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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 268

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【⚔ソリス男爵領史⚔ 終章】

カイル歴513年、グリフォニア帝国の大規模侵攻あり

帝国が誇る黒い鷹、皇帝の意を受けカイル王国を突く

国境を守る盾、ハストブルグ辺境伯は砦にこもり迎撃

これに対し帝国軍左翼は大規模な繞回進撃を実施

密かに内通した子爵領境を抜け、エストール領を突く

ソリス男爵軍はテイグーンに陣を敷き迎撃するも敗走

男爵は領民と残兵の助命、収穫期の実りを民から収奪しないことを願い降伏

エストール領は北方派遣軍軍団長ヴァイス将軍に下る

若き男爵は処刑され男爵家は断絶しその終焉を迎える

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カイル歴513年秋、ついに帝国の侵攻が始まった。

長年の努力と、歴史の悪意、紆余曲折の末、前回の歴史とは全く違った形で……

だがしかし、同じ終焉を迎えるように、様々な悪意を伴って。

ヴァイス団長もエロールも、今回の歴史では味方として頼るべき存在となっている。

反面帝国軍は、前回の歴史よりも遥かに多い軍勢を整え、より強い敵愾心で以って侵攻してくる。

そして、団長の存在の代わりとなるべき存在、第三皇子陣営にはジークハルトが存在する。

歴史とは、例え鍵となる誰かが欠けても、その代わりとなる人物が立ちはだかって来るということか?

では、エロールの代わりはどうなるのだろうか?

未だ追捕の手を逃れているリュグナーなのか?

それとも……

一抹の不安が俺のなかには残っていた。

俺たちがサザンゲート要塞を出た翌日、グリフォニア帝国軍は国境に大挙として進軍してきた。

「報告! 帝国軍の先鋒約三万、国境を越えこちらに向かってきております!」

満を持して待ち受けていた、ハストブルグ辺境伯のもとに物見の報告が入った。

辺境伯やその陣営の誰もに、一切の動揺はない。

「来おったか! 伝令、サザンゲート砦のダレク卿、アイギスの魔境伯に敵襲を伝えよ!

全軍、迎撃体制の準備を!」

辺境伯の指示は、直ちに実行に移された。

伝令が裏門から出て、二方向に騎馬を疾走させ、要塞内を兵士たちが慌ただしく走り配置に付く。

要塞中央をハストブルグ辺境伯率いる本隊4,000名が守り、要塞左翼はファルムス軍1,200名が、右翼はキリアス子爵軍1,400名が配置に就いている。

「敵をできる限り引き付け、敵の中軍をカタパルトの一斉射で薙ぎ払う。

前衛は弓箭兵が、風魔法士と連携し制圧射撃を行う。先ずは帝国軍の奴らの出鼻を挫くんじゃ!」

辺境伯の指示で、城壁上には約6,000名もの兵士がクロスボウを構え、斉射の合図を待っていた。

一方、最前線より遥か後方、サザンゲート要塞攻略のため、カイル王国軍と対峙する第一皇子の本営、その更にその後方には、後続として続いていた、第三皇子が陣を構えていた。

彼らは、第一皇子率いる先鋒の動きに合点がいかず、その意図を訝しんだ。

「ジークハルト、奴は単なる阿呆なのか? それとも何か策でも持っているのか?

俺には単に餌食となるため、攻め寄せているようにしか見えんが……」

「そうですね……。彼らは間もなく敵のカタパルトの射程内に入るでしょう。

ただ、敵軍の放つクロスボウの射程は、我らより遥かに長いです。一見したところ、無謀な進軍としか見えません。が、しかし……」

「我が軍の知者を以ても、不可解な行動と言う訳か?」

「はい、そもそもですが、グロリアス殿下率いる軍の構成は、今までのものと大きく異なります。

自慢の鉄騎兵は予想より少なく10,000騎、そして残り20,000の歩兵全てに重厚な盾を持たせています。

今その20,000名が、城壁に取り付くべく動いていますが、その数ではあの要塞を落とすことは叶いません。

グロリアス殿下がそこまで阿呆とは思えませんし、何らかの策があるのでしょう」

そんな2人の会話を聞いていたかのように、前線で豪語する男がいた。

「ふっ、敵味方とも、余を無謀な突撃を行う愚か者と見ておるだろうな。真の愚か者が誰であるか、奴らはこの一戦で思い知ることになるわ。

ハーリー、敵のカタパルトの射程まで進めば、歩兵を一気に前進させよ! 彼らを伴ってな」

「承知いたしました。これは魔境での戦いの前哨戦ともなりえますな」

「ああ、敢えて余が難攻不落の要塞に挑む訳、奴らも思い知るだろう」

そういうと、第一皇子たるグロリアスは、敵の要塞を見据えながら不敵に笑った。

この戦いに遡ること数か月前、彼は側近のハーリー公爵と共に、不愉快な男と再び面会していた。

「ふぇっふぇっふぇっ、殿下、お久しゅうございますなぁ。ご壮健そうで何よりです。

此度の出征、敢えて火中の栗を拾われるとお聞きしましたが、何か具体的な算段でもございますかな?」

「ふん、お前たちの手を借りるでもないわ。

どうせ役に立たない裏切り者でも、用立てて来たのであろう? そんなものは不要だ。我らは奴らを、正面から叩き潰す所存だ」

「ほう、なかなか豪気なお話ですなぁ。

魔法士を駆使する魔境伯の要塞を、正面から突破されるとは。

人海戦術で落とせたとして、その後どうされるのじゃな? 減った兵力で王都を落とすと仰るのですか?」

「……」

「策は有っても決め手を欠く、そう推察された故、お邪魔した次第です。2つの土産を持って……」

そう言って不気味に笑う老人を、グロリアスは好ましく思っていなかった。

祖国を売り渡すことに執念を燃やす陰鬱な老人、裏切り者を使嗾し、国に害を及ぼす男に。

「では献策を許可する。もちろん、採用するかは話を聞いてから決める」

だが今、グロリアスが巡らせている策も、決め手を欠いているのも事実だ。

期待はしないが、少しでも思案の参考になれば……

彼にとってはそんな軽い気持ちだった。

「では、先ずは一つ目のお話ですが、魔法を駆使され、今までは一方的に蹂躙された殿下の軍に、光明ともなりえる手段を提供しましょう。

さすれば、敵軍の絶対的有利は一気に覆りましょう」

「ま、誠か? く、詳しく申せ!」

グロリアスは一気に身を乗り出し、老人を急かした。

そしてその後、この時老人から授けられた策があってこそ、グロリアスが緒戦での先陣を望み、そして敵右翼を破る算段に、自信を持つに至ったことに繋がっていた。

一方カイル王国のハストブルグ辺境伯を始め、前線を受け持つ諸将たちは戸惑っていた。

帝国軍の先陣は、カタパルトの射程500メルの手前で停止すると、一斉に盾を構えて陣列を整え始めた。

そして号令一下、無謀にもその半数、10,000名が盾を掲げて一斉突撃を開始し始めた。

「や、奴ら、犠牲を厭わず先鋒の10,000名を突撃させる気か? いや、そんな筈もなかろう。

カタパルトは後ろの10,000の敵に備え、射撃体勢を維持するのじゃ! 弓箭兵は敵軍を引きつけ、200メル(≒m)まで接近したら一斉攻撃を開始する!」

ハストブルグ辺境伯の指示で、各クロスボウ兵たちは射撃体勢を取りつつ、敵軍が200メル内に来るのを待ち構えた。

この距離なら、風魔法士の援護を受け、射程距離に勝るだけでなく、城壁上の高台に位置している彼らは、一方的に敵軍を斃すことが可能となる。

タクヒールの教えにより、城壁前方には距離を示す溝が大地に掘ってあり、全ての兵が正確な距離を掴んだ上で射撃が可能となっている。

ところが帝国軍は、250メルまで接近すると、再び盾を重ね合わせて幾つもの防御陣を作ると停止した。

「ふははは、勝ったわ!

攻撃開始を告げる銅鑼を鳴らせ! 奴らの頭上に業火の雨を、轟雷の嵐をお見舞いしてやれ!」

第一皇子の合図とともに、50名もの魔法士による一斉攻撃が始まった。

「な、なんだぁっ!」

「ぐわぁっ!」

「た、助けてくれっ!」

城壁上では、カイル王国軍の兵士たちが上げる絶叫が各所で響き渡った。

「な、何故じゃ! 何故奴らが魔法士を抱えておる?

こ、この攻撃、10名や20名程度ではないぞっ!」

各指揮官が狼狽して絶叫するなか、要塞上は各所で火の海に包まれ、圧倒的に優位な立場で攻撃態勢にあった筈の、辺境伯率いる兵たちは大混乱となった。

「ふん、何も魔法による攻撃が、王国軍だけのものではないわ。自身がこれまで行ってきた所業、その身に受けて己の愚かさを思い知るがよいわ」

第一皇子は、積年の恨みの中、胸のすく思いで王国軍の惨状を眺め、そして高らかに言い放っていた。

これこそが、薄気味悪い老人の手土産のひとつだった。

その提案とは、カイル王国への侵攻に際し、フェアラート公国反乱軍との共闘についてだった。

その取引として、攻撃に特化した火魔法士40名と、雷魔法士10名を、彼らが供与する用意のあることも添えられていた。

第一皇子はその提案に歓喜した。

すぐさま、二国間で使者が頻繁に行き来し、今日に至っている。

「畳みかけるぞ! 第二陣に配備したバリスタを前線に押し出せ!

この勢いに乗じて、一気にこの要塞を我が物とする」

突出していた10,000名の後方で待機していた、もう一方、10,000の歩兵たちも前進を始めた。

その傍らには、前線の混乱に乗じて運び込まれた、大型の攻城兵器であるバリスタが、鈍い色の刃先を光らせ、敵陣へと放たれる準備が整えられていた。

「報告します! 城壁中央部、そして左翼は敵の魔法攻撃により各所で寸断され、効果的な反撃ができません。死傷者多数、急ぎ救援を求めています!」

「報告っ! 要塞内にも各所で火災が発生しております! 断続的な攻撃で消化、追いつきません!」

その報告の合間にも、大きな衝撃音が響き渡った。

「報告です! たった今、敵軍からバリスタの一斉射撃を受けております! その数、およそ100基!

こちらのカタパルトが狙われ、初撃で大半は機能を喪失しております!」

ハストブルグ辺境伯のもとにもたらされる報告は、どれもが悲鳴交じりの絶叫に近いものであった。

「儂らは……、魔法士を抱えている優位に驕っておったということか。

攻撃魔法が我が身に降りかかること、そんな想像もできん程に……、いや、これまで幾度も窮地を魔境伯に救われ、その存在に頼りすぎていたということじゃろうな」

辺境伯は小さく呟くと、顔を上げた。

「全員、狼狽えるなっ!

まだこの要塞が落とされた訳ではないわっ!

敵の魔法士の数では、この要塞全てに攻撃を行うことも叶うまい。天蓋のある位置に弓箭兵を移動させよ。

魔法士のいる位置目掛けて、長射程のクロスボウで集中攻撃せよ!

当たらずとも良い、それ自体が牽制となる。魔法攻撃が止めば、体制を立て直すんじゃ」

辺境伯の叱咤に、動揺していた司令部は落ち着きを取り戻した。

だが、未だに状況は好転した訳でもなかった。

要塞の中央と左翼の城壁上は、至る所で火の手が上がり、水魔法士たちが懸命に消火活動を行っている。

カタパルトはほぼ壊滅状態であった。

「中央の予備兵力を防壁上左翼の援護に回し、空いた穴を埋めさせよ。

キリアスに下命、中央部の右翼側を援護させよ!」

一気に壊滅へと転落しかけていた要塞の防御態勢は、ハストブルグ辺境伯の粘り強い指揮のもと、なんとか最後の一線で踏みとどまることができた。

戦いはまだ始まったばかりであり、辺境伯らは一時的に持ちこたえたに過ぎなかった。

そして、さらに彼らを窮地に堕とす。第一皇子陣営の新たなる一手が、彼らを襲うことになる。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『南部国境要塞陥落』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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