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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 292

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最後のあとがきにお知らせが二点あります。

良かったらそちらもご覧いただけると幸いです。

※1月10日、カタパルトの攻撃について、後書きて補足しております。

クラリスたちが立てこもる、河の右岸から5,000名のフェアラート軍が押し寄せた経緯の発端は、少しだけ時を遡る。

クラリスに願い出て、河の上流に布陣した貴族連合軍は、現地に着くやいなや早々にクラリスの言った禁を犯そうとしていた。

「ふん、深窓にある殿下は、戦いの常道をご存じないのも無理はなかろう。

兵法の基本も無視されているのだから」

「敵の魔法兵団は既に殲滅されているのだ。殿下は一体何を恐れておいでだ?

このような位置に布陣すれば、みすみす渡河を許してしまうではないか?

水際で敵を討つことこそ、地形を利した作戦であること、ご理解ないとはいやはや……」

「どうです? 我らは一旦この位置に布陣し、敵が渡河を始めれば一斉に丘を駆け下りて、水際で敵軍をせん滅するというのは? 我らも武勲を上げる機会となりませんか?」

「いや、そもそも敵がこちらから来るとは限らん。

我らが敢えて願い出たのは、こちらから渡河し、敵の不意を突いて左岸側から攻め寄せるためであろう?

ここに引きこもっていても、意味をなさないのではないか?」

これまでの流れ、そして常識的に考えれば、彼らの思考もあながち間違いではないかもしれない。

一旦敵兵の渡河を許せば、彼らには頼る防御陣地もない。

クラリスからは、万が一敵兵が渡河してきても、遠距離からの攻撃に終始し、敵軍が下流域(本陣)方向に転じた時、後背を襲うように。そう指示されていた。

だが……、そう不平を言いつつも、彼らはなんとか戒めを守り、河岸から距離を保っていた。

「報告します! 敵軍の別動隊が左岸に現れました! 続々と渡河を始めています。

その数、約5,000!」

「ごごご、5,000だと? 我らは僅か2,000だというのに。まともにやって勝てる訳がないではないか? 直ちに川岸に突撃し、優位な体制で敵軍を食い止めるんだ! 我に続けっ!」

ある貴族の一群が、禁じられていた川岸へと突撃を始めた。川から上がって来る敵兵を討つために。

そして、それに釣られるように、一斉に他の貴族たちも突入を始めた。

そして……

彼らが川岸へと辿り着く寸前、突如として天空を焦がすような多数の火球が彼らの頭上を襲った。

火球だけでなはい、対岸から轟音とともに飛来した雷撃も、彼らを襲う。

このようにして、上流の右岸を守っていた貴族連合軍は壊滅した。

一方、主戦場でも剛毅に振る舞い、前線で兵を支え続けていたクラリスにも限界が来ていた。

大軍と大軍がひしめき合う戦場を、初陣ながら指揮していたものの、今となっては彼女の傍らに頼れるべき者がいない。

唯一、それを期待されたシュルツ軍団長は、自身が依頼した命に従い、最前線にて必死の防戦を指揮し、綻びつつある戦線を支えている。

彼を本営に戻してしまえば、前線の対処が追い付かなくなってしまう。

そして、矢継ぎ早に報告される、不利な状況に対する冷静な対処、的確な指示を出すには経験智、精神的にも限界に来ていた。そんな時、本営に一人の偉丈夫が現れた。

「殿下、大変失礼ながら、一時的に指揮権をお預かりできないでしょうか?

差し出口を、とのお叱りは後程、存分に受ける所存ですが……」

そう言ってクラリスの元に現れたのは、カタパルトの部隊を指揮していたゴルドだった。

これまでタクヒールと共に、苦しい戦場を往来し、戦いの趨勢を見つめて来た彼は冷静だった。

そして何より彼には、主君より密命が与えられていた。

『ゴルド、これまでずっと補佐役で苦労しながら、戦場の動きを最前線で見守り、動いてきただろう?

だからこそ、頼む! 予想できる不測の事態に対し、予め危険を想定して動き、必要であれば指揮を取れ!

団長からも、手堅い指揮ならゴルドは相当に強い、そうお墨付きをもらっているからね』

そう、タクヒールが最後の切り札として、西部戦線に投入していたのは、日陰者で苦労人の印象が強い、ゴルドだった。

今の彼は、かつて人足から大抜擢されながらも戦いは素人であった、往時の面影は一切ない。

タクヒールの配下として10年以上に渡り軍務に就き、ヴァイス団長から直々に教えと薫陶を受け、王都では騎士団の軍団長たちとも交流し、常に自身を磨いていた。

タクヒール自身も、模擬戦や実戦において、守勢における彼の粘り強さを、高く評価した上での抜擢だった。

「え、ええ、ゴルドさん、私の至らぬ部分の補佐を、是非お願いしますわ」

クラリスが素直に指揮権を預けたのにも、理由があった。

魔境伯からゴルドを紹介されたとき、彼は魔境伯軍の戦い方を最も熟知している者のひとりであり、安心して指揮を任せるに足る能力があり、困った際には頼りになる男、そう言われて紹介されていたからだ。

「ありがとうございます。

生き残りの全カタパルトは、左翼に照準を変更!

制圧弾の一斉射撃を行う!

狙いは適当で構わない、風魔法士の支援のもと、最大射程だ! 中央カタパルトのみ殲滅弾の使用を。

カタパルト支援の者を除き、他の風魔法士は最左翼に速やかに移動、上流に向かって風を放ち続けろ!

河川敷の防塞に展開している各軍は、第一陣を放棄して後退、第二陣の頑丈な城壁に拠って敵軍の対処を」

一斉に伝令が走り出した。

その様子を見ていたクラリスは、不安に感じたことを訪ねた。

「ゴルドさん、それでは敵に、最前線の防塞や堤を明け渡してしまうことになるのでは?」

「ええ、取らせてやりまましょう」

そういってゴルドは笑ってみせた。

幾多の戦場を往来した者だけが見せる、不敵な笑みを浮かべて。

「通信兵! エラン殿に届くよう、直ちに気球を上げろ! 今後、彼方からの合図を見逃すなよ!

伝令! 最右翼に指示を、直ちに赤玉を一斉放出!」

「あれをやるのですか?」

「はい、敵とはいえ多くの兵の命を奪うこと、下流域の民に迷惑を掛ける責は、私と魔境伯が背負わせていただきます。あれの発動には時間を要します。それまで、なんとか持ち堪えて見せますよ」

そういってゴルドは再び笑ってみせた。

今度は、クラリスを労わるような、優しい笑顔だった。

「ありがとうございます。私はまだまだ甘かったのかも知れません。

味方を巻き込む可能性があること、一度に多くの命を奪うことに成りかねないこと、流域の被害を考えて……、いえ、そんなことすら考える余裕も失っていたのかもしれません」

「いえいえ、初陣ではそんなものですよ。

指揮を執ることの重み、兵たちの命を預かる重みは、想像しているより遥かに大きいですからね」

「ゴルドさん、ありがとう。

でも一つだけ、総司令官は私です。責任は全て私に、その上で存分に指揮をお願いしますわ」

このころになると、クラリスも何とか落ち着きを取り戻し、いつもの彼女に戻っていた。

暫くすると、本営には矢継ぎ早に伝令が到着する。

「カタパルト、1番から8番、射線変更及び装填完了! いつでも行けると旗が上がっています。

9番から12番、対応間に合わないようです!」

「中央カタパルトから伝令! 殲滅弾の準備よし!」

「シュルツ軍団長より伝令! これより味方の撤退を援護する」

「通信班より伝令、気球、上がりました!」

「赤玉、下流域へと流れ始めました!」

「最右翼、風魔法士が終結しつつあります」

「殿下、これ以上は待てないようです。どうか、反撃開始のご下知を……」

「はい、鐘は連打から三打に変更を、反撃始めっ!」

クラリスの指示で、制圧弾が発射され、右翼に猛攻を加えつつあった公国軍の中央に降り注いだ。

その効果は劇的であり、制圧弾を浴び、赤や白の煙に包まれた一帯では、目を押さえて悶絶する者、くしゃみや嘔吐きが止まらず、戦闘不能になる公国兵が続出した。

この怪しい煙は、風に乗って中軍から後軍までを巻き込んでいった。

そして最後尾を固める公国軍の後軍には、中央カタパルトから放たれた秘匿兵器、対岸の魔法兵団を襲ったものと同じ、殲滅弾が放たれた。

殲滅弾の直撃を受けた者たちには、先ほど展開されたものに等しい、地獄絵図が展開された。

そこには、これから魔法攻撃を加えようとしていた、魔法兵団の50名も含まれていたため、彼らも先に壊滅した仲間たちと同じ運命を辿った。

「第二射以降は、石弾に変更! 以後、準備が整った個所から別命あるまで自由射撃に!

9番から12番は照準を変更し、前衛に取りついた敵軍を掃射するよう伝えろ。

最前列の陣地ごと薙ぎ払え! 第二線の弓箭兵は、味方の撤退の援護を」

ゴルドの指示により、カイル王国軍は敵軍に押され、最も河沿いの河川敷に面した第一陣を失った。

だが、体制を固めなおし、より高台に築かれた強固な第二陣に依って、頑強に抵抗を始めた。

それは、一見すると公国軍が損害を出しつつも、一歩勝利に近づき、王国軍が敗退へと転落する兆しにも見えた。

だが、ゴルドの支援を受けたクラリスは、気持ちを取り直し、攻め寄せる敵軍に頑強に抵抗することになる。

戦端が開かれる前、クラリスの指示により戦場を離脱したエランとメアリー率いる一行は、戦場より上流の山間部、そこに築かれた大きな堤近くまで移動していた。

だがそこで、運悪くリュグナーの放った威力偵察部隊と遭遇戦になっていた。

「くっ、こちらは連絡要員を途中に残したせいで、厳しいか……」

エランは単に魔法士兼文官というだけでなく、ここ10年近く団長より戦闘訓練も受け、タクヒールと共に魔境に入っていたりと、それなりの剣技や戦闘経験はある。

だが、メアリーなどは完全に文官指向であり、戦いには向かない。

200名ほどいた部隊も、途中で観測員や連絡要員を残しており、今彼と共にあるのは100名足らずだった。

「敵は少数! 我らの姿を見られた以上、一人も逃すな!」

「押し包んで討ち取れっ!」

口々にそう言って、エランたちを包囲し、攻撃の手を強めて来た。

円形陣を組み、防戦一方となるエランたちの戦力を削り取ろうとしてくる敵は、およそ200騎。

「メアリー、申し訳ないが手薄な場所には防壁をお願い!」

自らも戦いつつ、全体を指揮することで手いっぱいのエランには、地魔法を展開し敵の騎馬を足止めする余裕はない。

メアリーは震える手で手綱を強く握りしめると、自分自身を奮い立たせ、必死に手綱を操りつつ大地を隆起させては敵の足止めを試みていた。

それでも遭遇戦で何の準備もない中、数の差は戦況を覆すには至らなかった。

彼女を庇い、ひとり、またひとりと敵刃や放たれた矢を受けて、落馬する者たちが相次ぐ。

「ごめんなさい、せめて私が戦えたら……」

そう呟き、今にも泣きだしそうな気持ちを必死に抑えていた。

今自分が敵の手に掛かることはできない。この遭遇戦の直前、観測員より本陣から気球が上がっているとの報告を受けていた。

味方は苦戦し、最後の手段を講じなければならない所まで来ている、その事を彼女も理解していた。

そして、それが実行できるのは、エランか自分自身しかいないことも。

「メアリー! 僕たちがここで奴らを食い止める。先に行って使命を果たしてくれっ!」

エランは覚悟を決めた顔で、そう言うと僅かに微笑んだ。

それがメアリーには、自らの死を賭して使命を委ねた顔、長年共に戦った仲間に、別れを告げる顔に見えた。

「エラン! だめっ!」

メアリーとその周りに付き従う者たちを遮るように、土壁を展開していくエランにメアリーは叫んだ。

だが、その叫びを断ち切るように、彼女とエランたちの間には、騎馬では超えられない壁が広がっていった。

「馬鹿っ! エラン……、お願いだから死なないで……」

そう呟きながら、涙を流しつつメアリーは馬首を巡らせ、愛馬に鞭をひと当てして駆け出した。

自身に課せられた、2万を超える味方を、この国の王女殿下の窮地を救う役目を担うために。

【追記】

※カタパルトの攻撃について補足します。

ご指摘もあったので一点補足しておきますね。

カタパルトの攻撃ですが……

・通常弾 握り拳大の石弾を使用した攻撃

・制圧弾 ナーガの実(超激辛唐辛子)やスパイスなどを配合し、催涙弾のような効果をもたらすもの。

・殲滅弾 火薬を使用した花火に似たもの。予め導火線に点火してからでないと投擲できず、対応を間違うと自爆する恐れもあり取り扱いが難しい。主に爆風で鉄菱を撒き散らし、殺傷力の高い範囲攻撃。

西部戦線に魔導砲が持ち込めないため、タクヒールが限られた者だけに託した秘匿兵器。

・魔導砲 特別なカタパルトと重力魔法士、風魔法士の組み合わせて初めて成立する攻撃で、秘匿兵器。

殺傷力が非常に高く、収束モードは拠点破壊に、拡散モードは範囲攻撃として使用される。

【お知らせ】

今年も今日で大晦日、早いもので連載開始から14か月経過しました。

この2023年最後の日に、お知らせが二点あります。

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お知らせ

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◆コミカライズ企画について

この度、本作のコミカライズが企画進行中です。

この小説の世界がビジュアルとして表現されることは、私にとっても夢のような話しで、今はワクワクしながら、経緯を見守っています。

正式にリリースが決まりましたら、改めてご報告させていただきます。

◆設定資料公開について

次の投稿は一月三日の予定ですが、元旦には年始特別編:設定資料公開をお届けする予定です。

これまで地図データのご要望などをいただいていたにも関わらず、なかなか反映できず申し訳ありませんでした。

先のコミカライズ企画や、書籍版発行にあたり、幾つかの自作資料をブラッシュアップしましたので、それを一部公開させていただきたく思っています。

※後日書籍で公開される資料とは、一部内容やタイミングが異なりますので、その点は予めご容赦ください。

次回は『訪れた転機』を投稿予定です。

本年も一年間、本当にありがとうございました。

皆さま、どうか良いお年をお過ごしください。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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