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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 243

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ジークハルトが告げた、皇王国を揺るがす政変が密かに進行したのは、彼がタクヒールと会談した時期より遡ること半年、カイル歴512年の春であった。

それまで、カイル王国との戦いに敗れ、貴重な御使いのひとりと、多くのロングボウ兵を失ったカストロ枢機卿は、敗戦の責を問われ、3年近くもイストリア皇王国中央教会の地下に幽閉されていた。

ただ彼は、数か月に一度だけ、彼の教会で魔法士の候補者に対する適性確認を行うため、外に出ることが許されていた。

ここ数年、年間30個という制約はあるものの、触媒となる魔石は、カイル王国から入手できていた。

そのお陰で、幽閉下にあったカストロ枢機卿は、100回を優に超える確認儀式を執り行うことができた。

更に皇王国は、カイル王国から公式に入ってくる魔石に加え、数は大きく減ったものの裏稼業の者たちからも、魔石を入手していた。

こうした努力の成果は僅か4名。

それでも数年前の頭打ち状態から比べると、非常に高確率といえた。

カストロにとって、彼しかこの儀式を行えないことが命綱であり、唯一、外に出る機会でもあった。

そして、成果を出すことこそ、自身の価値を維持し、命を繋ぐことができるため、必死だった。

彼はこれまでの経験智から、できる限り確度の高い候補者を絞り込む手段を構築し、提案していた。

そしてこの日は、適性確認儀式のため久し振りに地上に出て、彼の祖先から受け継がれていた教会へと足を運んでいた。

もちろん、監視付きで……

「ふふふ、カストロよ、苦労しておるようじゃの」

「!!!」

皇王(教皇)より命じられた儀式準備のため、監視の及ばない宝珠を隠した教会の地下室に、ひとりこもっていたカストロは、背後から突然沸いた声に驚き、そして戦慄した。

「こ、これは老師!

誠に面目ございません。せっかくご忠告いただいたにも関わらず、このような仕儀となりまして……」

彼は声の主が誰か分かると、床に膝を付き深く首を垂れた。

「過ぎたことを言っても仕方あるまいて。

此度は、そなたの心が折れておらぬか、その目が死んでおらぬかを確かめに来たまでよ」

「はっ、堕ちたりとはいえこのカストロ。

志は以前と全く変わりはございませんし、いつかは、あの欲深い教皇や大司教ども駆逐したいと考えておりまする」

そう返事をしたカストロの顔は、未だ覇気に満ちていた。

彼はこの3年近く、先ずは生きながらえることを前提に、その牙を隠し従順を装っていた。

「以前、そなたの元に派遣しておったわが配下より聞いておるであろう?

やっと月は満ち、時は至った」

「おおっ! では、ついに?

アザル殿からも老師の遠大な計画を聞き、一日千秋の思いで待っておりました」

「そのアザルが一部の大司教を篭絡するため、蒔いておった種も実を付けた故、其方には収穫後の指揮をしてもらおうと思ってな。

これより其方の復讐の幕は上がるじゃろう」

「今やこの国で12使徒と呼ばれている魔法士たちも、元々8名は我が配下の者にございます。

新たに加わった4名にも、偽りの情報を与え暗示を掛けておりますゆえ、私に逆らうことはないでしょう」

皇王国において、魔法士の地位は非常に高い。

多くの国民たちに、神の御使いと傅かれ、高い地位と俸給が与えられている。

カストロは儀式の際、彼だけが魔法士としての力を付与することができるが、逆に奪うこともできる。

そんな情報を彼らに吹き込んでいた。

魔法士たちは一旦手にした、誰もが望んでも得ることができない身分を、今度は失うことを恐れていた。

「特に教皇は聖魔法士を囲い込み、自身の権力を見せつける為の道具に、そして自身の欲望を満たすための玩具にしております。私にはその事も許せません。

彼女たちは日々、屈辱と恐怖の中、華やかな立場からは想像すらできぬ、苦しみで苛まれております」

「ふぉっふぉっふぉっ、解放者カストロよ。

これより其方は、魔法士たちを解放し、更には圧政に苦しむカイル王国の民たちも解放するのじゃ。

今宵、教皇は裁きを受けるため神のもとに召される。

その首謀者として目される大司教どもは、こちら側の者どもよりその罪を糾弾されるであろう。

よいな、混乱に乗じ、魔法士たちを糾合せよ」

「はっ! 身命を賭してっ!」

その日の夜、虚ろな表情をしたひとりの枢機卿が、寝室で今宵の伽となる御使いを待つ教皇の元に現れ、手にした短剣を教皇の胸に突き立てると、急に蒼白な顔となり、その場を立ち去ろうとした。

たまたま衛兵を引き連れ、近くに居合わせた大司教が彼を捕縛し、速やかな調査が行われた。

犯人は神の怒りを恐れたのか、背後の黒幕たちの名前を告げると自ら命を絶った。

この凶行の黒幕であった大司教たち数名が、速やかに捕縛され、取り乱し無実を叫ぶ彼らを無視し、直ちに神の名の下に裁きが進められ、そのまま処刑された。

時は至れり!

実行犯を捕縛し黒幕たちを突き止めた功績で、ひとりの大司教が教皇となり皇王の地位を継いだ時、カストロはその恩赦によって解放された。

解放されたカストロは、皇王国では枢機卿より高い位階の、大司教に何故か昇進していた。

このことに対し疑問に感じた者もいたが、それらの疑問は当然のことながら黙殺された。

これらの全ての経緯は、教会の醜聞ともなりかねないため、全てが教会内で極秘裏に実行された。そんな事情もあり、ジークハルトなど一部を除き、近隣諸国にこの経緯が伝わることはなかった。

一部の教会関係者の間で囁かれた噂話以外は。

「邪悪な者共によって失われた、神の子たちの仇を討つべし!

挙国一致体制で兵力を整え、ロングボウ兵団の再整備と、魔法士の獲得を進めよ!」

教会内でそう号令を発する、カストロ大司教も、対外的にはこれまで通り、休戦協定の順守と平穏を装い続けた。

数か月後、以前会った時とは全く立ち位置を変えたカストロが、再び尊敬する老師と出会った。

「カストロ大司教よ、万事順調そうで何よりじゃの。

其方の志、進み具合はどうかの?」

今や王宮にも、中央教会の一角にも広く豪奢な個室を持つ身となった部屋の主は、膝を付き恭しく来訪者を迎えた。

「全て老師のお導きに従い、万事進めております。

魔法士については、それなりに兆しも見えておりますが、ロングボウ兵については、なかなか一朝一夕に解決することもできず、いささか苦戦しております」

「そうじゃな、人はそれなりに使える様になるまで、時間を要すものじゃ。

此度は焦らずともよい策を授けにきた」

老人は、彼の考案した戦略を説明した。

「そんな事が……、今の我らにできましょうか?

ですが、老師の仰る通りやも知れません。

今後は我らも、その線で準備を進めることにします」

「それが良かろう。

腹を突く時は、柔らかい臓腑を狙って突くものじゃ。

硬い骨では、それこそ骨が折れるでの」

そう言って老人は笑った。

果たしてそんな事が自分にできるだろうか?

カストロは一抹の不安を感じた。

「皇王交代の段取りといい、今度の戦略といい、私はいつも老師の深慮遠謀には感服しております。

非才の身、改めて思い知ってございます」

「いやいや、皇王交代の段取りは全てアザルが整えたものじゃ。儂はただ開始の旗を振ったに過ぎん」

「なんとっ! アザル殿が……

それでは私は、アザル殿にも礼を述べねばなりませんね」

「ふふふ、この地で其方を救う算段を整えたアザルも、今は西の地で計画に従い動いておるわ。

カイル王国を攻め滅ぼした王都で、再会することもあろう。その折にでも、じっくり礼を述べるが良かろう」

「承知いたしました。

そうできるよう、我らも新しい方針のもと、万全を期し動いていきまする」

この密談のあと、カストロは直ちに関係各国に使者を放った。老師から授けられた戦略に従って。

この使者には、グリフォニア帝国第三皇子へ放たれた者も含まれていた。

「老師の立てられた計画まであと1年。

我々はこの絶好の機会を掴むため、間に合わせなければならない。

そして、優先権を主張できる程度の戦果を上げなければな」

こうひとり呟いたカストロは、カイル王国を葬送するため発車する馬車に、乗り遅れないよう焦っていた。

ご覧いただきありがとうございます。

次回は『第三回王都定例会議』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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