昨日がエイプリルフールだったのをすっかり忘れていたので、ここで嘘か本当か分からないことを書きます。
作者は実家が田舎過ぎて作者も地元の人たちが何を言っているのかさっぱりわからない時があるw
毒によってモンスターや盗賊が弱っているということで、未開拓の領域を支配できそうだという話が出てきて。
伊奈野の周囲の者達もかなり連日忙しそうにしている。
「結局薬草に毒が入ってるってどういうことだったんですか?」
「ああ。それなんですけど、ちょっと複雑な話みたいなんですよね。どうやら天使族の育てている薬草が流れてきていたようなのですが、それを育てる際に水の代わりに毒をあげたみたいで」
そんな中伊奈野が質問をするのは、唯一暇そうにというわけではないがいつも通り本を読んでいる司書さん。
他の面々と違い制圧に関する仕事には関係がないようで、他の面々から聞いたのであろう情報を伊奈野へ流してくれるだけの存在となっている。
「なんで薬草を育てる時に毒を?」
「詳しいことは分かりませんが、天使族の中でもどこからかその薬草が流出していたのが問題になっていたようなんです。そこで天使族は毒、というか状態異常が基本的に効かないので、勝手に他種族に使われた場合でも相手側に被害が出るようにということで毒を仕込んだみたいです」
「は、はぁ」
よく分からないといった風に伊奈野は声を出す。
事情を完全に理解できているわけではないが、やることがややこしすぎるように感じるのだ。
そうして首をかしげていれば、
「ただ天使族が育てる薬草は品質が非常に高いですからね。それで消しきれない毒って相当なものなんですよねぇ。読み友も毒には気を付けてください」
「あっ。はい。気を付けます」
(高品質の薬草を毒で育ててそれを食べてから死んでしまった、と。しかも高品質の薬草だから多少の毒なら含んでたとしても打ち消すはずなのに効果が出てるってことは、その高品質な薬草の効果を超えられるほどに強力な毒が使われてるってことで………怖っ)
それはつまり、高品質の薬草でも除去できない毒があるということだ。そんな毒をもし受けてしまえば、もう死ぬしかないわけである。
「……………あぁ。あと、もし天使族を見かけたら警戒するようにしておいた方が良いですよ」
「へ?なんでですか?」
「どこからか例のモンスターや盗賊たちは薬草を手に入れていたようですが、それはもしかしたら天使族の内部で横流ししていた可能性もあるんです」
「横流し……………」
横流しが起きていた。もしそれが本当だった場合は、横流しをして何か利益を得ていた存在がいたということだ。
つまり、ここで制圧が行なわれると利益が得られなくなってしまうわけで、
「何か邪魔をしてくる、と?」
「そうですね。その可能性が高いです」
不利益を被るというほどではないが、利益を得ることを邪魔されればそれをおとなしく受け入れるなんてことはないだろう。そのため何かしら報復なり邪魔なりをしてくる可能性が高いというわけだ。
(天使に気を付けておけば良いってことだよね。多分私には関係ないけど)
「というか、そんなに警戒しなければいけないほど天使って強いんですか?」
司書さんの説明の後半は他人事だったが、少し疑問がわいてくる。
天使という存在はよくゲームでも出てくるが、強い時と弱い時があるように感じられる。
警戒しているが、それが強いのかどうかということは気になるわけで、
「強いは強いですね。ただそれは純粋に力が強いという話ではなく、私たちがあまり空中で攻撃できないのに対して向こうは上から一方的に攻撃できるというのが強いのですが」
「あぁ。なるほど」
戦いにおいて高いところにいる方が有利だというのはよくある話だ。
様々なゲームを触っている伊奈野もそのあたりのことは理解できており、
「ん?高いところ?」
「は、はい。高いところですけど、それがどうかされましたか?」
「高いところ、つまり空って、誰の所有しているところとかって決められてるんですか?」
「空の所有ですか?そんな話は聞いたことがありませんし、決まっているとは思いませんが………」
(所有者が決まってない!それは良いね。良いこと聞いちゃったよ)
伊奈野にとって所有者がいない空間の情報は非常に重要である。
何せ行くことさえできれば、
(そこで誰の許可も必要なく勉強できるってことだよね?空なら飛んでる鳥とかくらいしか邪魔してくることはないだろうし、うまくやれば誰にも邪魔されずに勉強できる楽園を作れるのでは?)
「飛行船の作り方とか調べてみましょうか」
「……………いったい何を考えてそうなったんですか」
司書さんが突然の話に理解が追い付かず呆れと困惑の入り混じった視線を向けるが、伊奈野は気にせずに妄想の翼を広げる。
その中では、飛行船の中で優雅に勉強を行なう自身の姿が明確にイメージされていた。
そんな風に、イベントまでの期間は流れていく。
ただ伊奈野の方はそこそこ和やかに流れていたが、
「ぐぉぉぉ!!!イベントの忙しい時期に天使族の影響が変化するのかよ!!」
「このタイミングは予想外でしたね。天使族系のプレイヤーが出世するために作ったイベントのはずでしたけど、人間にかすめ取られたのも痛いです」
運営は相変わらず忙しく働いていた。
今回は純粋にイベントの企画や変化する人間側の支配などにより忙しいため伊奈野へ茶々を入れることもできず、
「結局『勤勉』の対策取れてないんですよね。あのユニークスキル、検証班か考察班が手に入れる予定で作られたものですし無制限に使われるとバランスが今以上に崩れますよ」
「そうなんだよなぁ。そこも問題だよな……………くそぉ。おハーブのおじさまがよぉ。なんであんなピンポイントで賢者の師匠に会って強い毒貰えるんだよ。あれさえなければ勤勉の対策が取れたってのに」
「いや。あの人は普段そんなにひどいことは引き起こさないんですからいいじゃないですか」
「いや、ひどいことは引き起こさないって言っても、あの人がいるからプレイヤーが微妙にまとまってるだろ?賢者の妹って名乗ってる連中とか上位ギルドとかと余威與都が本格的に争わないのもあの人がいるからだし………」
「まあそれはそうなんですけどね。とは言えもともとそこまでそれに関しては計画になかったんですからいいじゃないですか。民度が高いのは悪い事でもないですし。それに、あの人の中身が中身ですから……………」