut off. Zeke faced two…

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