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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 216

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四話構成の特別篇の三話目となります。

少し本編から離れていますが、暫くお付き合いください。

フランの町は大混乱だった。

テイグーンより逃げ出した人々から、ことの次第を知り、町から逃げ出す人々で街道は人馬で溢れていた。

テイグーンの防衛線より搬送されたタクヒールも、ここで初めて目を覚ました。

幸い、マリアンヌの適切な処置と、フランでの治療のお陰でなんとか命を取り留めていた。

「みんな済まない……

俺だけ……、生き残っても意味がないじゃないか?」

そう呟くと、涙を流しながら瞑目し、彼らに祈りを捧げた。

「いや……、まだ命の使い道はあるか?

相手次第だけど、折角救ってもらった命だ。有効に使わないと彼らに申し訳ないな。

彼らのお陰で避難民たちはここまで来れた。

もう王国への義理は果たしたし、あとは、エストール領の領民を救うことが残された仕事だな」

そう言って立ち上がると、身体中の痛みに耐えながら、無謀にも馬に乗りテイグーン方面へと駆け出していった。

ヴァイス軍団長率いる1万騎の部隊は、テイグーンに負傷者と連絡部隊、計500名を残し、フランにて分散した軍と合流するため、全軍で北上を開始していた。

「報告しますっ!

ソリス男爵と名乗る者、単身で白旗を掲げ、こちらに参っております。

降伏に関する交渉を、と申して軍団長への面会を希望しております。如何いたしますか?」

「今更降伏だと?

あの者たちが戦った戦場を逃げ出してか! 見下げた恥知らずだな……

こんな奴らが貴族として上に立っているから、この国は……、何も昔と変わってないということか?

まぁいいだろう。奴には彼らに謝罪させてやろう。

連れて参れ!」

不愉快だが、降伏した者への最低限の対応、引見し話を聞くことは、第三皇子時代だったころからのグラート皇帝が定めた軍法だ。

しぶしぶ、ヴァイス軍団長は面会を許した。

タクヒールが引見の場に案内されるとまず驚いた。

彼らは進軍の途中にあった筈だ。

この短時間で、簡易ではあるが座を拵えたということか?

こういった対応すら慣れているのか?

そう考えている時、見知っている顔が居並ぶ敵将の中にあり、言葉を失った。

薄ら笑いを浮かべ、見下す様に見つめる顔は、思い出したくもないが、決して忘れる顔ではなかった。

『エロール!

何で奴がここに、帝国の諸将に顔を並べている?

……、そう言う事か!

魔境を抜けて来たのも、この侵攻の素早さも、裏切り者の奴の手引きなのか!』

エロールを睨みつけるタクヒールを見ながら、ヴァイス軍団長は声を発した。

「発言を許可する、其方の存念を述べよ」

「機会をいただき、誠にありがとうございます。

男爵としてこの地を預かっております、ソリス・タクヒールと申します。

わが領地は、閣下に対し降伏することをお伝えしに参りました。

その代わり、お願いがございます……」

「ふっ、命乞いか?

ソリス男爵よ、見苦しいとは思わなかったのか?」

「恐れ入ります。

閣下のお言葉、正解であり、正解ではございません。

わが領地は閣下に降伏し、ソリス家の全ての財貨、これから収穫され、税として納められるべき全ての穀物を提供させていただきます。

また、それらが確実に行われるよう、私が責任を持って執り計らいます。

お願いとは、それ以外のもの、本来領民が受け取るべき収穫物に関しては徴発することなく、我が家の財貨を対価として、お買い上げいただき、領民の暮らしを保証いただくこと、領民から略奪を行わないようにしていただきたいこと、この点、どうか伏してお願いいたします。

その代わり、罪は私の命を以て贖います」

「なに? どういうことだ?

其方は、全ての財貨と自身の命を以て、領民を救って欲しい、そう言っているのか?」

「はい、テイグーンの戦いも、領民が避難するための時間を稼ぐためのものでした。

私はそこで死に損ないました。

無事、領民の避難も完了した今、彼らに預けられたこの命、領民たちを救うため使いたく思います。

それを以って彼らには、不甲斐ない領主であったこと、死して彼らに詫びようと思っています。

な、何卒、よ、ろ……」

そこまで言うと、タクヒール倒れた。

そして、倒れた彼の衣服には、何か所から血が滲んでいた。

逃げ出したのではなく、深手を負い逃されたのか?

その身を押して、領民を救いたい一心で、これを告げるためここまで単身で……

そう考えると、ヴァイスは彼を見る目が変わった。

そして、古い記憶、自身が故国であるこの国を出て、グリフォニア帝国へと渡った経緯を思い出した。

この国に、領民を救うため、命を投げ出す貴族が居たとはな……

私利私欲に走り、馬鹿な貴族しか見てこなかったが、こんな男がいたなら、我が傭兵団も……

惜しいな……、こういった男が辺境のいち男爵にしか過ぎないから、この国は滅ぶということか?

グラート陛下の統治する新しい国、その治世の一翼を担うことこそ、このような男に相応しい待遇なのではないか?

暫し瞑目してから、彼は決断した。

「グリフォニア帝国北方派遣兵団軍団長として命ずる! 降伏の交渉は成った。

これより一切の暴行、略奪、徴発、押し買いを禁じ、この禁を破った者、狼藉を働いた者は、帝国の栄誉を穢した者として直ちに処断する!

全軍に徹底させよ、2度とは言わんぞ!」

そして倒れたソリス男爵を見据えて続けた。

「すぐ手当をしてやれ。丁重にな。

フランまでは荷駄に乗せ運んでやるがいい。

決して……、彼の貴族としての名誉を穢さぬようにな。

男爵が早まったことをしないよう注意し、無礼な真似は罷りならんぞ。

このこと、強く心得よ!」

このように高潔な男だ。

王国にはまだ忠義を尽くすし、遠慮もあるだろう。

それまでは礼を尽くして軟禁し、王国が滅びてのち、この国の民に尽くす機会を与えれば、良いことだ。

領民を想う彼の気持ちがあれば……、何とかなるか?

手当をされ、運び出される彼を見ながら、ヴァイスはそう思っていた。

タクヒールが降伏したのち、帝国軍の移動、食糧の補給などを含め、全てが混乱なく行われた。

事前に領主より布告がなされていたせいか、領民達の混乱も少なかった。

帝国軍の軍律は厳格であり、略奪暴行なども一切無かったことも、領民たちを安心させた。

帝国兵は何かを買う際も、きちんと対価を支払った。

ヴァイス軍団長は、エストに僅か1日だけ滞在した後、後事を信頼できる配下に託し、1,500名の兵を残すと、再び征旅の途についた。

入れ替わりにエストにやって来たのは、国境からはるばる彼を追い、ほうほうの体で駆けつけたブラッドリー侯爵だった。

「何だとっ!

折角領地を切り取りながら、略奪を禁じるとはどう言うことだ? 軍団長は何を考えておる!」

彼は怒り狂った。

必死で追い縋って来たため、補給部隊は付いて来れずに途中で置いて来ていた。

やっとのことで、それなりの街に着いたのに、対価を払わないと食糧すら調達できないと言う。

これでは侵略して来た意味がない。

「軍団長は軍律に厳しく、これは陛下の軍法にもあります。

やんごとなきが身分の方でも、これは陛下の勅命と同じ、そう考えていただく必要がございます。

どうか閣下の兵にもこのこと、必ずお伝えください。違反者は、弁解の余地なく即刻処刑されます」

抗議に行ったが、逆にヴァイス軍団長が残した兵站責任者に脅される始末であった。

「一度切り結んでおいて降伏とは不甲斐ない。此方は補給もままならず、この有様ではないか!

命惜しさに領地を売るとは、恥知らずな奴めっ。そ奴の浅知恵に振り回されるなど我慢がならんわ!」

人目を憚らずこの地の領主を罵ると、まともな補給もできない彼は、エストに居座ることとなった。

王都に向かい進軍する18,000騎の軍団は、誰もが予想しない速度で侵攻した。

途中にあった各領地の貴族たちは、一戦もすることなく、その多くがただ慌てて逃げ出した。

まるで無人の野を征くが如く、彼らはカイル王国中心部まで進み、エストから僅か4日で、王都のすぐ手前まで来ていた。

「奴らは一体何を考えておるのだ?

国境で戦いが起きていると言うのに、全く無警戒で、どこ吹く風と、我らの侵攻すら気付いておらんではないか」

ヴァイスは呆れて側近に告げた。

「ですな、本日通過した貴族など、我々が侵攻している報告と我々の到着が同時で、無様に慌てふためいておりましたからな」

「味方に警鐘を鳴らすことすらせず、我先に逃げ出す奴らばかりだ。こんな貴族どもに仕える領民こそ哀れでならんな。だが、商人どもは流石だな。

行く先々で我らを待ち受け、無償で物資を提供してくれるため、全く補給を待たずに進軍できたわ。

明日はいよいよ王都か?」

「はい、明日にはこの王国も滅亡となりましょう。

頼みの綱の王都騎士団は、今頃慌てふためいて軍を返している途上か、まだ夢中でサザンゲートの砦を攻めておりましょう。

きっと商人共は敏感にこのことを嗅ぎつけ、未来への投資とでも考え勤しんでおるのでしょう」

帝国軍は明日の王都総攻撃に備え、早めに休息に入っていた。

そして、夜も更けたころ、彼らの陣幕に怪しい人影が現れ、ひとつの天幕の中に吸い込まれた。

「老師、ここまでご足労いただき、感謝いたします。

いよいよ明日、我らの悲願である王国の滅亡と、長年待ち望んだ新しい未来が始まることでしょう」

「エロールよ、よくやった。

これで第一段階は完了するであろう。そして、次の布石も打っておくべきじゃが……

そちらの方はどうなっておる?」

「はい、今、エストにはうってつけの男がおります。

あ奴めに我らの意に添い動くよう偽りの情報を流し、加えて闇魔法で暗示を掛けております。

間もなく暴発することでしょう。

帝国の奴ら、特に軍団長はあの無能者を気に入っているようです。

逆に、我らの操り人形は、無能者に並々ならぬ憎しみを抱いておりますす。

何の取柄もない無能者が、最後になって我らの役に立ってくれました」

「それは誠に良い知らせじゃな。

奴らには無慈悲な侵略者として名を残してもらわねばならんでな。

我らが新しき世を作るため、反撃の狼煙を上げる日まで、民の憎悪は積み重ねられねばならん。

其方の策は、帝国側にも新たな確執の楔を打ち込み、離間を進めるということじゃな?」

「はい、奴は今頃、エストで暴発しているころでしょう。

先ずはエストで、その後各地で、奴は降伏した領主を血祭りにし、領民どもには略奪の限りを尽くして行くでしょう。

その名ブラッドが示す通り、血に濡れた侯爵となって……」

「ふふふ、ブラッドリーが転じて、帝国のブラディ(血まみれ)侯爵か。

名は体を表すという。よい働きをしてくれそうだな。

では、引き続き頼むぞ」

「はっ、我らの未来のために」

その後一瞬、周囲の暗闇が深く広がったかと思うと、老人の姿は消えていた。

翌朝、エストではブラッドリー侯爵の兵たちが慌ただしく動き始めた。

「侯爵、一体これはどういうことです?

軍団長閣下のご指示もなく、ソリス男爵の身柄を拘束し、どちらに連れていかれるおつもりか?」

「儂は軍団長の支援をしているまでじゃ。

聞くところによると、彼の者は領民を苦しめ、この領地を困窮させた元凶というではないか?

ここで処刑し、領民たちにも溜飲を下げさせてやろうと思ってな」

「な……、何を仰います!

軍団長閣下は、ソリス男爵を厚く遇し貴族としての名誉を損なわぬようにと、きつく仰っています。

それは余りにもご無体。

軍団長閣下の御意をなんと心得られますか!」

「ほっほっほっ、貴族としての名誉じゃと?

貴族でもない下賤の身、傭兵なんぞの出自であるお方が、貴族の名誉と申されるとは片腹痛いわ!

一度切り結んだ敵の虜囚となることが名誉じゃと?

敵軍に物資を融通し、わが身の保身を図ることが名誉とでも言うのか?

それに本人も死を望んでいると言うではないか!

栄えある侯爵家当主の私が、彼の名誉を守ってやるのだ。将軍でもない其方の差し出口は許さん。

今夜、男爵の処刑を行う! 逆らえば同罪じゃ!」

こう告げるとブラッドリー侯爵は、それでも頑として譲らない男を捕縛し投獄した。

そして、この日に執り行われる、公開処刑の通達とその準備に取り掛かった。

ご覧いただきありがとうございます。

第二百話より特別編を4回に分けて投稿しています。

内容は本連載の少し前、プロローグに至る経緯の内容です。

2回目の世界が終焉に至る経緯と、帝国や王国(エストール領)の動向など、詳しく綴っていく予定です。

特別篇 終わりの始まり第四話は、『滅びの鐘は鳴る』を投稿予定です。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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