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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 260

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外務卿たるクライン公爵が、フェアラート公国の使者を名乗る男との面会に応じた日から2日経った。

その間も、外務卿として諜報を取りまとめること、各地に展開する軍をまとめる指揮官として、日々活動に余念がなかった。

「閣下、報告によると例の使者、まだ王都を出ていない模様ですが……」

「ふぉっふぉっふぉっ、ご苦労なことよな。

王都に残り、探し人の足跡でも探っておるのじゃろう。それとも、これ見よがしに王都に残ることで、我らの油断を誘うつもりかも知れんの?」

「それはどういうことですか?」

「商務卿、商売とて競争、時には相手を出し抜くこともあろう?

カイラールからフェアリー、通常の騎馬移動なら10日というところかの? 急いでも8日はかかろう」

「はい、仰る通りです」

「彼らの願いは、我らがその時間を予測し、油断することじゃろうな。

仮に今から王都に戻り急ぎ軍を催しても、大軍の移動には時間が掛かるでな。フェアリーから国境まで5日以上、国境からここまで戦いもなく進んでも、単騎ならまだしも、軍勢ともなれば7日はかかろう。

そうなれば、王都まで侵攻してくるのは、少なくとも彼らが戻って20日以降、そう思うじゃろうな」

「はい、仰る通りです」

「そう思っておる所に、予想外に早く侵攻を受ければ、それだけで浮足立つ。

下手をすると各地の領主が個別に戦端を開くか、準備不足のまま潰走して、混乱を助長するじゃろうな。

彼方にはそんな狙いもあると思うぞ」

「なっ! そんな事……、いやはや、相変わらずのご慧眼、恐れ入りました」

「儂は既に、クラリス殿下とシュルツ軍団長には早馬を飛ばしておるでな。

公国の使者殿も、帰路は難儀されるじゃろうな」

その予言通り、その後になって使者の一行が国境へと戻る途中、クレイラットの地で足止めを受けた。

この先で、大規模な演習が行われており、誤って攻撃される恐れがあると脅されて。

時間稼ぎも任務のうち、そう思っていた使者は、表面上こそ非礼に対して激高したが、しぶしぶ、その事情を理解し、手前の町で逗留した。

その後彼らはここで、予想以上に長い時を過ごし、逗留を余儀なくされることになる。

「殿下、よろしいのですか? 使者たちを留め置かれたままで」

「ええ問題ないわ。往路はなんとか誤魔化して通したけど、それなりに防御施設は見られたし、今はもう完全な臨戦態勢ですもの。ティア商会の知らせを受け、私たちが迎撃準備をしていること、伝えられると不味いわ。侵攻軍も間諜を通じて、ある程度のことは知っているとは思うけど……」

確かにシュルツもそう思う。

ただ、外交上の倣いとして、例え交戦状態であっても使者の往来だけは妨げないのが通例だ。

「それにしても反乱軍もやってくれるわね。

カイラールへ使者を送ると同時に、侵攻軍の準備を整え、返答を待たずして国境を越えてくるのだから。

狡賢いというか卑怯というか、元から攻めてくる気満々みたいだし、これは少しだけお返しよ」

そう、彼女たちは既に、侵攻軍が密かに国境を越え、王都に向かい進軍中であることを知っていた。

実はその知らせを伝えに来たハリム一行も、当初は間諜と疑われて詮議を受ける予定だったが、幸いにも王女の陣営にはハリムと面識があるエランがいた。

そのお陰で彼らは無事防御線の通過が許されていた。

更にその過程で、ハリムらから公国内の様子を聞いたクラリス王女たちは、フェアラート公国反乱軍の動きを、正確に把握することができた。

そして使者たちを留め置いた翌日、クランティフ辺境伯軍2,000名、カイル王国西部辺境貴族軍の1,500名を先導とした、フェアラート公国反乱軍先遣隊10,000余の兵が、クレイラットの地へと到達した。

だが、街道を横切る河を渡る橋は封鎖されており、対岸より先、王都方面には進むことができなくなっていた。

「我らはクランティフ辺境伯配下の者でござる。

この地を守られている指揮官殿にお伝えする!

来るグリフォニア帝国との戦いにおいて、国王同士の友誼に従い派遣された、フェアラート公国からの援軍を先導して参りました。

急ぎ王都カイラールに駆け付けるため、道を開けられたし!」

クランティフ辺境伯の先触れは、そう言って防衛線の通過を求めてきた。

先触れの彼がこう言ったこと、これには幾つかの裏事情があった。

復権派の領袖であった侯爵の義息として、2国間を暗躍していたリュグナーは、首魁となる2侯爵や側近の者以外には、都合の良い偽りの情報を吹き込んでいたのだった。

『辺境伯、いまや復権派の4侯爵は凋落の一途、ですが、大きく逆転する勝機もございます。

我らは帝国の侵攻に対し、兼ねてより友誼のあるフェアラート公国より、援軍を取り付けて参りました。

この功績により、火と水の侯爵家は国難を救った功労者として、かつての威勢を取り戻すこととなりましょう。辺境伯はこの船に乗り遅れることのなきよう、ご注意ください。

共に、新しい未来を共有すべきと思いますが……』

クランティフ辺境伯は、リュグナーの言葉を信じた。いや、それに縋ったといった方が正しい。

南と東の辺境伯に対し、絶望的なまでに水を開けられてしまった我が身の、起死回生を図るために。

そして、かつては国家の中枢にあった二人の侯爵にとって、王命を騙った書面を偽造するなど、容易いことであった。

リュグナーの誘惑に満ちた誘いと、本物に思える書面、この2つを前にしてクランティフ辺境伯は疑いを抱くことはなかった。

そしてそれは、ここまでの道中に領地を持つ、各貴族も同様だった。

彼らも、ある者は援軍に感謝して通行を許可し、ある者は辺境伯に同道を申し出ると兵を率いて合流し、ある者は食料などの物資を喜んで供出していったのだから……

そうした事情を踏まえて、今に至っている。

「ほう? クランティフも面白い事を言うな。道化師としての才能があるとは知らんかったぞ」

それは透き通る女性の声だった。

先触れの使者はその言葉を受けて激昂した。

「どなたかは知らぬが、辺境伯への無礼な物言い、ただ事では済みませんぞ!」

使者は怒りに震えて、美しい軽装鎧をまとった、口の悪い少女を睨みつけた。

そこに深いため息をついて、割って入った者がいた。

「殿下、このような対応は私どもにお任せください。

使者に申し伝える。私は王都騎士団第三軍団長のシュルツである。其方の預かり知らぬことゆえ、今の無礼は不問とするが、この地は国王陛下の信を受け、クラリス殿下が守備されている場所。

通りたければ、先ず辺境伯自身が単騎こちらに参り、敵軍をここまで先導してきたことについて、申し開きを行え。それ以外は即刻攻撃する。

このこと、確かに伝えたぞ」

「敵軍? クラリス……、殿下? なっ、なぁっ?」

先触れの使者は、状況が理解できず、混乱して戻っていった。

暫らくすると、西側から砂塵を上げて公国軍の先陣、約10,000の大軍が到来した。

その軍勢は、河の堤防が広がる少し手前で進軍を停止し、クランティフ辺境伯旗下の軍勢のみ、橋に進み出て進出して来た。

「リュグナー殿、あ奴を行かせて良いものかな?」

「構いません。我らに対し異心あり、そう思えた時点で後ろから軍勢もろとも処分すれば良いのです。

奴のお陰で、ここまで無人の野を征くが如く進めました故、その功に免じ、最初に王国に殉じたという名誉を与えてやりましょう」

「はははっ、哀れな道化者としての最後か、奴らしいな」

自身の後ろで、その様な会話がなされているとは知らず、辺境伯はただ一騎、河を越える橋の中央まで進み出ると、大音声で叫んだ。

「シュルツ軍団長に申し上げる。道を空けられよ!

我らは、国王陛下が公国のフレイム伯爵を通じて願われ、2国間の友誼に応じてフェアラート国王が派遣された援軍をご案内しておるところだ。

其方の職責もあろうが、これは陛下の御意に背く行為であり、王国の危機に対し敵を利する行為ぞ!

また、道理よりも深窓の姫たる王女殿下の名を用いるなど、言語道断である! 恥を知れっ!」

シュルツ軍団長が反論しようとした瞬間。

クランティフ辺境伯の声よりも数倍大きな、河の両岸にまで届く、透き通った声が響き渡った。

「あははは、クランティフ辺境伯、貴方って本当の道化師の才能があるわよ。

私の声を聞いた事はあるでしょう?

こんな場所に出てくるような私を、深窓の姫と呼んでくれるのね?

それはとても嬉しいお話だわ」

シュルツ軍団長は思わず舌打ちした。

任せてください。そう申し上げているのに、舌戦を始めるため前に出たがるじゃじゃ馬姫に。

しかもいつの間にか音魔法士に話を付け、自身の声を拡声させているため、その声は確実に対岸にまで響いているだろう。

「ま……、まさか、クラリス殿下?」

「貴方の空想話は独創性の欠片もなく、ちょっと奇異を衒い過ぎて胸焼けがするわね。

お父様は援軍など頼んでいないし、お話にあったフレイム伯爵も、今は私たちと共にいらっしゃるわよ。

まさか、公国のフレイム伯爵と名乗る人が2人以上いるということかしら?

こちらは正真正銘、本物よ。

そう言えば先日、フェアラート公国で反乱を起こした貴族たちが、正義面をして王都まで外務卿を脅しに来たそうよ。反乱軍に従わなければ王国を侵略すると言って。

そして交渉の使者を放つと同時に、その返答を待たずに軍を送って来る、そんなご立派な方々を先導されているとは、本当に名誉ある行いですわね」

もうこの姫は、はなから喧嘩を売る気満々なのだろう。

シュルツ軍団長は頭を抱えてしまった。

カイル王国の姫がここにいること、フレイム伯爵が王国に逗留していることなど、敵側には絶対与えてはいけない、最も重要な情報だ。

それをこのじゃじゃ馬は……、喧嘩のネタとして、面白おかしく披露している。

「今の貴方は、カイル王国を裏切り、フェアラート公国で反乱を起こした反逆者と一緒になって、王国を侵略している立場だということ、ご理解していらっしゃるのかしら?

きっと裏切り者同士、お互いにお話があうのかも知れないですわね。

言語道断で恥知らずとは、貴方や貴方に同調した軍勢にこそ、相応しい言葉だと思わない?」

「ぐっ……」

「兵士たち、私は貴方がたカイル王国の民を、反乱軍として処断するのは忍びないことと思っています。

真実が分かった今こそ、真に戦うべき相手が誰なのか、考えてごらんなさい。

カイル王国の王女として、この軍を率いる最高指揮官として貴方たちに約束します。今この場で、橋を渡り此方に来た者たちは、反乱参加の件を不問とし、その責を問わないものとします。

例え貴方がたの愚かな領主が、誤った選択をしたとしてもね。

貴方たちは王国の民であり、大切な兵士です。

後ろから矢が飛んでこない内に、決断してくれることを祈っています」

最後のそれは、辺境伯に対する辛辣なものとは全く異なった、慈愛に満ちた声と申し出だった。

辺境伯は茫然と棒立ちになり、橋の中央部で佇んでいたが、やがて元来た道を引き返し始めた。

「わ、儂が……、叛乱だと? 騙されていた……、本当にそうなのか?」

「射よっ!」

辺境伯が混乱しているとき、後方のフェアラート公国兵の陣地では、攻撃開始の命が発せられた。

その号令に応じた数百本の矢は、山なりに飛翔して辺境伯の周囲に矢の雨を降らせた。

全身にハリネズミの様に矢を受けて、辺境伯は瞬時に絶命し、橋から河へと転落していった。

それと同時に、橋の上や川沿いに展開していた3,500名の頭上にも、矢の雨が襲った。

「て、敵襲っ!」

「敵って、どっちだよ?」

「俺たちに矢を射っている奴に決まっているだろうが!」

「畜生! あいつらっ。決して許さん!」

ここに至って初めて、クランティフ辺境伯旗下の兵士たちは、クラリスの言葉が真実だと知った。

一部の兵士は踵を返し、これまで味方として同道してきた軍勢に向かって突進したが、その他の大多数は我先にと一斉に橋に向かって潰走を始めた。

この様な形で、ついに西部戦線も戦闘の火蓋が切られた。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『クラリスの戦略』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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