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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 223

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フェアラート公国から見れば東の辺境、カイル王国から見れば西の国境を越えた先に広がる魔境は、便宜上俺たちの視点で西の魔境と呼ぶことにした。

初めて訪れた魔境と、そこに広がる景色は、今まで見たそれと大きく異なっていた。

魔境伯領内の魔境は、鬱蒼とした深い森に覆われた薄暗い森林地帯、ハミッシュ辺境伯が抱える魔境は少し乾燥した森林地帯だったが、西の魔境は湿潤で至る所に沼沢地が広がっていた。

「エラン、先ずは最終防御拠点の構築を!

他の各位は、周辺の偵察と警戒を行いつつ、罠を張っていこう。

クリストフ、全体の指揮は任せる」

俺たちはまず、教科書通りの対応に入った。

魔物に追われた際に逃げ込み、最終的にそこで食い止め討伐を行う最終拠点を用意した。

この作業を行える魔法士は、今回エラン一人だが、その一人が極めて能力が高く優秀だ。

みるみるうちに拠点となる場所と、簡単な土壁、塹壕が用意される。

その他の人間は、その塹壕に逆茂木を用意し、手早く設置していった。

「ほう? この手並み、侮れませんな」

フレイム伯爵は、彼らの動きに目を細めた。

フェアラート公国に存在する魔法士の多くは、火、水、雷、氷の属性を持つものが大半を占める。

だからこそ、復権派の4人の領袖たちとも相性が良かった。

逆に言えば、地、風、聖、音、光、時空の属性は極めて希少で、闇、重力はもちろん皆無らしい。

そのため、カイル王国では見慣れた地魔法士の活躍も、彼らにとっては警戒すべきものであった。

「我々も、常に守りが中心です。

国土を守ることに専念していることは、これまでの歴史を見ても明らかだと思われます。

我らの行動が切っ掛けとなって、魔物を誘引してしまっては貴国にご迷惑をお掛けするので、いつも予め最終防御ラインを設置するんです」

俺は一応、フォローしておいた。

あまり過剰に意識されても困るが、今回、フェアラート公国で是非入手したい素材がある。

だがその魔物は、極めて危険とされ、討伐も忌避されているぐらいなので、準備は念入りに進めた。

俺は前回の反乱時に、クレアが矢傷を受けたことを非常に重要な問題と思っている。

二度と彼女たちにそんな傷を負わせたくない。

だがそれに対処するには、重厚なプレートアーマーを着込むか、もう一つしか選択肢はない。

もちろん、彼女たちに重量のある鎧は無理がある。

例え着こんだとしても、騎馬に乗っていなければ、機敏な動きができなくなるし却って邪魔になる。

そのため、もうひとつの手段を採ることにした。

矢や刀の刃を全く通さないと言われている、非常に固くて軽い鱗を持つ魔物。

それは体長は10メルを超え、人より太い胴回りを持ち、ナーガと呼ばれている巨大な蛇の一種だ。

その中でも俺が探し求めているのは、ナーガの中でも最強と言われている水棲の大蛇、クリムトと呼ばれて恐れられている魔物だったが、カイル王国の魔境にはクリムトがいない。

もし仮に居たとしても、魔境の最深部の沼沢地で、通常なら手が出せない。

だが、フェアラート公国の魔境は、水棲の魔物が多く、最深部に行かなくてもクリムトと遭遇できる可能性は高い、そう聞いていたからだ。

実際、職人の間でも伝説の素材として噂される、クリムトの鱗は全て、フェアラート公国から流れてきているものらしい。

俺も、最強の防具を求め、カールさんを始め多くの職人と話をしてきたが、だれもがクリムトの鱗を素材とすれば……、そんな回答を得ていた。

だが問題は、その素材がカイル王国では簡単に手に入らないことだった。

クリムトの鱗は、透き通るように透明で薄く美しいらしい。それを交互に重ねれば、軽装の鎧でも防御力は格段に上がり、フルプレートアーマーを優に凌ぐ防御力の、最強の鎧となるらしい。

あの時、もしクレアがそれを着ていれば、矢傷で生死を彷徨うほどの負傷を受けることもなかった。

その後悔と自責の念が、その後も俺にはずっと残っていた。

ただその硬さ故に、弱点とされる火で焼く以外、討伐は極めて困難で、更に一度火で焼かれた鱗は脆くなり、素材として用を足さなくなってしまうらしい。

そのため、フェアラート公国ですら素材としての流通数は極めて少ないらしく、カイル王国から商人を通じて入手を試みたが、毎回まず入手できないと言われ断られていた。

公国内ですら、鱗一枚でも金貨数枚の値が付き、それでも入手できないことが多いらしい。

俺は常々、これを5人の妻たち、風壁を張るため敵陣の前面に展開することが多い風魔法士たち、戦闘には直接関与しないが前線で救護活動を行う聖魔法士、膂力の弱い女性の魔法士たちに、この鎧を与えて守りたいと考えていた。

実は、特使の任を受けた大きな理由のひとつに、この素材の入手を探ること、俺の中でこの秘めた目的のため受けた、そういう部分も否めない。

「今回、できればクリムトを確保したいんですよね。

魔石も重要ですが、どうしても鱗を入手したくて、この魔境に入る準備も進めてきました」

「な、なんとっ! ク、クリムト……、ですか?

魔境伯殿は、あれの危険性をご存じではない、そう思えてならないのですが……

我が国でも、毎年多くの者が命を落としています。そのため、あれを討伐した者は、国王陛下から直接表彰され、一生食うに困らないとも言われているものですぞ。危険すぎます!

どうか、お考え直しいただくことはできませんか?」

そりゃそうだよね。

俺もクレアの件が無ければ、ここまで必死にはならなかったかも知れない。

「フレイム伯爵、承知しています。

そのため、我々は出立前から周到に準備を行ってきました。無理をしてご迷惑をお掛けするつもりはありません。拠点が確保でき次第、少し奥の沼沢地目指して進んでいきます」

こう伝え、暫くして拠点ができた後、訝しがる伯爵たちを伴って魔境の奥へと足を進めていった。

拠点には、ローザと矢を準備した兵100名、ここまで乗ってきた騎馬を残して。

「タクヒールさま、右前方、来ますっ!」

「全軍停止、右前方から来るぞっ!」

魔境での行動も、シャノンが仲間に加わってからというもの、格段に楽になった。

彼女の耳は音魔法を行使して、レーダーそのものの活躍をしてくれる。

接近する人物や魔物が立てる微かな足音を察知し、事前に警報を発してくれるのだ。

そのため、接近する魔物に対して、十分な迎撃態勢を整えてから、相対することができる。

「蛙には決して触れるなよ!

奴らの粘膜には毒があるものもいる。遠距離から毒霧を吐くものもいるので、風下には決して回るな!」

クリストフの指示で、蛙目指してクロスボウの矢が的確に飛ぶ。

今回、エストールボウも持ってきているが、標準装備は限定版で非売品の強化型クロスボウだ。

もちろん俺たちは、ここに来るまでに八方手を尽くして、この魔境に棲息する魔物を調べている。

特徴や危険性、その弱点もだ。

「倒したら矢は打ち捨てて、決して拾うな! 処理は火魔法士に全て任せ、先へと進め」

カイル王国の魔境では、まずは黒狼が先遣隊として襲ってくるが、この地では蛙の大群だった。

しかも、大きい!

四肢を伸ばせば、人間と変わらないし、足の長さは人のそれより長い。

下手に接近を許すと、その跳躍力をいかして、いきなり真上から襲ってくる。

そして、もうそうなった時点で詰んでいるいるのだ。

至近距離で致死性の毒から逃れる術はない。

魔境を進み、既に50匹ほどの蛙の襲撃を受けていた。

事前に聞いた話だと、それぞれが縄張りを持ち、その領域への侵入者に対し襲ってくるとのことだ。

俺の体感時間で2時間ほど、魔境の中を進んだところで、ひと際大きな沼と周囲に湿地帯が広がる場所に出た。魔境に入る前の打ち合わせで、フレイム伯爵から『クリムトの出没する危険地帯だから、絶対に避けて通るようにしてください』、そう言われていた場所だ。

敢えてそこに来た俺たちに、伯爵はかなり不平顔だったが、俺にとってはそんな場所、見過ごす訳にはいかない貴重な狩場だ。

「全員、円形に展開っ!

水際には絶対に近づかないようにっ! 水中に引き込まれるぞっ!」

クリストフが兵たちを指揮する脇で、エランは黙々と沼から幅4メル(≒m)ぐらいの水路を掘り、50メルほど引き込んだ先に、緩やかな斜度を付け、水から這い上がれるような場所を作った。

これこそ、俺たちが事前に考案した『魔物ホイホイ』だ。

斜面の上には、事前にサラームの街で購入しバルトが運んだ、まだ血の滴る家畜の臓物が置かれた。

更にその上に、血が入った瓶から血を注いだ。

「なっ! なんて事を……」

フレイム伯爵は蒼褪めたが、俺たちは全く気にせず、黙々と準備を進めた。

家畜の血は、ゆっくりと斜面を流れながら水面に達する。

その瞬間、沼の水面がさざめき出し、周囲の空気が一瞬変わったような緊張感に包まれた。

細い水路の水中を、何かが静かに移動する気配が伝わる。

そして突然、大きな音と盛大な水飛沫を上げて、水中から巨大な物体が飛び出た。

水面から高さ数メル、飛距離にして5メルほどは飛んだかと思うと、臓物めがけて食らいついた。

その瞬間、その脇の大樹に登り待機していたバルトが、空間収納から巨大な大岩を落とした。

骨が砕けるような不気味な音とともに、体長10メルはある巨大な鰐のような魔物の頭部が圧し潰され、魔物は一瞬で絶命した。

俺は一回目に生きた世界にて、豪州北部の地で体長10メートルのイリエワニを見たことはあったが、それに比べて、見るからに凶暴で危険そうだった。口先は長く、大きく開いた口にはナイフを思わせる牙が隙間なく並び、尾はとても太く鋭い棘がびっしりはえており、太い尾を振り回した一撃で、人の身体は引き裂かれてしまうことが、容易に想像できた。

正直、例え陸地でもこんな魔物と戦いたくはない。

バルトは直ちに樹から降り、石と魔物を回収すると、すぐさま再び大樹に登った。

魔物ホイホイは、先ほど倒した魔物の血を吸って、更にその効力を高め、次の獲物を誘引する。

その過程を3度ほど繰り返したころ、隣を見るとフレイム伯爵は唖然として口をパクつかせていた。

彼の配下の兵たちも、蒼くなり呆然としていた。

「いや……、そんな……

これは、余りにも、その……」

「驚かせて申し訳ありません。

我々とて魔物たちとまともに戦いたくないので、安全で楽をする方法を考えて来たんですよ。

グランチでしたっけ? あの魔物は、まともに戦えば我々の魔境でも最強クラスですからね」

だが、その後も魔物ホイホイに掛かるのは鰐ばかりだった。

クリムトは、ここには居ないのか?

そう思ったとき、周囲を警戒していたシャノンが、ひと際大きな声を上げた。

「後ろの森から、巨大な何かが来ます! 距離100メルっ!」

「ちっ! 後ろからか!

火魔法士は両翼に展開して、炎の壁で味方を守れっ!」

俺が慌てて指示を出したのとほぼ同時だった。

視界に鮮やかな虹色の鱗を纏った、胴回りは優に1メル超える巨大な蛇が突進してきた。

ダンケやイサークが咄嗟に炎の壁を張ったが、罠の近辺に展開していた本陣、俺達を援護することはできなかった。

「クリムトだぁ、もうだめだぁっ!」

伯爵配下の兵たちが絶叫を上げた。

巨体に似合わず、その動きは早く到底逃げることは叶わない。

その瞬間、俺の傍らから激しい炎の壁が立ち上り、クリムトは一方向以外に逃げ場を失った。

そして、その炎の壁の出口の上には、枝を移動したバルトが待機していた。

そう、俺の傍らには火魔法士として団長の厳しい修練を乗り越え、その能力に右に出る者がいないほどの強者、クレアが控えているからだ。

激しい地響きのあと、静寂が訪れ、天を向き立っていた尻尾が、ゆっくりと倒れ大地を叩きつけた。

そしてそこには、数個の巨石で頭部を押しつぶされた巨大な大蛇、クリムトが横たわっていた。

兵士たちの大歓声が辺りを包み、その後すぐに魔物を回収すると、俺たちは急ぎその場を撤収した。

その後俺たちは、最終防御拠点まで戻り、本日狩った魔物の剥ぎ取りを行った。

これもいつも決まった行動の一つだ。

本来、剥ぎ取りは狩ったその場で速やかに行うが、この時が最も警戒すべき時間となる。

魔物の血肉で、更に魔物が誘き寄せられるからだ。

だが、時空魔法士がいれば、その過程は省略できる。

さらに、魔境を撤収する際、少なからず俺たちを追って、後方からやってくる魔物もいる。

それらは全て、最終拠点で待ち伏せし迎撃する。

最終拠点で一部の魔物の剥ぎ取りを行うのは、それらを全て誘引し倒しておくためだ。

こうして俺たちは、最終拠点でも討伐を行い、結果として予想以上の収穫を得ることができた。

クリムト以外でも、グランチは皮や牙、尾の棘や骨なども、素材として非常に高価なものだったし、撤退した俺たちを追ってきた、水とは正反対の魔物、火属性の魔物からも、魔石や貴重な素材が入手できた。

「いやー、フェアラート公国の魔境は、本当に豊かですね。驚きました」

「……」

そんな無謀なことを、好んで行う人が居ないだけです。フレイム伯爵の顔は、そう言いたげだった。

俺たちは、大きな目的のひとつを達成できたことで、喜びに沸きサラームの街へと帰路に就いた。

(西の魔境での成果)

◇水属性の魔物

巨大な水蛇……1体

巨大な鰐……6体

巨大な毒蛙……80体以上(全廃棄)

◇その他の属性の魔物

蜥蜴類 ……6体

ヒクイドリ(鳥類)……3体

その他多数

ご覧いただきありがとうございます。

次回は『サラームの街』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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