本日2話目
魔女さんの職場について行き、うるさい人に連れられて教会に行き。普段はいかないような場所で勉強を行なうことができた。
ではその後はというと、
「2人といろいろ行ったって聞いたよ。よかったら私も一緒にいろいろと行かせてもらおうかねぇ」
魔女さんにうるさい人。この2人の割と初期に知り合ったメンバーの相手をしたとなれば、もう1人希望者が出てくる。
普段は一緒にいないが伊奈野の『みんなで1つに』も受けたことがあり、なおかつ司書さんや屈辱さんよりも早く出会っていた人物と言えば、
「ん?店主さんも行きたいところがあるんですか?」
そう、店主さんである。
店主さんも、伊奈野と共に行きたい場所があるようだった。詳しく話を聞いてみれば、
「私が店をやっているのはもうほとんど知られちゃってるからねぇ。どこか行っても偵察なんじゃないかって警戒されちゃうんだよ。そういう風に迷惑をかけるのも悪いし、お嬢ちゃんの力を借りて色々と回ってみたいんだよ」
「なるほど?」
店主さんの見た目のことを考えると長いあいd、ではなくまだまだお若いため少しの期間しか仕事はしていないように思えるが、すでにその顔が商売敵として商人たちに認識されている可能性は低くない。
単純に見て回りたいという目的であるならばそれは伊奈野としても断るようなものではなく、
「休憩時間の10分間で良ければ色々と行っても良いですよ」
「なら頼むよ。私も新しい刺激が欲しくてねぇ」
店主さんの頼みということもあり受け入れる。
(うるさい人と違って勧誘されるかもって恐怖もないし魔女さんと違って身内のところに連れていかれないってのもいいよね。凄い安心していけそう)
2人の時と比べて、伊奈野は少し楽しみに思いながら店主さんと共に店巡りをする約束をした。
いつもより少し楽しげに勉強を進め、
「じゃあ、行きましょうか」
「ああ。そうだねぇ。それじゃあスキルの方を頼むよ」
「分かりました」
楽しみにはするが勉強はきっちりと決めた時間通り行い、伊奈野は満足げな表情で店主さんにスキルを使う。
とりあえず一旦図書館から出るために腕輪で転移をおこない、いつものスポーン地点へと移動する。
周囲はいくら最近落ち着いてきたといってもまだ新人プレイヤーの流入も多く、若干騒がしさもある。
ということで、
「店主さん。どこ行きますか?」
『そうだねぇ。とりあえず気になってる店を何軒か道案内するからそこに行ってみてくれないかい?』
「分かりました」
こんな会話を中にいる店主さんと行なっても変な目で見られることはない。多少独り言をつぶやいたところで誰かに見られることも意識して聞かれることもないのだ。
とりあえずそこから店主さんの指示通りに動いて店主さんが気になっているというお店に行き、
「こんにちは。少し見せてもらっても良いですか?」
「ん?あぁ~いらっしゃい。好きに見てもらってかまわないよ。まあ、買えるかどうかは別としてね」
伊奈野の格好が金のかかっていなさそうなものであるため、数軒の店では若干冷やかしだと思われ見下されるような感じはしつつも商品を見ていく。
『その右上のと左下の2番目のを買ってもらっていいかい?お金は事前にお嬢ちゃんに渡してあるはずだから、それを使ってかまわないよ』
「あっ。了解です……………すいませ~ん!これくださ~い!!」
「え?それですか?かなり高額になりますが………」
「ああ。大丈夫ですよ。払えますから」
「えぇ?……………って、本当だ。全額お支払いいただけてますね。疑ってしまい申し訳ありません」
「いえいえ。お気になさらず~」
店主さんから事前にお金を渡されているようなので(最近の所持金はほとんど確認すらしていないので変化していることも伊奈野は分からないのだが)、それの中から使って店主さんの指示通りに買い物を行なう。
色々と高いと店員から言われるようなものまで買ったのだが、
『それはお嬢ちゃんが好きに使って良いからね』
「え?店主さん使わないんですか?」
『別に欲しい物は自分で仕入れるから必要ないねぇ』
「じゃあなんで買ったんですか…………」
所有権はすべて伊奈野へ譲られた。店主さんが欲しい物は特になかったらしい。
ただ、店主さんに渡されたお金で買い物をしているためなぜそんな必要のない買い物をしているのかに関しては非常に謎である。
「この指輪とかネックレスとかすごい便利だと思ったんですけど、本当に要らないんですか?」
『いらないねぇ。便利で珍しい物ではあるけど、私にはそれより優秀なのが私専用にあるから』
「あっ。そうなんですか」
買った中には、ゲームを進めていない伊奈野であっても間違いなく便利であると確信して言えるようなものもあった。
例えば、10歩分だけではあるが空中を歩くことができる靴やあらゆる状態への耐性が大きく上昇する指輪、そして自身がダメージを受けそうになった時自動的に魔力障壁のようなバリアを張ってくれるネックレスなど。本当に優秀そうなものが多い。
しかしそれらすべてを店主さんは必要ないと断じ、伊奈野にすべて譲ってきたのだ。
「こんなにもらうと申し訳ない気持ちになってくるんですけど……………」
『ハハハッ!まあこっちにとっても良い物を見れてるから気にしなくていいよ。私が自分の体で歩いてたらこんなに自然な光景は見れないからねぇ』
何か企んでいるのではないかと疑う気持ちがないわけではないが、店主さんが相手だと伊奈野も警戒心が上がり切らない。
疑いきれない伊奈野はその後も、ひたすら店主さんのいいなりと言ってもいいような状態で休憩時間をお店巡りに当てて、
『ああ。そうだお嬢ちゃん。1つ忘れてたことがあったんだったよ』
「ん?何ですか?」
最後のログアウト前の店主さんによる言葉で、伊奈野は店主さんのここまでの行動に裏があったことを悟った。
今週は休日出勤しなくていいぜヤッターって思ってたんですけどゴールデンウィークが来たんですよね
ということで、ちょっとそっちの投稿にあてるために明日も1話か2話投稿になると思います