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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 277

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鬱蒼とした森林が生い茂り、魔物たちが跋扈する魔境、それ自体が帝国軍にとっては恐怖の対象でしかなかった。

だがその恐怖に打ち勝ち、魔境を焼き払いながら、安全地帯を進む帝国軍の士気は高かった。

何故なら第一に、第一皇子の作戦は功を奏し、これまで進軍では危険な魔物たちの襲撃も躱すだけでなく、それらを悉く撃退し、味方に全く犠牲なくここまで進んでこれたからだ。

第二に、この先攻略すべき魔境伯領は、カイル王国でも最も豊かと言われる領地であり、第一皇子は全兵士に対し、魔境伯領内の切り取り自由、略奪を許可していたこと。

最後に、緒戦で難攻不落と言われた、サザンゲート要塞をたった一日で陥落させていたからだ。

「ははは、これより攻撃を開始する。

城壁という穴倉の中にこもり、自身の安全を信じる愚か者どもに、天の鉄槌を加えてやれ!

攻撃開始! 銅鑼を鳴らせ!」

第一皇子の号令一下、本陣に銅鑼の音が響き渡ると、前線の森に潜む魔法士たちが一斉に攻撃魔法を放った。

帝国軍の首脳陣は、数日前に行われた要塞攻略戦が再現されると、期待に満ちた眼差しでそれを見つめた。

数百の火球が空を焦すように飛翔し、魔境伯軍の立て籠る防壁上に降り注ぐ……

轟音を響き渡らせながら、雷光が防壁に突き刺さる……

だが、炎に焼かれ、雷撃が穿つはずの城壁は、何も変わらず威容を誇り続けている。

「……、ん? どういう事だ? 何も起こらんではないか!」

グロリアスが上げた狼狽の声は、帝国軍諸将の胸の内に等しかった。

空を切り裂いて飛び、城壁に突き刺さり暴れ狂うはずの雷撃は、何事もなかったかのように城壁に吸収されていった。

城壁上を襲うはずの火の雨は、着弾する少し手前で停止したかと思うと、嫌な音を立てて消滅していった。

予想だにしない出来事に、一瞬彼らが思考停止になった瞬間、轟音と共に数千本もの矢の嵐が、前線を襲った。

「なっ! 奴らの矢が届くだと? この射程でか!

いかん、一旦兵を下げさせろ! 貴重な魔法士を失う訳にはいかんのだ!」

第一皇子はこれまでの経験から、カイル王国軍の射程は200メルから250メル、そう読んでいた。

そのため大事を取って、その射程外に展開し、魔法攻撃の射程ギリギリ、300メルから攻撃を加えることにより、言ってみればアウトレンジ戦法で、敵を薙ぎ倒すつもりだった。

だが、タクヒールの開発したエストールボウも、日々進化している。

風魔法と連携すれば、300メル程度なら十分に有効射程内であり、しかも城壁上からの打ち下ろしで行われた射撃は、帝国兵の盾を貫くほどの勢いがあった。

「ちっ! 忌々しいあの小僧め。何か対策でも行っているということか……」

この時になって初めて、グロリアスは後悔した。

政敵であるグラートに実力を示すため、緒戦から秘匿戦術である魔法攻撃を使ってしまったことに。

それは正に、ジークハルトが彼を阿呆を言ったこと、それを自ら証明する形となっていた。

そして、敵軍の弓箭兵による反撃で、いきなり200名近い兵士を失い、それに数倍する負傷者を出していた。

「殿下、そう焦らずとも良いでしょう。我らの目的は派手にやり目を逸らすこと。

次の手の準備が整っておりまする」

ハーリーがそう言って指示した先には、帝国内の技術の粋を集めた投石器が組み上げられていた。

本来、大型の重量物を打ち出し、その重量でもって城壁を破壊するものであったが、第一皇子は目的別に二種の投石器をそれぞれ5基持ち込んでいた。

今回ハーリーが用意していたのは、大量の小さな石弾を、より遠くに飛ばすことにのみ特化したものだった。その射程は優に400メルを超える。

以前の戦いで、弓箭兵に痛い目にあった第一皇子は、まだフェアラート公国の反乱兵力と結び、魔法士の援軍が得られる前の時点では、これによる攻撃を対策の目玉としていた。

「よし、敵城壁の高さもある故、400メル以内に接近し、敵の矢の射程外から石弾の雨を降らせてやれ!

これで奴らの弓箭兵も沈黙するだろう」

彼の命令はすぐさま実行に移され、事前に整地された道を5基の投石器が馬に曳かれて前進し、城壁の400メル手前まで移動しつつあった。

「ほう、魔法攻撃の後は物理攻撃ですか?

敵もなかなか、周到に準備をしてきたと言えますな。まぁ我らの手の内を彼らも知りようがないですが」

「そうですね、団長。

クリストフ、アウラに下命! 長槍にて敵の投石器を叩き潰せ!」

俺の命令は速やかに実施された。

元イストリア皇王国のロングボウ兵から選抜された、特殊攻撃部隊は、2人の指揮のもと隊列を組み駆け出していった。

「彼らに攻撃開始を告げる旗を揚げろ!」

俺の指示で、自由射撃開始の旗が上がると、2人はタイミングを合わせて秘匿戦術、長槍を発動した。

一点突破に長けた2人の風魔法士により、とてつもない破壊力と飛距離を与えられた矢群は、空気を切り裂く音とともに、発射準備態勢にあった2基の投石機を直撃した。

それはまさに、凄まじい勢いで槍の嵐が襲ったのごとく。

「なぁぁっ!」

後方で発射のタイミングを見守っていた第一皇子は、驚愕の余り声を上げた。

安全な射程距離外、そう思って配備した投石器には、ハリネズミの如く矢が深々と突き刺さり、それを構成する部品の脆い部分は、鉄槍の攻撃を至近で受けたかのごとく、粉々に砕け散っていた。

そして第二射。

同様に他の2基の投石器が、見るも無残に破壊されていった。

「下げろ! 投石器を後方に下げろ!」

第一皇子の指示が届く前に、後退を始めた最後の投石器に、第三射が襲った。

運悪く後退中であったため、曳行する人馬もろとも、二組の放った長槍をまともに受け、投石器は粉砕し人馬は引き裂かれた。

「くっ、これでは我らは奴らの武功の引き立て役でしかないではないかっ!

バリスタを前面に出し、一斉射撃で奴らを引き裂いてやる!」

「殿下! 落ち着いてくだされ。

われら本隊の目的をお忘れか? そう熱くなられては、目的を見失いまするぞ!」

「う……、そうだったな。すまぬ、ハーリー」

ハーリーの諫言に、落ち着きを取り戻した第一皇子は、再び不敵な笑みを浮かべた。

「これより作戦の第二弾に移行する!

先ずは魔物を誘引しないよう、死者は直ちに埋葬すると共に、負傷者は拠点に後送せよ。

キリアス卿から言われた、臭い消しの葉を共に埋めるのを忘れずにな。

しかる後、盾歩兵は100名単位の小集団となり、魔法士を護衛しつつ各所に分散せよ!

各所で、配置につき次第攻撃を再開する!」

帝国軍は、再び新たな戦術で攻撃を再開した。

俺は攻撃が再開された帝国軍の対処を、配下のゲイルに任せ、団長とともに戦局全体を見渡すよう視点を変えた。

「それにしても、帝国軍は我々にとって最も嫌な戦術に、対応を変えてきましたな」

そう、俺たちは帝国軍左翼部隊に対し、数で圧倒的に劣る。その数、三分の一以下でしかない。

延々と続く、アイギスの長い防衛線を守備するには、圧倒的に人手が足りないのだ。

帝国軍は数の利を生かし、分散して防壁の各所に魔法攻撃を加えてきた。

その数、約50か所。

とてもじゃないが、兵力も魔法士も足らない。

「ですね。兵を配置できていない場所もあります。これだけの場所を同時に攻撃されたら、我々の兵力では手も足も出ませんね。

幸い、アイギスの強固な城壁は彼らの魔法攻撃にも、びくともしませんが……、あまり気分の良いものではないですね」

「はい。彼らの攻撃はその殆どが、無人の防壁上を削っているだけです。

今のところ、その思惑が不気味ではありますが……」

「その後、他方面、関門やイシュタル、山岳地帯の状況に変化はありませんか?」

「はい、こちらの戦端が開かれたことは気球で伝達しておりますが、他方面に動きはありません」

俺と同じく、団長も何か、帝国軍の動きに得体のしれない不気味さを感じているようだった。

だが、油断させておいて、兵力の薄い部分を一点突破される恐れもある。

この鉄壁の、広大な防衛線が俺たちの弱点でもあることに、俺は内心忸怩たる思いでいた。

その日は、それ以外に目立った攻勢はないまま、夕暮れとなり、帝国軍は拠点へと撤退していった。

その引き際も見事で、逆に俺たちが拍子抜けするぐらいだった。

「奴らも夜の魔境で、攻勢に出るほど愚かではなかろう。しかし、警戒は引き続き厳重に行え。

篝火を城壁の途中まで降ろし、取りつく敵兵がいないか厳重に見張れ。

魔法攻撃に備え、見張りは必ず天蓋を設けた位置から行うように」

団長は各隊の指揮官に交代で休息と見張りを指示していた。

「シャノン、申し訳ないが夜はシャノンの耳が頼りだ。

日中は存分に休んでもらう代わりに、夜間の警戒を頼む。何か不審なことがあれば、遠慮せずにすぐ起こしてくれ」

「そうですな、今日の戦いで多少なりとも血が流れました。

魔物たちが活性化し、夜は危険で斥候も出せませんゆえ、シャノン殿が頼りです」

「はい、夜の警戒、確かに承りました」

俺は団長とも協議の上、事前に幾つかの仕掛けも施していた。

各防壁の直下には敵襲を知らせる仕掛け、城壁の真下に存在する落とし穴、そういった物も施している。

恐らく、敵の夜襲を受けても、不覚を取ることはないはずだ。

開戦初日、アイギスの防衛網は、鉄壁の盾の名の通り、帝国軍の攻勢を全て跳ね返していた。

だがこの時点で、俺は帝国軍、第一皇子たちの意図することを、まだ理解していなかった。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『真の攻略目標』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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