Switch Mode
Now you can use the translation tool for free for the first 200 chapters of each novel.

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 257

Please login or register to translate this post.

フレイム伯爵の知らせを受け、その対応のため俺は急遽、各所を走り回っていた。

ガイアに騎馬を走らせ、偽装のため待機していたクラリス殿下と魔法騎士団を、クレイラットに向けて急ぎ出発させた。

同時に、王都にも使者を走らせ、俺が新たにねじ込んだ対応の説明に走らせた。

そしてガイアからアイギスを経由して、魔境を東へと走り抜けた。

国境を守るためザザンゲート要塞に詰めている、ハストブルグ辺境伯と兄に会うためだ。

遊撃部隊である兄の配備は、本来は要塞ではないが、開戦ギリギリまで要塞に詰めている。

この二人に話しておきたいことは二つだ。

第一の課題

このままでは西部方面が非常に危なくなる。

当初、侵攻軍は二万、身内の敵も含めて三万を超えない程度、そう予想していた。

だが、実際には三万を遥かに超える数に膨れ上がる可能性があり、そうなると今のままでは到底対処できない。

何故なら、敵も同じ魔法士を抱え、こちらよりもその集団戦力が優勢であり、そして圧倒的に数で味方が劣るからだ。

こうなれば、当初計画の相手を油断させる……、そんなことは言ってられない。

全力で防衛線を構築し、守備に優位な状態を確保し、籠城戦の体制を整えなくてはならない。

そのため、敵の侵攻を待って布陣するのではなく、相手に事前に察知されても構わないので、形振り構わず防衛網を設置、強化する必要があった。

この任務にエランを当て、彼に防衛施設の構築の指揮を執ってもらうことにした。

これまでの経験で要塞構築に慣れた指揮官のエラン、そして優秀なメアリー、そして配下の地魔法士30名、これだけあれば短期間でも相当のものができる筈だ。

そして王都側には、王都騎士団第三軍だけでなく、第一軍にも後詰の準備を依頼した。

第二の課題

南部戦線、特に左翼陣営の課題についてだ。

本来であれば、王都騎士団第一軍が前線参加し、辺境騎士団4千騎が遊撃となり、ハストブルグ辺境伯やキリアス子爵らの弓箭兵部隊約6千名は、国境の要塞を死守し、北の状況次第では第二軍が待機する段取りだった。

だが、ここに至って第一軍は西部の対応に回ることになる可能性も出てきた。

そうすれば、南部戦線は相当手薄になってしまう。

最悪、辺境伯の領都ブルグも放棄し、ブルグの森あたりを防衛ラインとして後退する必要もある。

最悪、ブルグを抜かれれば、一気に王都まで侵攻される恐れすらある。

恐らく帝国軍右翼、第一皇子の軍勢は当初は様子見をしているだろうが、西部戦線、北部戦線の状況次第では一気に北上してくるだろう。

ジークハルトの提案も、互角の戦いをしていて初めて現実のものとなるのであって、こちらが一方的に後退すれば、やはり牙を剥いて来るに違いない。

このあたりのことを、辺境伯と兄には事前に共有しておきたかった。

二つの課題対応に走り周り、やっとアイギスに戻った時、今度は王都のクライン公爵から早馬が来た。

「外務卿、クライン公爵より急報です。

王都にイストリア皇王国より宣戦布告の使者が到着し、それと時を合わせたかのように、敵軍約1万、東国境の砦を襲撃して参りました」

うん、戦端は東側から開かれたか。予想範囲内だな。

そんな感じで当初は俺も、悠長に構えて話を聞いていた。

「戦況は……、お味方、苦戦中とのことです!」

「は?」

俺は思わず声を出して驚いてしまった。

いや、ハミッシュ辺境伯には、8千の兵力があり、3千の援軍も近く到着するか、既に着いている筈だ。

しかも、時間をかけて万全の準備を整えた上で、守備に有利な砦に立てこもっているし、それなりの数の魔法士もいるし……

ハミッシュ辺境伯は指揮官としても申し分ない。

苦戦するはずがないのだ。

「詳細を、辺境伯は何故苦戦しているのだ?

知っている範囲で構わない。詳細を教えてくれ」

俺の問い掛けに、答えた使者の言葉は、正直言って俺を愕然とさせる、正に信じがたいものだった。

話は九日ほど遡る。

それは新月の夜、カイル王国とイストリア皇王国の国境で異変が起こった。

国境よりイストリア皇王国領へと進んだ、草原に点在する林の中から、深夜に怪しい物音が響き始めた。

暗闇であり、距離も相当離れていることから、詳細は不明だが、ハミッシュ辺境伯は直ちに決断を下し、全軍を臨戦態勢で待機させるとともに、何組かの斥候を放った。

「報告しますっ、斥候隊が誰一人として戻って参りません!

距離はかなりありますが、暗闇の中に敵兵が、相当数潜んでいる可能性があります!」

「そうか……、止むを得ないな。これ以上犠牲を出す訳にもいかん。砦の先、300メル(≒m)まで偵察隊を進出させ、篝火を並べろ! そして直ちに撤退せよ。

決して、それ以上は進むなよ。また城壁、岩壁に待機する各隊は、物陰に待機しながら見張りを。

不用意に身を晒すと、ロングボウ兵の餌食になるぞ。

落ち着いて対処せよ。この砦と岩壁の防御陣は鉄壁の防衛網じゃ、そうそう抜かれることはない!」

そう言って辺境伯は動揺する味方を落ち着かせながら、ひとり、言い知れない不安に襲われていた。

その不安を、更に増大させるように、今度は闇夜の中、数か所からカーン! カーン! と木々の幹を斧で穿つような音が聞こえた。

そして不穏な音が消え、東の空が白み始めて徐々に明るくなり、大地や木々、岩肌の輪郭が少しずつはっきりしだすと、不穏な音も消え周囲には静寂が戻った。

そして大地を赤く染めて東から朝日が昇る瞬間、事態は急変した。

砦の物陰に潜み、周囲を偵察していた辺境伯配下の兵たちの頭上に、突如複数の物体が飛来してきたのだ。

「てっ、敵襲! 風魔法士っ! 急ぎ、ぼ、う、がっ……」

絶叫する兵士の言葉は、降り注ぐ石弾の雨に絶たれた。

それは、砦東側の一帯と、左右の岩壁上に作られた防衛陣地、三ケ所同時に降り注いだ。

「全員、物陰に退避を! 岩壁上の風魔法士には風魔法で防御を!

こちらも発射位置を特定し、カタパルトにて反撃せよ! 騎馬隊は少数に別れ、威力偵察を行え!」

辺境伯の指示が実行される前に、第一射から狙点を修正した、より正確な第二射が飛来した。

しかも今度は、石弾ではなく、不気味な色をした粉が詰まった容器だった。

各所でガシャンと耳障りな音を発して容器が割れ、その粉が当たりに撒き散らされた。

「朝日に阻まれ、発射地点は特定できませんっ!」

「てっ、ゴホッ、敵、ゴホッ、な、なに、ゴホッ、……」

報告してきた兵士も悲鳴のような絶叫を上げた。

そして、粉を浴びてしまった兵は、呼吸が苦しいのか、報告が言葉にならなかった。

「全員屋根のある、物陰に退避しろ! 風魔法士は粉を東側に吹き払え!

射撃位置、まだ特定できんのか?」

「こちらから、800メルから1000メルほど離れた林の中っ!

その四か所から放たれている様ですが、詳細は分かりませんっ!」

既に第四射まで攻撃を浴び、仮設の屋根しかない左右の岩場では、凄惨な状況となっていた。

配置されていた風魔法士も、ある者は石弾を浴び負傷し、ある者は粉を浴びて戦闘不能になっていた。

そして、幾つかの集団に別れ、威力偵察出ていた騎兵たちにも異変が起こった。

突然大地から湧き出た、敵の弓箭兵たちの一斉射撃を浴び、彼らは人馬共々バタバタと倒れていった。

「無念っ、私は驕っていたということか……

我らが採った戦術、敵軍も採ってくると想像できていなかったとは……」

ハミッシュ辺境伯は、無念の余り手を震わせ唇を噛みしめた。自らも陣頭に立ち、指揮を続けていた彼の体は、至る所で傷を負い血が滲んでいた。

カストロ大司教は、自らを窮地に陥れた敵、タクヒールの戦術をここ数年研究していた。

幸い、返還された捕虜たちからも、詳細を聞くことができた。

戦訓により、彼が採用したのは五点だった。

ひとつ、カイル王国のカタパルトより巨大で、長射程のカタパルトを開発すること。

ひとつ、カタパルトと風魔法士の連携訓練を推し進め、特に射程の延長を計ること。

ひとつ、弓箭兵の戦術に、塹壕戦を採用すること。

ひとつ、塹壕の掘削に地魔法士を活用し、戦場で密かに、そして速やかに塹壕を設置すること。

ひとつ、魔法士の出し惜しみをせず、集中運用を行うこと。

今回の戦いでこれらを、積極的に実践していた。

囮となる西国境の戦いでも、緒戦で徹底的にカイル王国軍を叩く。

その強い意志の元、カストロ大司教以下、12使徒の全てがこの戦いに動員されていた。

林の中に設けられた巨大カタパルトの設置には、まず土台を設置する部分にある木々を密かに切り倒した。視界が悪く、多少の音は雨音で聞こえなくなる豪雨の日をわざわざ周到に選んで。

そして、皇王国内で作られた巨大カタパルトを、苦心の末国境まで運び込むと、点在する林の四か所に密かに設置した。

それらは本来、射程500メル程度にしか過ぎなかったが、風魔法士と連携すれば、石弾程度ならある程度正確に、800メル以上1,000メル未満の目標を、その射程内に収めることができていた。

そして、その設置位置は、カイル王国が国境に築いた砦の日傘城壁、左右の岩場の開けた空間をギリギリ射程に入るよう計算されていた。

カタパルトは手前の木々に遮られ、正確な位置を知られないよう配慮しており、発射の直前になって初めて、射撃の邪魔になる位置の木々だけを切り倒すなど、カストロの作戦は終始徹底していた。

そして、朝日までも利用して発射位置を隠蔽するだけでなく、偵察や攻撃でやって来る敵兵が逆光で苦しむ中、塹壕に潜ませた5千名の弓箭兵が一斉射撃で薙ぎ払う。

こういった攻撃を立案し、それを実行していた。

俺は、使者の報告を呆然と聞いていた。

そう、これは俺の責任でもある。

チートに驕り、油断していたことだ。

敵だって馬鹿じゃない。戦訓を取り入れ、ちゃんと考えることができるんだ。

『こちらの戦術はいずれ模倣され、自身にその刃を向けて来る』

『撃つ、ということはいずれ、撃たれる、ということだ』

俺自身、それを常日頃から言っていたのでは無かったか? そのことは常に頭の片隅にあったはずだ。

なのに……、俺は一体何をしていた?

栄達し、魔境伯ともてはやされ、浮かれていただけではないのか?

「一番堅い、そう思っていた東国境ですらこの様か……、俺は迂闊を通り越して、大馬鹿者だな」

そう呟くのが精いっぱいだった。

俺は後悔と、自責の念で思考停止に陥ってしまった。

だがその時、背後から優しい香りと、柔らかく温かい肌の感触を一瞬だけ感じた。

「タクヒールさまが必死に努力されてきたのは、誰もが知っています。

そうご自身を責めないでくださいな。

そして、主君たるもの、臣下やご使者の前で、そのようなお顔は厳禁ですよ」

周囲の者が気付かないほどのさり気ない動作で、背後から一瞬の抱擁だった。

俺はアンの言葉で、やっと我に返ることができた。

「すまない、こちらの損害と、その後の経過を教えてくれないか?」

「はっ、ハミッシュ辺境伯軍は、緒戦で500騎の騎馬隊を失い、1,000名近い弓箭兵が戦闘不能です。

敵軍の攻撃は散発的に翌日まで続き、その後に小康状態となりました。

ただ、それまでに継続した石弾攻撃により、砦の上部構造物は大きく被害を受け、油や燃えた石炭なども降り注いだため、各所で火災も発生したとのことです。

特に砦の東正面と左右の岩壁上の被害は甚大で、大きく防御機能を損なったと聞いています」

「2日目以降はカタパルトの攻撃は無くなったということか?」

「はい、私が知らされているのは2日目の朝までの戦況ですが、後続の使者より、午後からはカタパルトを使用した、遠距離の攻撃は鳴りを潜め、散発的な弓箭兵の襲撃に切り替わったと聞いています」

「そうか、役目大儀!

外務卿には報告のお礼と、引き続き各所の戦況報告をお願いする。

そう伝えてほしい」

恐らく十分な耳目を集めたため、攻撃の中核となる風魔法士は戦線を離脱し、北に回ったと思われる。となると、これらの攻撃は本命ではないのだろう。

「外務卿にはもう一つ、お伝えいただきたい。

主戦力たる魔法士は、既に移動しているだろう。それでお分かりいただける筈だ。よろしく頼む」

やはりな。歴史の反撃は悪辣だ。

数だけでなく、中身までレベルアップしているということか。

だが、俺たちは絶対負けない!

俺は、驕りや甘い判断に繋がる期待を全て捨て、気持ちを新たにした。

【お知らせ】

いつもご覧いただきありがとうございます。

9月よりしばらくの間、投稿は今までの隔日から三日に一度のペースとなります。

お待たせして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

最終決戦に向けて、楽しんで読んでいただけるよう頑張りますので、変わらぬ応援をいただけると嬉しいです。

次回は『二正面作戦の始まり』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

Comment

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Options

not work with dark mode
Reset