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A Thirty-Something Becomes a VTuber – Chapter 277

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6月×日

「おはようございま――す?」

マネージャーの窓辺さんとの定期打合せのために事務所にやって来ていたが、どうやらその打ち合わせとは別件で急な相談事もあるとか……何か問題でもあったのだろうか? 何事も無ければ良いのだけれども。事務所に到着して早々とある人物たちと遭遇してしまったのだった。私が到着した事に気が付いたのか、2人の少女はパァっと笑顔と言う名の表情を咲かせてみせた。まるで我が家の天使様――愛しのマイシスターがおやつを目の前にした時のようで、それを思い出して思わず笑みがこぼれてしまいそうになるがぐっと堪える。こんなところでそんな表情を見せては彼女達にまるで邪な感情を抱いているように捉えられてしまうやもしれん。

日野嬢とブラン嬢――昨年デビューながら我があんだーらいぶ内ではすっかり稼ぎ頭として活躍している。現役高校生で高校に通いながら活動を続けている2人だ。今後受験勉強だとか進路によっては活動も中々難しくなってくる事を思うと、他人事なのに胃が痛くなりそうだ。とは言え将来を決める大事な岐路が近付いてきているわけだし、何か相談を受けるような事があったり、困っているような様子があれば1人の大人としてしっかりと応えてあげたいところだが……胸を張ってそう言うの出来るような人生歩んでないんだよな、私の場合。

ある意味反面教師としては優秀だと言う自信はあるけれども。2人共年内には大台である登録者10万人を達成するだろう。先述したようにリアルでの生活が忙しかったり、長時間の時間を割くことが難しかったりと配信頻度が落ちているとは言え、私よりは全然登録者増加のペースが速い。彼女たちの場合はファンの作った切り抜き動画などのおかげで、配信をせずとも新規のファンがじわじわ増えると言う理想の流れに乗っている。このまま是非とも突き進んで頂きたいところだ。

日野嬢は手鏡を、ブラン嬢はスマホのインカメラを鏡代わりにして身だしなみのチェックを手早くはじめていた。この辺はやっぱり思春期の女の子なんだなぁ、と微笑ましく思えてしまう。うちの妹が他所の男相手にこういうことをやっているのを見たら数日寝込む自信があるけれども。ただ相手が誰であれ、人と会う時は気を配ったり気になってしまったりするものなのだろう。私だから特別、と言う事では多分ないと思うが……

確かに私も前職で先方に伺う前には必ず鏡の前で身だしなみを整えてから面会するようにはしていたしな。デビュー直後に私がお節介を焼いてしまったことを起因として、無駄に私に対して勘違いの好意、あるいはある種の申し訳なさをズルズルと引きずってしまっているわけだ。これじゃあ、彼女たちのファンから批判されても何の文句も言えない。彼女達の弱みに付け入って利用したみたいなものだしなぁ……私にそういう気がこれっぽっちもないことを理解した上でやっている節はあるのだろうけれども。

「怜先輩!」

「怜さん!」

やがて彼女達の身だしなみチェックタイムが終了したのか、わざわざ私の方まで走って来る。動きが軽いな。これが若さか。こう言う天真爛漫なところも彼女達が人気な要因の一端であるのかもしれない。実際こう言う子たちに慕われているのも悪い気はしない。よくできた後輩。私よりもずっとずっとこの箱の利益に貢献している訳で……逆に見習わなくてはならない点が多いくらいだ。

打ち合わせのお相手だった彼女たちのマネージャーさんが苦笑いしている表情が視界に入ってしまい、アイコンタクトで「申し訳ないです」と言う念を込めて片手で手を合わせるようなポーズを取ってみる。伝わったのかは分からないがマネさんがぺこりと頭を下げていた。時間帯的には午前中の早い時間帯なので、偶然被ってしまったのだろうか。普段あまり顔を合わせないように平日に設定することが多かったのだが、私は兎も角としてお相手である窓辺さんにも色々ご事情があるのだ。自由な時間が多いこちら側が多忙な方のスケジュールに合わせるのは至極当然であろう。

「2人共こんにちは。今日は打ち合わせ?」

「こんにちは! はい、案件の打ち合わせです」

「怜先輩もやってたあのソシャゲのPR配信です」

「あー、あのゲームの」

昨年9月頃に私と柊先輩が案件配信をやらせていただいた、あのソーシャルゲームのようだ。あんだーらいぶに限らず他社のVTuberさんやストリーマーさんなどにも定期的にお仕事を振っているようで、こちらからすると最早お得意様のような感じだろうか? ソシャゲ界隈と言うのも中々厳しいもので、中にはサービス開始から1年と経たず、早ければ数か月、数日の間にサービス終了が発表されてしまうケースもある。そんな中で本ゲームは非常に好評を博しており、大型アップデートで新ストーリーや新キャラクター実装の度にSNSのトレンドの上位に入り込むくらいだ。そんな成功の一助になってくれていれば、こちらとしても嬉しい限りだ。

「こっちはこっちで打ち合わせがあるし、また後で――」

「いえ、神坂さん……実はですね…………今回お呼びしたのはこの件に関してなんです」

「はい……?」

私のマネージャーの窓辺さんが何やら気まずそうな表情。はて、案件関係で何かしら問題でもあったと見るべきか……本来定例の打ち合わせのみだったが、その日程が決まった後で急に問題が発生し、たまたま事務所に来訪していた私に対して何かやって欲しい事があると言う事なのだろう。

「本日の配信は近々配信予定の大型アップデートの情報などを交えた形で行う予定となっておりまして」

「ああ、そうでしたね。久しぶりのメインストーリー追加とかで色々盛り上がっていますよね」

「ええ……公式からゲームプロデューサーさんが出演してその辺りの説明等々を予定していたのですが、急な体調不良ということで出席が出来なくなってしまったと言うことでして」

「それはまた……大きな病気や怪我とかではないんですよね……?」

「ええ、そうした重いものではないみたいですが……その欠けてしまった穴を神坂さんの方で埋めて下さらないか、と先方からご依頼がありまして」

「所謂代打出演ってことですか?」

「有態に言えばそうですね。勿論出演される分追加で出演料はお支払いしますし、無理ならゲーム開発チームから何とか代打を出すと言う形にはされるそうです」

「成程……そういう事ですか」

当日中にプレゼンの代理発表となると非常にハードルが高い。しかもこれまでの公式配信でゲームプロデューサーさんが出演する場合は顔出しだったので、それを踏襲するのであれば他ゲームスタッフさんが同じように出演することとなるわけだろう。声だけの出演であったり、用意した台本をブラン嬢と日野嬢に読み上げてもらう――というのもあるだろうが……特に後者は未成年の子たちに本番当日いきなり頼むにはあまりにもハードルが高いだろう。前者は前者で本来ゲームを作る側の人がこうした場面で突然出演するとなると確かに困る場面ではあるが、普通はこちらを選択するのがベターなところだろうか。

「本来であれば先方に代理の方を立てていただくのが一番かと思いますが……確かに案件後もゲームは引き続き楽しませて頂いていますが、やはりあくまでも現行の知識しか持ち合わせていないのでアップデート情報となるとこちらとしても初聴になってしまいますし……いや、別にやりたくないとかそう言う訳ではないんですよ?」

「いえ、先方の方が灯ちゃんとルナちゃんと一緒に配信してるのをどうしても見たいんだって熱弁されまして」

「えぇー……滅茶苦茶私情じゃないですか、いや、それ大丈夫ですか?」

「カプ厨なんで見たいんです。出演依頼したウチのせいにしとけば大丈夫です! だそうです。社内での許可は既に取ってあるとか。後は――神坂さんなら誰よりも上手くやって下さるという信頼感があるので……だそうですよ」

「む…………」

わざわざ後輩ちゃんズと絡むことで発生するであろう、批判の声を自社の依頼でやったと言う事にしておいてくれというケアまで考えて下さっているとは……それにこの土壇場で信頼して任せて下さると言うのも、それだけ信頼されていると言うこと。であるならば、その信頼には応えてあげたいし……今のこの会話に同席している後輩たちの表情を見ると先程の満面の笑みから一転してどこか不安そうな表情。ああ、そうか――私が断ると、この子たちは急いで代理出演するゲームスタッフとの打ち合わせなどが待っているのだろう。それと比べると多少なりとも付き合いの長い私相手の方がまだ安心感があるのかもしれない。

「分かりましたお引き受けしましょう」

「怜さんと実質コラボだー、わーい」

「怜先輩と配信だって後でSNSに書いちゃおうっと」

時間としては半日もないかもしれないが……出来るだけのことはやってみよう。それに――やっぱり、この子たちにはこう言う笑顔の方が似合うからね。さてさて、どうなることやら……

◇◆◇◆◇◆

あんだーらいぶを語るスレ XXX配信目

777 名無しのライバー ID:f5HRyZWUC

今日の月太陽コンビのソシャゲ案件どうなるんや……?

―――――――――――――――――――

ライススタジオ公式@rice_studio

本日のPR配信ゲームプロデューサー

体調不良により出演辞退となります

直前の判断となり申し訳ございません

―――――――――――――――――――

778 名無しのライバー ID:hE49+25Ub

>>777

よく案件くれるとこやな

779 名無しのライバー ID:UPEH1HOMr

>>777

最近急に暑くなってきたしな

季節の変わり目は体調崩しやすいってやつか

780 名無しのライバー ID:PFotRD9u8

>>777

宣伝するだけならゲーム製作陣いなくてもよくね??

781 名無しのライバー ID:Mi3/8PAJC

普通ならそうやろうけどなぁ

782 名無しのライバー ID:j8zFUstzi

今回に限っては大型アプデ直前だからな

どちらかと言うとそっちの情報解禁がメインだったところがある……

783 名無しのライバー ID:8MvjrC9Ag

月太陽で新規客を呼びつつ

既存ファンにはアプデ情報解禁の予定だったのか

784 名無しのライバー ID:ELTlIPveC

アプデ情報が後日でPRだけする感じかな

785 名無しのライバー ID:qVT6Lihqt

長めに配信枠も取ってたんだけどなぁ

ゲームプロデューサー君さぁ……

786 名無しのライバー ID:J27VyvKOu

不祥事とかじゃなくて

体調不良ってんなら責められないって

787 名無しのライバー ID:eajhkm2j6

ゲームメーカーから代理立てればええんちゃう?

788 名無しのライバー ID:zGB+RHPGl

ああ言うのってゲームユーザーからの矢面に立つわけで……

そう言う意味では何人も出したくはなさそう

789 名無しのライバー ID:q4M1r8pPc

台本はあるんだろうし

読み上げて貰えば良くね?

790 名無しのライバー ID:MoBthread

それ本番当日に未成年の子にやらせるか……?

急に仕切れってのは無理があるだろ

791 名無しのライバー ID:QEWb6IU9d

駄馬君にしては良い事言うな

792 名無しのライバー ID:7E+3oh4xU

それはそう

793 名無しのライバー ID:83GYvRWqb

それでもやるのがプロやろって

言いたいところだが……

794 名無しのライバー ID:h6TfD6fZM

入社1~2年目の子にいきなり大仕事はさせへんやろ……

795 名無しのライバー ID:78VbKxjQm

ゲームプロデューサー男性だったので炎上回避説

796 名無しのライバー ID:cTJu++rYf

797 名無しのライバー ID:u8ZLcwxWB

流石にそんなんで炎上せんやろ

とは言い切れないのが悲しい現実やな

798 名無しのライバー ID:jLV212xHV

これが月太陽じゃなくて畳とかだったら

割と何とかしてたろうな

799 名無しのライバー ID:QHjxhUefX

あいつは踏んで来た場数が違うからな

その上数字も取れると来た

800 名無しのライバー ID:QicauIF/Z

畳は案件単価高そう(小並感)

801 名無しのライバー ID:/h6noiWla

面子によってやっぱ依頼料違うんかな?

802 名無しのライバー ID:alulfUsvJ

どうなんだろ?

一律で決まってて事務所側が決めてるのか

ご指名制なのかも不明だが

803 名無しのライバー ID:uAWlnWFko

声優さんみたいにランク制度でギャラ決まる

みたいな感じじゃないのか?

804 名無しのライバー ID:R/zOfxPOh

どうなんやろなぁ

ある程度バランス考えて案件は振ってるイメージあるが

805 名無しのライバー ID:f/CLHQ0Rk

あっちのゲームファンの反感は買いたくないし

最低限のPRだけに留めてもろて……

806 名無しのライバー ID:gckineki/

安心しろあんらいにはこいつがいる

―――――――――――――――――――

ライススタジオ公式@rice_studio

ゲームプロデューサー体調不良により

出演辞退となります

急遽代理としてあんだーらいぶ所属の

神坂怜さん(@kanzaka_underlive)に

出演して頂くこととなりました

―――――――――――――――――――

807 名無しのライバー ID:7Wvl97UpP

>>806

こいつがおったわ

808 名無しのライバー ID:3Bvnrv5f3

>>806

謎の安心感

809 名無しのライバー ID:llUDzXPBC

>>806

脱サラなら大丈夫か

810 名無しのライバー ID:n/0cEp3MV

そういやこいつダメージ計算機作ってたわ

811 名無しのライバー ID:FvUutiC4e

案件時の脱サラの安定感はやっぱ重宝するよな

812 名無しのライバー ID:8mbqlXXja

月太陽コンビ大興奮

―――――――――――――――――――

ルナ・ブラン@luna_underlive

いつもピンチに駆け付けてくれる先輩

頼りになる

―――――――――――――――――――

日野灯@akari_underlive

怜先輩は困ってるときいつも来てくれる

―――――――――――――――――――

813 名無しのライバー ID:FwIVjaZBX

>>812

あっこりゃああ!

814 名無しのライバー ID:YAYIXT5+l

>>812

あかんこれじゃあ

ゲームプロデューサーじゃなくて

脱サラが燃えるゥ!

815 名無しのライバー ID:SwObIXApa

>>812

い つ も の

816 名無しのライバー ID:7H+sMY+1U

なんでこっちよりゲームスレが活気づいてるんだよ(困惑)

以下ゲームスレ

――――――――――――――――――――――――――

220 名無しのプレイヤーID:gDKVeNxYN

代理出演、計算機ニキやんけ!!

ニキなら大歓迎や

221 名無しのプレイヤーID:LH9EpQ11B

誰?

絵じゃん

222 名無しのプレイヤーID:2JeU+7KR7

計算機ニキ知らねぇとかエアプか新入りか?

223 名無しのプレイヤーID:355hKtKmU

案件後もチマチマ更新してくれてるのホント笑う

224 名無しのプレイヤーID:DPp6YRXOh

ワイも新人の頃お世話になったわ

225 名無しのプレイヤーID:kjZofdqgI

今は別の有志更新が最速だが

現状の計算機の雛型作った人だしな

226 名無しのプレイヤーID:c5uOLQQ3e

あのPよりゲーム詳しそう

――――――――――――――――――――――――――

817 名無しのライバー ID:j5J7qsjDL

818 名無しのライバー ID:vgAEK9TAq

なんでこいついっつも案件先の好感度クッソ高けぇんだよ!

819 名無しのライバー ID:Ame9L74fC

VTuberファン以外には好かれてる定期

820 名無しのライバー ID:lIE9eLxmN

それ壊滅的定期

821 名無しのライバー ID:i/TAgJ8yt

ま、とりあえず見守るか

822 名無しのライバー ID:1TKB6tUqB

せやな

『アラサーがVTuberになった話。』書籍版6巻、コミカライズ版3巻発売中です。

リアルスパチャ頂けますと幸いです。

書籍版7巻は9月29日発売予定。

書籍版7巻は書下ろし、加筆約15万字です。対戦よろしくお願いします。

カバーイラスト、口絵公開されました。

また、このライトノベル2026投票開始されています

是非投票をお願い致します!!

https://konorano2026.oriminart.com/

【7巻特典情報】

■メロンブックスさん

・7巻有償特典『御霊カリン 因縁のコラボの背景』

・7巻通常特典『葵 陽葵 月と太陽と私』

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=3172426

■ゲーマーズさん

・7巻有償特典『朝比奈あさひ 僕なりのケジメ』

・7巻通常特典『犬神狂衣 足止めクイズ大会』

https://www.gamers.co.jp/pd/10828486/

■アニメイトさん

・7巻特典『イラストカード』

https://www.animate-onlineshop.jp/products/detail.php?product_id=3201852

■BOOK☆WALKERさん

・7巻購入特典『アレイナ・アーレンス「わたしの出番少なくない?」』

https://bookwalker.jp/deb61346c0-6428-4589-85a7-bdd0842e8e84/

コミカライズ版3巻発売中です

限定版の特典付きがございます

■メロンブックスさん

アレイナ・アーレンス アクリルフィギュア

https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=3080224

■ゲーマーズさん

柊兄妹 アクリルフィギュア

https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10815556/

コミカライズ版連載開始しています。

次回更新は9/13更新予定です。

https://comic-walker.com/detail/KC_005559_S?episodeType=first

A Thirty-Something Becomes a VTuber

A Thirty-Something Becomes a VTuber

アラサーがVTuberになった話
Score 4.6
Status: Ongoing Type: Author: Artist: Released: 2022 Native Language: Japanese
After quitting a toxic, overworking job on the brink of burnout, I, a thirty-something, somehow ended up becoming a VTuber named Kanzaka Rei under the virtual talent agency “UnderLive,” all thanks to my little sister’s persuasion. “I don’t really get this VTuber thing, but I’ll give it my all!” I thought, brimming with enthusiasm. However, in the female-dominated world of UnderLive, just being a male VTuber gets me bashed by viewers. To make matters worse, on just my second day, a fellow debutant causes a massive scandal, leading to their firing! Will this thirty-something VTuber, swarmed by haters, have any future at all!? …Well, it’s probably still better than working myself to death, right?

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