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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 275

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※お知らせ

活動報告を更新しました。また近日中に新しい内容を公開予定です。

良かったらそちらもご覧ください。

タクヒールたちが悲報を受け取る少し前、国境の要塞から半日ほど進んだ先、サザンゲートの砦は大混乱に陥っていた。

今回の戦いにて、ダレクはここを拠点とする辺境騎士団の指揮にあたると共に、事態の収拾を図っていた。

「ダレク様! 無念ですっ!」

帰還した将兵たちは、辺境伯を失ったことに涙を流して泣き崩れた。

ただひとり、ダレクだけはそんな兵たちを黙って見守っていた。

実は心の中では、ダレク自身が一番動揺し、溢れ出る感情を必死に押し殺していたのだが……

一軍の将たる者として、そんな姿を諸将に見せる訳にはいかなかったからだ。

今自分が醜態を晒せば、きっと義父の辺境伯は我が身の不甲斐なさを嘆くだろう。

泣くのは後で、人知れず泣けばいい。

ダレクは唇を強く噛み締めた。

そんな彼の口元は血が滲んでいたが、それに気付いた者も、敢えて誰もが気付かない振りをしていた。

「では、辺境伯が討たれたこと、キリアス子爵の裏切りは、違えようのない事実なのだな?」

「はい、誰もが確認できた訳ではありませんが、明らかに異なる命令、辺境伯らしくないご指示、そして戦場での敵軍の動向、最後に味方であるはずの我々に対する攻撃など、幾つかの事実を総合すると……」

「……」

戦場より撤退した3名の男爵、及び辺境伯軍の兵士から聞き取りを行ったダレクは決断した。

「これより直ちに行動を開始する。

ひとつ、撤退して来た兵士たちは応急処置の後、一旦ブルグまで後退させ、改めて配置に付ける。

ひとつ、王都に早馬を出し事態を報告せよ。そしてブルグを最終防衛ラインとし、援軍を集結させるようクライン公爵に依頼しろ。

ひとつ、辺境騎士団及び騎馬隊の計五千騎は、連絡員を残しここを捨て、魔境内の秘匿砦に移動する。

ひとつ、近隣の村、町に兵を走らせ、ブルグまでの避難を伝達し、その移動を支援しろ。

急げよ、そして気持ちは分かるが浮足立つな!」

誰よりも悲しみと怒りを感じているはずのダレクが、逆に諸将を嗜めている。

それを知ってか、彼らもダレクの意を素直に受け止めていた。

「ご命令に異存はありませんが、本当にこの砦を捨てて、よろしいのでしょうか?

復讐戦の拠点になる、そう思っておりましたので」

「ああ、クライツ男爵の懸念はもっともだが、敵は大軍だ。どうせ守り切れんさ。

それに敵には内情に通じた者も居るしな。

だったら敵にくれてやれ!

できれば奴らにはここを拠点に、暫く大人しくしていてくれると助かるんだがな……」

国境の要塞が健在で、連携し圧力を与えられて初めて、このサザンゲート砦もその意味を持つ。

周囲を平原に囲まれたこの砦は、大軍に包囲されれば打つ手はなくなり、ダレクの指揮する騎馬隊も機動戦力も活用する術がない。

まして、キリアス子爵が裏切っていたなら、この砦の弱点も攻略方法も敵軍の知る所となっているだろう。

そんな状態では、砦も単なる足枷にすぎない。そうダレクは考えていた。

「我々もダレク卿のお供をさせてください!」

「ボールド男爵、悪いが歩兵は足手まといだ。傷の癒えていない負傷兵もな」

「ならば、戦いに耐えうる騎兵のみお供をすること、それでお願いいたします!

ここの予備の馬をお借りできれば、我らと辺境伯軍から1,000名近くは参加できます。

我々にも辺境伯の仇を討つ機会を!」

「ヘラルド男爵、では急ぎ其方に命じる。

騎兵として訓練を積み、戦傷が戦いに支障のない者たちのみを選抜のうえ、我らへの合流を許可する。

しかし、3名の男爵のうち、少なくとも1名以上は撤退する兵を率いブルクに向かうこと。それが条件だ。

兵たちを指揮し、面倒を見る指揮官も必要だからな。それを3者で話し合え」

「ありがとうございます!」

ダレクの指示は、速やかに実行された。

その日のうちに、サザンゲート砦は完全に撤収が行われ、空き城状態となったが、城壁上には夥しい数の旗が立てられ、兵が集結しているかの如く偽装された。

そしてダレクは、1,000騎増えた騎馬隊を伴い、いずこかへと姿を消した。

増えた兵のうちその多くが、無傷とは言えない傷を負い、中にはそれなりに深傷を負っていた者も混じって居たが、ダレクはこれに関し何も言わなかった。

翌日になって、サザンゲート砦から北進した第三皇子、グラートによってザザンゲート砦は接収された。

一本の矢も交えることなく。

グラートはここを拠点に、2万騎の兵を展開し暫くは周辺を固めることに専念する。

タクヒールから、ジークハルトの提案や秘密を共有された、ダレクが想像していた通りに。

この3日後、王都では早馬の到着により騒然となる。

奇しくもその時、北と南の2つの動静を告げる早馬がほぼ時を経ず到着し、その対応に大混乱となった。

「爺っ! 爺よっ!

辺境伯が……、ハストブルグが討たれたというのは」

カイル王は、凶報を受けると居ても立ってもいられなくなり、作戦本部へ駈け込んできた。

「はい、誠に……、誠に無念でございます。

この国を支える柱石、その一柱たる者であり、我らにとっては長きに渡る友、かけがえのない者を失いました」

クライン公爵もまた、苦渋に満ちた表情で答えた。

カイル王も茫然となり、言葉を失っている。

「辺境伯は、余が王太子時代から支えてくれた……、かけがえなき友であったというに。

無念……、誠に無念じゃ……」

「ですが陛下、南部戦線の戦はまだ始まったばかり。

奮戦する者たちを支えるため、我らにはまだすべきことが残っております。

惚けていれば、ハストブルグ辺境伯に叱られますわい」

そう言うクライン公爵自身、肩を震わせており、なんとか言葉を絞り出した状態だった。

「で、戦況はどうなっておる?」

「第一皇子率いる帝国軍左翼は、予定通り魔境伯領に侵攻している模様です。

報告には時差がありますゆえ、詳細は分かり兼ねますが、既に戦端が開かれているころでしょう」

「で、もう一方は?」

「第三皇子の軍勢はサザンゲート砦を起点に、今は進軍を停止しております。

今一番の懸念は、これへの対応です。万が一に備え、南部諸侯から募った兵約1万が、辺境伯領の手前で布陣しております。

ソリス子爵からの使者も、ブルグを最終防衛ラインとし、進出するよう依頼を受けてはおりますが……

それらの兵は士気も練度も低く、本格的に侵攻されれば一蹴されてしまいます」

「ならば今こそ、王都騎士団を出すべきじゃろう。

第一軍と第二軍、合計2万騎の増援があれば抑えが効くのではないか?」

「そ、それが……、軍務卿から北部戦線に関する報告が届きまして、そちらの敵軍の数は25,000を下らないと申しておりまする」

「な、なんと! では我々は3方向から全て、数に勝る敵軍に囲まれておる、そういことなのか?」

「はい、援軍を送るにしろ、陛下のご在所たる王都を空にする訳にもいかず……」

その言葉を聞き、カイル王は瞑目し暫し何かを考えるように沈黙した。

周囲には言いしれようのない重い空気が広がり、誰もが口を挟むことが憚られる雰囲気となった。

そして突然、かっと目を見開くと、今までとは全く変わった、重厚で重みのある声を発した。

「……、クライン公爵よ、勅命である!」

「は? はっ!」

突然雰囲気の変わったカイル王と、勅命の言葉に、クライン公爵を始め、ゴウラス騎士団長など居並ぶ者たち全てが、慌ててその場に跪いた。

「其方らに勅命を以て命じる。

皇王国との対戦経験のある王都騎士団第二軍は、北部戦線のモーデル伯爵の元に派遣せよ」

「はっ! 勅命、確かに承りました」

「加えて、王都騎士団第一軍は、予が親率し南部戦線へと向かう。

道中、周辺貴族軍を糾合して進む故、ゴウラス、其方にはその先触れを命ずる」

「へっ、陛下! それはなりませぬ!」

この言葉に、クライン公爵、ゴウラス騎士団長は慌てて顔を上げ、言葉を挟もうとした。

「黙れ! 余は勅命と申したであろう? 否やは言わせぬ。

余が親率し、士気云々などと言わせぬつもりじゃ。

そして余らが負ければ、この国は終焉を迎える。

その覚悟で、皆は奮起することを命ずる。これで王都に、騎士団を置く理由もなくなるだろう?

それでも王都には、近衛部隊だけでもまだ3,000名はおるのじゃ。守りとしては差し支えあるまい?」

「ですが、陛下……」

「差し出口はならんぞ、ゴウラス!

この国が亡ぶやもしれん国難に際し、それでも貴様は余に玉座を温めておけとでも言うのか?

我が娘すら前線に出ておる今、国王として当然のことであろう。

クライン公爵には全権を与える故、王都に残留し引き続き全軍の指揮を任せる。

余すらもその戦略の駒として、今後の其方の采配を期待する!」

いつになく強硬なカイル王の姿勢に、クライン公爵始め一同は愕然となり畏怖した。

カイル王自身、辺境伯を失った痛み、そして強い自責の念に苛まれていた。それ故の強権発動であり、その意志は固く、ゆるぎにないものだった。

「爺よ、余に万が一のことがあれば、後事は任せる。可能であれば、幼い王子を盛り立ててやってくれ。

其方が教育してくれれば、間違った王に育つことはないだろう。

ゴウラス! 時は一刻を争う、直ちに出立の準備をせよ!」

「はっ!」

こうして、王都カイラールから2万騎の軍勢が北と南、二方向に向けて出立した。

それはこの4百年以上に渡ってなかった、国王自らが最前線に身を投じ、親率するための出陣だった。

そして、途上にある各貴族家には先触れが走った。

『王国の命運、この一戦にあり。

各家は可及的速やかに軍勢を整え、国王陛下の軍列に参ぜよ』

それを受け、王国南部に影響力を持つ、かつては復権派の領袖のひとりであったトールハスト侯爵が、真っ先に手勢を率いて参陣した。

この効果は絶大で、それ以降は次々と手勢を率いて合流する貴族たちが相次いだ。

南進する途上にない貴族もまた、我先にと手勢を率いて王都に参集を始めていた。

ここに至り、平和に慣れた、いや、平和ボケしていたカイル王国が目を覚まし、挙国一致体制が整っていくことになる。

国王の出発した翌日、王都の作戦本部でクライン公爵は、もたらされた報告書を見て一人呟いた。

「いやはや陛下のご決断が……、いや、ハストブルグ辺境伯の死が、この国を救ってくれたやも知れんな。あの者は死してなお、この国の護り手として、力を発揮するとは、頭の下がる思いじゃな。

お陰でこの国が、永き眠りから目覚め、本気になったということか」

圧倒的に不利であった各方面での兵数が、各所で数において拮抗し始めていた。

唯一、一か所を除いて。

「ふむ、今となっては魔境伯ひとりに負担が集中しておるな。

だが、生半可な援軍では役に立つまい。どうしたものかの……」

クライン公爵は各戦線の兵数と配置図を睨みながら、ひとつの決断をした。

「なるほど、この部隊であれば……

誰か! 火急の伝令を手配してくれ。儂からの命令書を最前線に届けるのじゃ」

ほどなくして、総参謀長たるクライン公爵の命令書を携えた兵が、急ぎ王都を出立した。

◇南部戦線

南部諸侯連合軍 10,000名

王都騎士団   10,000騎

新規加入戦力  10,000名

その他既存戦力 15,000名

◇王都周辺

近衛部隊     3,000名

新規加入貴族軍  5,000名

◇北部戦線

軍務卿指揮下   8,000名(→7,000)

中央諸侯連合軍  5,000名(→4,000)

王都騎士団   10,000騎

東部戦線援軍   2,000騎

魔法騎士団     50名

◇西部戦線

魔法騎士団    250名

志願弓箭兵など  5,000名

王都騎士団   10,000騎

新規加入貴族軍  5,000名

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『帝国左翼軍侵攻』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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