Switch Mode
Now you can use the translation tool for free for the first 200 chapters of each novel.

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 269

Please login or register to translate this post.

眼前に見える堅固な城壁を持つ要塞も、至る所から火の手が上がり、その混乱した様子が見て取れた。

だが、徐々に統制を取り戻したのか、何か所からは統制された反撃も行われ始めた。

そのため、一部の魔法士たちは、歩兵たちが作り上げた盾の傘に隠れ、継続的な魔法攻撃ができなくなり始めていた。

「ふん、一時の混乱を立て直したか?

やはり噂に聞くハストブルグ辺境伯、なかなか頑健だな……」

「そうですな、我らとの戦いで20年以上に渡り、最前線を支え続けてきた男です。易々と折れるものではないようですな。予定通り、次の手に移りますか?」

「そうだな。ハーリー、合図の旗を掲げ、銅鑼を連打させるよう手配せよ。

前線に下命、敵の左翼、そこに攻撃を集中させよ! 意味は……、分かるな?」

「仰せのままに」

戦場では銅鑼が連打され、魔法士の攻撃が要塞の左翼、ファルムス軍の守る城壁上に集中され始めた。

「く、崩れるな! 持ちこたえろ!」

「ファルムス伯爵の勇名、今こそ轟かす時だ!

全軍、取り付いた敵兵を押し返せ」

「こちらも風魔法を展開、風壁で炎弾を弾き返すんだ!」

守将たるクライツ男爵、ボールド男爵、ヘラルド男爵の叱咤が飛ぶ。

彼らは城壁上に身を晒し、最前線で指揮しながら粘り強く、必死に兵たちを鼓舞し続けていた。

「て、敵軍が左翼に攻撃を集中しています!

一部は城壁に取りつかれており、このままでは、左翼が持ちこたえれません!」

報告を受け、ハストブルグ辺境伯は決断した。

「止むを得ん、中央から左翼に更に支援を、本陣の予備兵力も全て左翼の防衛に投入せよ!

クライツ、ボールド、ヘラルドには、防衛が叶わぬと思われた際は、中央へ引くように伝えよ。

彼らはこの先の戦いで必要とされる貴重な指揮官だ。むざむざ緒戦で失うわけにはいかん!」

辺境伯には、かつて20数年前の戦いで失った、3人の盟友たちの姿が浮かんだ。

彼らを失ったことが、その後どれほど痛手であったかも含めて……

「ファルムス、アベルト、ゴーマン、儂もいずれ其方らの元に参るじゃろう。じゃが、今は待ってくれ。

ファルムス、其方の一族の奮戦、どうか見守ってやってくれ」

辺境伯は、かつて共に戦い、先に逝った友たちに向かって、小さな声で呟いた。

その時だった。

辺境伯が陣取る指揮所目掛けて、百本近いバリスタの矢が風を切る音を上げて飛来した。

その瞬間、辺りには轟音が響き渡り、濛々とした土埃に包まれた。

もちろん、強固な石造りの部分はびくともしなかったが、木製の天蓋や漆喰で固めた部分などは貫かれ、本陣は瓦礫の山と化した。

切先に取り付けられた鋼鉄の穂先は、指揮所内を跳ねまわり、その跳弾を受けて何人もの近侍が倒れた。

「辺境伯! どこにおわす?」

悲鳴のような部下の声に、答えるように辺境伯は声を上げた。

「ここじゃ、ここにおるわ」

倒れた柱の下敷きになりながら、辺境伯は負傷しつつも生きていた。

「ふう、折角魔境伯が儂にくれたクリムトの鎧で助かったが、流石に柱だけは防げなんだな。

だが、この鎧のお陰で助かったわ」

救い出された辺境伯は、柱の下敷きになり、歪にひしゃげてしまった鎧を見て一言いった。

彼はその鎧をすっぽり脱ぐ形で、柱の下から救い出されていた。

先ほどの攻撃では、辺境伯自身、鋭利な跳弾を数発胸に受けていたが、クリムトの鎧は貫通を許さず、その全てを弾き返していた。

ただ、その柱の下になった衝撃で肋骨が数本折れたのか、胸部に大きな痛みを抱え、剣を振るうにも支障が出ていた。

「ふむ……、左翼に攻撃を集中したと見せかけて、本陣を正確に狙ってくるとはな。

大多数の兵が左翼に援軍に出ていたお陰で、被害は少なかったが……」

そう言って埃が晴れたあと周囲を見渡すと、本陣に控えた多くの兵が、バリスタの攻撃に斃れていた。

一帯には、むせ返るような血の臭気と、目を背けたくなるような悲惨な光景が広がっていた。

その多くが、指揮官級の人材で、軍の運用には欠かせない者たちだった。

「辺境伯、ここは危険です! すく退避を」

「儂より負傷者の救護と搬出が先じゃ、すぐに第二射が来るぞ」

辺境伯と近侍の会話に割り込むように、伝令が転がり込んで来た。

「急報っ! 左翼の城壁が破られました。敵兵が雪崩れ込んで来ております!

また、右翼の城壁上にも彼方此方で火の手が上がっており、収拾がつかない状態です!」

「くっ! もはやこれまでか……、無念じゃが、全軍をサザンゲート砦まで撤退させよ。

戦いはここだけではない。ゆえに、決して無駄死にはするな、そう各将には伝えよ。

それと魔境伯に伝令を! 敵の戦術を伝えるのじゃ。

悪いが本陣におった其方自身が、使いとなって走ってくれ。

このためにこそ、其方はここに遣わされた、そう儂は思っておる。儂の愚を犯さぬよう、魔境伯に伝えるのじゃ。行けっ、今すぐに!」

伝令と近侍を走らせたあと、辺境伯は殆ど人の居なくなった本陣で立ち上がった。

全身の痛みを堪えながら。

「さて、物好きな者たちを率い、味方が撤退する時間を稼ぐとするかの。誰かおらぬか?」

「はっ! こちらに」

傍らに控えた者に、辺境伯は落ち着いた声で話しかけた。

「中央軍を率いる諸将に伝えてくれ、味方の退路を確保するため、北門に集結せよとな。

一人でも多くの兵を逃がすため、手を貸してくれと伝えてくれ」

「はっ! 確かに。辺境伯も、急ぎご撤退を!」

「守将は一番最後と決まっておろう。其方は伝令に走ることが与えられた任務じゃ。行け!」

そう言って彼を使いに追いやると、辺境伯はよろめきながら数人に支えられて歩き出そうとしていた。その時、再び雷鳴のような轟音とともに、雷魔法と思われる攻撃が辺境伯の本陣を襲った。

雷に撃たれた数人が倒れ、再び周囲は土埃に包まれていた。

「何故……、右翼から雷魔法が?

へ、辺境伯! ご無事ですか? ぐわっ!」

辺境伯を気遣う声を上げた者が、突然悲鳴を上げて倒れた。

その先には、血刀を手に立ちすくむ人影が見えた。

「な、何者じゃ?」

辺境伯は全身の痛みに耐えながら、ゆっくり身体を起こし立ち上がると、抜剣して目を凝らした。

「なっ! 何故貴様がここに居る?」

「辺境伯、カイル王国と貴方の命運はもはや尽きた。

この上は、この要塞と運命をともにしていただこう。この後に来る、新しき世のために」

そう言うと男は、恐ろしい程の速さで踏み込み、抜き放った剣を振り下ろした。

斬撃は肩口から、辺境伯を切り下す。

「き……、何故……」

肋骨を折り、まともに剣を振るうことができなかった辺境伯は、受け止めようとした剣をはじかれ、致命傷を受けその場に倒れた。

その表情は、驚きに目を見開かれたままだった……

『ダレク、タクヒール……、我が息子たちよ、すまん……、後は頼む。

ファルムス、アベルト、ゴーマン……、懐かしいなぁ。今からお前らの元に行くとするよ。

お前ら……、そんなに俺を責めるなよ。不甲斐ない最後だと、俺自身が恥じているんだから……』

言葉にならない、最後の思いを抱いたまま、ハストブルグ辺境伯は戦塵のなかその生涯を終えた。

最後の瞬間に辺境伯の心は、時を逆行し、先に逝った懐かしい友たちに囲まれている、そう感じたのかもしれない。彼の口元は、まるで照れ笑いをするかのように、僅かに緩んでいた。

辺境伯が斃れる直前、我が身に構わず発した命令のお陰で、撤退の指示は各将に届き、玉砕することなく速やかに撤退の準備は整えられていった。

しかしながら、この撤退を妨げる出来事が起こったため、最終的に無事撤退し、サザンゲート砦に辿りついたのは、当初防衛に就いていた半数以下、2,000名を下回っていた。

その多くが深手を負い、当面は戦線復帰が叶わぬ状態であり、誰もが満身創痍の状態だった。

この結果、南部戦線でカイル王国軍は、予想だにしなかった大惨敗を喫し、全軍の首将たるハストブルグ辺境伯を失い、サザンゲート要塞は失陥した。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『仕込まれていた宿り木』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

Comment

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Options

not work with dark mode
Reset