Switch Mode
Now you can use the translation tool for free for the first 200 chapters of each novel.

A Thirty-Something Becomes a VTuber – Chapter 7

This post is one of the first 200 oldest posts in its category and is free to translate.
Balance: 0 coin

Click here to buy coins


わたしには年の離れた兄がいる。シスコン気味な点以外は街中でよく見るタイプの人。アニメで言うモブ顔ってのかな。死んだ魚みたいな目をしていて生気がまるで感じられないけれど。別に兄の事は苦手だったり嫌いってわけではない。世間一般の兄妹よりは仲が少し良いくらいだよ。

「こんな事になるなんてなぁ」

冗談半分で勧めたVtuberオーディションに合格し、炎上騒動に巻き込まれ絶賛延焼中とかタイムリープして先々月のわたしに説明しても多分信じてもらえないとおもう。正直言えばカタログスペックだけは高いからトントン拍子に伸びるかなぁとか最初おもってたけれど、現実は甘くはないみたい。

「スレ消費はっや」

スマートフォンであんだーらいぶのファンスレッドを見る。時折兄の話題が出たときは書き込んだり、兄の話題を振ったりしてみる。ファンスレの住民には割と受け入れられているみたい。ま、mikuriママは神絵師だし、声もまあその辺の棒読み声優なんかよりはずっと良いから――ってわたしは別にブラコンとかではないから。マジで。

兄のデビューからおよそ一ヶ月。あんだーらいぶでは異例の速度での新人投入。SNSやファンスレでは前回の不祥事――通称『パコガワ事件』のマイナスイメージを早々に払拭したい運営側の決断だろう。ただ、それで割を食っているVがいるというのは、箱推しのわたしでも一言物申したいお気持ち。身内が渦中の人物であれば尚更に。

てか、わたしのお兄ちゃん人生ハードモードすぎない? 当人は平然とした様子でデビュー前後で何か変わった様子もない。今思えば物心ついた頃からあんな感じ。両親曰く中学不登校前まではもっと暗い性格で体型も今からは想像付かないほど太っていたらしい。高校入学する頃にはすっかり痩せ型になっていたんだとか。わたしが中学生くらいの頃には何故か急に筋トレ再開して今では腹筋少し割れてるし。どうなってるんだ、兄。というかどこ目指しているんだ。

4月×日

ゴールデンウィークを間近に迫ったこの日あんだーらいぶの新人二人がデビューする。うっきうきパソコン前で待機する。ヘンタイじゃないので全裸待機とかじゃない。キャミだけの薄着だけれど。今まではスマホ視聴勢だったが、兄がライバーデビューを機にパソコン買い換えたので、そのお古をもらい受けた。割とスペック高いのに。でも配信するには少し心もとなかったのかな。

個人的にはルナちゃん推し。でも灯ちゃんもえっちですこ。待機で既に1万人とかすっご。流石は兄の登録者をチャンネル開設5分で抜いただけはある。待機枠で前回のデビュー配信の最高同接も塗り替えてしまった。

定刻より1分だけ遅れてどこかで聞いたことのあるBGMがスピーカーから聞こえてきた。きっとフリー音源のBGMだろう。多分別ライバーの雑談配信か何かで聞いたことがあるとおもう。

「動くと一層可愛い。ルナちゃんまじ天使だわ……あれ?」

動き出したLive2dの姿。赤いお目目がくりくりとして、かわいい。にっこりとわたしに微笑みかけてくる。天使だ、天使がいる。荒涼とした世界に神が遣わした天の御使いなのでは? だがしばらくしてある違和感を覚えた。ぴょこぴょこアホ毛も、瞬きもしている。口元も動いているが肝心の声が一向に聞こえてこないのだ。

[ミュートになってる?]

[初手事故か?]

ルナちゃんはコメントに気付いたらしいがどうやらテンパっているらしく、中々対応できない様子。今からでも兄の部屋に乗り込んでディスコで指示でも出させようかと逡巡する。でも、困っている顔もとってもキュートである。配信コメントも大体そんな感じである。わたしたちちょっろ。約5分間のミュート事故の後――

「あの……えっと、聞こえますか?」

[やっぱり天使じゃないか(確信)]

[声聞いているだけでHP回復しそう]

[畳3時間コースで鍛えた我々には5分なんて一瞬一瞬]

[畳は反省するべきだが、ルナちゃんは気にせんでええよ]

[畳以外は大体セーフ]

声まで天使じゃん。やっば。

後割とネタにされているけれども、畳は良い人。お兄ちゃんにも優しくしてくれるし。

「なんかすごいテンパっちゃって、さっきとある先輩からディスコ来てそれで何とかなりました」

[ぐう有能]

[だれや?]

[どの先輩?]

「あのっ、えっと……お名前は本人の希望で出さないでほしいとのことでして――」

◇◆◇◆◇◆

飲み物を取りにキッチンに来たところ、兄が蕎麦打ちしていた。いや、まったくいみわかんないんだけど。何故かやたら手付きが職人のそれなんですけど。まあ今更兄の行動について突っ込んだところで何の意味もないので追及は諦めることにした。昔から突拍子もないことたまにやらかすのである。

「ねぇ、お兄ちゃん。新人さんの配信見てた?」

「んー? あー……次の配信準備してて途中からしか見てないや」

僅かに視線が右に泳ぎ、左手の甲を右手の人差し指で掻く。「ふーん……」と適当に相槌しながら「嘘吐き」と小声で呟く。昔から嘘を吐くときの癖は変わっていない。兄の取り巻く状況を考えれば、口止めした理由も何となく察する。SNSで挨拶リプ送っただけで焦げ臭くなるのだから、裏で個人連絡とかえらいことになりそう。逆に言えば兄以外のメンバーだと名前を伏せる意味があまりないので、察しの良い人間ならば推測できないこともなさそうではある。

ふと、昔酷い嫌がらせを受けたとき兄が助けてくれたことを思い出す。わたしのせいで停学処分まで食らっていたのが、わたしの人生における汚点のひとつでもある。その類のは他にも多々あるけれども。

あぁ――そうか。そういえば、昔から損な性格してたよね。今の炎上云々に対して運営側が動かないのはあの人の希望なのかもしれない。自己犠牲マンとか、今時流行らないよ。ホント。わたしは嫌いではないけれども。

4月×日

やっぱり見直すのは止めた。クズだ。しねしねしね。人の黒歴史晒すとかアホなの? 死ぬの? 何なの?

「あ゛あ゛あ゛あああぁぁああああああ」

ベッドの上で枕に顔を埋めながら足をバタバタと動かす。わたしは今黒歴史と言う暗闇の中を泳いでいるのだ、そんな感じのイメージを身体を使って表しているのだ。たぶん。

「え? なに? みさく〇なんこつごっこ?」

ノックも無しに兄が謎の白い物体が乗った皿を片手に部屋にやって来た。飛んで火にいる夏の虫。渾身の力を込めて枕を投げつける。半身だけを使って最小の動きで避ける。重心一切崩れてないとか、己はバトル漫画のキャラか何かか?

「貴様にはデリカシーのカケラもないのかぁ!? ばかぁ! あほ! はげ!」

「ま、まだ禿げてないよ?!」

「と言うかその皿に乗ってるそれって何よ」

「ナン」

「は?」

「ナン。作ったから。食べるかなって思って」

「何故にナン?! いや、もうホント意味わかんないんだけど!」

4月×日

ケーキバイキング美味しかった。まあ今回は大目に見てあげよう。おいしい。帰りにシュークリームも買ってくれた。やるやん。後兄の打った蕎麦は普通に美味だった。ナンも割とイケた。いつ来るかわからない3Dお披露目で蕎麦打ちとかしだしたりしないか普通に不安。

4月×日

兄のボイス収録を手伝った。紆余曲折はあったが、まあ何とか形にはなったとおもう。

「どう、今度はどんな感じ?」

「最後通して全部聞いてみるからちょっと待って。お風呂掃除でもしてきて」

「わかった」

収録を終え、最後に通して1本丸々聞いてみよう。兄が部屋を出たのを確認してから再生ボタンをクリック。

「なにこれ背中ぞくぞくする。めっちゃ恥ずかしいんだけど」

自作小説読み上げられてるのとほぼ同義じゃん、こんなの。悔しいけど500円くらいなら普通に出せる価値あるわ、これ。端的に表現するならDL〇iteで売ってそう(小並感)。

5月×日

無事ボイスも納品したし、今日はゆっくり切り抜き動画でも見よう。その後ファンスレもチェックだ。だが、つい先日納品してもう販売とかチェック体制大丈夫なのだろうか。「納期設定がそもそもおかしい」とかあの人は言っていたが。

畳こと柊 冬夜の妹ちゃんも大絶賛してくれているとかマジか。妹ちゃんといつかお話とかしてみたいなぁ……mikuriママのガワ使って一緒にとかっていうのは少し高望みしすぎだろう。そもそも兄のコネを私物化して使うのは少々気が引ける。

5月×日

兄がまた炎上した。

A Thirty-Something Becomes a VTuber

A Thirty-Something Becomes a VTuber

アラサーがVTuberになった話
Score 4.6
Status: Ongoing Type: Author: Artist: Released: 2022 Native Language: Japanese
After quitting a toxic, overworking job on the brink of burnout, I, a thirty-something, somehow ended up becoming a VTuber named Kanzaka Rei under the virtual talent agency “UnderLive,” all thanks to my little sister’s persuasion. “I don’t really get this VTuber thing, but I’ll give it my all!” I thought, brimming with enthusiasm. However, in the female-dominated world of UnderLive, just being a male VTuber gets me bashed by viewers. To make matters worse, on just my second day, a fellow debutant causes a massive scandal, leading to their firing! Will this thirty-something VTuber, swarmed by haters, have any future at all!? …Well, it’s probably still better than working myself to death, right?

Comment

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Options

not work with dark mode
Reset