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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 301

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最後にお知らせがございます。よろしければご覧ください。

カイル王国の国王自ら親卒する軍団が、返還されたサザンゲート砦に駐留して、一週間が過ぎた。

この頃になると、北と西の戦線では二人の兄弟の活躍により大勝利していたものの、自身の受け持つ南部戦線では、一時停戦に関わる使者の往来はあったものの、この先の落とし所や具体的な解決の糸口さえ見えず、未だに重苦しい雰囲気に包まれていた。

そんな時再び、グリフォニア帝国より、戦後に向けた交渉を行いたい旨を伝える、使者が訪れた。

しかも、帝国第三皇子自らが、交渉の場に現れるとの情報を伴って。

形式通り、使者の引見を終えたカイル王は、騎士団長に話しかけた。

「ゴウラス、其方はこの交渉をどう思う?

今ここで軍を引かぬまま、しかも第三皇子自らが臨席した戦後交渉を望んで来るということは、先方も並々ならぬ覚悟があってのことと思うが……」

「はい、陛下の仰る通りです。先方は陛下との直接交渉に活路を見出し、他の者が入る余地のない状況で、一気に決着をつけるつもりでしょう。

交渉の結果次第では、この先も軍を引かぬという覚悟を見せて……」

「ははは、余ならばまだ御しやすい、帝国にはそうとでも思われたようだな?」

「め、滅相もない。ですがこの場に居る者たちは、私のような交渉に疎い武人か、王国内の杓子定規しか持たず、異国を知らぬ貴族家当主ばかりです。

腹の探り合いや交渉事で、陛下をご助力できる者がおりません故……」

「ふふふ、余とて対等な立場での交渉など、これまでにも経験がないわ。そこで、帝国には知恵の回る切れ者の狐がいるという、魔境伯の言葉を思い出してな。

狐の相手には狸が相応しかろう?」

「は? では……」

「各戦線からの早馬によると、北と西、双方とも敵軍を完膚なきまでに押し返したそうじゃ。あの兄弟がそれぞれの前線に居れば、この先問題も起こるまい。

余はそう判断して、王都から古狸を呼び寄せるため、既に早馬を出しておるでな」

「では、陛下はこのことを予想されて?」

「そうよ! これまでの使者の往来から見ても、戦後交渉まで進む気配は十分にあったからの。

遥か昔、初代カイル王が狐や狸を化生の者として例え、『狐と狸の化かしあい』という、この世界にはない比喩を作られたそうじゃ。

それが、余の代で実現するとは、いやいや、愉快な話じゃ」

いや、愉快な話どころではない。

ゴウラスは心の中ではそう思ったが、敢えて表情を消して国王の言葉に従った。

本来なら、戦後交渉はもっと落ち着いてから行われるべきものだ。しかも、事前に文官同士が入念に打ち合わせ、そこで決定した内容を単に追認する、形だけの儀礼として。

だが、諸条件の提示や事前の申し合わせもないまま、両国のトップ同士で一気に話を進めるなど、非常識過ぎて聞いたことすらない。

ゴウラスは心の中に沸き起こる不安で、頭が痛くなってきていた。

ハストブルグ辺境伯の死で、陛下は少し変わられた。

いや、クライン閣下から聞いたことがある昔のお姿、王位継承前の、豪胆でいささか強引だった頃の陛下に戻られたということか?

これまでも何度か、魔境伯と関わるようになってからは、その片鱗を見せられていたが……

そんな不安をよそに、日々は過ぎていった。

一方、カイル王からの急使を受けた狸爺、クライン公爵は、各方面軍に今後の指示を託す書面を認めると、大急ぎで南の国境を目指し馬を走らせた。

国王臨席の場で、帝国との戦後交渉など締結されてしまったら、たまったものではない。

万が一、望まぬ方向で交渉がまとまってしまえば、大変な事態になる。そう思うと、居ても立ってもいられなかった。

そこからは、自ら騎乗して馬を乗り継ぎ、夜間は馬車を走らせて、昼夜兼行で移動し、なんとかサザンゲート砦に辿り着いたのは、交渉日の前日だった。

そして直ちに、カイル王の陣所を訪ねた。

「陛下、王都でお知らせを受けた時は、些か肝を冷やしましたぞ。このお話、性急に過ぎませんか?」

「余も思うところがあってな。この交渉はどうしても余自ら立ち会って決めたかったのでな」

そう言って悪戯っぽい顔をして笑った。

その様子を見たクライン公爵にも古い記憶が蘇った。

「陛下を殿下、そうお呼びしていた頃を思い出しますなぁ。

あの頃の殿下は、無理を押して王都騎士団を動員されたり、勝手に兵を率いて前線に出られたりと、まるでどこかの姫君を見ているようでしたぞ。

その戦の後も、今は亡き辺境伯と勝手に取り決められた無理難題を、この爺に押し付けなされましたな」

「ああ、あの時はあたら有為な者たちを失い、この国の未来を共に憂いた辺境伯も、先に逝ってしまった。

我らは彼らから託された未来を受け継ぎ、そして次の若者に託さねばならん。そのために余は、万難を排して進むつもりじゃ。爺よ、余が進むべき道で転ばぬよう、杖となってくれるか?」

「御意」

短く答えたクライン公爵は、カイル王の目をじっと見つめた。

何か覚悟を決めた、そう思わせる強い意志を秘めた目を。

「なるほど、では私も覚悟を決めましょう。ですが、杖となるにも、陛下のお心うちを知らねば、役に立ちますまい。どうか、ご存念をお聞かせください」

「爺、話が早くて助かるぞ。今回行われる帝国との交渉では、領土の割譲も踏まえた形で、落としどころを決めようと思っていてな。対価は皇族、しかも皇位継承者と目されたひとりじゃ。それなりに払わせる」

「御意。ですが、国境より先の帝国領は、我らにとって守りに難く、敵は攻めるに易い死地ともなります。

帝国側は、我らに貸し与え、丸々と太った所で回収する、そんな判断を下す可能性もありますぞ。

そもそも、気位の高いあ奴らが、それを是としない場合もありますな」

「そこでじゃ、我らは奴らの嫌がる土産を押し付けようと思う。多少、こちらで趣向を添えてな」

カイル王は、そう言って笑いながら、とある封書を差し出した。

そこに記載されている内容を見て、クライン公爵は思わず吹き出しそうになった。

俯瞰的に見れば、第一皇子はグリフォニア帝国(第三皇子陣営)だけでなく、カイル王国側からも、ババ抜きのジョーカーの如く扱われていた。

今や、栄えある帝国の第一皇子とは思えない、酷い扱いである。

「ははは、陛下もお人が悪い。この狸よりよほど老獪になられましたな。

要りもせん土産を押し付けられては、さぞかし第三皇子も困るでしょうな」

「そうよ、これも実は、魔境伯から貰った土産でな。西部戦線に旅立つ前、この封書を予に託してくれたのじゃ。彼の者たちは第一皇子を始め、ハーリー公爵など、帝国の大物を殺さず捕らえた。

このことだけでも、戦いに勝利するより大きな武勲と言えような」

「真に、王国への忠義と貢献、いずれを取っても比類なき功績ですな。

これに対し、報いることが逆に難しいと思われるほどの……」

「ふむ、そのためにこそ、余が交渉の場に出る覚悟を決めたのじゃ。託された土産に見合う未来を、託してくれた若者に返そうと思ってな」

そう言うと、カイル王はどこか遠くを見つめるような目をした。

そして、一旦目を閉じると、再び大きく目を見開いた。

「我らが敬ってやまない祖先、初代カイル王の遺言、それに従い余は行動する。そのために爺、王族のひとりとして、くれぐれも頼むぞ」

「陛下、それを言われれば、儂も全力でお手伝いせなばなりませんな。老骨の身ではありますが、帝国の狐に負けぬよう、全力を尽くさせていただきます」

「では、余の考えた筋書きを伝えよう。

最終目的は……、とすることだ。

それ故に、是が非でも確保したい、交渉の落とし所としては……」

「……」

「なお、この最終目的は当面の間伏せて置く。

交渉の席でも、先方の了解を得やすくすることが大事じゃからの。

このためには、旧ローランド王国領の三分の一程度は割譲を決めねば、体裁も整わんし、余としても立つ瀬がないわ」

クライン公爵は、カイル王の考えに驚愕し、一瞬言葉を失いかけた。

だが、開戦前に王族の一員として、国王より極秘で語られたこと、魔境伯と国王だけが共有している秘事を打ち明けられ、そのことを考えると、主君の行動には十分納得がいった。

「ほっほっほっ、それにしても大胆なことをお考えになりましたな?

ただここに至っては、殿下を降嫁させる期を逸したことが悔やまれますな」

「今からでも、動いてみることはできぬか?」

「ふむ……、あのお方は誰の若い頃に似たのか、一本気でいらっしゃいますからな……

友と慕っている者の夫を、後から正妻としてその地位を奪うことは、絶対に認めんでしょうな」

「まぁ、貰い手があるので有れば、この際じゃ、正妻や序列第一位でなくとも……」

「それはなりませぬ!

ですが、陛下の思いに応えるためには、殿下の存在も鍵となりますな。この爺めも、落とし所を付けるよう動いてみまする」

そう言って大きなため息をついた。

彼女が猛反発し、意固地になるのは目に見えていた。

「まぁ、それはまだ時間もあるじゃろう。

その辺は後日の課題として、先ずは今の交渉じゃ。

明日の交渉、実質其方と先方の狐との応酬となろう。頼んだぞ」

「はっ、身命を賭して……」

実は両陣営とも、微妙に違うものの、結果として似たような絵を描いていたのだが、当人たちはそのことを全く知らない。

こうして、タクヒールを取り巻く運命は、大きな転換を迎えようとしていた。

全ては、翌日の交渉次第で、彼の未来は新たなものに向けて走り出すことになる。

いつもご覧いただきありがとうございます。

皆さまの応援のお力で、遂に本日、書籍版第一巻が発売される運びとなりました。

多大なる感謝と共に、深く御礼申し上げます。

昨年の春に出版社さまからお声を掛けていただき、出版に至るまで本当に長い道のりでしたが、晴れて本日を迎えることができ、とても感慨深い思いでいっぱいです。

昨日から引き続き、5日連続で、出版記念の【特別編 新たなる世界の序章】をお届けしたいと思っています。

長きに渡って書き続けていた最終決戦編も、まもなく終了となります。

この五話は、戦後に行われる論功行賞や、新しい枠組み、以前にジークハルトと結ばれた密約の詳細、新たなる歴史の始まりに繋がる裏話として、新たに書き下ろしたものとなります。

一部、結論を敢えて不透明にしている部分はありますが、その後の本編の楽しみとして、少しでも楽しんでいただけると幸いです。

また書籍版では、ストーリーの流れは変えないものの、大きく構成を見直したり、背景描写や各キャラクターを深堀りし、個人的にはかなり思いを込め、時間を掛けて没入し再構成しました。

是非ご覧いただけたら、嬉しい限りです。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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