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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 227

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俺たちがフェアリーに到着し、フェアラート国王と内々に酒を飲み交わした翌日の午後、公式の行事として、王宮へ足を運んだ。

形式ばって面倒なことだか、国と国との外交儀礼に則った謁見のためだ。

同行したのは、クレア、ヨルティア、バルト、シグルとカーラだ。

5人しか王宮に入れないとあって、人選には少し悩んだが、クレアとヨルティアは魔境伯夫人として、バルトは従卒兼献上品の持参で、シグルとカーラは男女それぞれの護衛としての役割を担っている。

王宮の謁見の間にて、居並ぶ貴族の視線を受けながら、俺は特使として立礼のうえ、外交口上を述べた。

「ソリス魔境伯、特使としての役目大儀であった。

カイル王にもよろしくお伝えいただきたい。今後も両国の変わらぬ友誼を以て」

「はっ! お言葉確かに承りました。

ささやかながら、こちらにございますのは、我が王より依頼されましたお祝いの品々です。

お納めいただければ幸いです」

そこには、俺が狸爺と相談し選んだ品々に加え、テイグーン産の特産品も一緒に添えていた。

もちろん、最高級の器に入れたはちみつもある。

「それと更にもうひとつ、我が王より陛下のご即位を祝う品を預かっております。

本日の晩餐にて披露したく思いますが、ひとつ、ご許可いただきたいことがございます。

祝いの燈火を灯すため、王宮の中庭及び王都の各場所に、これと同じものを設置したく思います。

陛下のご許可がいただけると幸いです」

俺がサンプルで差し出した燈火を見て、国王は一瞬怪訝な顔をしたが、すぐに笑った。

まさか、これも知っている訳じゃないよね?

「ほう、面白い趣向だな。

準備のため中庭、および王都内への設置を許可する。カイル王の祝いの品、楽しみにしておるぞ。

大臣! 各兵士、文官には直ちにその旨の通達を出すようにしろ。くれぐれも間違いのないようにな」

「ご許可いただき、誠にありがとうございます」

「いやいや、噂に聞いた魔境伯の手並み、楽しみにしておるでな。

所で魔境伯には、こちらからも大事な用件があるでな。

では、こちらに持て!」

国王の指示のもと、一見しただけで豪華と分かる巨大な絨毯が数巻きと、200枚は超えるであろうクリムトの鱗が、謁見の間に運び込まれた。

「本来、クリムトの討伐者は、余自らが表彰し、昇進や召し抱えなどを以て報いるもの。

だが、他国のご使者にはそれも叶わん。

依って、魔境伯には代わりにこちらの品を遣わす」

いや、陛下……

俺の欲しいもの、思いっきりご存じなのですね。

国王の目がめっちゃ笑ってるし。

「ありがたく頂戴いたします。

陛下には、最大の感謝を以て御礼申し上げます」

うん、昨日といい今日といい、この人には必ず一歩先んじられている。

参ったな……

謁見も無事終わったので、謁見の間を辞した俺は、早速ライトアップの準備に取り掛かった。

必要な花は、昨日既に市場にて買い集めている。

因みに今日の午前中は、直営以外の兵士全員で、花弁をむしり取る作業をひたすら行っていた。

屈強な男たちが、花びらをちぎる姿を見て、その滑稽さに思わず吹き出してしまい、一瞬危ない想像をしかけたが……

市内の設置場所は、昨日の間にクリストフたちがアタリを付けているので、今は主要個所に集積するだけでいい。日中は馬車も通り、通行の邪魔になってしまうので、ある程度まとめて集積して置き、見張りを付けている。

王宮の中庭と晩餐会場は、事前にフレイム伯爵に聞いているため、設置場所はヨルティアが現地確認したのち、すぐに決まり配置を始めた。

今は衛兵たちに監視してもらいながら設置を行い、日が暮れてのち火を灯すだけだ。

そんな準備を行っていると、あっという間に夕暮れ時となっていた。

夜になり、特使歓迎の晩餐会が催された。

参加者は全て、フェアラート公国の名のある貴族とその子弟、妻女たちだった。

今回、俺の同行者はヨルティアだった。

本当はクレアと2人で参加させたかったが、流石に2人の夫人を連れて行くことは憚るべき、生まれが孤児であるクレアは、そう言って頑なに固辞してきた。

『正直、私も憚るべき立場なのですが、それ以上に、クレアさんの気持ちも察してあげてくださいな』

ヨルティアにそう言われ、俺は止む無く彼女を着火部隊の指揮官として送り出した。

序列が決まり面倒くさい着座式の食事ではなく、自由気ままに欲しいものを取って、好きなテーブルで食事が楽しめる半立食形式だったのが、俺にとってはありがたかった。

ずっと左右をお偉方に囲まれたら、食事もまともに喉を通らない。

まして、この国の貴族にとって、魔法士ではない俺は異端者であり、かつ、多数の反対派貴族にとっては、敵対勢力を認める使者として派遣された者であり、歓迎する筋合いは一切ない。

基本的に俺たちを遠巻きに眺める者はいても、積極的に話しかけてくる者は少なかった。

そのお陰で俺は社交辞令に付き合わされることもなく、周りに気兼ねすることもなく、ヨルティアと食事を存分に楽しむことができた。

漆黒の髪が映える、鮮やかな薄紫のドレスに身を包んだヨルティアは、誰が見ても惚れ惚れするほど艶やかだった。

「こんな綺麗な姿を見たら、誰かが口説きに来るんじゃないかと、心配になっちゃうよ」

「そんな……、滅多に言わないお世辞を言われたら、私、本当に舞い上がっちゃいますよ。

それに、ご心配いただかなくても大丈夫です。私はタクヒールさま以外、芋にしか見えませんから」

え? 俺ってそんなに自分の奥さん褒めてない?

前もダレク兄さんに言われたけど、そんなに女心分かってないのかな……?

そこがちょっとだけ引っ掛かった。

だが、酒が進み、酔いが回るにつれ、俺以外にも彼女の言葉に引っ掛かった者がいたようだ。

「ほう? 我らは芋ですか?

これはどうも、大変名誉なお言葉をいただいたものですな」

傍らに居た男が、俺たちの会話に割って入ってきた。

若い貴公子然とした男だったが、矜持だけは高そうだった。もしかして、芋と言われて怒ったのか?

「これは失礼いたしました。

我が妻は、決して貴方様を指して申し上げた訳ではございません。酒の席にて夫婦間の、たわいもないのろけ話とお聞き流しください」

そもそも夫婦の会話を盗み聞きし、揚げ足を取ってくること自体無粋だし、ちょとおかしい。

しかもこちらは来賓だ。

だが、俺は一応礼節を以て応じた。

「男爵よ、大人げなく立場を弁えぬ田舎貴族の戯言に、そうそう目くじらを立てることもなかろう。

ここはめでたい祝いの席じゃからの」

更に、まるで揉め事の機会を待っていたかのように、更にもうひとり加わってきた。

ってか、こちらが大人しく対応しているのに、余計に火を煽るなよ。

「伯爵殿の仰る通りですぞ。カイル王国では、いささか我らと風習も異なると聞き及んでおります。美醜の価値も違うのでしょう。

ところで、常々王国では魔法士を使った見世物が盛んと聞いておりますぞ。

特使殿もなにか、余興で見世物を披露してくれるのであろう。我らの価値観に合うと良いのだが……

彼女もその見世物士のひとりかも知れませんぞ」

こいつら……

3人掛かりで喧嘩を売る気満々ということか。

どうせ国王反対派、不平貴族の中でイチャモンを付ける任務を任された、言わば下っ端だろうけど。

「よくご存じですね。

以前のカイル王国では、立場に驕った一部の者たちがそのようなことを行っておりましたよ。

ですが、そういった愚か者は今、愚かしさに相応しい処遇を受けておりますよ。

因みに彼女は、戦場でも武勲を上げ、内治の功もあって、我が国王から認められた貴族のひとりであり、更に我が妻でもあります。どうか、失礼な言動はお控えください」

俺のことはどうでもいい。

だが、俺の妻に対して何と言った?

お前らは既に、俺の地雷をひとつ踏んでいる。

これ以上言ったら……、俺も容赦しないよ?

「はっはっは、確かにそうだな。

戦場でこのような色香で誘われたら、敵の兵も骨抜きになるだろうな?」

「内地の功とは、色香で民を誘惑することではないのかな? 民も喜んで尻を追うというものよ」

「そうですな。私も思わずその色香で誘惑されかけましたよ。しかしまぁ……、はしたない話ですな」

「……」

もういいよね?

ヨルティアは、俺のために屈辱に耐え、しかも逆に俺を暴発させないように、必死に目で訴えて来ている。

でも、俺の肩に縋る彼女手は震えている。

きっと、一時は娼婦に身を落とした自分が、このような場所に出てきたことを恥じているのだろう。

俺はもう引かない!

「お前ら、これで気が済んだか?」

「は? 特使殿は何と仰ったのかな?」

3人は突如として雰囲気が変わった俺に、一瞬たじろいだものの、敢えて虚勢を張りなおした。

「公国内の内輪揉めの鬱憤を、国外からの特使に対して晴らし、それで気が済んだか?

そう言ったのが理解できる頭も無いのか?

身内の恥を晒す卿らと話していても、何も得るものもなく、ただただ不毛で不快なだけだ。

気が済めば早々に俺の前から立ち去るがいい。今なら許してやる」

「なっ、なんと無礼な!

そもそも、どこぞの者とも分からぬ下賤の者を、この席に伴うこと自体無礼であろう?

着飾っていても、所詮身分卑しき者。色香で男を惑わすだけの女ではないか」

はい、アウト!

君はもう最後の地雷を踏んでしまったね。

接待モードはもう終わりね。

「卿らが、どのような情報を以て俺に話しかけてきているか、理解しかねるが……

そもそも特使とは、国王の全権代理であり相手国の国王に準ずる立場というのを知らんのか?

貴様らは隣国の国王とその妻に向かって、先ほどのような暴言を吐くのか?

王国と公国は対等の同盟関係、すなわち爵位も対等。魔境伯は特例の爵位だが辺境伯と同等だぞ?

公国のたかが男爵や子爵、伯爵風情が、俺と対等に話せるとでも思っていたのか?

貴族のくせに序列を理解できぬ無礼者、愚か者とは、まさに貴様らのことではないか?

俺はゴマすりや、家柄だけで昇爵した者ではないぞ。

武の力で栄達した証左、今ここで、自身の身を以って確かめるか? いつでも相手してやるぞ」

一瞬で彼らは蒼褪めた。

「お前らは、俺の最愛の妻の名誉を傷つけた。

もちろん、ただで済むとは思ってないよな?」

俺は彼らに向けて、ゆっくりと向かっていった。

「ヒッ、ヒィッ!」

一番手前にいた男爵らしき男、最初に絡んで来た男が足をもつれさせて尻をついた。

その無様な姿に、周囲の貴族たちから呆れた溜息や冷笑が向けられた。

そう、最初は分かっていても忘れてしまうんだよね。

俺はまだ若いし、貴族らしくないし、威厳の欠片もない。公式の問答以外は至ってごく普通だから。

まして、中途半端な情報だと魔境伯なんて聞いたことのない爵位、せいぜい子爵程度か伯爵の下程度とでも思っていたのだろう。

実際、領地だけとって見れば、せいぜい男爵領に毛が生えた程度でしかないのだし。

更に過去の経緯では、カイル王国の特使は全て王族だった。

いま騒いでいる連中は魔法士優先の不平貴族であり、今のフェアラート国王を下に見ている。

カイル王国も彼らと同様に、今回は名ばかりの使いっ走りを派遣してきた、そうとでも思っていたのだろう。

「ちなみに、妻の名誉のために申し添えるが……

我が妻はカイル王国男爵家の累系であり、男爵家の家名を受け継いできた者だ。

公国の流儀は知らんが、男爵家を身分いやしき下賤、そう仰ったご本人には自虐の趣味がおありかな?」

俺は無様に尻をつく男爵を見下ろしながら、彼の言動にブーメランを放った。

ここに至り、騒ぎを聞きつけたフレイム伯爵が慌てて駆け寄ってきた。

「この痴れ者共がっ! 控えよっ!

其方らは陛下の賓客に対する礼を知らぬのか?

今すぐ退出しろっ!

魔境伯、この度の礼を失した行い、ご夫人ともども伏して、伏してお詫び申し上げます!」

フレイム伯爵はもう、ひれ伏さんばかりに恐縮して謝罪してきた。

「伯爵、どうか頭をお上げください。

相手構わず吠え掛かることしか知らぬ犬は、時には蹴とばしてやるのも犬のため、そう思っただけです」

俺は昔から好きだった、一度は言ってみたかったとある主人公の台詞を真似てみた。

まぁ、一方的に散々受けた侮辱は、せめてこれぐらいは返しておかないとね。

騒ぎを聞きつけてやって来たフェアラート国王は、何故かしてやったり、とばかりに嬉しそうに微笑んでいる。

平素からよっぽど彼ら不平貴族には手を焼いていたのだろう。

対照的に、先ほどの3人の突撃隊を裏で操っていたであろう、反対派の重鎮と思しき者たちは、苦虫を嚙み潰したような表情をしている。

「伯爵、彼らを退室させることや、これ以上の謝罪も不要です。酒の席でのことです。

ですが、皆さまにはせっかくの座を汚してしまったこと、改めてお詫びいたします。

せっかくの機会です。彼らが言った見世物、我が王からの心ばかりの贈り物の準備が整いました。

陛下、どうぞテラスの方へご移動ください」

この晩餐会には、給仕に関わる従者のひとりに扮装し、シャノンが連絡要員として配置している。

彼女は、街中の担当者と王宮の庭園の担当者双方が、準備完了を告げるために鳴らした合図の鐘の音を聞き、準備が完了した旨をこっそり俺に伝えていた。

「おおっ!」

「なんとっ! 美しいっ!」

「綺麗っ!」

国王に続き、テラスに出た者たち全てが、感嘆の言葉を漏らした。

庭園にはそれぞれが花模様を彩る燈火が並び、更にそれがまとまって大輪の花をいくつも咲かせていた。

そして、王宮から見える大門も開け放たれ、道に沿って光の道が設けられていた。

高台にある王宮からは、2階といえど王都内の各所の光がよく見えた。

それは、フェアラート公国で初めて催されるライトアップだった。

「我が王より、陛下に対する即位のお祝い、確かにお届けいたしました」

俺がそれを言うと同時に、上階に控えていた風魔法士たちが大量の花びらを舞い踊らせ、光魔法士のレイアは、サーチライトのようにそれらを照らし出した。

「ああっ……」

「これは、夢のようだ」

「こ、こんな祝いが……」

皆がその幻想的な雰囲気に言葉を失っていた。

「カイル国王からのはなむけ、誠に嬉しく思う。

公国はこの先もカイル王国の友邦として、共に歩んでいくこと、ここに誓い宣言する!」

全ての者たちが一斉に膝を付き礼をとった。

俺たちは、なんとか陛下の依頼を達成できたことで、安堵のため息を付いた。

そしてヨルティアは俺の傍で嬉しそうに泣いていた。

俺は彼女を誇りとして思っているし、この先も決して不幸な過去に後ろ指を指す者は許さない。

こうして、俺たちは特使としての任務を無事果たした。

ご覧いただきありがとうございます。

次回は『特使の帰国』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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