誤字報告ありがとうございますm(__)m
誤字がどうしても無くならないダメダメ人間です。
正して頂けて何時も感謝です(*´︶`*)♡Thanks!
ランベルト邸で暮らし始めて2週間が経った。
夫としてのミューゼ様に慣れた…訳もなく、四六時中ドキドキキュンキュンさせられっぱなしで、同室生活だから心が無になる時間もほぼなく、ミューゼ様の侍女スキルがメキメキと上がっていく事に疑問を抱きつつも楽しく暮らしている。
本日は卒業する為に必要な科目がない日なので学園には行かない。
なので今日はセナ様(ママと呼んで欲しいらしいが流石に恥ずかしい)に屋敷での女主人としての仕事を教わりつつ、午後からは久々に友達とお茶をする予定だ。
ミューゼ様はクリス様(パパと呼んで欲しいらしいが絶対無理)と共に領地の見回りに行ったりと今日は忙しいらしく、朝食後に「くれぐれも無理はするな!あぁ、領地の事など父上が全てやればいいのに!」等とミューゼ様らしからぬ言葉を吐きつつも名残惜しそうに出掛けて行った。
「フェリーちゃーん♡やっとフェリーちゃんを独り占め出来るわー♡いっつもミューゼがベタベタベタベタ張り付いててちーっともフェリーちゃんと2人きりになれないんだものぉ!最近はどう?悪阻は酷くなってない?困った事はない?」
「はい、大丈夫です。悪阻も軽いようですし、お義母様が配慮してくださっているお陰で食事も美味しく食べられますし、快適に過ごせています」
「んもぉ!固い!固いわよ、フェリーちゃん!ミューゼみたいよ!」
「そ、そうですか?」
「私ねー、フェリーちゃんとは姉妹みたいな母娘になりたいの♡何時か「ママ」って呼んでもらいたいし♡」
ママ呼び、諦めてないのかー。
「さ、フェリーちゃん、お出掛けしましょ♡」
「え?女主人の勉強は?」
「ん?あんなの口実よ、口実!今日は午前中めいいっぱい私とデートしましょう♡」
強引なセナ様に引き摺られるようにお出掛けする事になった。
そして現在。
私はセナ様お気に入りの服飾店(王家御用達のめっちゃ高級店)で着せ替え人形と化している。
「これからお腹が大きくなっていくんだから、マタニティ用の服はいくらあってもいいのよ!」
という事だ。
セナ様が選ぶ服は私が普段着ているのとは違ってかなりラブリーな物中心。
「こういうのは似合わないと思うんですけど」と躊躇う私に「何言ってるの!フェリーちゃんはとっても可愛いんだからこういう服の方が絶対似合うわよ!」と強引なセナ様。
着せられている感が半端ないのだが、セナ様は満足そうだ。
まだコルセットを着けている事を知った時は「まぁ!駄目よ!これからはコルセット禁止!危ないじゃないの!ミューゼもどうして気付かないのかしら?やっぱり男は駄目ね!全く!」とプリプリと怒っていた。
セナ様が満足するまで服を選んだ私達は服飾店の応接室(VIPルーム)で見るからに高いと分かる茶器でお高いだろうお茶を堪能し帰宅した。
「お洋服は来週には届くから、届いたら遠慮なく着てちょうだいね♡お揃いで作ったからペアルック楽しみましょうね♡」
何時の間にかお揃いでセナ様も服を注文していたらしい。
愛らしいセナ様と一見すると冷たく見える悪役令嬢顔の私が揃いの服を着るなんてどうなの?
*
「幸せそうじゃない!」
「そう見える?」
「顔にしっかりと書いてあるわよ」
午後からやって来てくれた友達、ライエンス伯爵家のスザンナは私の顔を見るなりニヤニヤしながらそう言った。
その横でコクコクと頷くのはヨゼフ侯爵家のオリーヴ。
スザンナとオリーヴは子供の頃からの付き合いがある私の数少ない親友である。
スザンナは思った事をズバズバ言うタイプでオリーヴは口下手という正反対な2人なのだが不思議な程に馬が合う。
「結婚おめでとう」
オリーヴが控えめな声でそう言ってくれた。
スザンナもオリーヴも私より1つ年上なのでもう学園は卒業していて、スザンナは来年結婚する為の花嫁修業中で、オリーヴは婿取りなので暇なのだそうだ。
「まっさか私達の中で一番初めに結婚するのがフェリーだなんて予想外だったわよね!赤ちゃんが出来たんでしょ?あのミューゼ様が早々に手を出すなんてもうビックリよ!」
「フェリーがお母さんになるなんて…凄い」
「で?新婚生活はどう?噂によると信じられない程溺愛されてるそうじゃない?氷の貴公子が灼熱の貴公子に変わったって聞いてるわよ?!どうなの?そこのところ」
「灼熱の貴公子?!何その渾名!」
「私も聞いたわ。学園でキスまでする程に溺愛してるって」
「何でそれ広まってるのよぉ!」
2人に根掘り葉掘り聞かれてアワアワしながら答えているとミューゼ様がやって来た。
「ご歓談中の所失礼」
「ミューゼ!あれ?来たの?大丈夫なの?」
「あぁ、少しだけ顔を出そうと思って」
ミューゼ様の蕩けるような笑顔を見て2人が固まっている。
「ライエンス嬢、ヨゼフ嬢、これからも妻をよろしくお願いします。では私はこれで」
「もう行くの?」
「あぁ、父上を待たせているからな。フェリー、転ばぬよう気を付けるんだぞ。では行ってくる、行きたくないが」
流れるように私に口付けすると愛おしそうに微笑んで去って行ったミューゼ様。
ミューゼ様がいなくなった途端、スザンナが叫んだ。
「誰よ、あれ!!!」
あー、やっぱりそうなるか。
「誰よ、あれ!!あの男が微笑む姿なんて初めて見たわよ!別人じゃないの?!信じられないものを見たわ!」
「私も初めて見た…溺愛、本当だったのね」
「溺愛って程でもないと思うんだけど」
「溺愛でしょうよ!あの、何があっても笑わない氷の貴公子があんな甘ぁぁぁい顔で微笑んでキスするなんて天変地異の前触れでもなきゃ溺愛以外有り得ないでしょう!学園では階段でお姫様抱っこするし、家では侍女顔負けで妻の身支度を整える!これの何処が溺愛じゃないって言うのよ!これは噂以上だわ!」
「貴重すぎるものを見たわ…」
その後もミューゼ様との生活を根掘り葉掘り聞かれた事は言うまでもない。