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A Notorious Villainess Enjoying a Life of [Talentless and Incompetence] in Her Third Life – Chapter 636

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ラビアンジェ視点です。

ミハイル視点だとどうしても説明をつけられない(^_^;)

「時間だな。

月和、さよならだ」

影虎はそう言うと、腕を離して私の横を通り過ぎる。

思わず振り向きそうになった私を、影虎は背中から抱き締めてから、また背中を向けたのがわかる。

けれど今度は大きな手が後ろ手に、私の左右の手をそれぞれに繋いだ。

前世よりも広く感じる背中に、トンと自分の背中が当たる。

いつの間にか、姿がラビアンジェに変わっていた。

「振り向くな、ラビアンジェ。

俺だって名残惜しいんだ。

前向いてろ……な?」

互いに指を絡める。

……そうね。

振り返れば、私も影虎も離れられなくなるわ。

もちろん影虎の心臓発作で突然だったけれど、長く連れ添って、天寿を全うした形でお別れしたのだもの。

泣くほど大きく感情は揺れない。

それでも再び顔を合わせてしまったら、離れたくなくなる。

それくらいには、2度目のお別れも堪える。

何より既に終わりが見えていた、1度目のお別れとは違うもの。

今世の先は、きっとまだ長いはず。

「……ええ、さよならね」

わかっているから、振り向かない。

けれど思わず搦めた指先に、力を入れてしまった。

だってあまりにも名残惜しい。

大きな手が、同じように握り返してくれて。

それが嬉しいのに……寂しい。

「ああ。

また、いつか会おうな」

「え?」

思わず戸惑いが漏れる。

また、なんてないと知っているはず。

だって影虎の魂は、元の世界に還る。

そして私の魂が、この世界から出る事は……もうない。

けれど刹那の感傷で、守れない言葉を口にする人じゃない。

約半世紀連れ添って、わかっているからこそ、何故と思ってしまう。

「2度ある事は、3度ある。

でも4度あったら、それはもう必然っつうだろ?

だから俺達は絶対また会える」

「……4度?」

意味がわからなくて、聞き返してしまう。

1度目は、婚活アプリを介して知り合った。

2度目は、今。

月和として死別したはずなのに、ラビアンジェとして会っている。

なのに、4度?

「俺達が初めて会ったのは、月和が思ってんのより前だったからな」

「……いつ?」

覚えがないわ。

「駅の改札。

情けねえ酔っ払いを介抱したせいで、終電逃した事なかったか?」

「……嘘……」

そんな事をしたのは、3度の人生で1度だけ。

あまりに衝撃的な介抱をしたから、何十年経っても忘れてはいないけれど……まさかあの時の?

「その後、街で飯食ってたら、俺の後ろの席に月和がいた。顔は覚えてなかったけど、声は覚えてたんだ。月和が友達と婚活アプリのモデリングがどうとか話してんのを聞いた」

「……」

何を言えば良いのか、言葉が見つからない。

影虎との出会いは、経営コンサルタント時代。

製作段階から関わっていた、できあがったばかりの婚活アプリだとばかり思っていたもの。

市場調査も兼ねた初期段階の登録で、よく出会えたなと思っていたのだけれど……。

「だから今をちゃんと生きろ。

前の記憶持って生まれ変わったっつっても、余生なんかじゃねえだろう?

またな!」

驚いて指先の力が弛めた途端、影虎がそう言って消えてしまう。

今まで手を繋いでいたのに、忽然と。

なんて……なんて呆気ない……。

「…………そうね、また」

繋いでいた余韻を残す両手を暫く眺めてから、もういない愛しい人に言葉を返す。

思っていたより……寂しいものね。

けれど思っていたより……また、と約束できた事で2度目のお別れを受け入れられるわ。

言葉1つで、不思議なものね。

今世で会う事がなかったとしても……どんな形でも……また、いつか……。

きっともう、影虎を恋しく想いながら、前世で見た古い小説のように、愛しているとは言わない。

「ラビアンジェ……」

あら、この遠慮したような低音素敵ボイスは……。

こちらからは見えていなかった姿が、はっきりと見えるわ。

いつの間にか結界の壁も、お兄様を留めていたディアの氷柱も消えていた。

身動きが取れなかったから、こっそりお兄様を身代わりにしてで、氷柱から脱していたの。

お兄様は、どう声をかけて良いのかわからない、というお顔をしているわ。

「ふふ」

可愛らしいお兄様。

そうね、影虎。

今世の私は、ラビアンジェ。

今度こそ、ちゃんと今を生きましょう。

前々世と前世を生きた後の、余生としてではなく。

いつか影虎と会えるなら、胸を張って生きたと言えるように。

勢いよく走って、兄に抱きつく。

「え……」

「抱きしめて名前を呼んで、お兄様」

私をしっかり抱きとめながら戸惑う兄の言葉を遮って、きっと全ての人生で初めて、血の繋がった兄に甘えてみる。

「……もちろんだ。

ラビアンジェ、お帰り」

「ただいま、お兄様」

「ああ。

ラビアンジェ、よく帰って来てくれた。

学園で死にかけた時、助けてくれてありがとう、ラビアンジェ」

「私の方こそ。

こうして助けに来てくれてありがとう、お兄様」

大きな胸にすっぽり包まれて抱きしめ返されると、今世で初めて……地に足を着けた感覚がした。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

お知らせです!

稀代の悪女4巻が、とうとう発売となりました!

今回も店舗特典にSSを書いているので、よろしければ対象店舗にて購入いただければと!

詳しくはこちらに↓

https://kadokawabooks.jp/product/kitainoakujo/322411000859.html

そして4巻もオリジナルシーン追加や、加筆修正もしまくってます(*´艸`*)

※今回こそ今までで1番、読みやすい文章になっているはず!(当社比……いつも頑張ってはいるんです……)

WEBとはラストも変わり、ミハイルのツッコミも増し増しです!

影虎が!? ラビアンジェのやべえ姿が!? なんて珍事も起こるので、WEBを知っている方にも新鮮に楽しんでいただけるかと(*゜∀゜)

今回も続刊は売り上げ次第だったりするので、書籍版としての悪魔ジャビとの決着や、影虎が本格登場して区切りがつく(予定)の5巻へと繋げていただけると、とてもありがたいですm(_ _)m

よろしくお願いします!

A Notorious Villainess Enjoying a Life of [Talentless and Incompetence] in Her Third Life

A Notorious Villainess Enjoying a Life of [Talentless and Incompetence] in Her Third Life

Notorious No More: The Villainess Enjoys Feigning Incompetence, 稀代の悪女、三度目の人生で【無才無能】を楽しむ
Score 5.6
Status: Ongoing Type: Author: Artist: , Released: 2022 Native Language: Japanese
Once upon a time, there was a princess notorious for being the epitome of incompetence and evil. Driven mad by jealousy after her fiancé was stolen from her, the princess attempted to summon a demon, using the lady who stole him as a sacrifice. However, at that moment, the crown prince, who was her half-brother, rose up and defeated both the demon and the princess. “Hehe, truth is stranger than fiction.” —But that’s fine. As the princess, I was truly healed in another lifetime. Yet, being reborn in the same world and becoming a duke’s daughter, she found herself once again scorned as an incompetent and useless figure. Nevertheless, the duke’s daughter, Labianje Robur, continues to wear a graceful smile and lets the ridicule slide off her like water off a duck’s back. “Because being deemed incompetent and useless has its perks, doesn’t it?”

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