感想などいろいろともらって気づきました
この作品が書籍化するにあたっての1番のアピールポイントって誤字がないところですね(え?誤字がなくなったらこの作品に何が残るんだ、って?
1巻のところは最序盤なのでそれこそいろんな方が誤字報告してくださってるんですけど、それでもまたいくつも指摘が入って……………ちょっと自分で書いてて心が痛くなってきましたw
「師匠、この間の魔法陣をさらに改良してみたんですけどどう思われますか?」
「え?まだあれの改良続けてるんですか?懲りてないんですね……………まあ私は良いですけど。とりあえずすぐには見ても何か言えることはないですが」
色々と大変なことになったのだが、それでもめげずに(懲りずに)伊奈野の作ったお口の中を最悪な味にする魔法陣を魔女さんは改良していたらしい。
伊奈野に渡された魔法陣は原形をあまりとどめておらず、もう新しい魔法陣を開発したと言ってもいいくらいのものになっている。伊奈野が見てすぐに何か判断できそうには思えなかった。
だが、
「へぇ。面白いですね。こんな組み合わせ方見たことなかったです」
「そうですよね!ちょっと頑張って組み合わせられないか試してみたんですよ。頑張ればもう少し効率化できそうな気もしますけど……………」
「制御用のパーツが多すぎますからね。確かにもうちょっと減らせそうな気もします。ただ、とりあえず新しい組み合わせにするので言えば充分なのでは?これがどれくらいの効果を出すのかは分かりませんけど……………もう試したりはしたんですか?」
伊奈野にもその魔法陣は面白いと思えた。魔女さんの努力がうかがえる。
あとは問題になってくるのが実際試してみるとどうなるのかという部分だが、
「まだ試せてないですね。正直誰に試せばいいのかさっぱり……………」
「人に試すので確定してるんですか?モンスター相手とかにしましょうよ」
「え?……………ああ。確かに、そういわれるとそうですね。わざわざ人を相手にすることでこだわる必要はないですか」
「そうですよ。逆に、人を対象にすることしか考えてないのはちょっと怖いです。あまりにも人を不幸にすることを意識しすぎてないですか?問題にならないようにモンスターに試してくださいね?」
魔女さんが少し怖い思想を持っていたためまだ試すことはできていなかったようだ。伊奈野は若干引いている。
もちろんモンスターに試すよう勧めるのも忘れない。何よりも、絶対自分が対象になるわけにはいかないために。
「わ、分かりました。じゃあ次の師匠の勉強中に試してきます」
「そうしてください。結果も聞かせてくださいね?」
伊奈野の説得の甲斐もあってすぐに試すつもりになったらしい。
伊奈野は小さく心の中でガッツポーズを作った。
だが、今の伊奈野の頭にはただこの魔法を逃れたことしか残っていなかった。
この先に何が起こるかなど考えていない。
伊奈野がそれに巻き込まれ始めるのは、その次の勉強というものが終わり魔女さんが帰ってきた後で、
「師匠!これ凄いですよ!」
「師匠!これを使いましょう!もっと改良しました!」
「え?……………え?」
「読み友。あれは良い物ですよ。ぜひとも改良を進めていただきたい」
「ご主人様!あれ何!?どうなってんの!?」
「……………いや、何の話ですか?」
目をキラキラさせて大はしゃぎしている普段のメンバー。
どうやら詳しく話を聞いてみると、
「私の作ったもので失神して、魔女さんが作ったものだと即死した、ですか」
「そうなんです!しかも師匠の作った魔法陣はほとんど魔力の消費がなかったですからね!あの消費量であれだけの効果を出せるのはかなり凄いですよ!」
「そう、ですか?私は現場を見ていないので何とも言えませんけど」
伊奈野の作った魔法陣は、しっかりとモンスターに効果を出したようだ。それも、尋常ではないほどの。
それにより効果を知った者達が興奮するのも当然。なにせ、そんな最小限の魔力で相手を気絶させられるような魔法はあまり類を見なかったのだから。
あったとしてもそれは術者側の問題で、腕が良かったり装備が良かったりたまたま良いスキルや称号を持っていたり。そんなものである。
しかし今回は、誰であっても魔法陣の使い方さえわかっていれば同じような結果を出すことのできる手段が出てきたわけだ。非常に革新的であり色々と状況が好転するように思われるわけである。
とはいっても、伊奈野としてはそんなものを使うから改良してくれと言われたところで若干気が引けるわけで、
「一体あれを何に使うつもりですか?悲惨なことになる未来しか見えないんですけど。勝負をするときはどちらが先に不快感で倒れるかみたいなことになるのは嫌ですよ?」
「アハハッ。大丈夫ですよ。人には基本的に使いませんから。主な目的はモンスターへの使用です」
「モンスターに、ですか。そんなに今って対処しないといけないほどモンスターは脅威になってるんですか?」
とりあえず伊奈野としては人に使うというわけではないことが分かっただけでも一安心できる。
ただ、そこからさらに気になるのはそこまでしてモンスターをどうにかしなければならないのかと言う部分だ。
それこそ瑠季などからモンスターが街を襲うなんていうゲームではありがちなイベントが行われたんていう話は聞かないのだ。あったとしても、邪神が襲撃してくるくらい。
その時に一緒に襲ってくるのかもしれないが、だとしても日ごろそこまで問題になっているわけでもないし心配する理由にもあまり思えない。
そうして伊奈野が質問すると少し難しい顔を魔女さん達はしながらも、
「ん~。絶滅させたいとかそういうわけではないんですけど、ある程度数はしばらく抑えておきたいんですよね。それこそ、他の世界とかだとモンスターを邪神に操られているところも多いようですし」
「モンスターを操られる?」
伊奈野は引っかかりを覚えた。
それはまるで、
「あれ?モンスターって邪神側じゃないですか?」
「ええ。違いますよ。知らなかったんですか?」
「し、知らなかったです。てっきり邪神の手下だとばかり」
「そうなんですね……………モンスターと言うのも本来、邪神に対抗するという意味では協力できる相手なんです。ただ、現在その魔物を従える存在が行方不明なんですよね。恐らく統率を取ることもできてなくて……………」
「へ、へぇ」
マズい味を相手の口の中に広げる魔法からこんな話になるのは予想外だったが、それはそれとして衝撃的なことを知る伊奈野なのであった。