『こ、これは、相談という名の独白ではないのか?!』
キリアンの話を聞きながらそう思っていた。
ゲームの中で当然のように親切丁寧にあれこれと語ってくれたキャラクター達。
「そこまで聞いてないよ?!」って事まで語ってくれた超親切設計。
それを目の前で行っているキリアン。
トゥーラバをプレイしてた側だった記憶がある私としては非常に興味津々だし「設定通り!」「へー、そんな裏情報あったんだ」と嬉しい限りだが、普通一般的に考えたらおかしい。
普通に考えて「相談に来た」という相手が、初めて会話する相手に自分達の出会いから現在までを、会って10分も経たないうちに話し始めるって異様だ。
『こういう所がゲームっぽいよねー』
勝手に話してくれるんだから聞いているが、内心ではとっても失礼な事を考えている私であった。
学園に編入してからのリリンは真っ先にミューゼ様を探していたらしいのだが、ミューゼ様が現れたのは1週間後で、その隣には当然私がいて、そんな私達を見たリリンは「はぁ?!有り得ない!」と叫んだそうだ。
でも有り得ないのはリリンの方(キリアン視点で)であった。
編入してすぐに王太子殿下に近付き、現在側近であり後の宰相となる(キリアンは知らないけど)ヒューゴ・オラリスにも近付き、後に騎士団長になるマリオンにまで近付いたリリンにキリアンは「お前!何考えてるんだよ!」と詰め寄ったそうなのだが、リリンは聞く耳を持たなかった。
その後すったもんだあって(非常に話が長いので割愛)現在。
リリンは殿下の婚約者であるシャーリン・レズモンド公爵令嬢に嫌われ、シャーリンは何もしていないがその周囲がリリンを敵認定していて何かと指摘と称した嫌味や嫌がらせを始めたらしいのだが、その事をリリンは「遂に始まったー!これから断罪一直線コース!」と嬉しそうなのだそうだ。
「リリンは頭がおかしくなったのでしょうか?」
「…さぁ」
リリン的には最後に自分が選ばれる為の布石だと思っているんだろうけど、殿下達の対応を見ている限り殿下達が今のリリンの為に虐めの証拠を集めて婚約者を断罪するだけの熱量がありそうには全く見えない。
多分このまま突き進んでもリリンが選ばれるであろう未来はほぼないだろう。
まかり間違って絆されたとしても、国が決めた婚約を破棄するまでの熱量なんてないまま、学園に通っている間だけの甘酸っぱい思い出で終了しそうである。
本当にあの子は何がしたいのやら…。
そして、今目の前にいるキリアンは私に何を相談しに来たのだろう?
話を聞いている限り愚痴にしか聞こえない。
愚痴る相手間違えてない?私である必要あった?
一通り話し終わったのは1時間ちょっと経った頃だった(長いわ!)。
「リリン様の事がお好きなんですね…」
これしか言えん!
「僕はリリンの事が好きでした…でも今はもうその気持ちもよく分からなくなってきました…今のリリンは異様です。狂ってしまったのかと思える程に…僕はどうしたらいいのか…」
うん、やっぱり相談する相手が違うよね?!
君の周りには適任者いないのか?!友達いない系?!
…私も友達少ないけども。
「…何と言って差し上げるのが正しいかは分かりませんが…一度距離を置いてみたら如何です?近過ぎても見えない事もありますし、離れてみて気付く事もあるはずですよ?」
「離れる…」
「私はリリン様の真意など分かりませんし、キリアン様が今後どうしたいのかも分かりませんから何とも言えませんが…」
「…そうですね、離れてみるのもいいかもしれませんね!あなたに相談して良かった!ありがとうございます!」
えー?!何処に感謝される要素が?!
ねぇ、大丈夫?!大丈夫ですか?!
私、話を聞いて「離れてみたら?」的な事を言っただけだよ?!
その流れの何処に感謝されるポイントありました?!
「また相談に乗っていただいてもよろしいでしょうか?!」
子犬系イケメンの子犬部分が全面に出たクルクルキュンキュンな顔でそんな事言われたら断れるはずがない。
「わ、私でよろしければ…」
気付けばそう言っていた。
キリアンが帰った後すぐに駆け寄ってきたミューゼ様。
「あの男の臭いがする!」
という事でお風呂に直行され、恥ずかしいのにミューゼ様の手で体中磨かれ、その後ミューゼ様の膝の上に座らされてずーっと抱き締められ…。
ミューゼ様が満足するまで2時間もその状態だった。
そして「また相談に乗ってください」と言われた事を伝えたら「…消すか」と真顔で言っていた。
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