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A Thirty-Something Becomes a VTuber – Chapter 274

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6月×日

午前中の予報では降水確率はそれほど高くはなかったのだが、夕方になって突然の雨。それもかなりの雨量で、県内の一部では大雨注意報が発表されているほどであった。傘を持たずに登校した愛しのマイシスターのために車を出してお迎えに行くことになった。一応カバンの中には折りたたみ傘はあるが、流石にこの雨ではあまり意味をなさない。これでびしょ濡れになって風邪でも引いてしまったらいけない。まあ、仮に熱を出して寝込んだとしても私が付きっ切りで看病するんだけれども。おはようからおやすみまで妹の生活を見守るのがお兄ちゃんという生き物なのである。

で、あの子のために車を出すことになったのは良いのだが……

「なんで貴女まで当たり前みたいに付いてくるんですか……?」

「ドライブデート的な? うっわぁ、今心底嫌な顔しましたよね。私だって傷付いちゃいますよ」

「ごめんなさい」

「家族と事務所の先輩以外の人の車に乗るの初めてです」

「タクシーは高いですもんねぇ」

何故だか葵陽葵さんまで同行している。母さんも止めれば良いのに何故か喜んで送り出されてしまったわけだが……「ごゆっくり」だなんて余計な一言まで添えられてしまったけれども、流石に悪ノリが過ぎるだろうと思わないでもないが…………齢三十近くもなって浮いた話のひとつもない息子がいるのは親としてはやはり気になるものなのだろう。ご近所さんからもいつまでも実家にいて、どこか性格や人格に問題があると飛躍した風に取られる可能性もなくはないわけで。それこそ一昔前ならそういう風潮は余計に強かっただろうが、昨今の晩婚化等で割と気は楽にはなってはいるが。

「あ、雫ちゃんに勘違いされたくない――ってやつなんですよね。うんうん、分かります分かります」

「妹、怒ると怖いですからね。あの子、私が女性と何かあるとすぐ不機嫌になっちゃうので……いやぁ、愛されてるなぁ、えへへ」

「心底嬉しそうに語っちゃってまぁ……しかしこの人本当にブレない。対妹ちゃんのときだけ防御貫通するのは一貫してる。あと多分あの子が女性関係で不機嫌になるのは主に女性遍歴の関係で警戒しているせいだと思う訳ですよ」

葵さんのご指摘通りなのは私だって自覚している。特に私の心にずっと昔も、そして今も爪痕を残している彼女は妹とも仲が良かったと記憶している。少なくともあの子は本当に実の姉のように慕っていたので、きっとそれが尾を引いているんだと思う。それに関しては私も同様なので、兄妹揃って手痛い教訓を得ることとなった。きっと私がもっと上手く立ち回っていたら、こんな結果にはならなかっただろう。少なくとも円満な別れとなっていたはずだ。

ともあれそんな経験もあって、私と仲の良い異性が現れると警戒モードへと移行するのが常となったマイシスター。あの出来事が無ければ単純に私に女性の陰が見えると、大好きなお兄ちゃんが取られてしまうというラブコメ作品とかでよく見る嫉妬イベントと解釈できなくもなさそうだが……生憎とそれとはまた別系統だ。本気で私の身を案じて心配してくれているのだから、ある意味本質的には近しいものがあるのかもしれない。シスコンの兄からすると悪い気はしない。

「高校の近くお迎えの車でいっぱいだ」

「皆さん考えることは一緒ということです」

「雫ちゃん、SNSだとお迎え来るって聞いて喜んでたそうですよ。クラスメイトちゃんが呟いてる……って、妹の親友ちゃんも企業のVTuberさんなんでしたっけ? 私含め周囲にVばっかじゃないですか」

「世間は広いようで狭いとはよく言ったもので……私自身も驚きでしたけれども。あっ、今出てきましたね」

「なんでこの距離で瞬時に分かるんだろう、この人」

妹らしき人影が折りたたみ傘を広げてこちらに一目散に走って来る。どうやらあっちもこちらの方をすぐに捕捉したらしい。もしかしたら教室の窓から到着を今か今かと待っていたのかもしれない。もっと早く家を出るべきだったろうか。そしてもう1人、同じくらいの体躯の女の子がマイシスターに追随するように駆けていた。つい先程葵さんとの話題に上がっていた妹の親友であり、所属VTuber全員が女性Vで構成されているバーチャルタレントグループSoliDlive所属の十六夜 真嬢だろうか。ついでに乗ってく? みたいな話の流れになった事を何となく察する。バッグの中から予めこうなる可能性を考慮して持って来ておいた、大きめのタオル2枚を取り出す。念の為タオル多めに持って来ておいて正解だったな。

「お兄ちゃん、ありがと……この子も家の近くまで乗せてってあげて」

「お兄さん、お久しぶりです」

「はい、タオル。少し濡れてるだろう」

「ん」

「ウチの分まで……? めっちゃ気が利く。さすがお兄さん」

身内が1人いるとは言え、女性V3人を車に乗せるだなんてこの事実が明るみになれば盛大に炎上する未来が見えてしまう。とは言え、大事な妹の親友をこの天気の中1人置いておくことなんてできるわけもない。そもそも彼女のお母様ともいつぞやの一件で顔を見知っているので尚更にそんなこと出来ない。

「はろはろー」

「どなた?!」

「なんで葵さんがここにいるの……お兄ちゃん、説明して。今すぐ。早急に、直ちに」

「ドライブデートの途中なの」

「すぐ分かる嘘吐かないでくださーい」

「あれあれ~、大好きなお兄ちゃん取られちゃうからかなぁ」

「お兄ちゃんの困り顔見たら嘘なの丸分かりだから」

「この兄妹ある意味怖い」

「だからどなたぁ!?」

後部座席に乗り込んだ2人に対して、助手席に座った葵さんが妙なテンションの高さで挨拶をお見舞いするが、初対面なので当然困惑する十六夜嬢。自分のSNSをどこぞの黄門様の印籠のごとく見せ付けて何故か今勝ち誇ったようなドヤ顔で自己紹介を始めていた。わざわざSNSを見せたのは一応成りすましでないことの証明なのだろうか。ある意味名刺代わりみたいなものか。かれこれV活動をはじめて結構経つが名刺交換するような機会は案件時くらいだろうか。一応自作の名刺は作成してはいるけれど。一方でそんな様子を呆れた顔で応対するマイシスター。この2人も顔を合わせている回数としてはそれほど多くはないのだが、随分と砕けた様子で仲良くなっているような気がする。やはりチャットアプリ等でのやり取りを頻繁に行っているのだろうか。

「はじめまして。葵陽葵。声優兼VTuberやってます。彼女です」

「嘘でしょ!」

「自己紹介されたけど結局よく分かんない件」

十六夜嬢も気の毒だなぁ、と思いながらも周囲にはどんどん他保護者の皆様の車も増えつつあるので邪魔にならないようにさっさとこの場を去る事としよう。取り敢えず車を出すが、ふと十六夜嬢のご自宅がどの辺りだったかを知らない事に気が付いた。

「お家どの辺なのかな?」

「お兄ちゃんもうちょっとこう……聞き方ないの?」

「わぁ、ナンパだ」

「え? ウチ今ナンパされたの? いやだなぁ、ウチにはもう心に決めた柊さんって人がいるのにぃ」

「誤解だよ?!」

これ以外にどういう風に聞けばいいんだい、女性陣の皆さん……それにこの場はある意味関係者しかいないから問題ないだろうに。あとサラっと十六夜嬢が中々の爆弾発言をしている気がするが、彼女の言う『柊さん』というのは我があんだーらいぶの私のよく知る人物に違いないはずだ。まあ、彼はそのくらい好意を向けられるのは当然の結果を残しているのだし、何らおかしいところはないが。

「じゃあ、ちかくの商業施設のフードコートでちょっとお茶しましょうか。お姉さんが奢ったげる」

「行きます!」

「う゛……」

葵さんの提案に即答する十六夜嬢に対して、我がマイシスターが何かに迷う素振りを見せていた。実兄と親友と最近仲良くなった同性のお姉さん同伴でお出かけと言うのは確かにハードルは高いかもしれないな。夕飯前なので控え目にはしてほしいところだが、こう言うのも青春の1ページとして大事なイベントだろう。私はそう言うの全然なかったから、後々になって友人関係や他人との縁と言うものの大切さを嫌と言うほど思い知らされた。一応母の方にはその旨メッセージを飛ばしておくことにした。帰宅するタイミングでお風呂にすぐ入ってもらえるように調整しておこう。

「あそこにキャラメリゼしたカスタードクリーム入ったクレープ出すお店あるんだよね」

「じゃあ行く……」

これまたあっさり折れたなマイシスターよ……

「うふふ、これ本格的にデートですね」

「以前都内でこちらがご馳走した件気にしてただけですよね?」

「………ぴゅー」

「口笛吹けてないですよ?」

以前事務所帰りに葵さん、月太陽コンビ――ブラン嬢、日野嬢とエンカウントしてその流れでお茶会したあの件で会計を済ませた件を気にしていたのだろう。思い付きで指摘したところ、図星のようで唇を僅かに突き出して口笛を吹いて誤魔化すような素振りをしていた。これっぽっちも吹けていないけれども。

「ねぇ、これ本当に付き合ってないの?」

「ない!!」

「ブラコンだねぇ」

「違うもん!!」

そんなマイシスターと十六夜嬢のやり取りをBGM代わりに車を近場の商業施設へと向けるのだった。たまにはこう言うのも悪くはないだろう。ちなみに葵さんの存在を明かしていない形ではあるが、マイシスターと十六夜嬢によって微妙に濁しながらもこの模様が投稿されて結構荒れた。

◇◆◇◆◇◆

あんだーらいぶを語るスレ XXX配信目

487 名無しのライバー ID:8z2+OGfD1

悲報 コンちゃんの配信スマホ未だ見付からず

488 名無しのライバー ID:lZsOBADVO

以前のニートと同じように冷蔵庫ってわけではなかったか……

489 名無しのライバー ID:kymzeHEdi

スパチャコメ参照して探すから

結構スパチャ飛んでて草

490 名無しのライバー ID:bzwmUVcuD

新手の手法やな……(困惑)

491 名無しのライバー ID:Hz1qV21Ta

で、脱サラはどうなったんですか?

真ちゃんを送り狼したんですか??

燃えないんですか???

492 名無しのライバー ID:pgeLz3NhN

そう言えばそんな話題もあったな

493 名無しのライバー ID:svvZLR1Tx

雨でお迎えに行ったついでに

妹ちゃんのお友達(真ちゃん)もって感じだな

494 名無しのライバー ID:MoBthread

ワイはもう脱サラを許せねぇよ……!!

――――――――――――――――――

神坂雫@kanzaka_shizuku

帰りにちょっぴり寄り道!

美味しい!!

pbs.twimg.vcom/media/crepe

――――――――――――――――――

十六夜 真@makoto_solidlive

クレープ美味しい!!

皆でちょっとずつ交換したりなどした

――――――――――――――――――

495 名無しのライバー ID:9CovqW0hl

>>494

あ……

496 名無しのライバー ID:rR3NhTt9w

>>494

これもう燃えても文句言えないよね

497 名無しのライバー ID:oSDZ/gyi1

>>494

脱サラ羨ましすぎるだろ

498 名無しのライバー ID:vLhj4me1Z

>>494

何サラっとJK2人連れて

デートしてんだ、こいつぅ!?

499 名無しのライバー ID:cIDnE7aXY

>皆でちょっとずつ交換したりなどした

その皆って脱サラも入ってる?

500 名無しのライバー ID:wZpBI+PhW

学校帰りの制服女子高生と

クレープ食べて帰るとかなんだそれ……?

501 名無しのライバー ID:jLHOitnKk

控え目に言って羨ましい

502 名無しのライバー ID:ZY5gE8LJL

雫ちゃんにデレデレで

多分真ちゃん見えてなさそう(小並感)

503 名無しのライバー ID:zGyigKVJO

クレープ焼く練習はじめそう

504 名無しのライバー ID:oDf6R5T50

なんならもう作れそう

505 名無しのライバー ID:FHmzKK9Em

これソリライさんのファンガチギレしない??

506 名無しのライバー ID:F28rGi1Ie

賛否はあれど話題にはなってる

507 名無しのライバー ID:pGnAC34dK

送ってくれてありがとう勢

許せねぇ勢

神坂怜って誰?勢

に大別できる感じ

508 名無しのライバー ID:f7O+rusph

まあ実妹いるから

そこまで荒れない……よな?

509 名無しのライバー ID:MmwX+hkUV

既に直近の動画に低評価爆撃がはじまっています……

510 名無しのライバー ID:38ZjIQ0hH

今月早速マンスリーミッション達成か

511 名無しのライバー ID:ZxRnw83Qg

ゲームのマンスリーミッションは

月初めに終わらせたい民もこれにはニッコリ

512 名無しのライバー ID:0oBpK+YWs

脱サラの炎上をマンスリー任務扱いするのやめたげてよお!

513 名無しのライバー ID:V9freomT8

でも今月は月初に燃えてるから

月末にも燃えそうやな

514 名無しのライバー ID:APEqEP0Uk

常にアンチに粘着されてるから

ずっと延焼はしてるけどな

515 名無しのライバー ID:7964IV15N

朗報 配信用スマホ捜索に女帝参戦!

516 名無しのライバー ID:akI3G+VvF

後輩の家に探しに来てくれたのか

517 名無しのライバー ID:bZJa6hYoi

流石女帝だぜ!

518 名無しのライバー ID:hAaCrtfO3

やさC

519 名無しのライバー ID:f4RplT3Dw

女帝高評価

520 名無しのライバー ID:/LFVizFNm

いや……あの……

女帝もスマホなくしただけなんです……

521 名無しのライバー ID:/1JRilkWQ

あっ……

522 名無しのライバー ID:oyEWq+cIc

参戦ってそう言う……

523 名無しのライバー ID:h93sy6Hu0

ちょっと感心したワイの感動返して

524 名無しのライバー ID:a43RNW3My

女帝低評価

525 名無しのライバー ID:fEfERMJzT

よりによって何で最古参のお前がなくすんだよ!

526 名無しのライバー ID:AtJkYuaeH

ニートとか何度もなくしてるやん

527 名無しのライバー ID:ltO2n88U7

き、きっと

後輩がスマホなくした事に気に病まないように

してるだけなんだよ!!

528 名無しのライバー ID:XTQpKohiB

女帝緊急通話参戦!!

女帝「私もなくしちゃった☆彡」

コン「仲間だ!」

女帝「絆パワーで見つけ出すぞ!」

コン「おー!」

猫「もうやだこの箱……」

529 名無しのライバー ID:9NDfTWSp1

530 名無しのライバー ID:5NpkV9Yk+

猫ちゃん

これがあんだーらいぶや!

531 名無しのライバー ID:452w2BpCk

速報 コンちゃん米櫃から発見!!

532 名無しのライバー ID:gNxJyghes

米櫃は草

533 名無しのライバー ID:9zYX9NCxH

こwwめwwびwwつww

534 名無しのライバー ID:of7Z3vzuI

なんでそんなところにスマホがあるんだよ?!

535 名無しのライバー ID:TCmpIvyLm

なお女帝居残り個人探索編開始

コン「よし、配信終わるか」

女帝「待って、私まだ見付けてないんですけど?」

猫「お疲れ様でしたー」

コン「おつー」

女帝「裏切者ォ!!」

536 名無しのライバー ID:CXojSenrk

草ァ!!

『アラサーがVTuberになった話。』書籍版6巻、コミカライズ版3巻発売中です。

リアルスパチャ頂けますと幸いです。

書籍版7巻は9月29日発売予定。

書籍版7巻は書下ろし、加筆約15万字です。対戦よろしくお願いします。

7巻の予約開始されていますが、限定版の有償特典付きもございます。

情報解禁次第別途お知らせ致します。

書籍版

■メロンブックスさん

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=3172426

■ゲーマーズさん

https://www.gamers.co.jp/pd/10826517/

コミカライズ版

限定版の特典付きがございます

■メロンブックスさん

アレイナ・アーレンス アクリルフィギュア

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=3080224

■ゲーマーズさん

柊兄妹 アクリルフィギュア

https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10815556/

KADOKAWAさんのラノベWEBマガジンの『メクリメクル』の創刊記念で本作も協力させて頂いております。

サイン&イラスト入り複製色紙プレゼントキャンペーンやっています。

https://x.com/mequrimequru/status/1945654247212941772

また、書籍版7巻は秋頃を予定しています。

【6巻特典情報】

■メロンブックスさん

・6巻有償特典『女帝とニートの雑談』

・6巻通常特典『霧咲季凛 冬のお出かけ』

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2858940

■ゲーマーズさん

・6巻有償特典『柊冬夜と新戸葛音の立ち話』

・6巻通常特典『酢昆布 犬の散歩』

https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10784300/

■アニメイトさん

・6巻特典『イラストカード』

https://www.animate-onlineshop.jp/products/detail.php?product_id=3061427

■BOOK☆WALKERさん

・6巻購入特典「で、結局誰なの……?」

https://bookwalker.jp/de20f47faa-f6af-4423-9e02-a85d519691a4/

コミカライズ版連載開始しています。

次回更新は8/30更新予定です。

https://comic-walker.com/detail/KC_005559_S?episodeType=first

A Thirty-Something Becomes a VTuber

A Thirty-Something Becomes a VTuber

アラサーがVTuberになった話
Score 4.6
Status: Ongoing Type: Author: Artist: Released: 2022 Native Language: Japanese
After quitting a toxic, overworking job on the brink of burnout, I, a thirty-something, somehow ended up becoming a VTuber named Kanzaka Rei under the virtual talent agency “UnderLive,” all thanks to my little sister’s persuasion. “I don’t really get this VTuber thing, but I’ll give it my all!” I thought, brimming with enthusiasm. However, in the female-dominated world of UnderLive, just being a male VTuber gets me bashed by viewers. To make matters worse, on just my second day, a fellow debutant causes a massive scandal, leading to their firing! Will this thirty-something VTuber, swarmed by haters, have any future at all!? …Well, it’s probably still better than working myself to death, right?

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