本日2話目
予想以上に作者側のシステムの変更になれなくて書ける量が少なくなってます。今週と来週くらいは土日の複数話投稿ができないこともあるかもしれないです………
砦の壁が激しく崩れていく。
恐らく外からは竜巻のみで破壊されているように見えていることだろう。
もちろん、ここで詳しくみられると竜巻だけでないことはバレるかもしれない。しかしここからさらに伊奈野は細工をしており、
「おい!誰か今中抜けてったぞ!!」
そんな声が、少し離れた場所から響いてくる。
それを聞けば、
「マジかよ!?追え!!」
「犯人が中に逃げたぞぉぉぉ!!!!」
「逃がすなああぁぁぁ!!!!」
どっと人々が押し寄せ、竜巻の中へと入り込んでいく。ダメージは食らっているようだがさすが死亡するほどではなく、通り抜けていくものが多数。
それによりさらに周辺は踏まれぶつかられ穴が広がっていき、
「結構入ったね。そろそろ私も行こうかな」
数秒もしないうちに大勢が墓場へと入っていった。恐らく墓場内部ではダンジョン攻略の担当者がいるのだろうが、大勢人が入ってきてそのあたりは混乱しているものと思われる。
もちろんわかるかもしれないが、誰かが入っていたのを見たという声は伊奈野が作ったこれまた魔法による声。ただ設定した言葉を言わせるだけの魔法であるが、こういう時には役に立つのだ。
(そういえば司書さんから未成年の子の倫理観が、みたいな話をしてたけど、相当私も問題あるかな?こんな砦に穴空けるとかいうテロリストみたいなことしてるし………まあ、ダンジョンマスターってことで許されるよね?たぶん。私、ダンジョン攻略されたらダンジョン使えなくなるわけだし。不可抗力不可抗力)
《称号『壁を壊す者』を獲得しました》
《称号『扇動者』を獲得しました》
《スキル『扇動1』を獲得しました》
《スキル『誘導1』を獲得しました》
色々と自分の行動に思うところがないわけではないが、それによって墓場へ侵入できる状況を作り出せた。しかも、激しい混乱をセットで。
だからこそ、
「おっ。入れるじゃん」
問題なくダンジョンまで進んでいき、入ることができた。さすがに他にダンジョンへと入った者はいないようで、周囲にはモンスター以外誰もいない。
ということでダンジョン内で転移をしても問題はないわけで、
「お久しぶりです」
「ああ。ダンマス。お久ぶりです」
『む。久しぶりだな』
最奥のダンジョンコアがある部屋まで転移する。どうやらあまり忙しく働いているというわけでもないようで、2人ともテーブルをはさんで椅子に座り、優雅に茶菓子をつまんでいた。
「ダンジョン、どうですか?突破されそうになってません?」
「ああ。大丈夫ですよ。今のところ英雄が全員撤退していきましたので」
「ん?どういうことですか?」
急な話に伊奈野は首をかしげる。
(英雄って、瑠季ちゃんがなんか言ってた気がするなぁ。確かちょっと強い感じの重要なNPCだったっけ?不死のキャラとかだって言ってた気がするけど………それが撤退していったならよかったのかな?さすがに不死身のゾンビアタックされるとダンジョンって簡単に突破されちゃうだろうし。とはいっても、厄介なのは英雄だけじゃないよね)
英雄という存在が厄介なのはわかる。
だが、だからと言ってそこだけにこだわる必要性も感じないのだが、
『英雄は別格だからな。このダンジョンのボス個体であっても、英雄全員に囲まれれば簡単に片づけられてしまう』
「そんなに、ですか?」
『うむ。英雄とはそれほどの存在だ。だからこそ、英雄となれたともいえるがな』
「なるほど?」
どうやら相当強い存在であることは間違いないらしい。
骸さんも一目置く存在のようだ。
「でも、それ以外にも人は来たんですよね?」
『うむ。ただ、英雄たちが何かしらの被害を受けて帰ったため、他の者達はかなり慎重でな。おかげで損害よりも溜まるDPが多くてメリットが大きい』
「ああ。そうなんですね。それなら良いですか」
どうやらダンジョン内でゆっくりと攻略をしているため、DPがかなりの量入ってきているらしい。それならば確かに問題はないだろうし、運営も続けられる。
(具体的にどの程度利益になってるのかは分からないけど、まあその辺は骸さんとか炎さんとかに任せておけばいいよね)
自身が深くかかわるつもりはないため、とりあえず防衛に関しては丸投げすることを決める。
それよりも、
「これから先私はどうすればいいでしょうか?毎回あの砦を突破してくるのはなかなかに大変なんですけど」
「ああ。そうですよね。それならこっちにリスポーン地点、及びログイン地点の設定ができますよ」
「………へ?」
伊奈野の話した課題に、ダンジョンマスターである伊奈野の補佐役としてイベントで送られた炎さんが答える。
伊奈野はダンジョン内にログインしてくることが可能だと言うのだ。
「……………あの、それはなぜ今まで言われなかったんでしょうか?」
「え?あ、そのぉ~」
伊奈野は冷たい瞳を炎さんに向ける。炎の体であるにもかかわらず寒気を感じた炎さんは慌てて弁解を考えて、
『それは邪神の使徒を道中で倒してほしかったからだな。外に出なければ其方は邪神の使徒を倒さぬだろう?』
「っ!?骸さん!?」
骸さんがあっさりと暴露してしまう。
それにより、
「……………ふぅん。それじゃあまずお二人とも、そこに正座しましょうか?」
「『ひっ!?』」
冷え切った冷たい声。それに骸さんと炎さんは思わず悲鳴をこぼす。
その後、2人は目を合わせられることなく勉強をしながら怒られるというとても珍しい経験をすることになるのであった。
《スキル『説教1』を獲得しました》
《称号『炎を冷やして』を獲得しました》