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Alchemist Startover – Chapter 153

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いつものようにホムの髪を乾かした後、飛雷針に細い鎖を付けてペンダントに加工してから食堂へと向かった。

今日の日替わり夕食はローストポークに黒すぐりの甘酸っぱいソースを合わせたものだった。寮生たちの要望で分厚く切られたローストポークには、しっかりと塩胡椒が利かせてあり、黒すぐりのソースの甘みと酸味のバランスが食欲を掻き立てる。

柔らかい肉質に仕上がっているところを見るに、恐らく仕込みの段階でなにか酸味のあるフルーツに漬け込んであるのだろうな。微かに柑橘系の香りも感じるので、オレンジかグレープフルーツのようなものを使っていそうだ。黒すぐりも、見た目の色についつられてしまうが、付け合わせのマッシュポテトと合わせてみると、微かな柑橘の風味を感じる。

週末の献立に鶏肉とオレンジのマスタードソースがあったので、そこで余ったオレンジを使っているのかもしれないな。いつものことながら、限られた材料を効率良く使い、しかも美味しく仕上げてくれる食堂のおばさんたちには尊敬の念を抱いてしまう。

久々に魔導器を製作したこともあり、自分でも気がつかないうちにかなり頭を使っていたようだ。いつもなら食べきれないところだが、今日は僕でも一皿を平らげてしまった。

一緒にテーブルについているアルフェとファラ、ホムはそれぞれ三皿目のお代わりに向かっているが、まだ残っているだろうか。

ふと思い出してカウンターの方を見遣ると、それぞれ料理の盛り付けられた皿を手にしたアルフェたちが戻ってくるところだった。どうやら今日の選択授業を見越して多めに仕込んでくれていたようだ。

「ただいま、リーフ」

にこにこと笑顔で戻って来たアルフェの手には、三分の一に切り分けられたローストポークが乗っている。

「最後の一個だから、みんなで分けっこしたんだ」

「そのようだね。足りそうかい?」

僕とホムを待っていたので、今日のおかわりに出遅れてしまった感は否めない。少し申し訳なくなって問いかけると、アルフェは満面の笑みで頷いた。

「後でリーフのクッキーを食べるから、平気だよ」

「大事に食べるもんな」

アルフェの発言にファラが相槌を打つ。週末のクッキーをまだとっておいたんだなと思うと、なんだかくすぐったいような気持ちになった。

「最後の二枚だけどね。リーフのクッキーを食べると、いっぱい元気が出るから」

アルフェは頬をほんの少し赤く染めながら微笑んで席につくと、まだ少し湯気の立っているローストポークをナイフで切り分けて口に運んでいく。

「それならまた作ろうか」

「うん」

ファラとホムはともかく、アルフェがこれだけおかわりをして食べているところを見ると、魔法科の授業もかなり大変だったようだな。そろそろ食べ終わりそうだし、どんな授業だったか聞いておくとしようか。

「……ねえ、アルフェ。魔法科の選択授業はどうだった?」

「にゃはっ! 聞いてくれよ、リーフ。すげーんだよ!」

待ってましたと言わんばかりに、ファラがアルフェを促す。アルフェは食後の紅茶で喉を潤すと、嬉しそうに話し始めた。

「マチルダ先生の初回授業は、三人一組でクレイゴーレムを倒すって課題だったんだよ」

クレイゴーレムというのは、魔女たちが対魔族との戦いを想定して粘土や木材から生み出した動く人形だ。魔族を想定しているので、大きさは機兵や従機ほどあり、動きはそれほど速くはないものの、攻撃力と耐久性はかなりのものだ。

「対魔族想定の訓練というのは、なかなか興味深いね、もう三百年もそうした魔族の侵略はないのに」

「でも、もしそうなったとしたら、ワタシたちが出来るのは魔法や機兵で対抗することでしょ? だから、経験しておくに越したことはないんだって」

アルフェがマチルダ先生の教えを噛み砕いて僕たちに伝えてくれる。まあ、確かに何事にも絶対はないのだし、伝統を重んじる常闇の魔女ならではの教えが出来るマチルダ先生がそれをしない手はないだろうな。

アルカディア帝国は軍事国家なのだし、いつどこと戦争が起こるとも限らない。

前世でそういう体験は嫌というほど味わったから、今世は平和でありたいものだが、先のことなど女神ですらわからないだろう。あの女神たちのことを考えれば、彼女らの気まぐれで人類に牙を剥くことすら、否定できないのだから。

「……リーフ?」

つい前世のことや女神のことに考えが及んでしまった。

「ああ、ごめん。それでクレイゴーレムは倒せたのかい?」

「うん! リリルルちゃんと協力して、一番最初にクレイゴーレムを倒したんだよ!」

「それは……」

三学年合同の選択授業において、その戦績はかなりのものだ。結果から察するに、ダークエルフ二人とハーフエルフ一人という組み合わせは、他の学年にはないのかもしれない。

「それは素晴らしいね、アルフェ」

「だろ!? エルフ同盟ってヤツは、本当にすごいよな!」

ファラが自分のことのように嬉しそうに頷いている。ファラがあまりに嬉しそうなので、アルフェも僕もつられて笑った。

「……ハッ! すげーハードな授業だったってのに、まだ笑う余力があんだな」

食堂の入り口の方から声がしたかと思えば、ヴァナベルが仁王立ちでこちらを見つめている。

「やっほ~」

ヴァナベルもその傍らのヌメリンも、あちこち傷だらけだ。魔眼の使えるファラはそうでもないが、ホムの話を考えると二人もかなり厳しい戦闘を余儀なくされたのだろうな。

「どうしたのー? ローストポークのおかわりなら、さっき売り切れちゃったけど」

アルフェが少し声を張ってヴァナベルとヌメリンに訊ねる。

「どうしたもこうしたも、お前らを呼びに来たんだよ。マチルダ先生の薬湯が大浴場に用意されてっから、早く来いってリリルルが言ってたぞ」

「あっ! そうだった!」

思い当たる節があるのか、アルフェが口許を押さえる。

「わざわざありがとうね、ヴァナベルちゃん、ヌメリンちゃん!」

「どういたしまして~」

それにしても、リリルルが呼んでいるなら、どうして二人に伝言を頼んだのだろうか。

気になりながらヴァナベルを見つめていたが、僕が言わんとしていることを察したのか、ヴァナベルがつんと唇を尖らせてそっぽを向いた。

「仕方ねぇだろ。あいつらに言われちまったんだからさ」

「なんて?」

興味をそそられて、ヴァナベルを促す。僕の問いかけにヌメリンがぷっと噴き出して、ヴァナベルの背を叩いて促した。

「「我々はF同盟を結んだ。クラス委員長に伝言を託すのは当然の流れだ」」

リリルルを真似て、ヴァナベルとヌメリンが声を揃える。

「だとよ。んなこと言われたら、断れねぇじゃねぇか」

リリルルにクラス委員長と呼ばれて、きっと照れくさかったんだろうな。乱雑に耳と髪を掻いているヴァナベルの顔は、遠目にも分かるくらい赤くなっていた。

Alchemist Startover

Alchemist Startover

Alchemist Startover ~The unloved alchemist that died alone was reborn as a little girl~, アルケミスト・スタートオーバー ~誰にも愛されず孤独に死んだ天才錬金術師は幼女に転生して人生をやりなおす~
Score 7
Status: Ongoing Type: Author: , Released: 2021 Native Language: Japanese
Once an orphan turned street child, and later almost killed by a foster father, the genius alchemist Glass Dimelia had walked a life of misfortune. Ravaged by illness at a young age, Glass devoted himself to his final research in a desperate bid to defy death, only to be sentenced to execution by a Kamut, the agent of the goddess, for touching the forbidden. Unable to resist, Glass was condemned, but was praised by the goddess Aurora for his achievements in alchemy during his lifetime and given the opportunity to “reincarnate.” Although he was supposed to be reborn as a new life with all memories erased, due to the unilateral decision of another goddess, Fortuna, he was allowed to reincarnate while retaining his memories. Glass reincarnated three hundred years after his death. Born as a baby girl, Glass was named Leafa by her parents and embarked on a new life. This is the story of a lonely alchemist who didn’t know what happiness was, coming to know love, and seizing happiness with her own hands.

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