A Notorious Villainess Enjoying a Life of [Talentless and Incompetence] in Her Third Life – Chapter 35

「ラビが月影の代理ってすぐ信用されたの？

それに表立ってラビが出るのも悪評があるからまずかったんじゃない？」

「ふふふ、そこは関わる人達全員に秘密にしてもらう誓約魔法も月影の名の下に使っているわ。

それに無才無能で学園では悪評が囁かれる婚約破棄されそうな私でも、腐っても四大公爵家の公女様よ。

一応それっぽい隠れた人脈があっても元来不思議ではないと思うの」

でも商売は信用を売る仕事でもある。

月影も含めてそれに関わる人達は私の存在をできれば黙っていたいのよ。

ふふふ、利害が一致した瞬間ね。

「お陰で流通させる為の名のある商会や社交界に影響のある上位貴族にも興味を持ってもらえたわ」

綿花の魔獣避けの魔法具の材料も学生が作って腕を磨く為っていう建前で１年と４年のＤクラスの魔法具師全員を補って余りある程度にタダで提供してもらえたの。

余った物は在庫として取り置きできたし、１年生が卒業する年に在庫が残っていれば、精度を然るべき場所で検証した上で正規販売して研究費の一部に補填して良いそうよ。

嬉しい誤算ね。

「結局材料費もほぼ０だっけ？」

「んふふふふ、そうね。

お得よね。

補助金を使ったのはコネでタダ同然に安く仕入れた一般向けシュシュの布地くらいじゃないかしら？

売り上げの一部は学園の名前で教会に寄付したけれど、それは別の形で先にプールされていたからよ」

「学園の基本理念に沿ったってわけだ」

「ヒエラルキーの上位貴族みたいにプライドでご飯を食べるっていうのをＤクラスも味わえて良かったわ」

「それでぼったくりシュシュも売れたんでしょ」

「んっふふふふふふ」

「ラビ、前世の庶民的感覚がお得とかタダって言葉に顔が引きずられてるよ。

悪徳商法してる人みたいな顔だ」

キャスちゃんのちょっぴり引いたお顔を目にして我に返ったわ。

「あらあら、ついうっかり。

そうね、教会効果もちゃんと使わないともったいないし、本来なら災害が起きた時に無償で炊き出しなんかをするべき教会がさぼったのだもの」

「確かに理由がお布施が少ない地域だった、なんて有り得ないね」

「そもそもお布施は近隣含めてその地域なりにしてたのよ。

ちゃんと働かせた上でその働きに見合ったお布施をシュシュの売り上げからわざと学園と１年、４年Ｄクラスの連名でするように仕向けたから、サボっていたのが露見してザマアってやつね。

学生で気づいた人は少ないでしょうけれど。

教会は教会の本来の役割をこなしてくれないと、それこそ信仰心ていうのが薄れて悪魔がこんにちはしちゃうんだから、許せないわ」

「ラビ……」

あら、いけない。

うっかり本音がこんにちはしちゃいそうになったわ。

「まあまあ、そんなお顔しないで欲しいわ。

大好きよ、キャスちゃんも、他の皆も」

愛らしいキャスちゃんに悲しそうなお顔は似合わないわ。

白い頭をよしよししちゃう。

「デザイナー月影の代理以外は隠れてたし、月影も上手く使えたわ。

インフルエンサーの自尊心や立場を上げる為のチャリティー仕様のキャスちゃん曰くぼったくりシュシュも先に注文を受けていたし、月影が懇意にしている商会の方から教会に連絡して、形式的な土地の浄化の祭礼と今更な炊き出しでしょう。

あとあの布の切れ端10枚もどさくさ紛れに祭礼で祈祷して貰えたわ」

綿花栽培は教会に無償の土地の浄化をお願いした上でチャリティを前面に押し出したの。

もちろんぼったくりシュシュに使う切れ端も教会の祈祷済みと宣伝してあるわ。

お陰で既にお針子としてアルバイトに勤しむ１年Ｄクラスの女子達が縫ったぼったくりシュシュも金貨１枚、約10万円で売れたわ。

普通のシュシュは孤児院の子供達と一緒に縫ったとわざとアピールして来賓や来客の立場ある貴族達の購買意欲も煽れた。

そういう人達は大小様々なノブレス・オブリージュを掲げるもの。

ついでに売り子とは別にヘアメイク部隊を発案しておいて良かったわ。

どちらかというと新しもの好きな新興貴族や平民の富裕層向けのデモンストレーションのつもりだったのよ。

でも月影が譲渡してくれたヘアアレンジを含めたデザイン画を飾っておいたら、思惑通りにインフルエンサーな幾人かが真っ先にお願いしてくれてね。

中には学園のＡやＢクラスの女子もいて、後に続く学生も予想外に多くいたの。

Ｄクラスの彼女達がヘアアレンジをしながらほくそ笑んでいたのをのぞき見したわ。

勝った、何かに。

ふふふ。