３階層連続で１人クリスマスの非常にむなしくなる精神攻撃を受けた伊奈野は、一度勉強に戻ってくる。
あまりにも非人道的で、脳を破壊しに来るその悪魔のような攻撃に伊奈野は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の階層を除かなければならぬと決意した。
……………ということは残念ながらなく、
「あの、骸さん。１つ良いですか？」
『む？どうした？』
「全然、私の『龍落とし』の練習にはならなかったんですけどどういうことですか？装備交換は訓練に使えそうではありましたけど、１人クリスマスは全然近接戦闘関係ないですよね？」
『あっ、う、うむ。そうだな。確かにあそこは関係なかったか』
伊奈野は怒りを感じなかったわけではない。だが、その感じた怒りは伊奈野がわざわざダンジョンの体験をしている目的があまり果たされていないことにある。
もちろん１人クリスマスのダメージは負ったが、それでもそこまでのひどい被害ではない。せいぜい存在しない記憶があふれてきて涙がちょちょぎれたぐらいである。
そうして言いたいことを言った伊奈野はすぐに勉強の体勢に移り、高速で文字を書きだす。
こうなるとその間に骸さんと炎さんは色々と話をする必要があるわけで、
『まずはダンジョンマスターの問題の解決か。どうだ？次は『龍落とし』を使えそうか？』
「ステルス要素が強いので不安がないわけではないですが、最初のプレゼント交換に関しては不満を抱いてなかったようですし、問題ないと思いますよ。その次も大丈夫ですよね？」
『うむ。あれも問題はないと思う。こちらは早さが重要だからいい経験になると思うぞ』
「そうですか。それなら大丈夫そうですね」
まずは伊奈野をこの先満足させられるかどうかが話し合われる。
まだ２種類追加されたフィールドが存在していて、伊奈野に文句を言われるかどうかを確認しておかなければならない。一応２人の意見としては問題はないように思えるが、それでもやってみなければ分からないというのが正直なところだ。
ということでその話は数分で終わり、
『で？どう思う？まず半分をダンジョンマスターに体験してもらったわけだが』
「そうですねぇ。ダンマスが装備をしてなかったのでプレゼント交換はすごい結果になりましたけど、あの苦戦具合などを考えるとかなり時間は稼げるのでは？」
『まあそうだな。装備に頼らない相手となると厳しいかもしれんが、通常の相手であれば問題はないか』
「はい。で、さらにその次の１人クリスマスですけど」
『そちらも問題はないだろう。ダンジョンマスターは早さを優先していたからああなったが、設置で時間を使わせることもできるし金も使わせることができる。その使った時間の分だけむなしさが来ると考えれば、相当強力なトラップとなるだろう』
「ですねぇ……………これを考えた存在は、人の心がないんでしょうね」
『うむ。そうかもしれんな』
今度は話が伊奈野の攻略を踏まえたうえでの調整が行われていく。
伊奈野の苦戦具合などを基にバランス調整が行われていくわけだ。特に人の心がないなどと言っている割に彼らは彼らで考えることがあるわけで、
『雪だるまによるドロップ率は１００％だな？』
「はい。ですね」
『ではそこに、余の配下がいたらどうなる？間違いなく余の配下もプレゼント交換とやらの対象になると思うのだが、ドロップ率は１００％か？』
「っ！？骸様考えることが悪ど過ぎませんか！？つまり、プレゼント交換で骸様の配下に攻略者のアイテムを奪わせたうえで確定ドロップでないことにより配下を殺せなくするってことですよね？」
『そのとおりだ。装備が自分の下まで返ってくるまで待ち余の配下を倒さねばならぬから、相当時間が稼げるとは思わんか？』
「めちゃくちゃ思います」
その思惑がすべて成功するかはともかくとして、考えれば考えるほどあくどいアイディアが出てくる。
そこを抜けた先でさらに精神攻撃を仕掛けてくるという地獄過ぎるダンジョンがこうして生まれていくのであった。
そんなこともありつつ、その後は休憩に入った伊奈野がまたダンジョン攻略を行ないそこからデータを収集した骸さん達が反省を行ない。
それぞれの目的は達成されていく。
伊奈野も動いていく中でぼっちクリスマスを行なう時とは違い、
「集団戦で『龍落とし』するのって初めてで不思議な気分……………『龍落とし』『龍落とし』『龍落とし』！」
練習の機会が豊富にある。
現在は試験用の最終階層で、大量のクリスマスプレゼントを時間内に届けるというミッションを行なっている最中。
それを阻止せんとばかりにやってくるモンスターたちを『龍落とし』で吹き飛ばしつつ、まるでＲＴＡでもやっているかのように最小限の動きで最短距離を使い移動している。
「プレゼントを持ってると重量で走る速さ変わるからプレゼント投げてキャッチしてを繰り返しながら走るって……………本当にＲＴＡの動きだよね」
体力切れを起こすのを防ぐためにポーズボタンをはさんでいるように、プレゼントを投げては周囲のモンスターを蹴散らしつつキャッチしてまた投げるということを繰り返す姿は、まさしく歴戦のＲＴＡ走者である。
それはもう、
《スキル『アクロバット１』を獲得しました》
《スキル『投擲１』を獲得しました》
《スキル『落下点予測１』を獲得しました》
《称号『多分これが１番早いと思います』を獲得しました》
実にＲＴＡしてそうな称号やスキルが手に入る。
投擲と落下点予測はＲＴＡあんまり関係なくね？とか言ってはいけない。
結局、最後の階層は伊奈野が休憩を数回使ってどうにか最短距離を見つけ出し、
「よいしょ。これで、最後！！」
最後のプレゼントを届ける。やっと終わったわけだ。
次の瞬間、階層をクリアしたため伊奈野の足元に魔法陣が現れ、
「あぁ～。またかな」
後のことはお察しだろう。
何度目か分からないただただ不幸な事故が起こるのだった。
《スキル『平衡感覚１』を獲得しました》
《スキル『激臭耐性１』を獲得しました》
《スキル『拘束解除１』を獲得しました》
マズい。推しの公式ホームページの謎解きが分からな過ぎて小説書いてられない（誇張）
誰かヒントをくれ～ｗ（誰のか言ってないのに出せるわけがない）
