イベント内容が分かりにくいというご意見をいただいたので少し解説を（感想は返信できてないですけど一応見れてます）
イベントでプレイヤーが目指すこと：ひたすら生き残る。敵を倒すこととか関係なく、ただただひたすら長く生き残ればＯＫ
基本的なルール：参加プレイヤー全員同時刻にスタート。今まで自分が作ってきたダンジョンが使われる。ＤＰも溜めてる分含めて使ってヨシ！侵入者からプレイヤーがキルされるかコアが破壊されるかした時点で敗北！特に公平性とかは考えられてないけど、早く負けたからと言ってデメリットがあるわけでもないのでヨシッ！（指さし確認）ちなみに敗北したりイベントが終了したりしたら全部元通りになる（）
地面からいくつもの魔弾が発射され、弾幕を作り出す。モンスターたちもその動きを止めざるを得なかった。それは、まさしく最強の防衛機能。
かと思われたのだが、
「あっ。結構すぐに終わっちゃうんだ」
伊奈野が自分で撃っていた時には繰り返し使えば済む話だったのだが、設置になるとそうもいかない。
一度の設置の後に継続する時間は数十秒であり、１分も持たないのだ。
これではあまり意味がなく、
「あっ。でも、１問解くごとに設置すれば丁度良くなるんじゃない？」
そこで伊奈野は思いつく。簡単な（とはいっても入試で出るレベルの）計算問題を解いて、１問解くごとに『牽制魔弾』の『連射』を『設置』すればいいのだ。
そうすれば、
「うん。ちょうどいい感じかな？」
設置した牽制魔弾が消える前に、また設置できる。多少作業の効率に支障は出るものの、あまり問題にはならない程度で済んでいる。
こうして問題を解いて設置してという作業を繰り返すことで、また完全と言って良いほどまでの防衛体制が作り上げられた。
ここで、敵に足の速いモンスターや麻痺に耐性のあるモンスターがいれば結果は違ったかもしれない。しかし、そういった敵は後の方に閊えているのだ。伊奈野の前で麻痺をひたすら受け続けるモンスターたちはイベント開始直後くらいに現れる弱い雑魚モンスターばかりであり、麻痺に耐性などあるはずがない。そして、雑魚モンスターであるにもかかわらずあまりにも魔弾のダメージ自体は低いのでキルされることもなく、ただただ麻痺を受け続けることしかできないのであった。
「瞬時にＯＮとＯＦＦを切り替えるのはなかなかきついけど、スイッチを入れる練習にはなるかな？」
何度も集中してゲームの方に意識を移してということをするのは精神的にも疲労を感じるのだが、それでも伊奈野は集中力を落とさずに続けていく。
その交流電流のように激しく切り替わる集中により、今までの集中の積み重ねもあったのか、
《ユニークスキル『風林火山陰雷』を獲得しました》
ログが流れる。当然、いつものように伊奈野は気が付くことはないが。
伊奈野はただただ、勉強と設置を繰り返すだけである。
それから２０分ほど経過した辺りで、
「んっ！？消えた！？」
突然だった。伊奈野が再度設置を行なおうとした段階で、伊奈野の前にいたモンスターたちが一瞬にして消え去ったのである。新しく何かが入ってくるということもなく、伊奈野は首をかしげるばかり。
ただ、数秒で気持ちを切り替え、何かよくは分からないが時間ができたと言うことで、また勉強を再開する。
一応、何かある場合に備えて設置の作業も行いつつ。
このモンスターが消えるという現象が起きたのは、伊奈野だけではない。
伊奈野ともう１人生き残っているダンジョンマスターであるプレイヤーも困惑していた。
「時間切れとかそんな話か？もしくは俺以外のプレイヤーが全滅したとか……このイベントのイベント名が『最強ダンジョン決定戦』であることを考えると時間切れと言うのを作るとも思えないし、後者の可能性が高いか？」
そう考えたのは油断かそれとも自分のダンジョンに相当な自信があったからか。
だが、たとえ自信があったのだとしても、
「な、何だアレ！？」
突然自分が見ているダンジョンの入り口に現れた存在に、驚愕させられる。
なぜならそれは見たこともないようなモンスターであり、
「し、死神……」
そうとしか表現のしようのない存在が映し出されていた。
当然その存在は、伊奈野の方にも来ている。
「あぁ～。私が作るロマンビルドみたいな格好してる」
伊奈野の表現は兎も角、全身が黒いローブで覆い隠されていて、顔には骨の仮面。さらには両手に大きな鎌が握られているのだ。
まさしく死神と言う見た目であり、人によってはそういう見た目のキャラクターでゲームをしていてもおかしくはない。
「雑魚が消えて出てきたことを考えると、ボスみたいなものかな？全然牽制魔弾が効いてなさそうだし、たぶんそうだよね」
伊奈野の目の前でゆっくりとこちら側へやってくる死神は、牽制魔弾の連射を受けているにもかかわらず全く意に介した様子はないし、その動きを止めるということはない。
今までのようにいく相手ではないというのも伊奈野には理解できて、
「まあいいや。どうせキルされるだろうし、私も出てみようかな」
伊奈野は立ち上がる。どうせキルされるなら下手なことはせずさっさとキルされてしまおうと考えたわけだ。見た目から判断すると魔法を使ってくる可能性もあるので、それで視界を奪われて勉強ができないよりはキルされた方がましなのである。
立ち上がった伊奈野の手にはいつの間にか転移してきた黒い本が握られており、
「これは寄生虫を倒した技。『必殺』！本の角アタァ～ック☆！」
そういって本を振り上げ、本の角による強烈な攻撃を繰り出そうと伊奈野は駆けだす。しかし、その瞬間、
「え？消えた？」
目の前の死神が突如として消える。伊奈野が周囲を見回すが、その姿はどこにもない。
「えぇ～？姿を消せる能力持ってるとか？まあ、霊的な見た目の敵ならそれもおかしくはないかぁ」
死神は姿を消す能力を持っていたのだ。
伊奈野はそう納得して、振り上げていた腕を下ろす。
その頭の中には先ほど叫んだ『必殺』という名のユニークスキルを自身が所持しているなんて言うことは一切入っていなかった。
死神みたいな見た目を主人公は昔使ってたって？ふぅん、それってちゅうｎ
