Switch Mode
Now you can use the translation tool for free for the first 200 chapters of each novel.

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 246

Please login or register to translate this post.

俺は王宮を辞去すると、学園へと向かった。

護衛のカーラを先行させ、ユーカさんと妹にサロンで待つよう伝言を携えさせて。

到着すると、お茶の用意が整えられており、俺は席に付くやいなや、給仕がお茶を注ぐそばから2人に話しかけた。

「さて、ちょっと二人にはお話があります。

何か私に隠し事をしていませんか? 王国の重鎮方は相当頭を抱えていらっしゃいましたよ」

俺はまず説教モードで入った。

いくら俺の依頼の遂行のためとは言え、巻き込んではいけない相手を巻き込んでしまったこと。

じゃじゃ馬の暴走を誘発したことは、キツク灸を据えなければならない。

そして、魔法騎士団の件、2人はおそらく双方の父親に、まだ何も言っていないと思われた。

ゴーマン伯爵はまだしも、ウチの父がこの事を知っていれば、今頃大騒ぎしている筈だったからだ。

「あの……、お兄さま、これには訳が……」

「いいえ、クリシアさん。今回の件では、タクヒールさまに多大なご迷惑を掛けてしまったことでしょう。これは私の責任です。本当に申し訳ありませんでした」

「じゃあ、お二人があの、じゃじゃ馬を焚きつけた、そういうことですか?」

二人は俺の言葉に真っ青になった。不敬だとでも思ったのだろうが、俺にはそんなこと関係ない。

クリシアが何か言いたげだったが、俺はそれを制して言葉を続けた。

「今回は正直言って、残念な気持ちでいっぱいです。確かに王都は権謀術数(権謀術策)の渦巻く地です。

2人があのじゃじゃ馬に巻き込まれた、そんな部分もあると思いますが、でも、やっぱり残念です」

「はい、結果的にそうなってしまって、本当に申し訳ありませんでした」

「戦は遊びではないのですよ!

戦えば必ず誰かが傷つき、仲間の誰かは必ず命を落として二度と帰って来ないのです。

まして、女性の身で……、俺はそもそも、2人の身が何よりも心配なのです。

無事、生き残ったとしても、身体や心に、一生消えない傷を負ったら、どうするのですか!」

「はい、何も返す言葉がありません。

ですが、志願したのと殿下の件は全く別です。私たちは、少しでも次の戦いでお役に立ちたくて……

タクヒールさまがひとり、大きなことを抱えられて悩まれているのを知っていたので」

「魔法士同士が集団戦で戦うこと、これがどう言う事か、その恐ろしさを2人は分かっているのですか?

帝国の軍勢と戦うこととは訳が違いますよ!

数百の火の玉や雷撃が空から一斉に降って来た時、2人はどうします? それを防ぐ手段があるのですか?

じゃじゃ馬自身が、いくら剣の腕が立つといっても、そんな物は何も役に立たないのですよ!

そして万が一、脳筋娘といえども傷でも負えば、その累は二人だけでなく、各々の伯爵家にも及ぶこと、二人はそれを、本当に分っていますか?」

「その……、私たちへのお叱りは構わないのですが、クラリス殿下については……」

「ユーカさん!

お二人はそもそも、間違って女に生まれてきたような、脳筋剣士とは訳が違うのですよ!

剣での戦いになったらどうするのですか? そんな状況を想像しただけで私はもう……」

「お兄さまっ、だめっ!」

クリシアが、何かに耐えかねたように焦った顔をして、俺の言葉に言葉を被せてきた。

戸惑いと一瞬の静寂。

そして、それはすぐに破られた。

「ふふふっ、評判の魔境伯とはいえ、妻と妹をそこまで心配しておるのだ。良いことではないか。

それにしても……、先ずは説教の前に、二人の話を聞いてあげても良いと思うが、いかがかな?」

ん? 誰だコイツ。

そういえば給仕のメイドが、何故か給仕が終わったあともここに居座っている?

しかもこの上から目線の物言いって。

「クリシア、其方の兄は、自身の父が母に求婚した時の話を知らないようだな?」

「はい……、殿下」

ん? 父の求婚時の話って何だ?

俺は聞いたことがないぞ。何かあったのか?

いや……、クリシア! 今、何と言った?

「……」

愉快げに笑うメイドを除いて、全員がこの場に固まっていた。

まだ美少女、そう言って差し支えない幼さを残しつつも、凛とした雰囲気を纏い、不敵に笑う目はその意思の強さを表していた。

「魔境伯とお会いするのは初めてですわね。

間違って女に生まれた、じゃじゃ馬の脳筋剣士、カイル・クラリスですわ。魔境伯のお話は兼ね兼ね父から伺っていました。今日は父が自慢する懐刀、魔境伯の話が聞きたくて、二人には無理を言ってしまったの。

最後まで正体を明かさない約束でしたが、ちょっと二人が可哀そうになってしまい、ごめんなさいね」

「……」

いや、そんな……

知らないこととはいえ、俺はやっちまった。

誰だよ! 脳筋のゴリラ姫とか言ったのは!

服装はメイドだが、その容貌はどこから見ても、高貴な雰囲気が溢れ出ており、立派な姫様じゃないか……

俺は二人への話に夢中になり、周囲の観察をおなざりにしていた事が、改めてよく分かった。

それよりも、頼むからこんなドッキリ止めてほしい。

と言うか、俺に対してあからさまに女言葉を使ってくるのも……、俺の失言に対する当てつけか?

「し、失礼しましたぁーっ」

俺は反射的に床に膝を付き、いや……、正座して頭を下げて詫びた。

うん、完全な土下座スタイルで。

「ふふふっ、メイド姿の相手に土下座するのも、父親にそっくりですわね。これも親子というべきかしら?

今回は私も悪戯が過ぎました。お互い、これで手打ちにしましょう」

親父も求婚時に母に土下座したのか?

そしてメイド姿って何だ?

そんなことはどうでもいい。この場をどう繕うか、今はそれが最優先だ。

「ご寛容に甘え、失礼します。

恥のかきついでに、敢えて申し上げます。殿下は何故、危険な戦場へ志願されたのですか?

周りがお諫めするのも聞かず、陛下も相当困られていると伺っております。

お立場を考え、心を痛めている者も多いこと、お考えにはなりませんでしたか?」

「あら、そんな切り返し?

最初はただ心配性の、どこにでもいる殿方と思いましたが、私にそれを堂々と尋ねてくるなんて、やはり面白い人ね」

「申し訳ありません。貴族のしきたりにも疎い、不調法者ですから」

「そうね、今回の勅令魔法士の件、当初は全く人も集まらず、お二人が苦労していたのはご存じかしら?」

「いえ、全く知りませんでした」

「私はクロスボウを習ったのが切っ掛けで、ユーカさんと、その後にクリシアさんと知己を得ました。

お二人は私に何も話しませんでしたが、その様子を見て、苦衷を察することぐらいはできましたよ」

殿下の言葉に、二人は無言で俯いた。

そんな彼女たちを優しく見ながら言葉を続けた。

「この国の魔法士や上流階級の者たちは、この国難と現状に、何の危機感もない愚か者が非常に多いこと、魔境伯なら身に沁みてご存じではないでしょうか?

私自身、この事で国王たるお父さまや外務卿たちも、これまで散々苦労してきたことを知っています。

だからです」

「ですが御身に関わることは……」

「私の役目は人(魔法士)を集める象徴となること、皆が与えられた力に等しい、役目をこなすよう、その覚悟を促すことです。

この国では、人の上に立つ者は率先して、戦場に出るべきとの教えもあります。

私の父が初陣したのも、帝国との戦い、まだ父が学園の学生であったころであったと聞き及んでいます。

ならば私も、王族としての責務を果たすだけです。

魔境伯は急ぎ、戦力を集める必要があったのでしょう?」

陛下や狸爺が敵わない訳だ。

性別を忘れれば、このお姫様は相当のタマであることは、もう明らかだった。

「そこまでお考えでしたか……

私の浅慮をお詫びし、二人へのご助力に心より感謝申し上げます。されど……」

「仰りたいことは分かります。ですがこれで、王国は、少なくともそれなりの数の者が本気になり、必死に働くでしょう。王国を救うため、私がその一翼を担うことが間違いでしょうか?」

「間違いではないと思います。お心のうちが伺えて私も少しすっきりしました。

ですがひとつだけお約束ください。

御身を大事にしていただき、状況に依っては後退していただくこと、これを大前提にしてください。

私が敵軍なら先ずは神輿(殿下)を狙います。神輿が失われれば、その軍は崩壊します。

神輿は存在してこそ、味方は思う存分力を振るえること、これだけはご理解いただきたく思います」

「分かりました。魔境伯はご理解が早くて助かりますわ。

ですが……、神輿をご存じなのですね?

初代カイル王が遺したと言われる言葉で、王族しか知らないものと思ってましたよ」

「……」

またやっちゃったか。

堅苦しく話すと、ついつい、昔使っていた単語が出てしまう。

ってか、このお姫様は陛下や狸爺から、俺のことをどこまで聞かされているのだろうか?

なんか、見透かされているような……、気のせいか?

「まずは、ユーカさん、クリシア、二人の苦労も知らず、頭ごなしで怒ってごめんなさい。

深くお詫びします。そして今から、今日二人に会いに来た本当の目的、この先の対応についてお話します。よろしければ殿下も、ご一緒されますか?」

「ええ、是非! そのお話が聞けると思い、わざわざこんな格好をしておりましたのよ。

やはり来訪は、お説教が目的ではなかったのですね?」

「はい、もちろんです。では改めて……、今後の対応について腹案を述べます。

今回の魔法騎士団の結成ですが、あくまでも表向きは対グリフォニア帝国という形で対応します。

そのため、訓練は主にイシュタル方面で行いたいと考えています。殿下には、慣れない辺境でご不便をお掛けしますが」

「お兄さま、テイグーンではございませんの?」

「そうだね、理由は二つかな。

一つ目は、2,300名もの兵士の訓練なら、テイグーンは手狭で、大規模な魔法演習ができない。

二つ目は、敵を欺くこと。300名もの魔法士の軍団がいると分かれば、相手の出方も変わってくる。

イシュタルは最辺境だし、身内以外は人の行き来も限られているため、情報を秘匿しやすい。

この件については、敵だけでなく味方の中の敵にも、油断してもらう必要があるからね」

味方の中の敵、その言葉に反応して、クラリス殿下は不敵に笑っていた。

彼女にも、色々思うことはあるのだろう。

「始動は三か月後、次回の定例会議終了後に王都を発し、騎馬でテイグーンに、そこからアイギスを経由してイシュタルに向かいます。

訓練が終われば、学生たちは一旦王都に戻ってもらうつもりだけど、本隊はガイアにて待機させる予定だ。

戦況を見て中央を経由せず、西部戦線に駆け付ける。こうすれば、西側の目もごまかせるからね」

「なるほどです。帝国軍左翼が狙う経路を使うのですね!」

「そうですユーカさん、あとは秘匿兵器を幾つかお預けします。信用できる人がいない場合、使用を諦めていたのですが、総指揮官に殿下が、そして二人が従軍するとなれば安心して預けられます」

「それは楽しみですわ。ハミッシュ辺境伯からイストリア皇王国戦の話を聞き、心躍る思いでした。

今度は、どのような秘匿兵器があるのかしら?」

ってか、このお姫様、そんな話まで聞きつけているのか? そんな事に興味を持って……

ホント、生まれてくる性別間違えたとしか、言いようがないよな。

「あら? もしかしてまた魔境伯は、失礼なこと考えていませんでしたか?」

「お兄さまは考えていることがすぐ顔に出る、分かりやすい人なんですから、気を付けてください!」

「……」

返す言葉がなかった。

「あと大事なことだけど、これは狸爺にもお願いしてある内容です。全員が騎馬で移動してもらうため、魔法士たちにはそれなりの乗馬訓練が必要だと思う。

馬は軍務卿が手配してくれることになっている」

「そうですわね。貴族出身者や関係者の多い魔法士はさておき、弓箭兵のうち1,000名は領民からの志願者も多く、乗馬は素人でしょうし……」

「そしてもう一つ大事なこと。今回の魔法士300名、彼らの全員の詳しい情報が欲しい。これは急いで!

戦場で役に立たないと思われるもの、指示に従順でない者は、即座に返すつもりだけど、事前に詳しい情報があれば、時間を有効に使えるからね」

「はい、それはもう集めています。全員の属性、能力、家柄と属する勢力、そして性格なども……

能力は私とクリシアさんが見た採点なので、少し不安ですが」

「へっ?」

俺は少し変な声を上げてしまった。こんなのそう簡単に準備できるものではない。

きっとユーカさんとクリシアは、以前に俺が話した時からずっと準備を進めてきたのだろう。

二人の優秀さには改めて感謝した。

この日、他にも幾つかの打ち合わせを行い、俺は学園を後にした。

もう、お姫様を抱え込むことの覚悟は、否応なしに決まった。遠慮などしている余裕もない。

幸い、俺の想像以上で、彼女が傑物である可能性も見えてきた。

だが俺は、2人がもう一つ、大事な隠し事を抱えていることを、この時は全く知らなかった。

ご覧いただきありがとうございます。

次回は『サプライズイベント(その②)』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

今回の話しで、クラリス殿下が話していたタクヒールの両親の逸話、求婚時のメイド姿や土下座については、書き下ろしのSSとして既に完成しており、書籍版にて公開される予定です。

ただ、今の時点では、それがどの時点で、どの形態での(本、電子書籍)公開となるかは未定です。

いずれ発売が決定した折に、お知らせさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

Comment

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Options

not work with dark mode
Reset