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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 299

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最後にお知らせがございます。よろしければご覧ください。

また、前回のお知らせで次回のタイトルが「氷の一撃」でしたが、修正が漏れておりました。

今回のタイトルが新しいものになります。

エイジンクールの地では、イストリア皇王国軍がこれまで築いてきた防塞を、一段ずつ後方に移動するとともに、モーデル伯爵率いる北部方面軍は、それを追うように少しずつ前進して敵軍を圧迫していった。

「ふふふ、奴らも前進すれば自慢のカタパルトは使えんようだな。ロングボウ兵の力を恐れ、その射程内には近づいて来んか?」

「はっ、大司教猊下の仰る通りです。それにしても、あ奴の兵は殿軍に留め置いて良かったのですか?」

「将軍、ウロス兵とあ奴の兵はここで使い捨てる。撤退は騎兵を先頭に配置して、露払いを行わせると同時に、本営はロングボウ兵とともに中軍として移動し、最後尾を皇王国の歩兵で固める。

手配は済んでいるな?」

「はい、中核にロングボウ兵と魔法士を配し、前と後ろ、どちらから攻撃を受けても前線が受け止めている間に、矢の雨を敵軍の頭上に降らせてやります」

これは、縦深陣こそ敷けないものの、前の騎兵と後ろの歩兵、其々が障壁となりつつ陣形を変更する、いわば移動型のダブリン戦術といえた。

8,000名ものロングボウ兵が放つ矢の威力は、敵軍にとって相当の脅威となるだろう。

カストロ自身も、王国軍が焦って猪突すれば、陣形を縦深陣に変更して誘い込み、彼らを逆激して一方的に屠るつもりでいた。

だが、彼の思惑通りに事態は進まなかった。

「報告します。我らの退路方向から砂塵! 相当数の敵軍が、こちらに向かって来ている模様です」

切迫した報告がカストロにもたらされた。

「騎兵は横陣で展開し、ロングボウ兵たちの100メル先で受け止めよ。その後中央は後退し両翼は前進!

騎兵が作った壁に合わせてロングボウ兵は左右を前進し、縦深陣を形成する。

300メルの最大射程で射撃準備せよ! なお殿軍については後方の敵軍の足止めとし、顧みる必要はない」

カストロの傍らで、将軍と呼ばれた男は、矢継ぎ早に指示をを出す。

ロングボウ兵たちは、弓を手に矢をつがえ、射撃用意の号令を待っていた。

ダレクたち一万騎は、横列陣を敷く敵の騎馬隊に対し、縦列陣を敷いて敵軍に襲い掛かった。

そして、十数列の騎兵が、ダレクを先頭に一本の槍のごとく、真っすぐ敵陣に突き刺さるかに見えた。

「エロール! 左翼は任せる。右翼は俺に続け!」

彼の合図の元、皇王国軍の騎馬隊が壁を作って待ち構える200メル手前で、一斉に花が開くかのように左右に回頭し、迎え撃つため進出していた皇王国騎兵の前で完全に蓋をするかのように、同じ横陣へと隊形を変えた。

「各自、乗騎のまま一斉射撃! 鐘を鳴らせ!」

ダレクの指示で、全ての騎兵は馬具に備え付けてあったクロスボウを取り出し、三打に合わせて矢を放った。10,000本もの矢が、各所に配置された風魔法士たちの援護を受け、ほぼ水平に宙を飛翔すると、正面に展開して疾走してきた皇王国の騎兵たちに突き立った。

彼らはロングボウ兵を援護するために密集し、壁として立ち並ぶよう配置されていたので、この射撃をまともに受けてしまう。

複数の矢を浴びた騎馬は、断末魔の嘶きを上げて棹立ち、乗騎していた兵を振り落とす。

ある者は、愛馬とともに矢を受けて斃れ、ある者は落馬して馬に踏みつぶされた。

カストロたちは、ただ茫然とその様子を眺めるしかなかった。

何故なら、自慢のロングボウ兵たちは、未だ騎兵の後方にあり、縦深陣は完成していない。更にそもそも射程外だったため、徒に矢を放つことは、味方を打つ同士討ちにしかならないからだ。

そして前方は1万騎の敵軍に退路を抑えられ、後方から迫る敵軍は、皇王国軍が捨て石にした殿を蹴散らしつつあり、モーデル伯爵率いる一万以上の軍勢が迫っていた。

捨て石とされ潰走した彼らは、必死に前方に逃げる際、カストロが後方に配していた歩兵たちをも巻き込み、更なる混乱を巻き起こす。

そこに、大きく響く澄んだ声が戦場に響き渡った。

「イストリア皇王国の同胞の皆さん、どうか聞いてください!

私はかつて御使いと呼ばれ、皆さんと共に戦陣に出て戦ったアウラです。そしてここには、私と共に正しき道に立ち戻った1,000名ものロングボウ兵の皆さんもいます」

「なっ!」

「何故だっ? この声はどこから?」

「それよりも……、御使い様だと?」

「皆さんが聞かされていた、悪魔の如きカイル王国のお話は、全て出鱈目です。

例え刃を交えた敵国兵でも、最大の努力と誠意でもって命を救う彼らの行いこそ、神の慈愛溢れた行いであると思いませんか?

私たちは、その恩によって命を救われました。

今彼らは、ただ自身の愛する国と、そこに住まう人々を守るためにだけ戦っています。

御使いを悪用し、己の権力欲に囚われ、平和を望む隣国を悪魔の如く侵略し、非道な行いをしているのはイストリア皇王国の方です。どうかそれを理解し、これまでの真実に目を背けないでください。

彼らがこれまで行った、敵軍たる我々への対処を!

捕虜となった者たちが、どれ程感謝していたかを!

何故私たちが望んで、家族とともに敵国に移り住んだかを!

この期に及んでも、彼らは皆さまを救う機会を与えてくれているのです。お願い、どうか目を覚まして!

武器を捨てて、どうかその場に留まっていてください」

そして、別の男性の声が響く。

「今話した彼女は、正真正銘の御使い様だ。今からその証拠をお見せするが、これは警告である。

どうかそこから動かないでほしい。どうか我らに、同胞を撃たせないでほしい」

その声が終わると同時に、皇王国兵たちの遥か西側から放たれた矢は、彼らの頭上を越え、唯一退路と思えた東側の木々を薙ぎ払った。

クリストフとアウラの魔法支援により、長槍と呼ばれた高威力長距離射程攻撃を放ったからだ。

「な、なんだと!」

「あんな射程、一体どうやって?」

「弓で木々を薙ぎ倒したぞ、そんな……」

「俺には覚えがある。あれこそが御使い様の御業だ」

「では……、本当に御使い、アウラ様なのか?」

8,000名のロングボウ兵のうち、数こそ少ないが先の戦いに従軍し、アウラの支援による長距離射撃を目の当たりにしていた兵たちもいた。

「ア、アウラは生きていたのか?」

「アウラちゃん、無事で……」

「くっ、信じられん」

兵たちよりも、アウラを良く知る者、今回の戦いに従軍していた12人の御使いのうち、8名は大きな衝撃を受けていた。

カイル王国軍により討たれた、同胞のアウラの仇を討つ、イストリア皇王国の魔法士たちはこれをひとつの目的として、今回の戦いに参加していた。

「私は元ロングボウ部隊第一大隊の隊長、グレンだ。アウラ様のお言葉は本当だ! かつて私と共に戦場を駆けた者たちよ、どうか話を聞いてくれ」

「元第二大隊のギースだ、我々は命を救われ、今は御使い様を守る使命を帯びて、平和に暮らしている。

どうか、我らと共に暮らそう」

「皆、俺の声を覚えているか。第三大隊……、いや、飲んだくれのアラン、その方がわかるだろう?

正しき神の教えはこちらにある。俺たちは家族とともに幸せに暮らしているぜ。因みに俺はシラフだからな」

「みんな、こんな戦いで死ぬんじゃねぇぞ! 第五大隊、いや、ウワバミのレイムだ。こっちの方が分かりやすいだろう? この国は酒も旨いし、途方もない数の御使い様がいるぜ。中には話の分かる、俺たちと共に酒を酌み交わしてくれる御使い様もいるんだぜ!」

かつては同胞であった者たちが、次々と呼び掛ける。

全ての声は、音魔法士によって増幅され、戦場に響き渡っていた。

兵士たちには箝口令が敷かれ、以前の戦いと、その後の事情は、固く口外を禁じられていたが、多くの兵がその噂を耳にしていた。

「くっ……、悪辣な。皆、聞くでない! 全ては敵軍のまやかしだ。悪魔の言葉に耳を傾けるでないわ」

カストロ大司教は、大声で喚き散らすが、その声は拡声された兵士たちの言葉にかき消されていた。

彼はここに至って、兵力数でも士気に至っても、大きく劣勢であることを自覚した。

そして、かつての同胞から語られる『真実』は、遠く故郷を離れ、戦陣にある兵士たちの心を、強く揺り動かしていた。

「惑わされるな! 奴らは偽物だ。同胞を語る、悪魔の使徒だ!

どれだけ犠牲を出しても構わん! 右翼側からこの包囲網を抜け、北の国境を目指せ!

動け! 動かぬか!」

カストロの命令にも、兵の反応は非常に鈍かった。

何故なら、その方面の退路には先ほど、長槍の攻撃が加えられ、死地となっていることが明白だったからだ。

そこに、イストリア皇王国にてよく歌われる、神を讃える歌の大合唱が響き渡った。

これも、西側に控えていたクリストフ率いる1,000名のロングボウ兵たちが歌ったものだ。

業を煮やしたカストロと、ロングボウ兵、前面の騎兵や後続の歩兵たちの一部が、唯一開けられていた退路目指して戦場から逃走を始めた。

その数は10,000名を超えたが、騎兵、歩兵、ロングボウ兵を合わせた4,000名近い者たちが、彼らと袂を分かち、武器を捨ててその場に留まり、同じように歌い始めた。

そう、そこに留まった彼らの多くは知っていたのだ。

捕虜返還により故国に戻った者、王国への移住を選んだかつての友たち、彼らの話を聞いた者たちは、マツヤマ方式と呼ばれた、自国では到底信じられないような捕虜への処遇や、その後の在り方を。

戦場で敵軍の御使い様から、女神の御技を受け、命を救われた者たち、そして彼らが涙ながらに語った、感謝の言葉を。

これまで彼らは、皇王国側の公式発表、『王国に移住した捕虜や同胞は、奴隷として塗炭の苦しみに晒されており、彼らを解放する』、このことだけが誇張されて伝えられてきた。

その内容を訝しく思いつつも、自身の思いとは別に従軍していた者たちも、数多くいた。

かつては同胞であった者たちの声を聴き、彼らの思いはある方向に大きく傾き、その決心を確固たるものに変えていった。

この作戦が行われるに際して、ダレクたちは意図的に西側に退路を開けていた。

完全包囲し、敵軍を心理的に追い込むのは上策では無い。まして、退路がなくなった死兵と戦うことは、味方の犠牲も大きくなってしまう。

むしろ、敵軍が動揺する余裕を与え、あわよくば壊走する敵軍の背を討ち、掃討戦を行えば味方の犠牲は少なくて済む。

「ふむ……、意外と効果はあるものだな。音魔法と呼び掛けだけでここまで敵軍を瓦解させるとは……

これもタクヒールの作戦か?」

そういってダレクは感嘆の思いを呟くと、新たに命を発した。

「全軍、これより追撃線に入る。無理に追わずとも良い。あの先は進んでも袋小路だ。

中央に留まった者たちはクリストフらに任せ、我らは軍務卿の騎兵と合流しつつ、ゆっくり追撃する!」

こう指示を出すと、ゆっくり敵軍を圧迫し始めた。

ここに至り、壊走していたイストリア皇王国の兵たちには、更なる災いが降りかかる。

「こうなっては、今しかない。このままでは戦いが終わってしまうではないか。

せめてもの手土産が無ければ、立つ瀬がないわ!

いや、今更だが、このまま死んでは、祖先に申し訳が立たんな……」

その言葉と同時に発せられた氷魔法、氷結した氷の槍は、突如としてカストロたちの背中を襲った。

「いかんっ! 来ます!」

「ひいっ!」

カストロの体を貫いた氷の槍は、彼に深手を負わせ落馬させた。

「たったたたすけ……ぐえっ!」

大地に落ち、悲鳴を上げたカストロは、後続の馬蹄に蹴られて、その姿を没した。

ここに、イストリア皇王国で生まれ、大きな野望を抱いていた男が、呆気なく歴史の表舞台より退場した。

そして、もう一人……

「大司教の仇だ! 全軍、あの裏切り者を射よっ!」

カストロに並走していた将軍の指示により、氷の槍を放った者は、周囲から射すくめられ、全身に矢を受けて愛馬と共に斃れ、二度と起き上がることはなかった。

その男の顔は、何故か満足気に微笑みを浮かべていたという。

こうして、北部戦線はあっけない形で幕を閉じた。

主将を失ったイストリア皇王国軍は、潰走する過程で掃討され壊滅、事前に降伏した4,000名に加え、新に5,000名もの捕虜や負傷者を出したうえで全滅した。

殿軍として見捨てられたウロス王国軍も、モーデル伯爵率いる部隊に壊滅されており、同様に配置されたコキュースト元侯爵軍も多くを失い、最終的にはイストリア皇王国軍と同士討ちの末壊滅した。

モーデル伯爵は、ダレク率いる援軍と北方に進出、北部に点在する貴族領を固めつつ、国境のメスキーノ辺境伯領に入ると、そのままウロス王国領へと雪崩れ込んだ。

既に国土を守るべき兵の大半を失っていたウロス王国は、王都に侵攻されると直ちに無条件降伏した。

カイル王国を四方から侵略した戦役は、こうして終結した。

守る者、侵略した者、双方に多大な被害を与えたこの戦いは、各戦線で大きな爪痕を残していた。

侵攻した4か国、イストリア皇王国、ウロス王国、フェアラート公国反乱軍、グリフォニア帝国軍は、第三皇子率いる右翼軍を除き、その全てが壊滅していた。

方やカイル王国側でも、ハミッシュ辺境伯を除き、南、西、北を預かる3名の辺境伯が戦役で命を落とし、その周辺貴族からも当主を失った家が続出していた。

こうした結果、カイル王国は大きく生まれ変わることとなるが、タクヒールたちの戦いは、まだ少しだけ続くことになる。

彼を友と呼んだ、隣国の国王を助けるために。

いつもご覧いただきありがとうございます。

皆さまの応援のお力で、2日後の1月20日に、書籍版第一巻が発売される運びとなりました。

多大なる感謝と共に、深く御礼申し上げます。

書籍版では、ストーリーの流れは変えないものの、読みやすさや展開を明確にするため、大きく構成を見直したり、背景描写や各キャラクターを深堀りし、個人的にはかなり思いと時間を掛け、ほぼ全編に筆を入れて再構成いたしました。

是非ご覧いただけたら、嬉しい限りです。

これを記念して、明日より5日連続で【特別編 新たなる世界の序章】をお届けしたいと思っています。

長きに渡って書き続けていた最終決戦編も、まもなく終了となりますが、この五話は、戦後に行われる論功行賞や、新しい枠組み、以前にジークハルトと結ばれた密約の詳細、新たなる歴史の始まりに繋がる裏話として、書き下ろしたものとなります。

一部、結論を敢えて不透明にしている部分はありますが、その後の本編の楽しみとして、少しでも楽しんでいただけると幸いです。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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