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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 251

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イストリア皇王国では、いつもと変わらぬ年明けを装いながら、密かに秋に向けて出征の準備が整えられつつあった。

大司教となったカストロは、皇王国軍務卿兼軍総司令官として、皇王国の軍備増強と謀略の手配に余念がなかった。

その彼の執務室に、再び突然の来訪者が訪れた。

「ほっほっほっ、カストロよ、年明けから何やら忙しそうじゃな?」

「こ、これは老師! いつも突然のご来訪、感謝いたします」

カストロは恭しく跪き礼をとった。

「いやなに、そなたの算段、進み具合を確認し、激励に参っただけじゃて。

帝国側では秋に、5万の軍勢を以て攻め入る算段が整ったようじゃぞ」

「ほう、5万ですか! それでは益々以て、敵兵を南に釣り上げてくれることでしょうな。

東だけでなく、我らが北から大挙して侵入するとも知らずに。どちらにしても、王国には哀れなことです」

「して、其方の算段は?」

「これは、失礼いたしました。

先ずは近日中に、今なおカイル王国に抑留されているロングボウ兵1,000名の返還を求めます」

「返して来るかの?」

「恐らく……、返して来ないでしょう。ですが、それも我らの算段のひとつなのです。

休戦協定が結ばれている中、その不誠実さと、捕虜の非人道的な扱いに対し、我らは周辺国にカイル王国の非を鳴らします。これでは休戦協定の意味がないと。

それにより、我らが協定を破棄する土壌が整います」

「1,000名はそのための捨て石、ということか?」

「神の御心を忘れ、既に飼いならされている奴らなど、我らの力にはなりえません。

ロングボウ兵については、先の戦いの生き残りが3,000名、以前の捕虜返還で戻った者が1,000名、その他、三方の国境に配していた一千名ずつを引き抜き、合計が3,000名、そして新たに育成を進めてきました1,000名がおります。

これらの合計、8,000名のロングボウ兵たちが、今回の主攻となります」

「再建には10年を要す、そう言われていたが、この短期間にそこまで進めておったか?」

「はい、更に駒は用意しておりまする。

技量は遠く及びませんが、歩兵を弓箭兵にした偽装ロングボウ兵が5,000名ほどおります。

この部隊と歩兵5,000を合わせた、合計10,000名で、先ずは西の国境にある砦を襲撃します。

カイル王国の王都に、休戦協定破棄の使者が到着するのを見計らって」

「なるほど、そして注意の目が西の国境に向いたところで、次の手じゃな?」

「北からの主攻は、本隊としてロングボウ兵8,000名に、騎兵5,000、歩兵5,000となります。

そこに加え、我らの圧力と分け前に釣られて目が眩んだ、ウロス王国から兵5,000名程度を伴いましょう」

「ほっほっほ、合計23,000名もの侵攻軍か。その軍勢に恐怖した北の辺境伯と氷の氏族長は、こちらに寝返り、新たに6,000名もの援軍が得られるという算段じゃな?」

「はい、総勢29,000ともなれば、そこまで上手く運ばずとも23,000の軍勢が整えば、王都騎士団の10,000騎程度が王都に残留していようと、ものの数ではありません。

敵を四方から攻め込むという、老師の遠大な策があって始めて、生きてくる攻め口ですが……」

「安心せよ。全ては順調に動いておるわ。

王都騎士団は、王国の南と西、そこに張り付くのは最早確定しておるわ。そして、其方らの囮にも喰らい付くであろう。さすれば、北の軍勢は無人の野を征くが如くよ」

「はい、その謀があってこその北でございます」

「ふむ……、ならば我らの授けた策や調略、全てが順調に進んでいるということで良いのじゃな?」

「はい、ピエット通商連合国も6つの小国が、今や3つの勢力に分かれております。ご指示に従い焚きつけるのは簡単でございました」

「そうじゃな、カイル王国と境を接する3国のうち、2国は王国と誼を通じて繫栄しておる。

が、貴国と王国、双方に境を接するウロス王国は常に日和見者、それ故王国からも冷遇されておるでな。

いや、領境を接する北の辺境伯が足枷になっておる。そんなところじゃったかの?」

「はい、王国占領の暁には通商の優先権と、残る二国への侵略を援助する旨を約したら、たちどころに旗幟を明確にいたしました」

「其方らの矢除けに使われるとも知らず、哀れなことよの。

当代の北の辺境伯はどうじゃ? 嫉妬深い狭量の男。南と東の繁栄に我慢がならない様子であろう?」

「仰る通りです。先の内乱では処罰こそされませんでしたが、奴は勝ち馬に乗り損ねたと焦っております。

虚栄心で対抗するため、領内に無茶な税を課し、益々商人共はかの地を避け、他の二国を通じて交易に勤しんでおります。

嫉妬により、自らの首を絞めた愚か者です。この先の計略にも乗ってきましょう」

「奴も攻め滅ぼされると知れば、立ちどころに此方になびいてくるじゃろうな。

そして凋落した氷の族長は、元来陰湿な陰謀好きじゃったからの」

「仰る通りです。仲間であった火と水が、フェアラート公国と誼を通じ、新しい策謀を進めていることに相当焦っていたようです。

むしろ此方の提案を行う前に、ウロス王国に謀略の手を伸ばして来ようとしておりました。

我らが後ろにいるとは知らずに」

「ふふふ、公国の動きが我らの策であるとも知らずにな。謀略に溺れているのは自身だと気付かぬか?

誠に以て、愚かだな。せいぜい気付かれぬよう、奴には自身が描いた夢で躍らせてやるがよい」

「御意!」

「カストロ、安心したぞ。では引き続き、励むがよい。其方がこの二国の統べる教皇として、歴史に名を遺す栄誉を受ける日も、近いであろう」

そう言い残すと、老師と呼ばれた男はいつの間にか姿を消していた。

「老師はいつも神出鬼没なお方だな。

それにしても……、2国を統べる教皇か?

それも悪くないな」

そう言って暫く物思いに耽ったあと、カストロ大司教は大きな声を上げ、近習を呼んだ。

すぐに行動に移さねばならないことが幾つもある。それを実行するためだ。

「カイル王国への使者を出立させよ! 予め指示した内容に沿って動くようにな。

それと12使徒を直ちに招集せよ! 作戦会議に入るとな」

やっとここまで来たのだ。

屈辱に耐え監禁されていた時の苦労も、魔法士たちの再建も、兵力の再編も簡単なことではなかった。

それらが報われる日は近い。

命を受けて走る近習の背を見ながら、カストロ大司教は口角を上げて不敵に笑った。

イストリア皇王国12使徒、御使いと呼ばれる彼らは、その名の通り12名。

元々9人いた御使いの一人を失った代わりに、ここ数年の努力で、4名を新たに加えることができていた。

風魔法士 2名+2名

聖魔法士 3名+1名

音魔法士 1名

地魔法士 1名

水魔法士 1名

闇魔法士 0名+1名

前回のカイル王国との闘いでは、カストロが動員できたのは、風魔法士が僅か2名のみ。

しかも、そのうち一名を戦いで失っていた。

だが、魔法士を囲い込み、特に聖魔法士たちを自身の欲望の捌け口にしていた、先の皇王はもういない。

以前と比べ、圧倒的な権力を手中にしたカストロは、全ての御使いを動員できる立場にあった。

そして、御使いたちを汚れた権力者たちの手から解放したカストロは、彼らからの信も厚い。

一堂に並び、膝を付く12名を前に、カストロは上機嫌だった。

「12使徒よ、皆揃ったな。永きに渡る忍従の日々ももうすぐ終わる。

我らがカイル王国の権力者たちに囲われ、不当に扱われている魔法士たちを解放する日が訪れる。

これらは神の意志である。神のご加護により、御使いとなった其方らの崇高なる義務を果たす時が来た」

「おおっ!」

「では、ついに」

「はい!」

「神をも恐れぬカイル王国の王族、貴族どもは、其方らの同胞を囲い、その尊厳を穢し、見世物として不当に扱っている。かつてこの国の、権力者たちがそうだったように、権力者の欲望の贄にされた者たちが、苦渋の日々を送っているのだ」

カストロがそう言うと、4人の聖魔法士たちが身を固くした。

彼女たちは皆、若き見目麗しい女性たちだったため、以前は先の皇王から日々辱めを受けていた。

「助けてあげなきゃ……、あの地獄から」

その内の一人が、意を決したように呟いた。

それに釣られるように、跪き頭を下げていた男性の一人が、顔を上げた。

「アウラの仇、先の戦いで亡くなった同胞たちの仇、あの悪魔どもに思い知らせてやりたく思います」

彼は風の御使い、アウラと共に先の戦いで従軍していた。

アウラは瀕死の重傷を負わされ、砦が落城する混乱で逃げ遅れ、命を落としたと聞かされている。

共に魔法の修練を積み、ロングボウ兵たちと共に戦った彼にとって、アウラはかけがえのない仲間だった。

ゆえに、カイル王国に対し、ひと際強い敵愾心を抱いていた。

「カイル王国の欺瞞情報により、新たに連れ去られた縁の者たち、今なお敵中に捕らわれ、捕虜として奴隷のように扱われている兵たち、我らは3,000名を超える皇王国の者たちも救わねばならん。

此度の戦い、我らは解放者として、敵国の権力者とその尖兵に対し、神の裁きを与えねばならん」

もちろん、跪く彼らに与えられている情報は、カストロたちにとって都合の良い事実だけをつまみ、意図的に加工された言わばキリトリ情報だ。

だが、彼らにとっては、それが全てであり、事実を知る手段もない。

「セルペンス、ウロス王国の件、仕上げに入ってもらうぞ」

「はっ、全て想像以上に順調に進んでおります」

このセルペンスと呼ばれた男は、カストロが監禁されて不遇の時を過ごしていた時、老子と呼ばれる男の配下であったアザルが、闇魔法士の候補者として紹介してきた男だった。

言葉数も少なく、どこか影のある男で、皇王国の生まれであるかも定かではない。

だが、皇王国初の闇魔法士を御使いの一人に加えることで、当時はまだ虜囚となっていたカストロは、その優秀さと『生かしておく価値』を示すことができていた。

そしてその後、彼は先の皇王暗殺事件の折も暗躍し、主犯の密告と捕縛にも暗躍していた。

「我らの大義、先方にもよく理解してもらえるよう、引き続き使者の任を任せる」

「はっ! 承知しました」

「他の者は、ロングボウ兵との融合戦術、敵の攻撃対策の研鑽をこれまで以上に進めよ。

良いな、残された日数は少ない。奴らの卑怯な戦術に後れを取らぬよう、心して掛かれ!」

イストリア皇王国でも、先のカイル王国との戦いの戦訓は取り入れていた。

特に、敗戦の大きな要因となった、カタパルトと風魔法の融合戦術には、力を入れていた。

それは、タクヒールが最も懸念していたことのひとつが、現実のものとなりつつあることを示していた。

『この世界で再現できる戦術は、必ずいつか模倣され、今度はそれが自身に向かってくる』

このことを、彼はずっと恐れていた。

そして、そう遠くない日にカイル王国側の陣営は、それを思い知らされることになる。

ご覧いただきありがとうございます。

次回は『周辺国の動静 フェアラート公国』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

【お知らせ】

いつもご覧いただきありがとうございます。

9月1日よりしばらくの間、投稿は今までの隔日から三日に一度のペースとなります。

お待たせして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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