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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 276

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11/10付で活動報告を更新しました。

時系列は少し前、サザンゲート要塞陥落の翌々日に遡る。

カイル王国が国境に設けた、サザンゲート要塞を陥落させ、万全の準備を整えた帝国軍左翼部隊、総数3万は全軍で以て魔境に入り、魔境伯領を目指して進軍を開始していた。

「ふふふ、我らの退路を脅かす要塞も今はない。お陰で全兵力をこちらに振り向けることができたわ。

良いか、忌々しい魔物どもの棲む魔境を焼き払い、我らの安全圏を確保しつつ進め!」

第一皇子グロリアスは上機嫌で先鋒部隊に下命した。

魔境に慣れぬ帝国軍も、前回の侵攻でその恐ろしさを身に染みて知った。

ならば、進路上に魔境自体が無ければよい。

第一皇子はそう決断していた。

これも、フェアラート公国から貸し出された魔法士のうち、40名にも及ぶ火魔法士が居たからからこそ、できる力業だった。

「まさか我々の急所、魔境内の進軍を、このような手段で解決されるとは、思ってもみませんでした。

それにしても、彼らの魔法の効果は絶大ですな」

ハーリーは感嘆した様子で、彼らの作業を見守っていた。

火魔法士は単に炎の雨を降らせるだけではない。一時的ながら火そのものの壁を作ったり、火の流れる向きを操ることができるのだ。そのため、効果的に魔境内に安全な道を築いている。

先頭を進む30名の火魔法士により、魔境内には幅300メル(≒m)にも及ぶ、大きな道が帯のように伸び、

残る火魔法士と雷魔法士は、5名づつ左右に分かれ、時折棲み処を焼き払われ、怒り狂って飛び出して来た魔物を焼き払い、雷撃で屠っていった。

「まぁ、難点と言えば、いささか進軍の速度が遅くなる。そこがもどかしい話ではあるがな。

この分では、目的地まで二日ほどかかってしまうな。気が急いてならんわ」

「宿営地建設の準備も万全を期しております」

第一皇子は過去の苦い敗北を忘れてはいなかった。魔物の大群による夜襲を受け、自らの命さえ失いかける危機に陥った経験を。

今回彼は、大量の荷駄隊を同道させていた。そこに満載されていたのは武器だけでなはい。

陣地を守るため、防御線を構築するための木杭やその資材も十分に用意していた。

「よし、本日の進軍はここまで! これより宿営地を建設するための、所定の作業に掛かれ!」

夕暮れにはまだ早い時間に、第一皇子は宿営地の建設を指示した。

一万名の兵士が同心円状に警戒に就き、その内側では2万の兵が杭となる木々を伐採し、それが済めば火魔法士達が周囲を焼き払う。

その一方で、空堀を掘り、逆茂木や柵を大地に据え付ける作業などが進められていった。

夕暮れとなる頃には、防御態勢を整えた広大な円形の防塞、そう呼んで差し支えない規模の宿営地が完成していた。

「これより朝まで、3交代で食事と睡眠、警備を行う。一匹たりとも魔物を宿営地に入れるなよ」

「応っ!」

第一皇子の兵たちの中にはかつて、血塗られた悪魔の夜を経験した者、夜通し魔物と戦い続けた経験を持つ兵士も少なからず存在する。第一皇子は彼らを全員昇格させ、夜間警備の各部門責任者に任じていた。

更に交易商人を通じて、魔境を進む手ほどきも受けさせていた。

加えて今回は、領内に魔境があり、魔境に慣れたキリアス子爵も彼の陣営にいる。

魔物の恐ろしさを十分に知る彼らは、可能な限り禁忌に抵触しないよう、慎重に対応を進めていた。

このように、いささか迂遠なやり方ではあったが、左翼軍は着実に魔境を進み、魔境伯領へと近づいていった。

帝国軍左翼の目立つ進軍は、当然ながらタクヒールらが放った斥候の目にも止まっていた。

そして、彼らの進軍の様子は逐一報告されていた。

「それにしても、3万の兵を使った人海戦術ですか。数の力、そしてそれが魔法士の力と結びついたとき、恐ろしいものとなりますな」

報告を受け、俺の傍らにいた団長が嘆息した。

「ですね……、まるで学園で学んだ、初代カイル王が魔境を切り拓く時もあんな感じだったのかな?

にしても、やりたい放題されるのは、いささか不愉快ですね」

「まぁ、今回は奴らを一網打尽にすることも、戦略のひとつです。今でも攻撃手段は幾つもありますが、それでは大魚を逃しかねませんからね。ご辛抱ください」

そう、俺は彼らが魔境をむちゃくちゃにして進軍することに、非常に腹を立てていた。

そういう俺自身、魔境を開拓してアイギスを作ったり、幾つかの防衛施設を建設している。

だがそれも、節度を以って行っているつもりだ。

魔導砲を試射した場所でさえ、後日、ある目的を持って切り拓く予定の地であり、ただ大地を抉って喜んでいる訳ではない。

まぁ、植物の繁殖力も旺盛なので、数年で元通りになると見越してもいるが……

そもそも魔境は、人にとって危険な場所であり、人を襲う魔物の生息地でもある。

だが、俺たちに数々の恩恵をもたらしてくれる宝でもある。

魔物は、各種素材として大変有用であり、魔法士適性を確認するための魔石も生む。そして疫病に打ち勝つ決め手となる植物も、植生地は魔境の中にある。

魔境があるからこそ、俺たちはその恩恵を受けて繫栄しているといっても良いだろう。

魔境を友とし、魔境と共に歩む者、そんな意味で魔境伯と命名された経緯もある。

「彼らがここイシュタル、そしてアイギスに刃を向けてくるのは、明後日ぐらいでしょうか?」

「そうですね。今回敵は慎重に軍を進めております。報告では歩兵の方が多く約2万名。

今の進軍速度を考えると、タクヒールさまの予想が正しいでしょう」

そう、俺が意表を突かれたのは、この点だった。

以前ジークハルトも、自分であれば騎馬よりも歩兵中心で侵攻すると言っていたが、まさか第一皇子陣営も同じ手で来るとは思ってもみなかった。

「そうなると、イシュタルの守りが心配です。一万を超える歩兵と対峙すれば、そう長く持ちこたえることは叶わないでしょうし……」

「そうですな。現段階ではまだ、敵軍の意図するところ、主攻とする場所も掴み切れておりません。

イシュタルもそれなりに難攻不落といえますが、不安要素はあります」

「アレクシスには念のため、イシュタル及び周辺地区の非戦闘員、兵站を支える者たち以外は、ディモス及びガイアに避難させるよう言っております。防衛部隊も開拓村の守備は捨て、街の防衛に専念するよう伝えております」

「そうですね……、それが正しいご判断かと思います」

この時点で俺には、まだ沸き起こる不安の全てを、完全に拭いさることはできなかった。

こうした不安とやるせなさのなか、帝国軍が魔境に作った太い街道は、イシュタル側との境界にある小さな山脈が連なる部分から、関門、そしてアイギスの砦前まで、俺たちの防衛線に少し距離を置いたかたちで、並行して伸びていった。

「そろそろ潮時か? 今日は……、来るな」

俺がそう呟いた時だった。

「見張り台より報告!

イシュタル側の関門、ゴーマン伯爵軍より気球信号。旗は上から青、青、青です!」

「予想通り、先ずは山岳部に取り付いたか……

こちらもZ旗を掲げよ!」

そう、これは今回の戦いに備え、俺が用意した新兵器のひとつ、広域にわたる戦線の状況を、リアルタイムで確認するため構築した手段である、気球信号だ。

数年の研究と魔法士たちの助力により、俺たちは簡易ではあるが、小型気球の実用化に成功していた。

信号発信用の無人気球を綱で縛り、上空に上げる。そこに青、赤、黄、白、黒の5色の大きな旗を、3段に取り付けることにより、ある程度の情報をアイギス、イシュタル関門、イシュタルとやり取りする。

高空でなくて構わない、元々高台の場所から、ちょとした高さに気球を上げれば、十数キル(≒km)先でも旗を確認することができる。

更にイシュタルとの間にある関門は、双方の中継地としての役目を担うため、ここの防衛は俺たちにとって非常に大事な役割を持つ。

まぁ、俺たちは気球と呼んでいるが、根本は綱で縛られており、現代日本ではもう、あまり見掛けなくなったアドバルーンに似ているが……

因みに、白旗は降伏の合図と受け取られてしまうと不味いので、中心部を赤く染め抜いた日の丸にしている。異世界に日の丸の旗が揚がること、これはこれで俺には感慨深いものがある。

そしてZ旗は、2本の対角線で4分され、黄・黒・赤・青の4色に染め分けられたもので、日本海軍が使用したものと同じ意味合いを採用している。

他所の発した信号を受領した旨を伝えるだけでなく、『王国の興廃この一戦にあり、必勝を祈願し各員一層奮励努力せよ』、そんな意味も持たせている。

そしてもう一つ、魔導砲による殲滅攻撃を行う際は、魔境伯旗を3段で上げる取り決めになっている。万が一、展開していた味方を巻き込まないように。

今回、ゴーマン伯爵が放った斥候から得た報告は……

上段:青 関門脇の山岳部にて

中段:青 敵兵が取り付き侵攻を始めた

下段:青 警戒されたし

だった。

「続いて、関門より気球信号を確認、右、赤、そしてZ旗、左、白、及びZ旗です!」

「ふむ、イシュタル側でも、情報を受領したようですな。

それにしても、タクヒールさまにはいつも驚かされます。この情報伝達手段といい、気球といい、そして今回の作戦に投入された……、私の知らない、いや、この世界になかった物ばかりですな……」

団長が驚くのも無理はない。

現代技術を生かしたチート兵器については、魔境伯となって以降、資金と人材(主にカール工房長)を得ることができたため、それこそここ数年は、思いつくままに開発に取り組んでいた。

避雷針、火薬、気球、そして……

各所の見張り台には、今回なんとか実用できるレベルで開発に成功した、据え付け型の簡易望遠鏡を装備している。そして俺自身は、試作段階の携行用望遠鏡すら腰に吊るしている。

このような戦略兵器の開発は、これまでできる限り秘匿してきたが、西部戦線を含め、必要なものは今回一気に放出している。

この未曾有の戦いを乗り切るために。

「さて、報告にあった東側の目を逸らすためにも、こちらも攻撃を行ってくると思いますが、団長、どうですか?」

「そうですね、先ずは魔法士による攻撃魔法を放ってくるでしょうね。ザザンゲート要塞戦と同じく、我らを混乱させ、次の手に出るために。

全軍、対魔法防御態勢! 風魔法士、水魔法士、雷魔法士、敵が300メルより先に来れば攻撃が来るぞ!」

団長が指さした先には、帝国軍が要塞から1キル(≒km)離れた先の、彼らが作った街道から、森を縫って前進を始めていた。

10,000名にも及ぶ歩兵たちが、それぞれ大盾を掲げて。

「最初は奴らに打たせてやれ! 要塞戦とは勝手が違うこと、奴らに思い知らせてやるんだ!

弓箭兵は直ちに反撃を行うため、魔法士の傘の下で射撃体勢のまま待機!

無念に散った者たち、辺境伯の仇、思い知らせてやる!」

俺はアイギスの最前線、砦の城壁上に立ち叫ぶと、敵軍を睨み付けた。

帝国軍は、俺たちから300メル程度まで進むと、森の中で進軍を停止し、盾の傘を作った。

そして、大きな銅鑼の音が鳴り響いた。

「来ます!」

団長の言葉とともに、天を焦がすような火弾の雨と、雷撃が轟音とともに俺たちに襲い掛かった。

南部戦線の鍵を握る、魔境伯領防衛線の戦いの火蓋が、遂に切って落とされた。

抜けるような青空のアイギス上空には、風を受けて雄々しく、日の丸と赤旗、そしてZ旗が、たなびいていた。

◆参考:主な旗の使い分け

◇上段(地域を指す)

青 山岳部

赤 イシュタル

黄 関門

白 アイギス

黒 その他地域

◇中段(状況を指す)

青 侵攻開始

赤 攻撃開始(敵)

黄 反撃開始(味方)

白 撃退完了

黒 味方撤退中

他 Z旗(主に了解の意味)、他

◇下段(結果を指す)

青 要警戒

赤 戦況有利

黄 戦況不利

白 勝利

黒 敗退

他 Z旗(主に必勝を期すの意味)、他

◇その他

魔境伯旗

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『鉄壁の盾』を投稿予定です。

※※※お知らせ※※※

書籍版発売日(1/20)が決まり、11/10日から予約受付が開始されました。

詳細は活動報告に掲載しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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