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昨日は時間が取れずに投稿できなかったので、本日はいつもより早めに投稿しています。
「公子、酷いですわ!
ご自分はずっと怒鳴るばかりで何もされてらっしゃらないのに!」
とうとう金髪ちゃんも金切り声で家格君に詰め寄ってしまったわね。
「何だと!
ニルティ公爵家の公子たる俺に口ごたえするとは、わかっているんだろうな!」
「だったら救助を待つんじゃなくて、早くここから出して下さいよ!
蟲に遭遇したら貴方が全て1人で片づけてくれるんですよね?!」
まあまあ、金髪君も後に続けと詰め寄ったわ。
「ペチュリム、お前、この俺に歯向かうのか?!」
「今の公子に何の力や権限があるんですか!
それにずっと何もしていない!
むしろこの2年生達やミナ様の方がよっぽど役に……」
「いい加減にしろ!!」
醜い争いに精を出し始めてしまった一喝したのはもちろんうちのお孫ちゃんよ。
ああ、うちのお孫ちゃんのなんて凛々しいこと。
あちらの世界のアイドルの応援うちわとメガホンでも作っておけば良かったわ。
はっ。
戻ったらそういうの作ってファンクラブ向けに売ってみるのはどうかしらね?!
むしろそういうキットなんて作ってセット販売したら売れないかしら?!
庶民向けの大衆オペラでも使えそう!!
いえ、いくらファンクラブ向けでも貴族にうちわはハードルが高いから、まずは大衆オペラからね!
他にも色々紐づけていけば、販売ルートが無限に広がるわ!!
「公子、確かに君は役に立っていないし、無駄に高いプライドからむしろ足を引っ張っている。
そこの2人も同じだろう」
「「うっ」」
現実を指摘されて一緒に呻いたわ。
金髪組は息がぴったりね。
でも今はそんな事よりも思いついた儲け話に意識が傾くわ。
ああ、まずいわね……お顔がにやけちゃう。
「しかも公子に何を唆されたのかは知らないが、同じグループとなった仲間を貶めた。
そればかりか、意識を操る為に魔法を仲間に使用したし、それを止めようともしなかった」
「俺は唆してなど……」
「「申し訳ありません」」
なんてまだ見ぬ収入に思いを馳せていれば、お孫ちゃんの言葉に意識が引き戻されたわ。
あらあら、ラルフ君が言っていた事は本当なのね。
こんな場所で意識を操るだなんて、その子に死ねと言っているようなものよ。
誰を操ろうとしたのか知らないけど、うちの子達を傷つけるならお婆ちゃんがお灸をすえるわよ!
それにしても相変わらず反抗期な家格君はともかく、金髪組はどうして私の方に頭を下げるの?
下げるなら被害に合ったうちの子達の誰かか、代表としてリーダーのラルフ君にでしょう?
私の身分を気にしているのかしら?
はっ、まさか……私のお顔、とっくににやけていたの?!
やだ、恥ずかしくなっちゃう。
あえて見ないように俯いてくれたって事かしら?!
どっちなの?!
「それは私にすべき事なのかしら?」
「い、いえ、ですが……やはり私が実行した以上、謝罪はすべきかと……」
どうとでも取れるように言って反応を窺えば、おろおろ視線を彷徨わせながら謝罪だと口にする金髪ちゃん。
金髪君も同様に、困惑したお顔になったわ。
思いついた儲け話ににやけた私のお顔をスルーしようとしたんじゃなかったのね。
もう、焦ったじゃないの。
でもそれなら身分で頭を下げる人を選んじゃ駄目。
「あなた達が害意をもたらした当人はもちろんだけれど、うちのリーダーはラルフ君でしてよ。
少なくともラルフ君はリーダーとしてグループの人全てに気を配ってくれているの。
謝るにしても誠意を見せるにしても、グループで行動する以上まずはリーダーに筋を通すものなのではなくて?
討伐訓練なのだから、身分だけで謝罪する人の優先度を考えてはいけなくってよ」
ふふふ、なんだか私、公女っぽいんじゃないかしら。
「奇跡ですね。
きっと本人は魔法を使われた事をわかっていないのに、会話が噛み合っているように聞こえる」
「さすがロブール様です」
ん?
どういう意味?
うちのサブリーダーと眼鏡女子がひそひそ話しているけれど、話の内容の意味がわからないわ。
とりあえず褒められたのよね?
「「………………」」
ラルフ君とお孫ちゃんが無言だけれど、何か言いたそうに私を見つめているわ。
……何故?