作者、実をいうとこんなVRの作品書いておきながらVR関係の器具持ってないんですよね~
実際のVRって今どうなってるんだろうと考えながら書いてます(未だ他の人としゃべったりする例の何とかチャットのイメージくらいしかないw
黒い本がいくら伊奈野の知らない知識を大量にため込んでいるとはいえ、アーティファクトと呼ばれるほどのオーパーツの知識まで持っているとは思えない。
いや、持ってはいるのだろうがそこまで数は多くないように思うし伊奈野の貰ったものに関連する可能性など限りなく低いわけだ。
「あるわけないよね……………ん?あれ?ないよね?」
そこまで期待はせずに検索をかけて、予想以上にアーティファクト関連の情報が多いことに驚く。かなりのページにその情報が書かれているのだ。
パラパラと流し読みしながらそれらしい情報を探していくと、そのページの多さだけはあってかなりの数のアーティファクトというものが出てくる。
「こんなに種類が書かれてると1個くらい近そうなものも書かれてそうな気がしてくる……………」
期待など多少しかしていなかったが、ここまでのものを見せられると伊奈野も多大な期待をしてしまう。
それはもう、どこかにあるのではないかと見つかるまでしっかりと読み込んでいくほどの様子……………と言えなくもないかもしれないが、
「あっ、そろそろ勉強しないと。黒い本、またあとで見るからその時宜しく」
「……………」
読み込むにしても一気に読んでしまうのではなく、あくまでも休憩時間内に収めていく。
ここまですでに休憩時間はかなり使っていたので、本を眺める時間は1分にも満たない程度だった。
伊奈野が勉強を始めてしまったため黒い本も待機が命じられ、何もできずにこのまま50分以上待機………ということにはならず、
「少し見せてもらいますね。アーティファクトに関する記述なんてなかなか見ることはできませんからね。非常に興味深いです」
「私も昔の魔法関連のことは興味あるわね。書いてあるかしら?」
「邪神が現れる以前の信仰のことも神殿にある程度残されていますが、全てのことが書かれているわけではないですからね。祭具などはぜひとも知っておきたいところです」
「僕も見たい!絶対次の発明のカギになると思うんだよね。やっぱりアーティファクト関係はロマンだよねぇ。たいていそういうのは時代を経るにつれて強みを削る代わりに汎用性を高くしてるのが多いから、ちゃんと尖った部分を見ておきたいし………」
「私も今回の見立てはかなり高額にしてたからねぇ。本当に正しかったのかは確認しておきたいところだよ。それに、ここで覚えておけば将来値段を決める時にも役立ちそうだからねぇ」
店主さんを含め、この場にいる者達は黒い本が見せてくれる内容に興味津々。
それぞれ目的は違うが、ひしめき合って黒い本を眺めている。穴が空きそうなほど、じっくりと。
そうしていると新しい知識が増えて行ったり新しいアイディアを思いついたりすることもあるのだが、それに加えて、
「あれ?これ師匠が探してたものじゃないかしら?こんな見た目だった気がするんだけど」
「ああ。そうですね。そういわれればこんな形だった気もします」
「こっちもじゃない?これも入ってた気がするよ」
「ああ。そうですね。これは独特な形をしていますが単体で使うものなんですね。逆にこっちは組み合わせるもので……………」
「おや、思っていた組み合わせとは違ったかい。これは値段のつけ方をちょっと間違えたかもしれないねぇ」
伊奈野に渡ったアイテムたちも近い形のものが見つかっていく。
伊奈野がこの後探すつもりだったのだが、先に魔女さん達が見つけてしまったというわけだ。
しかも最初は自分たちの興味を優先してみていたにもかかわらず発見したことが嬉しかったのかだんだんと伊奈野のアーティファクトを探すことが優先されるようになってきて、
「あっ、これもそうじゃないかしら?」
「これもですね」
「これもじゃない?」
伊奈野のアーティファクトが入っている袋を勝手に持ってきて1つ1つ中身を確認しだし、それの内容を調べていき出す。
そうして探されると当然ながら伊奈野が勉強を終わらせたころには、
「あ、あれ?皆さんどうしたんですか?そんなところで黒い本なんか眺めて」
「あっ。師匠!師匠の貰ったアイテム結構見つけましたよ!」
「師匠、手伝ってください。まだ見つかってないこのアーティファクトなんですけど、形状を見る限りこの絵の中のどこかに書かれているものだと思うんですよね。どこにあるものなのか分かれば今度はイラストが残ってないアイテムの中から時代を絞って探せるようになるので。師匠の探す範囲はここからここまででお願いします」
「え?……………え?」
そのあまりにも激しい熱気とやる気に気圧されるとともに伊奈野は困惑する。一体何を言っているのか脳が理解を拒んでいるようにまで感じるほどだ。
ただそんな体が拒否反応を起こしていると言ってもおかしくない状況でも伊奈野は無理矢理精神の力により頭を働かせて、
「わ、分かりました。皆さん私の貰ったものを探してくれてるんですね。それは私も参加しないわけにはいきませんし、やらせてもらいますよ」
自分のことを手伝ってくれているのだという結論に落ち着くことで無理やり納得する。
伊奈野のスルースキルが、今日もまた伊奈野の頭から悩みと考えることを大幅に削減してくれていた。
「私が気になっているのがですね、こういう部分なんですけど」
「あぁ~。確かに何か隠れててもおかしくはないですね。でもそれを言ったら使い方とかが分からないことを考えるとこういうところとかの方が……………」
「なるほど。それを考えると良さそうな場所としては研究狂いのところの……………」
「え?僕?ごめん。いないと思ってたから全然探してなかった。家の構造の方を見ちゃってたよ」
この伊奈野が勉強をしていた数十分間の間に溜めたノウハウを披露してきて、それらも参考にしつつ捜索が行われていく。
たとえそれのイラストが残っていなかったとしても他のイラストなどから探し出すのがプロ(まだ1時間もやってない)の技なのである。
《スキル『分析1』を獲得しました》
《称号『考古学者』を獲得しました》