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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 233

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朝早くテイグーンを出たため、アイギスの視察を終わっても、まだ時間の余裕があった。

これも隘路出口から、防壁上を何の障害もなく進めたことが、大きな要因のひとつだ。

そのため俺たちは当初の予定通り、旧ヒヨリミ領南西辺境にある、イシュタルまで一気に足を延ばした。

その経路は、まだ手を加えられていない、魔境の畔をテイグーン山の裾野に沿って移動することになる。

「今我々の防衛戦略で、最も弱い部分がここアイギスとイシュタルを結ぶラインです。

アイギス側への防壁の延伸も計画中ですが、今はそこまで至っておりません。

昨年にご指示いただいた、イシュタル側の他、旧ヒヨリミ領の魔境側出口の強化、今はそこで手一杯です」

エランが申し訳なさそうにしていた。

旧ヒヨリミ領から魔境に抜けるには、最大の出口となるのがイシュタル南方にあるなだらかな谷間だ。

テイグーン山の裾野と、その東に広がる独立した小高い峰々の間にこの谷間はある。

一応、二年前の論功行賞ののち、この約500メル(≒m)幅のなだらかな谷には、土壁で蓋をしていた。

この蓋は、昨年テイグーンを訪れたケンプファー子爵が一目見て、守りの穴だと指摘していた部分のひとつだった。

その提言を受け、俺たちは追加工事を行った上できちんとした防壁を設け、蓋となる部分は固めたが、問題は蓋の東側にある小高い峰々だった。

この峰々は、騎馬や荷駄なら山越えすることは厳しく、普通なら通過されることもないが、人であれば、ちょっとした山登り感覚で岩山や崖をよじ登り、なんとか通過できないことはない。

それは魔物も同様のため、各所に切り込みを入れたり、逆茂木を配置したりと色々工夫はしているが、それも人の手に掛かれば排除することもできるだろう。

そして、その峰々に万里の長城のごとく、防壁を張り巡らすには相当時間がかかるし、仮に防壁を作ってもそれを守る兵員を配置できなければ、簡単に破られてしまうだろう。

俺たちにそんな数の兵士を揃える余裕はない。

「エラン、気にしなくて良いよ。

どだいこの方面を全て防壁で囲むのは無理だし、守るための人手を割くこともできない。

現状通り、山を削り急峻にして荷駄や馬、魔物が越えられないようにするだけで問題ないよ」

そう、これは発想を切り替えるしかなかった。

万が一の際には、歩兵には抜けられる前提でイシュタルの防備を固めること。

ケンプファー子爵のように割り切って、イシュタルを敢えて放置して更に奥へ展開することなど、普通はそうそうできることではない。

そんな背後を衝かれる危険を冒すより、目の前に拠点とできる街があるのだから。

数の利さえあれば、まっとうな指揮官ならならば山を越えてまずイシュタルを襲うはずだ。

なので、イシュタルに要撃の仕掛けを施せば良いことだ。

俺たちは、魔境側から蓋として設置した関門の大門をくぐり、イシュタル方面へと歩みを進めた。

俺自身、王都で都市計画などを学んだ、メアリーとサシャが本格的に設計に取り組んだイシュタルの街は、それこそ建設の初期段階しか見ていない。

なので、その成果は非常に楽しみだった。

テイグーン山を左に見て、暫く進むと小高い丘があり、そこから遠くイシュタルの全貌が見えてきた。

「いやはや……

これはこれで、かなり面白いというか、なんというか、凄いな」

俺の発想にはない、凄い街づくりだった。

「街自体は大きな堀と城壁に囲まれている普通の作りですが、周囲の開拓村との連携と、水の手の確保を重視しました。一番左奥に通じている防壁の中に、水路が埋設されています」

「この辺りは、まだ魔物も出没する可能性もあるし、元々治安の悪い場所なので夜盗の襲撃も考慮する必要がありました。なので、それぞれの開拓村と街を安全な専用通路で繋いでいます」

サシャとメアリーが交互に説明してくれた。

遠くから見ると、街の4か所から腕のような防壁が伸び、それが更に途中から幾つもに枝分かれしていた。

枝分かれした先には、それぞれ開拓村の居住エリアと思われる、防壁に囲まれた地区があった。

まるで本城と周囲の支城を繋ぐ防壁が、アメーバーの触手のように広がっている、そんな印象だった。

「一番左奥の、テイグーン山の裾野にある高台に湧水があります。

そこの豊富な湧水が、高低差を利用してイシュタルの街まで流れ込んでいます。

ずっと先にある川に続く水路は、排水用で水の手ではありません」

サシャの説明になんとなく得心がいった。

いくら井戸を多数確保した立地にしても、それだけでは街の人口だけでなく、数千名ともなる防衛戦時の臨時駐屯兵力を支えることはできない。

そのため彼女たちは安全かつ規模の大きな水の手を探し出し、それを巧みに偽装したということだった。

近づいてみると、四方に腕のように伸びた土壁には、要所要所に橋が架かっていた。

そして防壁自体は石の土台の上に、単に土を固めただけと思っていたが、異常に白く輝いていた。

話を聞くと、土壁には漆喰のようなものが塗り固められ、簡単には攀じ登れない工夫もしてあった。

「あれって、万が一防壁を取られたら橋を焼いて落とすとか? そんな感じ?」

「はいっ! あの最奥に繋がる橋を落とすと水が来なくなるので、絶対守る必要がありますが」

「それにしても、こんな大規模な工事、相当手間と時間がかかったんじゃない?」

「まぁ……、それは……」

あれ?

二人は少し言いにくそうにしていた。

「えっと……、私たち、学園長に相談したんです。

そしたら、魔法戦術研究科だけじゃなく、学園中の地魔法士と王都騎士団の地魔法士の皆さんにまで声を掛けてくれて……、彼らを自由に使っていいと」

サシャの言葉にメアリーも続く。

「あと全体的な設計が出来たあと、サラさんに相談したら、手伝いに来てくれたのと、コーネル子爵に地魔法士の方を借り受けてくれて……、そのお陰で、地魔法士全体で25人、水魔法士も15人になったので、一気にやっちゃいました」

「はぁっ? ……」

2人は俺にもできない、仮にできても遠慮するぐらいの大動員を、いとも簡単にやってのけていた。

ってか、狸爺!

ユーカさんといい、うちの女子に甘々じゃないですか?

俺にはいつも手厳しいのに……

照れ隠しに舌を出して笑う二人を見て、彼女たちが学園で大きく、そして黒く成長したことを改めて実感した。

「総勢40人の動員……、二人とも、凄いことをやってのけたね、しかも、いとも簡単に……」

俺はそう言うだけで精一杯だった。

俺たちはその後、イシュタルの街に入った。

外壁の外側の広い堀には、満々と水が蓄えられ、街に入るための橋を渡る。

テイグーンは日本の城郭でいえば斜面に沿った階段状の山城に近いが、ここは平山城の雰囲気があった。

堀の先の防壁も基礎は石造り、上部は漆喰で固めた堅固なものであり、高さも高い。

内部は、広さ約2キル(km)四方の広さがあり、十分な広さを確保していた。

「ほう? 中は三重構造になっているのですな?

防備もなかなか、しっかりしてますね」

団長の言葉通り、内側には本丸、二の丸、三の丸の様な構造で、堀と防壁が展開されていた。

そして本丸は西の外壁に寄せて広がっている。

本丸は500メル(≒m)四方、二の丸は1キル四方で広がっており、西側の水道橋から入った水は、高低差を利用しつつ本丸、二の丸、三の丸へと流れていく形となっていた。

「この一番外側の外部区画は、牧草地と試験農場、臨時兵舎などを設けるため、継続して建設中です。

街や住居は、この先の中央区画にあります。

ここからは、私がご案内させていただきますね」

イシュタルの代官兼防衛指揮官を任せている、アレクシス・フォン・バウナー準男爵が前に出た。

彼には旧ヒヨリミ領北部一帯の統治と、駐留兵200名(予定)、ロングボウ兵500名の指揮を任せている。

俺たちは、内壁に設けられた城門を超え中央区画に入った。

「外部区画から中央区画には、この城門からしか入ることはできません。

その際、この警備詰所と受付所にて、入場者の確認を行います。

中央区画内の外縁部に、人足宿舎、金山従事者宿舎、宿、飲食店、娼館、射的場を設けてあります。

なお、ここの射的場だけは、クロスボウ、ロングボウの双方が使用可能で、ロングボウの射程に合わせ、大きなものを作っています」

中央区画はなんとなく、鉱山労働者が集まる、フランの町に雰囲気が似ている気がする。

きっと夜になったら、色々賑わうのだろうな?

「全体的な街づくりは、テイグーンを参考にしていますので、施設は同様に配備しています。

まだまだ住まう領民の数には余裕がありますが、旧ヒヨリミ領北部や、治安の悪化から中央や南部一帯に避難していた者たちが続々と集まっており、日々人口は増えています」

やっぱり、そうだよね。

以前はヒヨリミ領の辺境でしかなかった場所に、以前の領都を凌ぐ規模の新しい街ができちゃったんだし、しかも治安もよく安全な防壁に囲まれている。

金山関係者目当てに、商業施設も次々と建設されており、雇用も売り手市場になっているのだから。

「この街の難点は、テイグーンと比べ男女比率が逆転していることでしょうか。

身軽な単身女性や、託児所があることで女性の働き手も多く集まっていますので……」

そっか、独身の兵士たちをここの駐留兵として、定期的にローテーションするのもありか?

まだまだ、テイグーンは圧倒的に男が多いし。

そんな事を考えているうちに、一番内側の内部区画に案内された。

内部区画には巨大な食糧倉庫と、兵員収容施設、行政府支所が設けられていた。

ここが最終的な防衛の要となる場所か。

ちょっと高台になった内部区画には、特に西に向けてカタパルトが多数設置されていた。

「うん、イシュタルが西の要として十分存在感を示していることが良くわかって安心したよ。

アレクシス、今後もこの街を頼むね」

その後、幾つかの防衛施設や外壁上を一周し、各所に設けられた櫓や罠の説明を受け、俺はここの防衛に多少の自信を持った。

だが、一万人の歩兵に取り囲まれたとき、ここを守り切れるだろうか?

仮にコーネル子爵軍の援軍を受けたとして……、せいぜい合計で1,000名ちょっとだろう。

まだ守備兵力が圧倒的に足らない。

「アレクシス、この街で独自に募兵を行い軍備を整えることを許可する。

こちらも駐留軍を将来的に300名まで増員する予定だが、当面200名程度、無理のない範囲で進めてくれ。

間諜や叛意のある者を抱えては元も子もないから、家族がここに住んでいるとか、信のおけそうな者だけでいい」

「はっ! 承知しました。

既にこちらでも自警団を組織し、兼業兵として転用できる者なら既に100名以上おります。

予算に合わせて、常備兵を増やし、兼業兵の裾野を広げてまいります」

こうして、俺たちは水の手のある開拓村と、他にも幾つかの開拓村を防壁上を移動して視察し、予定していたイシュタル視察の目的を終えたのち、その日は一泊することにした。

だが、夜にも関わらず皆はまだ仕事していた。夕食後、彼らは各自の担務に従い再び出掛けて行った。

・クリストフは各開拓地を結ぶ防壁の夜間警備の点検

・メアリーとサシャは防壁の状況と水路の確認と点検

・エランは幾つかの橋を更に改築するための現地視察

・団長は駐留軍と奇襲を想定した夜間の戦闘訓練

・アレクシスは団長に付き従い、しごかれている

・クレアは派遣した受付所の人員たちとの打ち合わせ

・ヨルティアとラファールは諜報組織との打ち合わせ

……

そして俺はボッチになってしまった。

シグルとカーラはアンが護衛から離れたあと、彼女に代わって交代で常に俺に付き従っているが。

因みに、夜の街にも少しだけ視察に行こうと思ったりもしたが、それは、本当にちょっと思っただけだ。

妻の誰も伴わず、理由もなく夜の街に出れば、あらぬ疑念の目で見られてしまう。

例えそれが、酒場であっても……

俺はどこぞの伯爵とは違う。

思いとどまって、大人しく留守を守っていた。

ヨルティアが築き上げた間諜網の優秀さを、舐めてはいけない。

因みにイシュタルの夜の街、そこはヨルティアとラファール、ミザリーたちが心を砕いて設置した諜報活動拠点のひとつでもある。

旧ヒヨリミ子爵の残党や、荒れた領地に跋扈する夜盗やその残党、新規開拓地に入り込む間諜など、今や諜報面で相当守りの固くなったテイグーン一帯と比べ、ここが諜報活動の最前線となっている。

そのため不審な人の動きが見られた時は、逐一彼女たちに報告が入る仕組みになっている。

主に金山関係者をターゲットにし、イシュタルに設けた行政府直営の娼館には、ヨルティアの推薦により、テイグーンの娼館にいた女性を、支配人として採用して派遣している。

その辺は全て、ミザリーやヨルティアに任せている。

娼婦と同じ立場に居た女性で、ヨルティア自身が姉さんと呼び慕っている、人望もあるらしい彼女なら万事うまくやってくれるだろう。

諜報面でも実績のある、信のおける人物らしい。

また、あくまでも念のためだが、娼館建設時には母にも必ず一声添えている。

俺は、夜間にも仕事をして戻ってくる皆の労を労うため、夜食として飲食の準備を整えるよう指示を出すと、次の訪問地に思いを巡らせた。

後日、政務の合間に視察と称してイシュタルを訪問し、娼館で嗜みに思うがまま羽を伸ばしたとある伯爵がいた。

数日の滞在を楽しみ、彼が満面の笑顔で帰路につくころには、事前に彼の奥方から特命を受けていたヨルティアの指示により、先んじてその行動が奥方まで報告されてた。

領地に戻った伯爵は、政務を妻と家宰に押し付け趣味に勤しんだこと、娼館での振る舞いを待ち構えていた妻から糾弾され、驚愕のあまり開いた口がふさがらず、真っ青になったと言われている。

そして……、もはや恒例行事の正座イベントが展開されたのは言うまでもない。

ご覧いただきありがとうございます。

次回は『領地巡回 ディモス』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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