朝、ヘレンに起こされると、顔を洗い、着替える。
そして、3人娘と合流すると、1階のレストランで朝食を食べた。
「レオノーラ、まずはどこに行くんだ?」
食後のコーヒーを飲みながら本日の予定を決めたレオノーラに聞く。
「まずは凱旋門。エーリカが楽しみにしてたやつ」
「おー、凱旋門!」
エーリカは嬉しそうだ。
「じゃあ、行くか」
「まあまあ。もっとゆっくりしたまえよ。人生は大海原を旅する船乗りのようなものさ。必死に漕がなくても進んでいくんだよ」
まあ、今日はレオノーラに任せると言ったから任せるか。
「漕いだ方が速いだろ」
「休めって言ってるんだよ」
そうかい……
俺達は話をしながらゆっくりとコーヒーを飲むと、9時過ぎくらいにホテルを出た。
そして、東にある凱旋門に向かって歩いていく。
「今日はのんびりコースか?」
「そうだよ。ジーク君、アデーレ、空を見てごらん」
そう言われたので空を見上げる。
「空だな」
「空ね」
な?
「それだけ? あの空はリートに繋がっているんだよ?」
「レオノーラさん、ロマンチックです。そういえば、あそこを飛んできたんですよね」
「そうだよ。君達も何か思うことはないかい?」
うーん……
「天気が良いな」
「空が青いわね」
な?
「君達はさ、長くこの王都にいたんでしょ? そうやって空を見上げたことはあるかい?」
「ないな」
「そういえばないわね。リートや実家では見たような記憶があるけど」
あー、リートで星空は見たような気がする。
「それが余裕。たまに空を見上げられる人生にしたまえよ。おねーさんが付き合ってあげるから」
「「どうも……」」
同い年のくせに……
俺達はゆっくりと歩いていくと、凱旋門がある広場にやってきた。
「おー! 大きいです!」
「すごいねー!」
「改めて見ると、確かに大きいわね」
でかい門だな。
「今さらですけど、凱旋門って何ですか?」
「ジーク君」
リードしてくれるレオノーラも知らないらしい。
「凱旋する門だ」
「そのまんまじゃないですかー」
「まあ、そのまんまだしな。何百年も前の戦争に勝った時に作られたやつだ。それの記念だな」
これは歴史で習ったから覚えている。
「へー。あそこを兵隊さんはくぐったんですか?」
「多分、そうだろ。行ってみるか?」
「行ってみたいです!」
俺達は広場を歩いていき、凱旋門の下までやってくると見上げる。
「高いですねー」
「アデーレ、あそこに立っているところを想像してごらん?」
「嫌よ。余裕ゼロじゃないの」
その後、凱旋門を回りながら見続け、広場にあるベンチに腰かけた。
「仕事をサボって何してんだろう……」
公園のベンチにいる家族に言えないお父さんかな?
もしくは、営業回り中のサラリーマン。
「休暇、休暇。ジーク君、帰ったら何したい?」
うーん……
「釣りでも行くか?」
「良いねー。4人で行こうよ」
「良いと思います。ヘレンちゃんが好きなアクアパッツァを作ってあげるね」
「わーい」
「魚はちょっとお手伝いできないわね」
アデーレはまだ魚が怖いらしい。
「レオノーラ、この後は?」
「まだここ。焦らないの」
ふーん……まあ、ちょうど日陰のところだし、涼しいから良いけど。
「あー、港は日陰がないな」
日陰で思い出した。
「ないね。ジーク君、何か作ってよ」
「パラソルとかテントでよくないか?」
「持ってないね。泳がないもん」
じゃあ、作るか……
俺達はその後もまったりと過ごすと、凱旋門をあとにし、王都を散策していった。
特に目的もなく歩いていき、気になる店があれば入って、色々と見ていく。
そして、昼食を適当な店で食べると、午後からも王都を見て回り、3時過ぎにはチョコレートケーキが美味しいらしい店に入り、皆で食べる。
「うん! 美味しいです!」
「これが王都の流行りかー。すごいね」
「ええ。確かに美味しいわ」
ヘレンもニコニコ顔で美味しそうに食べており、満足そうで良かった。
「なんか今日はゆっくりですね」
「今日はそれがコンセプトさ。前回はちょっと急ぎすぎたし、足が痛かったでしょ?」
確かに痛かった記憶があるな。
でも、今日は休み休みだったし、痛くない。
「こういうのも良いですね」
「でしょ? 私達はさ、あまり外に出ないし、こういう時になるとはしゃいじゃうんだよ。それとジーク君とアデーレはもうちょっと余裕を持つべき」
言わんとしていることは今日でわかった。
「昔、本部長に生き急いでいるって言われたな。初対面の時だったけど」
「初対面でそれを言われることある?」
あったんだな。
「私は別に生き急いでないと思うけど」
「アデーレは真面目すぎだよ。悪いことじゃないけど、休みの日ぐらいは羽を伸ばそうよ」
「そうね……じゃあ、私のヴァイオリン……やっぱりいいわ」
アデーレがちょっと赤くなり、遠くを見た。
「鑑賞会する?」
「やっぱりやめたってば。恥ずかしい」
「恥ずかしいレベルじゃないくせに」
確かに上手だったな。
「そういう時にミスをするのが私なの」
「そんなことないでしょ。じゃあ、読書大会でもする?」
「寝落ちするまでやるやつでしょ。嫌よ」
「つれないなー」
レオノーラが楽しそうにアデーレのほっぺたをつついた。
その後も町を巡ったりしながらゆっくりし、夕方にはホテルに戻ると、皆で夕食を食べた。
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まだ書籍を読んでいない方もこの機会にぜひ読んで頂ければと思います。
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