A Notorious Villainess Enjoying a Life of [Talentless and Incompetence] in Her Third Life – Chapter 237

「いたい！

いたい！

まって！

いたい！」

「おーっほっほっほ！

待ちませんわよ！

いわしあげて差し上げますわー！」

「ギィヤアアアアア！」

バチンバチン音をさせながらハリセンを振るう実妹……当初の宣言通りいわしあげている様は、実に楽しそうだ。

これまでの義妹への何かしらをぶつけているかのようにしか見えない。

後ろで魔法呪が火にまかれながらずっと叫んでいるが、見向きもしないあっぱれな集中ぶりだ。

脚に貼っていた札が爆発した効果がやっと現れたのか、１度倒れると難しいのか、走り回る事は無さそうだ。

念の為レジルスも俺も何かあればすぐに実妹を引きはがせる距離に移動した。

そんな状態だが、実妹はそれはもう爽快な、淑女じゃなく悪ガキ的な顔だ。

起動ワードも言っていないし、ただやりたいだけだろ、それ。

札は１度言えばずっと起動し続けるが、ハリセンは違うよな。

音だけはバッチン、バッチンそれっぽく鳴ってるけど、完全にツッコミ用具にしている。

魔力の温存とかじゃなくて、祭りを開催したいだけだろう。

シエナはまだ黒さはあるが、いくらか色が抜けている。

他の半透明なのと違って内面の禍々しさも抜けて、今は子供のように怯えて泣きそうな顔だ。

改めて見ると魔力体でもないように見えるが、これが魔法呪というものなのか？

黒い花が燃えて叩かれてボロボロだ。

何より気づいていないようだが当たっているのは地面の方でシエナではない。

怯えてないでいい加減気づけ。

色々やかましい。

「ギィヤアアアアア！」

「まったくこの子は人様に迷惑かけ過ぎですのよ！

おバカちゃん！

お尻があったらペンペンものでしてよ！

出しなさい、お尻！

この！

この！」

「ごめんなさい！

ごめんなさい！

ごめんなさい！」

いや、お前が蔦をぶった斬ったから、多分もう出てこないぞ。

シエナはとうとう謝り始めた。

そしてやっぱり後ろの魔法呪がずっと火にまかれて叫んでいるのを完全に無視する方針らしい。

「ぎゃああああ！」

「よろしいこと！

死にたくないのも、生きたいのも、生き物として当然の願望だからそこに文句はありませんわ！

ですが他人の魔力を奪うだけに留まらず、孵化に焦ってこんな大事にさせた挙げ句、未熟な体で外に出て寿命を縮めるなど言語道断！」

「ごめんなさい！

ごめんなさい！

ごめんなさい！」

ん？

実妹は何を言い始めた？

バシンバシン効果で聞き漏らした。

後ろの叫び声がちょっと落ち着いてきたな。

「ぎゃあ、ぎゃあ……」

「しかもあんな未熟で半端なヒドインに体を盗られて自分は呪力コーティングして密度スカスカなヒドイン魔力のクズ入れに魂移しをするなら、初めから足掻かずに逝った方が余程マシというものでしたわよ！

このままなら結局死ぬのも時間の問題でしょう！」

「ごめんなさい！

ごめんなさい！

ごめんなさい！」

ヒドインとクズ入れに注意がもっていかれて内容が……。

火が少し弱まってきたからか、短く……呻いているのか？

よく聞くとあの魔法呪の方も少し前のシエナのように声がブレている？

「体が爛れて内臓から腐る痛みをものともせずにあなたの体に居座って、見栄に固執して欲望に忠実なあのヒドインの方がよっぽど根性ありましてよ！」

「ごめんなさい！

ごめんなさい！

ごめんなさい！」

え、ちょっと待て……今、重要な事をサラッと……。

後ろは完全に火が鎮火しているが、震えているから死んだか呪いが無効化はしていない。

「あなたが生きたかった体から逃げてヒドインに体を乗っ取らせたお陰で立派なドロドロ魔法呪が完成したではありませんか！

何を自分で自分にとどめを刺しておりますの！

現状まだ生きているなら反省なさい！」

「ごめんなさい！

ごめ……う、う、うわーん!!!!」

「ぎゃあっはっはっはっ、ぎゃはははは!!」

こっちは泣き始めて、あっちはブレた声で頭に響く嗤いを始めたぞ!!!!

というか、お前は何をツッコミがてらぶっこんできた!!!!

「せいじゅうよ！

わたしはせいじゅうになったの！

おうさまよりもえらいのよ！

あはははははは！」

お前は王妃になるくだりをどこに落っことしたー!!!!

いつもご覧いただきありがとうございます。

ブクマ、評価、感想はありがたく受け取っております。

カクヨムにて新作投稿しております。

そのうちこちらにも投稿すると思いますが、多分先になります。

よろしければのぞいてやって下さいm(_ _)m

タイトル↓

【太夫→傾国の娼妓からの、やり手爺→今世は悪妃の称号ご拝命〜数打ち妃は悪女の巣窟（後宮）を謳歌する】

https://kakuyomu.jp/works/16817330649385028056