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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 266

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グリフォニア帝国の北部最辺境にある、城砦都市ゴールトには、帝国各地より続々と軍勢が終結しつつあった。その数、既に40,000を超え、街の周囲は城砦に収容しきれない、人馬と天幕で埋め尽くされていた。

そんな中、予想外の状況の推移に、焦りを募らせている男が、側近に語りかけた。

「一体いつまで我らは待たねばならんのだ! このままでは我らが攻める前に、カイル王国が滅んでしまうではないか!」

「と申されましても、第三皇子側との約定により、進行する期日は予め定められております。

我らも、ハーリー公爵が兵站物資の調達と最後の10,000を率い、到着されるのを待っている状況ですし……」

「ハーリーは何を手こずっているのだ?」

「その……、商人たちから物資の調達が思うように進まず、苦労されているようです」

「またあの小僧か!」

第一皇子グロリアスはジークハルトのことを小僧と言って罵った。

実際、今回の出征に当たりジークハルトは、味方の中の敵、彼らの足を引っ張ることはしていない。

ただ、商人たちに優先的に糧食を回してほしい、そう依頼していただけだった。

だが、商人たちが彼の言葉を受け取ると、勝手に忖度し、結果的にそういう形になってしまっていただけだ。

商人たちにとって、ジークハルトの卸す砂糖は大きな利権の源だったし、落ち目の第一皇子よりは、既に皇位継承が既定路線となりつつある、第三皇子陣営の歓心を買うことのほうが大事だった。

そのため、本人たちの意図を介さず、第一皇子側は軍の行動に欠かせない糧食調達に、支障をきたすことになっていた。

更に今は秋の収穫前、一年で最も穀物の少ない時期でもある。

ジークハルト自身、この現状に苦笑しながら、対応を考えていた。

「殿下、向こうは糧食の調達にかなり手こずっているようですね。後で余計な事を言われても面倒です。

いっそ、こちらの備蓄を明け渡してはいかがですか?

もちろん、それなりの手間賃をいただいて」

「ははは、この期に及んでも儲け話か?

確かに、奴に余計な口実を与えるのも不本意だし、差し障りのない程度の儲けを入れて、奴に回してやれ」

「はい、勿論きっちり儲けはいただきます。

そもそも、彼らが言い出した、この余計な戦いの戦費は馬鹿になりません。出征自体骨折り損となる公算が大きいのに、費やされる戦費は各陣営の持ち出しですからね。

それに、敵国に入ってから、糧食に窮乏して支援を求められても困りますし」

「王国内の実りは、アテにできんということか?」

「我々がそれをアテにしていることは、敵も承知していますよ。

私だったら、侵攻される一帯の畑を焼き払いますね。先方には火を自在に使える魔法士もいますし」

「ふむ……、我々の糧食は十分にあるのか?

最悪の場合、あちらに属する兵たちも食わしてやらねばならんが」

「はい、もちろんその分を計算して、きっちり調達していますよ。

まぁ……

そのために買い占めた結果、向こうが調達に困っているという形にはなりましたが」

「なんだ、結局全てお前の掌の上ということか?

それが露見した場合、向こうはさぞかし激怒することだろうな」

「それが露見するようなヘマはしませんよ。今回は数こそ少ないながら、我々にも魔法士が同行します。

あちらは、我々に時空魔法士を伴っているとは、思ってもいないでしょうね。彼らに分からぬよう、荷駄で運びきれないほどの糧食を抱えて……」

そう、ここ数年、ジークハルトは魔法士の発掘に向け、精力的に動いていた。

帝国内にも極端に数は少ないものの、魔法士は存在する。今は併合された旧ローランド王国には、遥か数百年前には魔境が存在しており、魔の民の血統を受け継ぐ者たちも存在するからだ。

その旧ローランド王国の版図には、今ジークハルトが治める旧ゴート辺境伯領、アストレイ伯爵領、ケンプファー子爵(男爵)領、ブラッドリー侯爵領などが含まれており、その大半がジークハルトの影響下にあった。

そして何より、カイル王国より公式に失われた宝珠、その最後の一つは、ローランド王国に設立された教会へと流れていたのだ。

数百年前は、ローランド王国内でも魔石は、高価な宝飾物として流通しており、それなりの数が未だに現存していた。それをジークハルトは買占めていた。

もちろん、商人を通じて公式に輸入したものもあったが、隣国、特に魔境伯に気取られぬよう数を絞り、細心の注意を払っていた。

そして、カイル王国内で数年前に反乱に加担し、その一族として死罪とされる筈であった者たち、彼らの一部は帝国領内に逃げて来ていたが、その中には教会関係者らも含まれていた。

ジークハルトは彼らを保護し、密かに匿っていた。

教会の持つ情報を提供する代わりに、生命と今後の財産となる対価を与えて。

魔法士を抱え、戦術的に優位を誇るカイル王国、特に魔境伯の率いる軍勢に対抗するため、ジークハルトは必死にその対抗手段を模索していたのだ。

数年の努力の結果として、彼は密かに、時空魔法士を含む数名の魔法士を麾下に収めていた。

「其方の魔境に対する思い入れは、殊の外だな?」

「そうですね、私の思いは我が祖先、500年ほど前のゴウラス・ケンプファーとジーク・ケンプファー、この二人が遺した書によって発しております。

かつて、魔の民と友誼を結んだと言われる二人の当主たちは、当時迫害されていた魔の民の血統を持つ者たちを密かに保護し、積極的に領民としておりました。

そのため、ケンプファー家の領内には、帝国内でも抜きんでて多く、その血統を受け継ぐ者たちがおりますので……」

「ほう? 今の其方の行動は、500年前から仕込まれていたということか?

誠に興味深い話だな」

「これも何かの縁かも知れませんね。なので私は、常々王国を亡ぼすことには懐疑的でしたからね。

まぁ、あとは先方次第です。魔境伯がこちらの期待通り、動いてくれるか……」

「ははは、俺もその魔境伯とやら、一度会って話をしてみたいものだな。

ドゥルールも殊の外褒めていたしな。正直、奴が取り入れた彼方の施策には救われた部分も多い」

「今回は彼と、彼の旗下も参陣すると聞きましたが?」

「ああ、最初は王国に大規模侵攻があると聞き、烈火の如く諫めに来よったわ。

我らの目的を告げ、右翼を担当すると聞き、不承不承で納得しおったがな」

「ははは、彼らしいですね」

ジークハルトは苦笑せずにはいられなかった。

彼なりに、魔境伯には相当感謝しているのだろう。

数日後、遅れていたハーリー公爵も軍勢を率いて到着し、ゴールト城塞では出征前の最終会議が開催されていた。

「先ずはグラート、糧食に関して我らへ配分してくれたこと、礼を言う。

些か、高い買い物だったがな」

冒頭で第一皇子の発言を受け、グラートは思わず横を見た。

ジークハルトは素知らぬ顔で座っている。

『こいつ、相当ふんだくったな?』

思わずそう思ったが表情を消した。

「先年、カイル王国では相当規模の飢饉が発生したと聞いている。国境に近い北に来れば来るほど、商人を通じて糧食は北に流れ、掻き集めるのにも苦労をしたのだろう」

そう答えたグラートも、些か歯切れが悪かった。

それは確かに、事実の一端を構成する要素ではあるが、ほんの一部の理由だ。

原因の殆どは、隣にすまし顔で座っている狐にあることを知っていたからだ。

グロリアス側も確たる証拠が無いため、話題を変えた。

「それはさておき、フェアラート公国、イストリア皇王国の動きが早すぎるのではないか?

誰かが使嗾したのでは? そう思わずにはおれんのだが……」

「グロリアスよ、それはこちらの台詞だ。

我らは、皇王国からの親書は無視し、共闘を断った。そして公国とは全く縁がない。

公国の使者が、其方の元を出入りしていたという情報もあるが?」

「……」

第三皇子の指摘は的を射たものだった。

第一皇子陣営は、その両方と接触を持ち、今回の共闘を約していた。

だが、彼らの手際が余りにも良いため、疑心暗鬼に陥っていたに他ならない。

「両殿下、戦いを前にして、要らぬ猜疑はどうかお控えいただくようお願いいたします。

我らは一致団結して、この大業を成就する必要があるのですから」

『ハーリー、お前が言うな! よくもヌケヌケと……』

第三皇子は心の中ではそう思ったが、敢えて言葉にはしなかった。

「きっと奴らは、最も強力な我らが参戦するのを待っておるのだろう。

自軍に降りかかる火の粉を、他者に擦り付けるために。浅ましいことだな……」

「グラート殿下の仰る通りですな。

これ以上我らが徒に時を失えば、他の二国に漁夫の利を得られかねません。

直ちに出陣すべき、そう具申いたします」

「我らはいつでも準備ができておるわ。ただ其方らを待っていただけのこと。

それも、重々承知しているのだろう?」

「では、明日を以て国境に進軍する。これでよろしいでしょうか?」

「ハーリーの言にひとつ加えたい。敵が国境に築いた要塞、その攻略を我らに任せてはもらえないか?

遅参した詫びの証として」

「それは構わぬが、大軍で包囲しにくい地形ゆえ、いささか手こずるぞ? グロリアス、良いのか?」

「ああ、我らの手並み、ゆっくり後方で見学してもらって差し支えない。

我らにも対策はある故な」

こう言って第一皇子は不敵に笑った。

それはまるで、カイル王国の魔法士対策、攻城戦に十分な自信があると言いたげな表情で。

その言葉を受け、緒戦の対応は決まった。

翌日には全軍で国境へと移動が開始された。

そして、国境に到着した第一皇子の先鋒は、直ちに戦いに突入することが決まっている。

彼の秘策、テイグーン攻略のため周到に用意された策は、その前哨戦たるサザンゲート要塞攻略戦でその真価を発揮することになる。

それにより、タクヒールらは予想もしなかった攻勢を受け、驚愕することになってゆくが、カイル王国陣営では、そのことを知るものはまだ誰もいない。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『開戦前夜』を投稿予定です。

以前にも登場しましたが、ジークハルトの祖先や、彼らの活躍については、その経緯を外伝の三十八話を中心に掲載しております。

よろしければ、そちらもご覧ください。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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