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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 272

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カイル王国の最南端、国境に設けられたサザンゲート要塞は、第一皇子の新戦術とキリアス子爵の裏切りによって陥落し、二人の皇子は入城を果たしていた。

当初は難攻不落と言われた、彼らの補給線を阻害し、のど元に突き付けられた匕首とも思われていた要塞を、たった一日で陥落せしめたこと、帝国にも名の知れたハストブルグ辺境伯を討ち取ったこと、この二点は帝国軍でも驚く者が多かった。

それは第一皇子であるグロリアスの評価となり、彼は今回の戦いで第三皇子に対して大きくリードしたと言わざるを得ない。

第一皇子グロリアスは要塞の一室にて、上機嫌で束の間の休息を取っていた。

「はははっ! ハーリー、今回は正に快勝とも言える戦いであったな。

やっとあの、薄気味悪い老人も役に立ったということだな?あ奴の悔しがる顔が目に浮かぶようだわ」

「殿下、緒戦の勝利はお見事でした。ですが、本命はこの先ですぞ。ご油断なさらぬよう」

「だが、諜報に依ればあ奴(魔境伯)の抱える魔法士は、30名をも超えないらしいではないか?

我らは攻城戦に特化した50名、この差は大きいと思わんか?」

「恐れながら、公国の魔法士にはご油断なさらぬよう。いずれ、公国軍とは戦場で相見えることなりましょう。味方としてか、敵としてか……

今は共闘しているとはいえ、寝首を掻かれる危険もありますゆえ」

「そうだな、寝首といえばあの男も同様だろう。使い潰す算段はできているのだろうな?」

「はい、かの地を攻めるに当たって、奴は色々と内情を知っていることでしょう。先鋒に任じ、激戦の中で消耗しそのまま……、が一番かと思われます」

「ふふふ、裏切りとは過酷なことよな。自らの居場所を確保するため、常に同胞を手に掛け続けねばならんとは。奴が自ら望んで進んだ茨の道だ。これも致し方あるまい」

「左様ですな。あの老人共々消えてくれれば……」

「こうして王国を滅ぼす拠点は得ることができた。この先、王国が誇る豊かな実りを収めつつ、周辺一帯を平定し、じっくり王都を目指して行くとしよう。

漁夫の利を狙う周辺国の者共が、踏み慣らした道を通ってな」

「ほう? 殿下はそこまでお考えでしたか?」

「当然だ。あ奴らは我らが王国兵とぶつかり、互いに兵を減じ疲弊するのを待っておること、手に取るように分かるわ。公国の奴らもそれを期待して、我らの陣営に土産を寄越したであろうこともな」

「御意」

「なにも我らが、奴らのための贄となる必要はない。

我らが動き出したことで、奴らは安心して蠢動をはじめるだろうよ。

だが、我らの歩みは奴らが期待するほど早くない。

我らとて、奴らと王国兵が相撃つことを期待しているのだからな」

緒戦の大勝利で気を良くした第一皇子たるグロリアスは、王国攻略の方針を改めて定めていった。

サザンゲート要塞と魔境伯らがたてこもる辺境、この二箇所を陥落させたのちは、豊かだと名高い魔境伯領一帯の富と実りを奪い、暫く腰を落ち着けるつもりでいた。

彼自身、周辺国の期待通りに火中の栗を拾うつもりは毛頭なかった。

それとは別に、激戦地となった要塞左翼側の一室で、不機嫌そうに話す男もいた。

「ジークハルト、今回はあ奴に手柄を上げさせてしまったが、其方はどう思う。

我々の計画にも、少なからず変更を加えねばならない事態、そう考えているが」

「ふふふっ殿下、僕から言わせれば、グロリアス殿下はやっぱり阿呆ですね。

勝利に浮かれるのも良いですが、殿下は少なくとも4つの失策を犯していますよ」

「ははは、皇族を阿呆と言い切るお前は、やっぱり面白いわ。で、奴の失策とは?」

「一つ目は、出征計画では敢えて落とさずとも良いと定めた要塞を、本来は秘匿すべき戦術を用いて落としました。

彼の戦術は、初見であるからこそ有効なものです。

そもそも、魔法士の戦術運用に関しては、勇猛を誇るハストブルグ辺境伯でさえ小物です。

大物は王国軍の右翼陣営に控えているのですから。

その彼に、今回の情報はほぼ確実に伝わっているでしょうね」

「だが数は脅威だ。噂に聞く魔境伯でさえ、抱えている魔法士は数十名と聞いているが?」

「僕が独自に仕入れた情報では、今回の戦いに合わせて数百名の魔法士を、魔境伯領内で密かに訓練していたとの報告もあります。数の脅威、という点では、殿下は圧倒的に小勢となりましょう」

そうは言ったが、交易商人を掌握し間諜に長けたジークハルトにも、不確定要素はあった。

確かに自身が言ったことは事実だ。だが、その軍団の配置先には確証が持てていなかった。

ジークハルトが恐れていたのは、第一皇子の成果を見て、第三皇子が功に逸り戦線を拡大することだ。

「ふん、そういう事か。まぁ、そういう事で良いだろう。

所で残りの3つは?」

「二つ目は、裏切ったキリアス子爵を圧迫し、味方を討たせたことですね。

僕なら、彼の裏切りを秘匿したまま、最後まで内々に活用していきますよ。

降伏ならまだしも、これで敵軍は彼の裏切りに確証を持ったでしょう。そうなればどうなります?」

「当然、敵の中に内情を知っている裏切り者がいることを、警戒をするだろうな」

「そうです。ここに至って、時間とともに彼の知っている情報は使い物にならなくなります。

きっとその対処に間に合わない、サザンゲート砦などは、今頃空き城となっているでしょうね。

勝利に浮かれている阿呆を差し置き、殿下にはさっさと砦を受領しに出られることをお勧めしますよ」

「なっ……、何故それを先に言わん! して、3つ目は何だ?」

「首将が討たれ、混乱していた敵軍は物資を持ち出す余裕も、焼き払う知恵も回りませんでした。

グロリアス殿下は、進駐すると同時に、真っ先にそれらを抑えるべきでしたね」

「ん? 物資は既に持ち去られて、倉庫はもぬけの殻だったと聞いたが?

……、まさか、お前っ!」

「はい、まだ戦闘が続く混乱の中、時空魔法士を伴って既に押さえております。

グラート殿下の貴重な物資として」

「ははは! 前線視察と言って抜け出し、戦場に出ていたのはそういう訳か!

して、最後は何だ?」

「愚か者ほど、緒戦の戦果に喜び、これみよがしに武威を誇ることに終始します。

今頃阿呆は祝杯を上げていることでしょう。

本当にこの国を亡ぼす気なら、こんな要塞は後続に任せて先を急ぐべきです。

敵国の急所から攻め上がる、彼ら左翼軍に求められているのは電光石火、本来であれば息を付かせることなく、矢継ぎ早に進軍し、王国内深くに進んでいくことです。

ここはただの入り口に過ぎないのですから。

ここで我らが勝利を祝う間に、敵軍は緒戦の衝撃から立ち直り、体制を整え防備を更に固めるでしょう」

「阿呆に愚か者、散々な言われようだな?」

「所詮グロリアス殿下は宮廷の住人です。

戦場を往来し、最前線で兵たちと寝食を共にしてきた殿下とは、思考も施策も、そして器量も全く違います」

「ほう? 珍しく褒めてくれるのか? 気味が悪いな」

「僕なりに、殿下を買っているのですよ。長く続いた帝国の忌まわしき因習を断ち、できることなら周辺国との共存を考えられていらっしゃる、殿下を」

「ふん、それも変人とも言える優秀な参謀と、敵国兵にさえ肩入れする、変わり者の男爵、いや、今は子爵か、そんな奴らがいたからな。

俺も配下から、学ぶべきところは学ぶさ」

「では、殿下は今日の祝宴では3つの事を申し出てください。

ひとつ、要塞を攻略した第一皇子の功を認めること。

ひとつ、先陣を譲った代わりに、サザンゲート砦の攻略を願い出ること。

ひとつ、占領域を確保するため、当面は奪取したサザンゲート砦を起点に、周辺域の平定に専念すること。

この3点です」

「その意図は?」

「そう伝えておけば、第一皇子陣営もゆっくり王都を目指す時間の猶予ができたと、安心することでしょう。殿下は砦の中で、存分に昼寝ができます」

「昼寝をしたいのはお前だろう。

だがそうなれば、我らが王都方面に手を出す余裕が無くなるのではないか?

奴に獲物を取られる可能性もあると思うのだが……」

「この要塞の失陥と辺境伯の戦死は、王国にとって大きな衝撃となるでしょう。我々の想像以上に。

きっと王国側は、王都騎士団を始め、形振り構わず兵を集めて出てきますよ。

そうなれば北進した我々と必ず衝突します。勝てるとしても、犠牲は無視できないでしょう」

「だが、寝ている間により防衛線は強固になると思うが……

先ほど電光石火、矢継ぎ早に進軍すべきと言ったのは其方ではないか?」

「右翼と左翼の動きはむしろ逆ですね。

右翼はこの先、進むにつれ幾つもの困難が待ち受けています。ですが左翼は一番硬い守りが入り口の先にあり、そこからは柔らかい腹を抉るだけです。

戦略的な状況が全く異なります」

「ふむ……、他国の動きも気になるが……」

「ご懸念の通り、時間が経てば他方面、西や北もきっと動き出すことでしょう。

元々彼らは、進軍を停止して我々が動くのを、わざわざ待っていたのですからね。

そうなれば、我々に向かって伸びた槍は、方向を転じざるを得なくなります」

「だがそれは、彼らに漁夫の利を与え兼ねない話ではないのか?」

「いえ、違います。我らが攻勢に出て、その槍を折ってしまえば、それは他国を利することになります。

槍は刃こぼれのないまま、他国の軍勢に向かってもらう必要があるのです。

双方の槍が折れ、傷ついた時にこそ、殿下は自由な選択が可能になります」

「ふん、そういう事か。その際、全ての状況は左翼の動静次第ということだな?」

「はい、仰る通りです。

本人にその自覚があるかどうかは分かりませんが、魔境伯が、この国の行く末を握る鍵となっています。

滅ぶも、生き残るも、我らと友誼を結ぶも全て、魔境伯の采配次第です」

「ふむ……、話を聞くにつれ、会ってみたい男だな。

全てが我らの望む道に通じた際は、ジークハルト、お前にその手配を頼むとしようか?」

「あははは、面白い男ですよ。

我々がこの国を占領した場合でも、内政を預けるに足る器があると思っています。

僕の本心は、彼とは友でいたい。そう思っています。

阿呆なら相手にしたくありませんが、彼との対話は知的好奇心を刺激し、学ぶべき点も、驚かされる事も多いです。まぁ今は、お互いに敵同士ですがね」

「ふっ、今戦っている男を指して友か、グロリアスが聞いたら大騒ぎだろうな」

戦いの最中、当人が知らぬところで、このような会話がなされているとは、タクヒールは当然知らない。

そして、この会談が実現するかどうか、それも彼の双肩にかかっているといっても過言ではなかった。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『戦略的後退』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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