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Alchemist Startover – Chapter 362

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★エステア視点

「よくも、よくも、よくも――!!」

身体が熱い。まるで怒りで血が沸騰しているかのようだ。口から零れる声は、もう言葉としては機能していない。戦う相手に対し、呪わしいまでの憎しみが込み上げて、それが今の私を動かしている。

怒りでエーテルの消費が激しくなった私を嗅ぎつけて、翼持つ異形がこちらに群れを成して飛んでくる。

ついさっきまでこれらを撃ち落としてくれていたマリーとメルアの遠距離攻撃は、今は、もう――

脳裏を過る最悪の予感を振り払い、私は自分を戒めるように唇を噛み締めて、刀を振るった。

「伍ノ太刀――」

技の名を叫ぶ間すら惜しい。私は自らの後方に暴風を発生させ、研究棟からこちらに戻ってくるアークドラゴンに肉迫し、迎え撃った。

「キィェエエエエッ!」

甲高い耳障りな鳴き声を上げ、アークドラゴンが私に向けて爪を立ててくる。鬼気迫る攻撃に本能的な防御が働いたというわけではない。これは、私に対する嘲りだ。私を敵とはみなしていても、脅威とは感じていない。だが、それでいい。

「はぁああああっ!」

急降下してくるアークドラゴンに向けて、暴風を背に急接近した私は、擦れ違いざまに鋭い爪を刀で薙いだ。

「……っ!」

元々硬質である爪ならば、あるいは爪と皮膚の境ならばと考えたが、狙い通りにはいかない。私は体格差の煽りをまともに受けて、宙で木の葉のように翻弄された。

「あ……ぐっ、あああああっ!」

アークドラゴンの羽ばたきによる風と、自らが放つ暴風がせめぎ合い、大声を上げなければ息をすることさえままならない。空気を欲した身体が悲鳴を上げたかと思うと、目の前の景色が、漆黒に閉ざされた。

『人間と人間モドキが、我々に勝てると思うな――』

不快と嫌悪を詰め込んだような声は、私の意識を再び持ち上げるには充分だった。

「勝てる! 私たちは負けない!」

叫び、意図的に風魔法を解いて自らの身体を急降下させる。生温かく肌にまとわりつくような風に顔を歪めながら、私は改めて自らの上空での立ち位置を定めた。

地上のリーフたちよりも少し離れた場所、アークドラゴンとの戦闘の余波を与えないギリギリの場所へ。完全に離れずにいられるのは私の甘えだ。

――ホム、リーフをお願い。

私の魔力消費は思ったよりも激しい。怒りに支配され過ぎているとわかっているのに、もう自分では制御出来ない。でも、戦いに水を差したあの漆黒に閉ざされた一瞬で、ほんの少しだけ冷静になれた。

「無事で居て……」

研究棟の方を一瞥するが、幾つもの棟が崩落している。私がアークドラゴンを引きつけていられなかったから、最悪の事態が起きてしまった。

もっと最悪なのは、同じことがリーフたちに起こってしまうこと。

「一か八か……」

魔力が続くうちに、決着を付けなければならないのは明らかだ。

「参ノ太刀――飛燕!」

私は柄を握り締め、斬撃と共に風の刃を放つ。アークドラゴンが牽制に反応して首を持ち上げるのを見逃さず、背後に壱ノ太刀の応用で暴風を発生させ、首に狙いを定めた。

「弐ノ太刀、旋風車が崩し――裂空!」

急速に上昇してアークドラゴンとの距離を詰めながら、通常の横軸の回転ではなく縦回転の斬撃を繰り出す。

「ギィーー!!」

ドラゴンの首を狙った一撃は確かにダメージを与え、紫色の出血が見られた。だが、傷は浅い。空中では踏ん張りが効かず想定の威力が出なかった。

振り抜いた刀を戻す間もなく、アークドラゴンの尻尾が私の身体を薙ぐ。

「あ、ぐっ!」

激しい衝撃に息が詰まる。意識が一瞬途切れ、宙に自らを留めていた風魔法が効力を失った。墜落を阻止しようと歯を食いしばった私よりも早く、アークドラゴンが大きく口を開いた。

「あああああっ!」

考えている暇はない。風魔法を刀に施し、防御の姿勢を取る。間一髪、アークドラゴンの黒炎の第一波を防ぐことは出来たが、それは致命傷を免れたというだけで、凄まじい熱波が髪を焦がし、じりじりと身体を焼くのに耐える以外に術はない。

暴風を起こして炎と相殺し、落下によって逃れようにも地面はもうすぐそこに迫っている。

「……ぅ、あっああっ!」

肌を突き刺すような痛みに思わず悲鳴を上げた次の瞬間、視界を雷鳴瞬動のような閃光が白く覆った。

「ギィェエェエエエ!!!」

悲鳴を上げながら黒炎を吐き出していた口を天に向け、アークドラゴンが悲鳴を上げている。その首には亀裂が入り、紫の血が噴き出している。

――ホム!!

心の中で私は叫んでいた。こんなことが出来るのは、彼女しかいない。

「エステア!」

地面に激突する衝撃を覚悟した私を、急降下したホムが素早く抱きかかえる。

「風魔法!」

二人分の体重を補うべく風魔法を駆使したホムが、大闘技場を離れて宙を駆けていく。その細いながらも頼もしい腕の中で、私はアークドラゴンを見失うまいと首を伸ばした。

案の定、怒り狂ったアークドラゴンが激しく翼をはためかせながら迫って来ている。

「アークドラゴンが!」

「狙い通りです」

私の悲鳴のような声にホムは冷静に応えると、歓楽街の入り口にある高い建物の屋根に緩やかに着地した。

Alchemist Startover

Alchemist Startover

Alchemist Startover ~The unloved alchemist that died alone was reborn as a little girl~, アルケミスト・スタートオーバー ~誰にも愛されず孤独に死んだ天才錬金術師は幼女に転生して人生をやりなおす~
Score 7
Status: Ongoing Type: Author: , Released: 2021 Native Language: Japanese
Once an orphan turned street child, and later almost killed by a foster father, the genius alchemist Glass Dimelia had walked a life of misfortune. Ravaged by illness at a young age, Glass devoted himself to his final research in a desperate bid to defy death, only to be sentenced to execution by a Kamut, the agent of the goddess, for touching the forbidden. Unable to resist, Glass was condemned, but was praised by the goddess Aurora for his achievements in alchemy during his lifetime and given the opportunity to “reincarnate.” Although he was supposed to be reborn as a new life with all memories erased, due to the unilateral decision of another goddess, Fortuna, he was allowed to reincarnate while retaining his memories. Glass reincarnated three hundred years after his death. Born as a baby girl, Glass was named Leafa by her parents and embarked on a new life. This is the story of a lonely alchemist who didn’t know what happiness was, coming to know love, and seizing happiness with her own hands.

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